新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.401 新聞の契約解除についてのご相談
投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2007.4.28 PM 9:13
ゲンさん、ハカセ、はじめまして。
現在、新聞の解約について困っているときに、こちらのサイトを見つけて、早速、相談のメールを送らせていただいています。
約1年半前に、N新聞の勧誘で平成19年5月より1年間の契約をしておりました。本日、N新聞より契約内容の確認と挨拶ということで、1枚のお知らせのA4用紙がポストに入っていました。
その内容は、3ヶ月無料で、2年契約と書かれていました。実は、断れずに他にも1社契約をしており、新聞を2部取るのはもったいないと思い、解約の電話を、販売店にしました。
すると、違約金を払え、とか、若いのに新聞にこだわりがあるのか、と明らかに馬鹿にした口調で話すのです。
N新聞の対応の悪さに、一時は2部取ってもいいかと思いましたが、どんなことがあっても、絶対読みたくありません。
こちらが保管してる購読契約書控えの内容は、「契約年月日」「住所」「名前」は記入されておらず空欄で、当時のことを思い出すと、私が自筆で契約書にサインした記憶もありません。
たしか勧誘に来た人が書いていたと思います。またその契約書に書かれている契約年1年と販売所が持ってきたお知らせの用紙の契約年2年と違いがあります。
とにかく相手の対応に腹が立って仕方ありません。後日、違約金について話に来るとのことですが、その場合どうしたらいいのでしょうか?
先ほど販売所にはFAXで契約書の控えのコピーと、契約書の不備についての文書を送りました。
何卒ご指導のほど、よろしくお願い致します。
回答者 ゲン
『先ほど販売所にはFAXで契約書の控えのコピーと、契約書の不備についての文書を送りました』ということなら、話は簡単や。
あんたの考えておられるとおり、それだけの不備が揃っていれば、契約は無効にできるから、そう通達すればええ。
解約違約金の話なんかは論外や。払う必要はない。どうしても、それを請求するのであれば、「裁判所の決定を受けてからにしてくれ」と突っぱねても構わん。
心配せんでも、例えその販売店が、そういう手段に出ても、あんたが勝利する確率は限りなく高いと思う。まず、そんなことはせんやろうけどな。
『こちらが保管してる購読契約書控えの内容は、「契約年月日」「住所」「名前」は記入されておらず空欄』のうち、「契約年月日」の記入がないのは「特定商取引に関する法律」の第9条の告知義務違反を問える。
つまり、クーリング・オフの告知義務違反ということやな。
一般の新聞購読契約書の裏面には「クーリング・オフのお知らせ」というのがあり、それをもって告知済みとみなされるが、その期限を確定するための「契約年月日」がないのやから、告知したことにはならんわな。
ただ「住所」「名前」がないというのは、その販売店のことを言うてるのやったら、それについては店のゴム印でも押してあれば、それで認められるはずや。
例え何もなくても、その新聞販売店が容易に特定できる状況であれば、あんたもそれを認めてたとされる可能性もある。一般の契約書なら、当然、そういうことはあり得んが、その点では、新聞購読契約は少し特殊な事情がある。
その地域のN新聞の販売店は一店舗しかないという根拠をもとに該当販売店やと主張できるというのがそれや。
その判例がないから絶対とは言えんが、法的にも認められる可能性は大きいと考えられる。
新聞社が地域毎に一店舗のみの営業を許可しているというのは、業界の特殊事情やが、一般的にも周知されとることでもあるからな。
せやから、あまり、販売店の「住所」「名前」がないことに固執するのは得策やないと思う。揉め事をよりややこしくするおそれがある。
しかし、それが、あんたの「住所」「名前」の記載がないというのなら、論外な話や。そういうのは契約書の体裁ですらないものやから、あんたは「そんなものは知らん」と言うても通る。
『当時のことを思い出すと、私が自筆で契約書にサインした記憶もありません』、『たしか勧誘に来た人が書いていたと思います』というのも、法律上認められることやない。
当たり前やわな。そんなものが認められてたら、どんな契約書も業者の思いのままや。「頼まれたからこちらで契約書を作った」とさえ言えばええということになるのやさかいな。
そんなバカなことがあるはずがない。
それでも、その販売店は、あんたの承諾を受け、もしくは依頼されたからやと言うかも知れんが、それが通用するのは、あんたに異議がない場合に限られることで、否定すれば終いや。
一言「知らん、身に覚えがない」と言えばええだけの話や。あんたの筆跡やないのが明らかなら、それで通る。
販売店が、それを覆すには、あんたがその場で、それを認めていたという確かな証拠を示す必要がある。そんなものは、物理的に無理やわな。
多くの販売店は、そうなった場合、勝ち目のないことは良う知っとるから、必ず、その契約者本人の自筆で契約書にサインしてもらうよう勧誘員には義務付けとるわけや。
このQ&Aにも、過去、それに類似した相談が数多く寄せられてきたが、すべて販売店側の負けで決着しとる。もっとも、それについて、とことん争う販売店もいてなかったけどな。
こういう揉め事は、新聞本社にまで届くことになるから、販売店にとっては分が悪くなる。この事実が知れたら、たいていは、新聞本社から叱責されて終いや。
これは、ヘタをすると、文書偽造で刑事事件にもなりかねんことやさかいな。
刑法第159条に私文書偽造等というのがある。勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄することや。
この罪は、やってる側が考える以上に重い。3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定や。
まあ、これは、その地域の警察署や管轄の検察庁が事件として扱うた場合に限られるがな。
そこまで、大げさなことにならんでも、新聞本社は、そういう行為を許すとも思えんから厳重な注意をするはずや。
加えて、1年契約が2年契約に化けたと『お知らせのA4用紙』に書かれていたというのなら、あんたの持っている契約書と販売店の契約書の内容は違うことになる。
契約書は、双方同じものを所持するという大前提、大原則がある。それが違うのやから、話にもならん。その一点だけでも、この契約書は無効やと言える。
『後日、違約金について話に来る』というのなら、それらの違法行為を指摘した上で契約は無効やと通告したらええ。
例え、新聞を入れても、新聞代の支払いには一切応じんともな。それが、納得できんのなら、どこにでも訴えてくれと強気で言うても差し支えない。その裁判所の決定でもあれば、考えると。
そこまで言えば、たいていの販売店はあきらめるはずや。過去の事例がすべてそうやったと報告にもあるしな。
『若いのに新聞にこだわりがあるのか、と明らかに馬鹿にした口調で話すのです』と、あんたが感じておられるとおり、その販売店の人間が甘く見とるのは間違いない。
少々の契約書の不備くらい押さえ込めるとでも思うとるのやろ。会って話すれば、何とでもなると考えとるということになる。
しかし、理屈に合わんことや整合性がないのに、ごり押しできるほど世の中は甘くはない。
たいていの人間なら、あんたがそれだけの根拠をもとに毅然とした態度で臨めば、甘く考え過ぎたと悟るはずや。
ただ、世の中には、それでも相手が若いということで強引にねじ伏せようとする輩が希にやけどいとるのも事実や。
そういう連中は、暴言や脅迫めいた発言をすることも十分考えられる。
そのための対抗処置として、誰か知り合いに同席を頼むか、録音できるものでも用意しといて、その会話を一部始終録っておくことを勧める。
その程度によれば、それをもって警察に通報することも、新聞社に通知することもできるさかいな。
こういうケースで良く、暴力を振るわれたらと懸念する人がいとるが、それは、よほど気の触れたような人間でもない限りあり得んと、いつもこのQ&Aでも言うてる。事実、そういう報告も今のところないしな。
万が一、そんなことをしたら、他紙の新聞ネタにもなりかねん大問題や。その当事者である販売店の人間は確実にクビになるやろうし、販売店の存続すら危うくなるからな。
まともな人間なら、たった一件の契約くらいなことで、そんなリスクを負うようなことはせんはずや。
ただ、世の中には、その気の触れた人間もおるのもまた事実やから、絶対とはワシも保証はできんがな。それを心配するのなら、できる限りの用心はしとくことやと言うしかない。
例えば、あんたが、危ないなと感じるのやったら、ドアチェーンでもした状態で話すことやな。もしくは、人目の多い所に場所を移してというのでも構わん。
今回のこのケースは、どう考えても、あんたには有利に運ぶやろうとは思うが、最後に苦言を一つだけ言うておく。
今回は、たまたま、契約書の不備が数多くあったから、こういうアドバイスになったが、これが何の不備もない契約やったら、また違った回答になったと思う。
あんたのように『実は、断れずに他にも1社契約をしており、新聞を2部取るのはもったいないと思い、解約の電話を、販売店にしました』という理由で、契約解除するのは自己事由ということになる。
自己事由による契約解除を希望する客に対して「違約金を払え」というのは、特段、おかしな話でもないわけや。販売店とすれば、ある意味正当な請求でもある。
他の新聞販売店なら、これと同じようなケースで、こんな不細工な契約書を作成することはなかったやろうから、単に「とにかく相手の対応に腹が立って仕方ありません」という程度で、すんなり解約になるとは考えん方がええ。
もっとも、そのくらいのことは、あんたも分かっておられるやろうがな。
とにかく、今回の件は、あんたが毅然としとれば問題なく決着がつくはずや。万が一、それでも揉めるか手に負えんような状態にでもなれば、いつでも相談してくれたらええ。
こういう相手への対処法ならいくらでもあるさかいな。