新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.395 電話での拡張について教えてください
投稿者 love さん 拡張員 東京都在住 投稿日時 2007.3.19 PM 3:19
初めまして。私は10日前に、都内で拡張の仕事をやり始めた新米です。
電話での拡張なのですか、ありきたりのキャンペーントークで、拡材を売りにして、それで、営業しております。
新聞はM新聞です。6か月と1年の二つでしか、契約は認められていません。確かに、外での拡張営業ではないので、お客様と少しはお話できる率も高いと思うのですが、周りを見てみても一日に4本も5本もカードをあげている方はなかなかいません。
しかし、私はなんとしてもこの世界で頑張って、生活を安定させたく日々、拡張の勉強はしています。
そこで、アドバイスをいただきたいと思っています。電話での拡張なのですが、やはり他の人達と同じような、キャンペーントークをしていても、この業界では限界があるのでしょうか?
電話での拡張で、もっと お客様に興味と関心をもっていだけるような、トークなどはないでしょうか?
ちなみに拡材は6か月で5千円の商品券で、1年で、1万円の商品券です。給料体系はフルコミなので、毎日が精神的にも修羅場なのですが、この仕事で一人前を目指しています。
なんとか、電話での拡張での心構えや、アドバイスの方を宜しくお願いします!
回答者 ゲン
『なんとか、電話での拡張での心構えや、アドバイスの方を宜しくお願いします!』ということやけど、その件に関しては、ワシ自身、経験が少ないから大したアドバイスはできんと思う。
また、そういう勧誘を否定的に捉えとるということもあるしな。
2年前の2005年4月、一般読者から『NO.88 ここのところ新聞の電話勧誘が多いのですが効果あるのでしょうか』 という相談があった際、それについて回答したものがあるので、あんたの質問に関連があると思われる、その部分を抜粋する。
電話勧誘自体は、他の業者が盛んに用いている手法で、苦情件数ということにかけてはこれがダントツに多い。その苦情件数は国民生活センターに持ち込まれるだけでも、年間10万件にも及ぶと言われとる。
そんな状況の中へ、タダでさえ評判の悪い新聞勧誘をしても、どうかなと思う。手軽ということとドアホンキックの多さから考えついた方法やろけどな。
実は、ワシはこの電話勧誘というものを、まだ駆け出し拡張員の頃に実践したことがある。
ワシは以前、建築屋におったから、そのノウハウは熟知しとる。その頃は、建築屋の営業方法しか良う知らなんだから、自然とそうしてたわけや。
建築屋の一般客確保にはやはり、この電話勧誘というのが昔から使われとる手法で一番多い。テレフォン・アポを主体にして、客を選別してから営業をかける。
このことの詳しい手法は「新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第7話 ゲンさんの悪徳業者対処法」の中で紹介しとるから、興味のある人は見てくれたらええ。
ワシは、この建築屋で仕事をしていたから、そのやり方は良う知っていたというより、そこで、ワシ自身が考えた手法も結構ある。昔の仲間から聞くところによると、その頃、ワシが考案した方法をまだ使うとるということや。
結果から言うと、客は確保出来るし、カードも上がった。しかし、効率は悪い。建築屋の成約は契約金額が高いから、週に2本取れたら御の字や。
しばらくして、気がついたことやが、建築屋で100万円の契約を上げるのと、新聞の年間48000円程度の契約を上げるのに費やす労力はほとんど変わらんかった。
むしろ、その頃、慣れとった分、建築屋の営業の方が楽やったくらいや。そのテレフォン・アポ方式でやっても週5本も上がれば、ええ方やった。
せやけど、新聞営業はそれではきつい。少なくとも日に2,3本はないと話にならん。結局、効率の問題で止めた。
と言うてるとおり、とても人に勧められた方法やないと考えとる。
因みに、このとき、電話勧誘をしてたというのも、M紙の販売店とその拡張員ということやった。
ワシは、自慢するわけやないが、そのテレフォン・アポに関しても、その建築屋で仕事していた当時、多くの営業員にも教えていたし、自分でも一流の域にあったと自惚れてもいた。
そのワシが見切りをつけたわけや。
『周りを見てみても一日に4本も5本もカードをあげている方はなかなかいません』と、あんたが言うてるのが普通やろと思う。中に、そういう人もおられるというのなら、その方が頭が下がる。
しかも、ワシのやり方は、客とアポを取るだけで、電話で契約まで完了させるわけやなかった。
その電話では、あくまでも話を聞いてもらえるという約束を取り付けるだけや。実際の契約は会うてからになる。
まあ、ワシらにとって、そういう状況でアポが取れれば、行ってもほぼ成約は間違いないがな。
あんたの話からは、電話で契約まで完了させるということのようやが、それができるというのなら、それはそれですごいことやと思う。
電話アポで話を聞いてもらえる相手というのは、何事も断りにくいという性格の持ち主というのが多い。これはAランクとなる。押せば成約する確率が高いのは確かや。
多くの拡張員は、こういう客を日々捜すために叩い(訪問)とると言うてもええくらいやさかいな。
次に話のできるのは、冷やかし半分、からかい半分の人間や。こういうのは、よほど条件(拡材)が良うないと成約するというのは難しいと思う。あんたの示す程度の拡材では、一般的やから難しいのやないやろうか。
もっとも、その地域の他紙拡張員、販売店さんからの情報では、新聞社から金券通達の達しがこの4月から出たとのことやから、あんたの所だけが金券を扱うてるとしたら、それなりに有利かも知れんが、それが浸透するには相当時間がかかるやろうと思う。
まあ、遅かれ早かれ、あんたの所の新聞社も、横並びの通達をすぐ出すやろうから、それを期待しても無駄かも知れんがな。
実際『ちなみに拡材は6か月で5千円の商品券で、1年で、1万円の商品券です』というのは、景品表示法に照らしたら明らかに違反行為になる。他紙がそれを止めたとなると取り締まりも厳しくなるやろうからな。
今までは、たいていの所でしていたことやから見逃されていたという部分もあったが、これからもそうやという保証はないと考えてた方がええ。
もっとも、それで摘発されるのは、今のところ業界では販売店だけやから、それを考えなあかんのは、販売店とあんたの所の団やけどな。
法律的には、あんたらまで累が及ぶことはない。この景品表示法というのは、個人を罰する法律やないさかいな。
加えて、あんたの地域やと、拡張員によれば、タダにするため、その新聞代金を置いて、尚かつ、景品もプラスするという者がいとるということや。そういうのが、かなり横行しとると聞く。
こういう輩は、もともと違反することが常習化されとる連中やから、そんな通達にはお構いなしで、これからも続けると思う。
冷やかし半分、からかい半分の人間の多くは、そういう情報をもとに話してくることが多いと思われる。現実に、そういう話なら良う聞くしな。
そういう人間相手に長話をしても結局、かなりの条件提示をせんことには断わられることが多いはずや。
電話勧誘で、話を聞いてもらえるというのは、それでもまだええ方やと思う。個人的には、実際に叩くより、精神的には、きつい仕事やという気がする。
そうは言うても『私はなんとしてもこの世界で頑張って、生活を安定させたく日々、拡張の勉強はしています』という意欲を削ぐつもりはないけどな。
そこそこ稼げるようになれば、それでええことや。それに、人が難しいという営業で成功すれば、一躍、注目される存在になれるかも知れん。
難しい仕事というのは、成功するまでのデメリットというのも多いが、その分、成功したときのメリットも大きいと思う。
要は、それが信じられるかどうかにかかってくるわけや。あんた次第ということになる。
『電話での拡張なのですが、やはり他の人達と同じような、キャンペーントークをしていても、この業界では限界があるのでしょうか?』
これは、電話勧誘に限らず、営業すべてに言えることやけど、ワンパターンのトークはそれ自体で営業の幅を狭めるものやから、その話題に興味のない人間には通用せんわな。自ずと限界はあるというのが答えや。
『電話での拡張で、もっと お客様に興味と関心をもっていだけるような、トークなどはないでしょうか?』
難しい質問やな。ワシも、客とはいろんな雑談を交わすようにしとるが、相手に必ず興味を持たせるトークというのはないと思うとる。興味を持つ持たんというのは、あくまでもその個人の好みの問題やさかいな。
ほぼ万人に興味を持ってもらえるというのは、よほどの大事件の報道くらいしかないのと違うかな。そんなもん、そうしょっちゅう起こることでもないしな。
また、そういう話題なら、普通の日常会話で交わされとるやろうから、電話勧誘でそれを聞かされてもインパクトもないやろうと思う。かえって胡散臭く思われるのがオチや。
トークは相手を見てする。これが営業の初歩的な基本や。相手の電話の声だけで営業するというのは、よほどそのことに経験豊富な人間でないとできんのやないかと思う。
あんたは、その電話で勧誘する際には、どういう資料を持ってするのやろか。それも大きな要素になる。
以前、関係者に聞いた話やと、地域や過去読のデータをもとにするということやったが、それやったら、相手の個人情報はある程度あるわけやから、それに沿ったトークを考えればええということになる。
例えば、過去読なら「○○さん、ご無沙汰しております。以前、大変お世話になりました○○新聞です。この度、当店では、以前お世話になった○○さんのために特別なキャンペーンをしておりまして……」という具合に話を持って行くこともできる。
または、相手が過去にトラブった客なら「その節は誠に申し訳ありませんでした。○○新聞の者です。以前、大変、ご迷惑をおかけしたと聞き及んでいます。つきましては、そのお詫びの意味合いも込めまして……」と話しを展開させることも可能や。
いずれも、相手が特定できた上でのトークや。これが、単に電話帳を見て片っ端から攻勢をかけるというのなら難しいと言うしかない。
あんたの所はどうかは知らんが、他の電話勧誘業者の中には、電話番号を順番にかけ、どこの誰とも分からん相手にかけとるケースもあるようやが、こういうのは論外や。
もっとも、ヘタな鉄砲数撃ちゃ当たる式にやるのも、一つの方法ではあるがな。時として、理屈やテクニックより、それが功を奏することもある。
そいうケースで『電話での拡張で、もっと お客様に興味と関心をもっていだけるような、トークなどはないでしょうか?』というのは無理や。
人が興味を惹くことというのは、人それぞれや。それを相手も見ず、相手のことが何も分からん状態で、そのトークを考え出せるわけがない。少なくとも、ワシには無理や。
ワシらが、長い間、訪問営業一本でこだわってきたのは、それなりの理由がある。訪問営業は、当たり前やが、必ず相手の家に行くことから始まる。
それだけで多くの情報が読み取れる。一戸建ての家か、集合住宅か、裕福そうか、そうでないかという憶測も容易や。
経験を積めば、その家人の性質も、会わずに分かる場合もある。
それは、玄関先がきれいに掃除されて片付けられているかどうか、乗っている車、家の手入れ状態、子供の有無、洗濯物からでも、その情報は読み取れるわけや。
その上で、会って話ができれば、尚、分かる。慣れれば、瞬時に、こういう人間には、こういう話題がええなというトークの選択も可能になる。
それもこれも、相手を見て知った上でできる芸当やと思う。
せやのに、初対面の人間に電話して、瞬時にどれだけの情報が読み取れるというのやろうか。
昔、建築屋で、若い社員に電話アポをかけさせる際、アポ連絡帳というトーク内容を記入する用紙を横に置いて、それに書き込みをさせていたことがあった。
それには、男女の別、歳の推定、声の調子、気の良さそうな人間か、気難しそうかなどなど……、どんな些細なことも洩らさず書き込みをさせていた。
しかし、たいていの場合、それを完全にあてにすることはなかった。あくまでも、参考として聞かせていたにすぎん。
さすがに、電話をした相手が男か女かというのは、誰でも分かるが、それ以外は結構、怪しいことが多いというのを知っていたからや。
相手の声を聞けば、おおよその歳の推定はできると考える者は多い。声の調子で明るい性格か気むずかしい性格かも見当がつくと考えやすい。
ところが、現実は、そう簡単に分かるもんやない。
そのええ例が、ハカセや。ワシは、長く付き合いしとるから、そこそこ歳食ったおっさんで、気難しい人間やというのは良う承知しとる。
言い出したら聞かんことも多いし、気も強い。さすがのワシも、この男だけは口で言い負かすことは無理やと考えとる。実に難しい男や。
しかし、始めてハカセと話した相手で、そういう印象を持つ者は皆無やと思う。電話でなら、尚更や。
声は、どう聞いても二十歳代そこそこに聞こえるから年若い人間やと勘違いする。陽気で明るく性格も良さそうに思う。たいていの人間には好印象を与えるはずや。
こういうハカセみたいな人間に電話勧誘をして、実際、会うたら、そのギャップに驚くことになる。
そういうケースは、過去、嫌というほど味わってきた。せやから、電話勧誘は、会うための一つの手段くらいに考えてたわけや。
そして、新聞営業は、ある程度、成約数を稼げな収入にならんということで、電話アポは効率が悪いと知ったということや。
ただ、何度も言うが、それはあくまでも、ワシがそうやということで、あんたがそうなるということやないというのは言うとく。
あまり参考にはならんかったと思うが、最後に、唯一、話の取っ掛かりがしやすかった電話勧誘でのやり方を教える。
それは苦情を聞くというトークや。「○○新聞ですが、新聞勧誘で困ったことはありませんか」という感じやな。
中には、苦情を並べ立て、罵声を浴びせてくる者もおるかも知れんが、根気よく「ごもっとです」「お客さんの気持ちは良く分かります」と付き合えば、あんた次第では、誠意があると感じる人も現れるかも知れん。
たいていの人間は、言いたいことを吐き出したら、それだけですっきりするもんやさかいな。それから、おもむろに「当店では、そのようなことは決してございませんので」と契約話に持っていくわけや。
ただ、これも、ワシがしてたということで、誰がやっても成功するとは限らんけどな。
元来、営業の仕事自体がそういうもんやからな。人の成功したやり方で、自分も成功するという保証はどこにもない世界やと言うてもええ。
当たり前やが、それを言う人間も違えば、相手の客も同じ人間やないわけやからな。その成功率を上げるも下げるも、あんた次第や。あんたなりの創意工夫を考えるしかないやろうと思う。