新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.405 ひっかけの営業テクニックについて
投稿者 Mさん 現役拡張員 投稿日時 2007.5.15 AM 0:47
おひさしぶりです。以前、拡材規制で、不安に思って相談を受けた者です。その節はありがとうございました。
すごく参考になりました。また、毎日このホームページを、拝見させてもらって、勉強させてもらっています。
実は今回の相談は、ひっかけという、営業テクについてです。
自分がたたいている、関東の某県では、拡材の暴騰と、営業の質の悪さ?店員さんの営業力?のせいなどで、4月に始まった拡材の規制により、今まで以上に、カードをあげることが厳しくなりました。
それゆえ、上がり枚数の悪さから、どこの店も、今まで以上に拡張団の日程を数多く組むものですから、お客の反応も以前以上に厳しく、団のカードの揚げ枚数も3割から5割落ちている始末です。
げんさんのサイトの営業講座を読んで、勉強にしていますが、なかなか、結果が伴いません。
ひとつは、お客が、新聞の拡張と分かると、話を受け付けようとしないのと、今までのサービスが過剰すぎて、現状の、金券なしのサービスでは、お客が納得しないからだと自分はいまの現状を分析しています。
しかし、一部のベテランの方だけが、すごくあげているのです。引っかけを、使っている方です。
自分らの団はYですが、Aを装って、Aのお客のところにいき、Yの新聞の契約を取ってきます。
すごく見事に、契約を揚げ、サービスも規定どおりしか使いません。解約も多いですが、(2割ぐらい)すごく、あこがれてしまいます。どんなにきついバンクでも、7.8枚揚げるのですから、しかも、夕方4時くらいのうちに。
ただそのひとは、半端な引っかけをやると、トラブルになると、いうものですから、まねしたくても、勇気が出ません。その人は、正攻法なんかじゃ、この先、食えないよと、言います。
確かに、バンクの現状をみると、それもすごく分かります。ただ、身分を偽り、下手すると、お客さんとトラブルを起こすよと、言われたことが、ひっかかり、実践できません。
それでも、自分が回っているようなバンクでは、習得しなければならない技なのかと、ノイローゼになるくらい考え悩みました。
げんさんなら、自分の立場のときどういうふうに、考えますか?
回答者 ゲン
『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』を良く見て貰うとるのなら、誰かの成功したやり方が他の人間にも成功する方法とは限らんと、ワシが言うてたのを思い出してほしいと思う。
そうすれば、そんなテクニックを今更、身につけようと思うても無駄やと気づくはずや。また、せん方がええ。
『ノイローゼになるくらい考え悩みました』と言うておられるのやったら、尚更や。
自分で僅かでも疑問を感じた方法を取り入れても、上手くいくことは絶対にないしな。どんなことでもそうやが、やる限りは信じきってやらな、とても成功はおぼつかんさかいな。
ただ、『どんなにきついバンクでも、7.8枚揚げるのです』という人間に、あこがれるというのは分からんでもない。そのやり方を習得したいという気持ちも理解できる。
しかし、「ひっかけ」というのは、詐欺的行為というのを前提にするやり方やから、あんたの危惧するとおり、そのリスクは大きい。それで、成功するには、それこそ詐欺師の素養がなかったら、とても無理や。
過去に何度か相談を受けた印象やと、残念ながら? あんたにその素養はないと感じる。まあ、そういうのに恵まれとる方が、おかしいのやがな。
もちろん、ワシにもそんなものはない。もっとも、そんなことをする気もないけどな。
ワシの昔からの拡張員仲間にヤスという天才詐欺師を自認しとる男がおる。こいつも、そのひっかけのようなことをする奴やが、不思議と客と揉めたというのは、あまり聞かん男やった。
ヤス曰く「ほんまもんの詐欺師は、人に騙されたと思わせるようやと、まだまだなんや。オレくらいになると、相手は騙されたことすら気がつかん。気がつかんだけやなしに感謝すらされるんや」ということらしい。
その具体的な内容は、当メルマガ『第41回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その2 詐欺師ヤス』 を見て貰うたら分かると思う。
ワシが、何でこの男の話を持ち出したかというと、その成功したやり方を真似るのやなく、それをやってる人間そのものを参考にすべきやと考えたからや。
ワシ自身は、性質的に人を騙せる人間やないが、それでも、このヤスの考え方には、参考になる部分が多々ある。
あんたが、あこがれとるという、その拡張員は「ひっかけ」やから成功しとるというだけやないと思う。
それやったら「ひっかけ」をやっとる連中が皆、成功しとるということになるさかいな。それはないやろ。
あんたの話だけやと、その人間がどういうタイプなのか良う分からんが、人当たりの良さとか、押しの強さ、自信ありげな態度、人に好かれそうな容貌など、注意深く観察すれば、必ず、何か突出しとるものがあるはずや。
そして、その中に、自分にも取り入れられるものがありそうなら、それを参考にすればええ。それ以外、無理に真似しようとしても無理やと思う。
いくら頑張っても、あんたは、その人間にはなれんさかいな。あんたは、あくまでも、あんたでしかない。まず、それをしっかりと自覚してほしい。
一番ええのは、自分に合うたやり方を見つけ、それを極めることや。
『げんさんなら、自分の立場のときどういうふうに、考えますか?』ということやけど、ワシは、普段から人間関係を作るということに力を注いできたから、それほど、極端に困ることはない。
確かに、現在は、昔よりも新規客の獲得は難しくなったのは実感しとる。特に、若い人間から契約を取るというのは厳しいと思う。
しかし、ワシには、ひいきにしてくれる顧客が多い。それで救われとる。
拡張員の中には、交代読者以外、顧客を作っても仕方ないという者が大半や。一度、客になった人間は、次からは客にならんと考える。ワシらには、現読拡張禁止というのがあるさかいな。
ところが、そういう現読の客と無駄話しとるうちに、他の人間を紹介してくれるというケースも結構ある。それで、自然に輪が広がっていくこともな。
その地域が、勧誘の評判が悪ければ悪いほど、そういうのが多いと感じとる。
これは、客の立場で考えれば分かることやが、どこか他の新聞に変更しようと思うても、その評判の悪い勧誘員を待ってまでしたいとは考えんもんや。
せやけど、その客と親しい人間から「気のええ、営業の人がいてるで」と言われれば、「ぜひ、教えてほしい」となる場合がある。口コミというやつやな。
ワシから、そういう客を除いて、一から顧客を獲得せなあかんとなったら、時間もかかるし厳しいやろうとは思う。
あんたが、今まで契約した客も、そこそこ多いのやないかな。その中には、あんたと気の合う客も、あんたを気に入ってくれた人も必ずいとるはずや。
そういう人の所に、ご機嫌伺いのような感じで行くのも手やと思う。
そういう人になら、門前払いもないやろうしな。手ぶらというのも何やろうから、映画の割引券などの捨て材を手みやげにするとええ。
上手くいけば、紹介ということがあるかも知れんし、なくても、気分転換には必ずなる。また、その地域の情報くらいは拾える。
実は、ワシは、叩くとき、あまり当たりが良くないと、必ず間に、このご機嫌伺いを兼ねて以前の顧客廻りをすることにしとるんや。
そうすることで、その日、それまで断わられ続けたことによる気分が一掃されるから、また次に行こうという気分も湧くしな。
さらに、その頻度が増えれば、そういう客からの紹介も期待できるし、実際にある。一石二鳥や。ワシはそうして少しずつ客を増やしてきたし、これからもそれを続けるつもりや。
人と人との付き合いを深めて続ける限りは、少々何があっても、それほど影響はないと思うしな。
例えば、「今度から、販売店の方針で金券が廃止になったんですよ」と言うても「しゃあないな」という程度で終わる。
拡張員は、拡材の存在を必要以上に大きいと考えすぎる傾向が強いが、人とのよしみや付き合いが勝れば、拡材やサービスなんか、それほどのものやないというのが、実感として分かってくるはずや。
現状が厳しいのは、ワシも十分承知しとるが、あんたの性質からしたら、そっちの方へ向かった方がええという気がするがな。
はっきり言うが、旧態依然とした昔の勧誘方法は、もう通用せんようになったということだけは認識しといた方がええ。その長年続けてきた代償が、今、この時代に回ってきとるのは間違いないさかいな。
生き残るためには、新しいことを考え創意工夫するしかないのと違うかな。
最後に言うとくが、その「ひっかけ」には未来はないと思うで。いくら、今は良さそうに見えてもな。
特に、あんたの団では、あんたがそうであるように、他の人間も、そのひっかけ営業に走ることが予想される。
そうなれば、当然やが、評判も今よりは確実に下がる。そして、その「ひっかけ」が横行すれば、それなりの対処も客の方で考えるようになるはずや。
また、そういう人から、このサイトへ、その対処法を尋ねてくるというのも考えられる。そうなれば、その方法をワシは教えるやろうと思う。
今までと違い、今は情報の伝達が格段に早い時代や。そういう意味でも、「ひっかけ営業」が、今までのように長続きするとも思えんがな。
冷静に考えたら分かることやけど、評判を落とすやり方が長続きすることはないわな。
そもそも、この現状を招いた元凶は、数多くの違法、無法な勧誘が原因なんやからな。それを続ける限りは先はないということや。
対して、ワシの言う人間関係を主体にした営業は、客への評判と信用を高めることで成り立つやり方やから、長い目で見れば、功を奏する可能性が高いと思うとる。
ただ、それも、あんたがそうやと信じてせんことには、意味がないし効果も期待できんやろうけどな。
あんたにとって、参考になったかどうかは分からんけど、ワシの意見ということなら、これしか言えん。今後、どうするかは、あんたの判断次第や。良う考えて決めたらええ。