新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.379 虚偽のルールを鵜呑みにして交わした契約は有効ですか
投稿者 H さん 投稿日時 2007.3. 9 PM 1:43
突然のご連絡で申し訳ありません。困っております。過去の事例と重複している場合はご勘弁していただきたいと存じます。
実は昨年の5月のことです。Y新聞さんと契約したての頃、他社の拡張員が来られて、「地域でお客さんの取り合いになるからこの地域では交互に契約をお願いしている。もう一方のお店も承知している」と言われ、本年5月からの契約の話になりました。
「まだ先の話だからわからない」とし、かつ無理ならばそのとき言えばよいと言われた上で契約書には3月までに意思確認の連絡を先方よりいれてもらう旨の記載があります。
筆跡は拡張員の方のものです。そのとき確認をすればよかったとすごく後悔していますが、「地域でお客さんの取り合いになるからこの地域では交互に契約をお願いしている。もう一方のお店も承知している」このことは事実として実際にはなく、Y新聞の方もこんなルールはないとのことです。
また当該新聞店の方もこんなルールはないとのことでした。しかし契約は有効でありクーリングオフ期間も経過しているので解約は難しいとのことでした。
いわゆる虚偽のルールを鵜呑みにしてしまった私も浅はかでしたがこれでも契約は有効になりますか。
お忙しいところ、また自分自身の失敗のことで、大変あつかましいお願いで大変恐縮でございますがお教え願えれば幸いです。
回答者 ゲン
消費者契約法の第4条、誤認による取り消し事項の一つに「不実の告知」というのがある。
それには『事業者の一定の行為により消費者が誤認し、または困惑した場合に、契約の申し込み、または承諾の意思表示を取り消すことができる』とある。
つまり、嘘やええ加減な話をされたために判断を誤った契約は、解除できるというものや。
今回のあんたのケースは、それに該当すると思われるから、その契約は無効となり解約できる可能性は高いやろうと思う。
この法律は、正に、今回のあんたのような人を救済するために作られた法律やさかいな。
『Y新聞さんと契約したての頃、他社の拡張員が来られて、「地域でお客さんの取り合いになるからこの地域では交互に契約をお願いしている。もう一方のお店も承知している」と言われ』
ということやが、『お願いしている』以前の話は「あくまでも、お願い事項」として、ぎりぎり逃げられる可能性はある。それでも、誤認を受ける言葉に違いはないがな。
それにしても『お客さんの取り合いになるから』という理由は、何とも不細工や。頂けん。
どこの新聞販売店でも地域内で、他紙販売店との客の取り合いをするのは、当たり前のことや。この商売を始めるからには、それは最初から宿命付けられとることやさかいな。
「お客の取り合いをするのは当たり前でしょ」と突っ込まれたらどう答えるのやろうかな。
ここで、あんたが問題にするのは『もう一方のお店も承知している』の部分や。『もう一方』というのは、そのときに契約していたY新聞を指すのは間違いない。
そんなルールも事実もないというのなら、それは、あんたの判断を狂わせるために言うた「不実の告知」ということになる。
それが、客観的に証明できたらええ。
『契約書には3月までに意思確認の連絡を先方よりいれてもらう旨の記載があります』というのが、そのままずばり『当店より3月までに意思確認しますので、それでお決めください』という文面なら、何の問題もない。それが、証明になる。
『意思確認の連絡』というのは、それで、そのとき断れる可能性があると示唆されとるものや。
新聞の購読契約に、仮契約というものは存在せんが、唯一例外としてその文言のある場合は別ということになる。条件付き未確定契約、仮契約と考えてええやろうと思う。
もっとも、ワシは、そういうことを明記した購読契約書というものは見たことがないけどな。
その販売店がそれを否定して『契約は有効』と言うのなら、誤認させられたということになる。
あんたは「その勧誘員がそれを言わんかったら、そこの新聞販売店とは契約していない」と主張すれば、錯誤の誤認ということになり、消費者契約法の第4条により、その契約の解除ができる。
また、その販売店がその事実を否定しているのなら、契約書その記載事項そのものが虚偽ということになる。
当然やが、虚偽の記載事項のあるものは、契約書としての効力は認められん。
契約書にその文面があれば、販売店としては勧誘員が勝手にやったとは言えんことになる。契約書の記載内容は最優先事項となるからな。
但し、これが『3月までに購読開始の事前連絡をします』および『3月までに連絡』という文面なら、単に購読開始の連絡やからと言い逃れができる可能性もある。
実際に、先付け契約の際には購読開始の連絡は、たいていの販売店でもするからな。普通は、そんなことをわざわざ文面にはせんけどな。
その場合は、その販売店の言質を取ることを考えなあかん。言い逃れができんようにな。
具体的には、会話を録音できる状態にして、電話で再度、その販売店に連絡を入れ、今回の件を質(ただ)すことや。
「もう一度、確認したいのですが、どうしてお宅の営業員さんは、契約の際に『この地域では交互に契約をお願いしている。Y新聞さんのお店も承知している』と嘘を言ったのでしょうか」
「それは、営業員が勝手に言うたことや」と言えば、その事実を暗に認めた言質として使える。
おそらく、販売店の言い分としては、その営業員というのは、他組織に属する拡張員やから関係ないという意味でそう言うたはずや。
しかし、それは現在では通用せん。販売店から派遣されるすべての営業員は、そこの社員証の携帯を義務付けられとることで、管理責任が、その販売店には発生するからな。
「それは、知らん」と言うのなら、さらに突っ込めばええ。
「お宅の営業員さんは、契約書に『3月までに意思確認の連絡をする』と確かに書かれていますが、これは条件付き未確定契約、仮契約ということですよね」
販売店の中には「そんな文面は、こちらの契約書にはない。勧誘員が勝手に書いたものや」と言うことも考えられる。
実際、その可能性は、かなり高いやろうと思う。
ワシは、そんなことを書いた契約書は見たことがないと言うたが、たいていの販売店では、そんなものを認めることはないからな。本当に販売店に提出した契約書には何も書かれてない可能性はある。
その文面はあんたの控えにだけあるものやとなる。それが、分かれば、それも、あんたにとっては有利に働く。
契約の大原則には「双方同じ文面、内容の契約書を所持する」というのがある。一方が、違う内容の契約書は、契約書にはならんわけや。それだけで無効を主張できる。
さらに、録音しながら話を進めれば、他にもその販売店が、墓穴を掘る言動が続くはずや。それら、すべてを言質として取っておけば、ほぼ勝てると思う。
ポイントは、言うた言わんという水掛け論にならんようにすることや。そのために言質が必要やということになる。
どんなに正しいことでも、それを主張するには、間違いないという証拠が必要になる。それさえ集められれば、どんなことにでも勝てるさかいな。
ただ、言質が取れたからと言うて、その販売店が、それを素直に認めて契約解除に応じるとは限らん。あくまでも「解約はできん」と頑張ることも考えられる。
その場合は、新聞社の苦情センターに、そのことを伝えたらええ。
但し、その場合は「消費者契約法の不実の告知がある」と、法律違反を強調しとくことや。その証拠として、録音テープもあると言うてな。
そこまですれば、最低でも、新聞社から、その販売店に事情聴取や注意があるはずや。
それで、ほとんどのケースは終わる。それ以上、もめても益のないのは、販売店も良う承知しとるはずやからな。
ただ、それでも中にはあきらめんとしつこく迫る販売店もあるが、もし、そうなったらそうなったで、また連絡してくれたら、次の対処法を教える。
その状況、相手次第で、いくらでもその対処方法はあるさかいな。心配することはない。