新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.390 新聞社の本社と販売店の関係とは、どんなものなのか?
投稿者 mimizo さん 投稿日時 2007.4. 9 PM 6:30
Yahoo!知恵袋で質問検索をした際に、ゲンさんのページにたどり着きました。分かる範囲でかまいませんので、質問に答えていただけたら幸いです。
・ 新聞社の本社と販売店の関係とは、どんなものなのか?
・ 販売店でなされている実態を本社は、どう把握してるのか?
どうしても許せない、とある地方紙の販売店がありまして、どこにどう訴えたら良いものか悩んでいます。詳しい内容も聞いていただきたいですが、いきなり深い相談も如何なものかと思いますので、この辺りで留めておきます。
お分かりになる範囲で構いません。宜しくお願い致します。
回答者 ゲン
あんたの質問は、一般論ということのようやから、そのつもりで答える。
『新聞社の本社と販売店の関係とは、どんなものなのか?』
これについては、新聞社を一言でいうと、新聞という情報商品のメーカーやと考えれば分かりやすいと思う。販売店はそれを売る小売店ということになる。ついでに言えば、ワシらの所属する拡張団は、その新聞を専門に売る営業会社ということや。
新聞社も一つの企業であり、販売店も各店がそれぞれ独立した企業ということになる。拡張団も含めてその構図に変わりはない。その規模に大きな開きがあっても、形としては、企業同士の付き合い、関係ということになる。
一般読者は、その小売店である商店から新聞という商品を買う。それを月決めで購読契約した場合、宅配をするということや。
その新聞社と販売店の関係には、いろいろなケースがある。販売店の形態が違えば、その関係も当然、変わるし、新聞社にもその組織や形態によっていろいろ違いがある。
販売店の形態には、専属販売店、複合販売店、合配販売店というのがある。
専属販売店とは、文字どおり、一社の新聞社と業務取引契約書を取り交わした、専属の販売店のことや。主に、その新聞の一般への宅配と営業が主な業務となる。販売店の形態としては、これが一番多い。
複合販売店というのは、本来、専属販売店であったのが、2紙以上の新聞を扱うことになったことで、そう呼ばれる。良くあるケースとしては、その地域で、業績不振の他紙販売店が廃業して、その宅配を委託されたというものや。
合配販売店は、それがさらに進行して、その地域で、すべての新聞を扱うことになった店のことをそう呼ぶ。
一般的に言うて、専属販売店は、新聞社に頭が上がらん場合が多い。新聞社の指示には逆らいにくい。
その意に沿わんことをすれば、きつい叱責も受けるし、場合によれば、業務取引契約を解除され、業界で言うところの改廃、つまり事実上の廃業に追い込まれることすらある。
立場は、圧倒的に新聞社の方が強い。ある意味、新聞社は販売店に対して生殺与奪の権利を握っとるとも言える。
しかし、例外もある。
業界では、一万部の部数を万紙(マンガミ)と呼ぶが、その部数以上扱う販売店がそれや。
この業界では、その地域や新聞社でも多少の違いはあるが、その万紙を扱うことが、一つのステータスということになっとる。新聞社からは大型店舗として扱われるからな。
新聞社といえど、大型店舗の経営者には、低姿勢で接することが多い。新聞社には、部数至上主義というのがあり、部数確保が最優先事項という側面がある。
せやから、その取り扱う部数の多い販売店には、どうしても遠慮がちになりやすいわけや。そういうケースでは販売店の意向の方が通りやすいということがまま起きる。
複合店、合配店は、その規模に関係なく、ほとんどの新聞社が文句を言えんという風潮にある。ここでは、新聞社は「どうか、新聞を売ってください。宅配してください」とお願いする立場やさかいな。
これらの関係が理解できれば、新聞購読契約についても分かってもらいやすいと思う。
一般読者の多くは、新聞社と購読契約をしていると考えがちやが、新聞社は個人との契約には一切、関わり合いがないというのが、公の立場や。
消費者である読者は、あくまでも販売店という商店で新聞を買うということになっとる。電気店でメーカーの商品を買うのと同じやと思えばええ。
したがって、新聞の購読契約というのは、販売店と個人間のみに有効な売買契約ということになる。
読者が、その契約のことで新聞社に苦情を並べても、良くて「販売店に伝えておきます」と言われ、担当者によれば「その件に関しては販売店とお話ください」と、にべもない返事をされることも珍しいことやない。
新聞社が販売店に対して介入するというのは、よほどの違法行為を働いた場合に限られると思う。
もっとも、その新聞社からの電話1本がプレッシャーに感じる販売店もあるから、苦情も言わんより言うた方がええのも確かやけどな。
これは、ワシらや販売店が不満に思うことの一つでもあるのやが、読者が、拡張員なり、販売店なりの対応が悪いからという理由でクーリング・オフをすると言った場合「クーリング・オフは8日間以内に文書でその販売店にお伝えください」と、機械的に言う新聞社の苦情係が大半を占めるという現実がある。
「そんなことを言わずに、考え直してくださいよ」と客を説得するようなことは、ほとんどない。
もちろん、苦情を言うには、それ相当の理由があるからやというのは分かる。そういうケースでは、拡張員や販売店の方が明らかに落ち度の多いというのも事実や。
ただ、例えそうであっても、ワシら拡張員や販売店の人間は、その新聞社の新聞を売ることに必死になっとるわけや。客からの苦情も、その思いが強すぎた結果という側面もある。
「お客様のお怒りはもっともです。そこを何とか考え直していただけないでしょうか。私どもの方から、その販売店には厳重に注意しておきますので」というのがない。あれば、中には考え直す人もいてると思うのやがな。
つまり、そこから見えてくるのは、新聞社は、新聞を作って供給するのが仕事で、客を増やすのは販売店の仕事やと考えとるということになる。
ただ、細かく言うと、たいていの新聞社では、編集部と販売部の考え方に違いがあるから、必ずしも、統一見解というわけでもないんやがな。
編集部は、掲載する記事に誇りを持っとる。これだけ素晴らしい内容やから、売れて当たり前という考えの者もいとる。あるいは、売ること、売れることに興味すらない場合もあるという。
新聞社の販売部の担当者の、その主な仕事は、販売店、拡張団の管理指導をして部数を伸ばすということにある。接触するのは、主に、販売店、拡張団の関係者で、販売部の担当者が直接、一般読者と接することは少ない。
その編集部と販売部は、お互いの立場の違いから反目しとる場合が多いと聞く。そして、たいていは、新聞を売ることにさして興味を示さん編集部が、その新聞社の実権を握っとる場合が多いということや。
そのあたりの詳しいことは『NO.241 新聞社が販売店を直轄化するという方向性についてどう思われますか』 を見て頂ければ理解してもらえるはずや。
これは、その新聞社内部で仕事をされていた元記者の方から寄せられたものやから、その信憑性はかなり高い。少なくとも、新聞社の表向きの姿勢、体裁とは違い、限りなく実態に近いものやと思う。
結論として、新聞社と販売店の関係から、新聞社の社員が一般読者と接する機会というのは極めて少ないということになる。しかし、一般読者にそれは分からん。販売店の人間やワシら拡張員を新聞社の社員と勘違いする人もおられるほどや。
もっとも、販売店も新聞社の一部と誤解されとる人も多いから、それも無理のない話ではあるがな。
普通、新聞というのは、全国紙、ブロック紙、地方紙など、俗に一般紙と呼ばれとるものを指す。あんたの認識もそのはずや。
しかし、厳密に言えば、新聞とは、その一般紙の他に、業界紙、スポーツ紙、夕刊紙、英字紙、政党機関紙、宗教紙などに別れ、数多く存在するものの総称や。
当然やが、その組織の違いで、その形態、内容も大きく違うということになる。
ただ、あんたは『どうしても許せない、とある地方紙の販売店がありまして』と言うてることやから、ここからは、そのつもりで話す。
『販売店でなされている実態を本社は、どう把握してるのか?』という質問やが、一般紙では、その新聞社の販売部の担当者が、たいていのことに関しては、その販売店の実情を把握しとるはずや。
ただ、それがどの程度までかというのは、その担当者によっても違うやろうし、その販売店の状況次第ということもある。それぞれやと言うしかない。
あんたの口ぶりから察するに、その地方紙の販売店は、かなり無法なことをしていると考えておられるようやな。
それを聞かせて頂かんことには、何とも答えようがないが、心配せんでも、解決策のないトラブルというものはないと思うとる。
これは、ワシの唯一の自慢になることやが、昔からトラブル処理には自信があった。それに遭遇する機会も多かったしな。せやからこそ、こういう相談も受けとるわけや。
良ければ、それについて詳しく聞かせてほしいと思う。完璧な回答を示せるという自信はないが、参考程度にはなるのやないかと思う。
もっとも、どんなアドバイスも参考にするもので、そのとおりに従うものやない。どうするかの最終的な判断は、あんたが下すしかないからな。