新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.381 この場合、新聞契約が成立するのか教えてください


投稿者 K さん  投稿日時 2007.3.10 PM 8:47


新聞契約についての質問ですが、去年10月ごろ自宅にM新聞の販売員が来ました。

私は「新聞は読まないのでいりません。」と断ったのですが、「とりあえず、今年いっぱい無料でいいからお試し期間という形で新聞を入れさせてくれ。」と販売員が言うので、私は「いいですよ。」と言いました。

販売員は、「とりあえず名前と電話番号だけここに書いといてください。」と言い、私は言われたとおり書いて、販売員は商品券と洗剤を置いていき、私はそれを受け取ってしまいました。

その後、年が明けても新聞が届くのでおかしいなと思っていたのですが、先日自宅にM新聞の集金人が来て、「先月分の新聞代を払ってくれ。」と言うので、私が、「新聞の契約はしていませんけど」と言うと、集金人は「お宅は1年契約ということになってますけど。」といいます。

私は、「契約なんかした憶えもないし、今年についての契約の話はいっさい聞いてない。」と言ったのですが、集金人は「あなた、うちの販売員が来たときに、商品券貰いませんでした?それは契約したと言うことですよ。」と言います。

私は「今後も新聞を取る気はないので配達はやめてくれ。」というのですが、集金人はまったく聞く様子もなく、「とりあえず最初にお宅に来た販売員を後日向わせますので」と言って、帰っていきました。

その後販売員は来ないまま1週間ほど過ぎ、今日にいたります。

販売店に連絡して解約してもらえるのでしょうか?

また、今まで届いた分の新聞代は払わないといけないのでしょうか?

すみませんが回答をよろしくお願いします。


回答者 ゲン


あんたの場合は、完全に騙されたということになる。

『とりあえず、今年いっぱい無料でいいからお試し期間という形で新聞を入れさせてくれ』というのは、試読のことを言うてるのやろうと思うが、試読が公に認めらるのは、この業界では一週間とされとる。

この販売員の話やと2ヶ月以上ということになるが、そんなに長い試読というのはない。これは、あきらかな嘘や。

『とりあえず名前と電話番号だけここに書いといてください』という『ここ』とは契約書のことやと思う。

新聞の購読契約書は、新聞社、地域で多少の違いはあるが、たいていはハガキ大程度の大きさの3枚複写になっているものがそうや。2枚複写のものもある。

契約書と言わず、また知らせず、それに書かせたというのは騙したということになる。

今回のケースのように、嘘や騙しのような行為による場合は、消費者契約法第4条の「不実の告知」を理由に契約解除ができるとある。

しかし、実際には、この法律を運用させるためには、その証拠が必要になる。

あんたの話を聞く限り、現状では、その証拠を示せるものは少ないようや。

唯一の救いは『とりあえず最初にお宅に来た販売員を後日向わせますので』ということで、実際にその販売員が来たときが、その証拠をつかむチャンスやろうと思う。

ただ、こういうええ加減な販売員、勧誘員は、来ても絶対にあんたに言うたようなことは認めんはずや。最初から騙すつもりやからな。

あんたを騙したということがバレたら、ヘタをすればこの業界にはおられんようになる。

せやから、普通に「お宅の言われたことと、話がぜんぜん違うじゃないですか」と責めても「何を眠たいこと言うてんねん。そんなことを言うた覚えはないで、あんたはちゃんと契約書にサインしたやないか」と言う確率が高いやろうと思う。

それで、押し切られると、残念ながら状況的には、あんたの方が不利になる。

肝心の書かされたものというのが、契約書やったというのは、それには「購読契約書」もしくは「購読申込書」と大きめの字で書かれていたはずやから、普通は、その場でそれと分かると思う。

その控えを貰うてなかったのかな。貰っていれば、その場で気づかんかったとしても、後でも確認はできたはずや。

ただ、その控えを貰うてなかったとしたら、いよいよたちの悪い勧誘員ということになる。

その集金人が指摘するように『あなた、うちの販売員が来たときに、商品券貰いませんでした?それは契約したと言うことですよ』というのは、そのとおりと言うしかない。

普通に考えて、試しに読むだけで、商品券と洗剤が貰えるというのは、おかしいと気づかなあかんと思う。それも、粗品程度の量ではなかったはずや。

しかも、その前に、名前と電話番号を書かされたというのであれば、よけい疑うべきや。

少し、きついようやが、この状況で騙されたと主張するには、その証拠がない限り弱いと言うしかない。

例え、裁判になったとしても、裁判官が、あんたの言い分を認めて、契約破棄の決定を下すとも思えん。

ワシらのような業界の人間なら、そういう勧誘員もおるというのは分かるけど、裁判官のように業界の素人には、それは無理や。

それなら、どうしようもないのかと言うと、そうでもない。

とりあえずは、その勧誘員の再来訪を待つしかないがな。

それまでにその販売店から再度、集金に来ても「その勧誘員に確認しない限りは応じられない」突っぱねたらええ。「そちらが寄越すと言ったでしょ」と言うてな。

いつ、その勧誘員が来てもええように、身近な所に録音装置を置いといて使えるように準備しとくことや。

その際、勧誘員には気づかれんようにしとかなあかんで。用心して尻尾を出さんかも知れんからな。

たいていは、その会話を録音しておけば、勝手に墓穴を掘る言動をするはずや。総体的に、こういうことをする輩は、もめたときのことも当然、考えとるもんや。

こういうことを続けとれば、あちこちでもめるのは当たり前やさかいな。ある意味、慣れとるはずや。

そのやり方も、ワシには良う分かる。頭から押さえつけるつもりや。言えば、そうできると踏んだ相手に、それを仕掛けるのが、こういう連中のやり口でもある。

その勧誘員の態度は、最初に訪れたときとは違うと考えてた方がええやろうな。その勧誘員の来る目的は、あんたを説得しようということやなく、有無を言わさず押さえ込むことが狙いやさかいな。

うっとうしいかも知れんが、その分、あんたにとって有利な言葉を吐く可能性は高い。脅迫じみた言動でもあれば、それだけであんたにとっては有利になる。

「そんな話はどこに行っても通用せんで。お前とワシしか知らんことやからな」「ワシが試しにと言うた証拠がどこにある」「何にしても、契約書にサインした限りはお前の負けや」「これ以上、ごちゃごちゃ言うとったら、ただでおかんで」と言うくらいはあるはずや。

その言動を引き出せれば、あんたにも望みが出る。さらに、あんたが、その契約書の控えを貰うてないのなら、そのことをぶつけてみることや。

「あなたが、契約したというのなら、どうして契約書の控えを渡してくれなかったのですか私は、契約書の控えを貰ってませんから、それに書かれていたはずの『クーリング・オフのお知らせ』という告知も知らないわけです。ということは、通知違反で、いつでもクーリング・オフできるのですよ」という具合や。

その勧誘員にしてみれば、こんなことを言われたこともないやろうから、かなり動揺すると思う。

「そんなもん関係ない。要は、お前が契約書にサインしたのは変わらん」とでも言えば、契約書を渡してないと認めたことに等しいから、それで、あんたは俄然有利になる。

但し、あんたが、その契約書の控えを受け取っているのなら、それも通用せん。その場合は、ただひたすら、その勧誘員がボロを出すのを待つしかない。

考えにくいけど、万が一、ボロを出さなんだら、自分の信念に従って「騙されたことによるものやから、消費者契約法の第4条をもとに『不実の告知』で契約は無効や」と突っぱねるのも手や。

「こんな騙しみたいなやり方は納得できない。新聞代も支払うつもりはない。どうしても、新聞代を払ってほしければ訴えてくれてもええ」と開き直る。

今回のケースでは、あんたの方から「騙されました」と裁判所に訴えても受理されん可能性の方が高いと思う。

騙されて、詐欺に遭うたという気持ちになるやろうが、このケースで詐欺罪というのは成立せん。

詐欺罪というのは、相手から金品を騙し取る行為やが、これはそれとは違うからな。あんたの実質的な損害は、現在では何もない。むしろ、金品を貰った立場になる。

この場合、その新聞代の支払いを拒否したことによる損害は販売店側の方になるから、販売店が損害賠償訴訟を起こさんことには、その代金を集金できんということになる。

当たり前やが、力ずくでそれをすれば、脅迫罪や強要罪が成立するおそれもあるからな。

しかし、このようなケースで、販売店が訴えるということは、ほとんどないはずや。少なくとも、ワシは知らん。

もっとも、本当に訴えられたら、あんたには不利な結果になるかも知れんが、正しいと思えば信念を貫いて闘うことや。裁判官次第では、あんたを信じるということも考えられる。保証はできんがな。

『今まで届いた分の新聞代は払わないといけないのでしょうか?』というのも、解約ができたらということでええ。相手の販売店の対応次第ということもあるしな。

しかし、契約解除になれば、一般的には、それまで得た利益は、返還せなあかんことになると思う。

つまり、それまでの新聞代を払わなあかんということやな。加えて、初めに貰うた商品券と洗剤も返す必要がある。

契約を解除するということは、お互いを元の状態に戻す必要があるとされとるからな。これは、民法でいう原状回復義務というものや。

ただ、いずれ払わなあかんものやからということで、今、その新聞代を支払えば、その契約そのものを認めたとされかねんというのは言うとく。

支払うのなら、話がついてからの方がええ。それに、その販売店が話の分かる所やったら、全額を支払う必要もないかも知れんしな。

結論として、あんたは、その勧誘員と会って、その言質を取るようにすることや。それで、ボロが出れば、それを販売店に言うか、新聞社の苦情センターに相談すればええ。「騙された証拠があります」と言うてな。

それで、たいていはカタがつくはずや。

それでも埒があかん場合は、あんた自身の信念に従って闘うか、それが、うっとうしいと思うのなら、あきらめてその契約を認めて購読するしかない。

いずれを選ぶかは、あんた次第や。

ただ、こういう問題は、その状況次第で変動することも多いから、その都度、アドバイスはするつもりや。連絡してくれたらええ。


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