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NO.409 大手新聞社の反発もあって難しいのでしょうか?


投稿者 K M さん 関東在住  投稿日時 2007.5.21 AM 2:49 


NO.380 このような考え自体腐ってきているのでしょうか?』で新聞をタダで売るのは馬鹿にした行為とありましたが、TOKYO HEADLINEという無料新聞が東京都内で発行されています。現在は週刊ですが創刊当初は日刊でした。

日本でもこのような無料新聞が普及してくれればと思いますが、大手新聞社の反発もあって難しいのでしょうか?


回答者 ゲン


『TOKYO HEADLINEという無料新聞が東京都内で発行されています。現在は週刊ですが創刊当初は日刊でした』ということについては、当メルマガ、2007年5月11日発行の『第144回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■無料新聞とフリーペーパーについての話』の中で触れたことがある。

その関連した部分を、ここに抜粋する。

あんたの知りたい答も、その中にあると思う。


無料新聞とは、既存の新聞記事と同じ内容のものか、それに近いものが掲載されている新聞を無料で配布されるものと定義付けされとる。

その意味では、現在、日本において日刊で発行されとる無料新聞と呼べるものはない。

週間は幾つかあるが、ワシの感覚やと日刊でないものを新聞と呼ぶのはどうかなという気がする。

少なくとも、既存の有料新聞と対比させるのならな。

以前、日本で唯一とも言える本格的な無料新聞が発行されたことはあったが、結局、それは日刊から週刊へと移行した。

その理由は定かやないが、撤退と見る向きも多い。そこには日本特有の事情があるのやと思う。

しかし、外国では、この無料新聞の猛威は凄まじいという。

隣の韓国では、その無料新聞の爆発的な伸びに押され、一般紙を発行していた新聞社も無料新聞に参入しとる。

このことについては、当メルマガ、2005年1月7日発行の『第22回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■悪夢の初夢』の中でも少し触れた。

その部分や。


当然のことながら、その韓国では有料新聞の売れ行きがガタ落ちし、新聞販売店、新聞流通業など、新聞関連業は大打撃を受けているという。

いくら、これが隣の韓国での話で、日本との事情に違いがあるとは言え、対岸の火事と無視することは出来んと思う。

こういうことは、遅かれ早かれ誰かが日本用の商売として考え出す者もおるからな。実際に、関東の都市部ではこの無料新聞なるものが登場し始めていると聞く。


ワシが、無料新聞という存在を聞いたのは、このときが初めてやった。

この中で『こういうことは、遅かれ早かれ誰かが日本用の商売として考え出す者もおるからな』とは言うてたが、実際に試みられたことはあっても、現存はしていないということになる。

日本との事情の違いというのは、それから言えば、かなり大きいということになる。

ただ、世界的に見れば、既存の新聞社が無料新聞の影響で、無料化の方向に向かいつつある国が増えとるようや。

そのため韓国だけやなく、アメリカ、イギリス、フランスなど、その無料新聞が台頭する国々では大きな社会問題になっとる。

それらの国々では、新聞は売店で売られるのが一般的や。宅配もまったくないこともないが、数が少ない。

無料新聞が台頭すれば、当然、既存の新聞は売れんようになる。

そうなれば、既存の新聞売店で働く労働者などの職を奪うなどの問題も起きてくる。その中には、老人などの社会的弱者も少なくないという。

今のところ、それらの国々と日本の事情は大きく違うから、同じような形態の無料新聞が台頭してくるというのは、難しいということなのやろうと思う。

日本の事情というのは、突き詰めれば、再販制度にあると言うてもええ。それが撤廃せん限りは、無料新聞の台頭も考えにくいということになる。

ただ、その無料新聞と混同されるフリーペーパーというのは、凄まじい勢いで伸びとるのは確かや。

フリーペーパー業者の団体にJAFNA(日本生活情報紙協会)というのがある。

そこの言うフリーペーパーの定義に『特定の読者を狙い、無料で配布するか到達させる定期発行の地域生活情報紙誌で、イベント、タウン、ショップ、求人求職、住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種教室など多岐にわたる生活情報を記事と広告で伝える』というのがある。

そのJAFNAの2006年度の調査によれば、日本全国で発行されとるフリーペーパー、フリーマガジンの総数は2150紙。部数は約2億9375万2千部にもなるという。

全国紙、ブロック紙、地方紙の一般紙と呼ばれとる新聞が、5000万部そこそこやから、それからいくと6倍弱の部数になる計算や。

ただ、それが既存の新聞一般紙を脅かす存在かというと、日本では、必ずしもそうとは言えんと思う。

フリーペーパーというのは読者の固定があるわけやなく、バラ撒くことでいくらでも発行部数を増やすことができるという側面がある。

受け取った人も好んで読むとは限らん。読む気がなく、すぐにゴミ箱に捨てられてしまうということも十分考えられる。

もともと、大半の人にとって、広告とはそんな程度のものやと思う。

そうなれば、どんなに発行部数が多くても広告効果は期待できんということになる。

それでは、既存の新聞を脅かすとはとても考えられんということや。

新聞一般紙とプリーペーパーは形態と棲み分けがまったく違う。

中略

新聞にとって驚異になるとしたら、それによる広告クライアントが逃げることやろうと思う。

しかし、それについては、新聞はすでに手を打っている。というか、多くの新聞社が、そのフリーペーパーを発行する子会社を持っとるという現実がある。

全国で発行されるフリーペーパーの9割以上は、大手の新聞社や出版社、広告代理店が出資する子会社によって運営されるとる。

新聞社がそのフリーペーパーを発行する子会社を作るのも、それなりの理由がある。

新聞社では既に多数の広告主を獲得しとる。その彼らのために「広告枠を増やす」という目的があるのやという。

一般紙に掲載される広告には限度があるからな。

第三種郵便物というのがある。

「国民文化の普及・向上のために、郵政公社の認可を受けた新聞・雑誌等の定期刊行物を内容とする郵便物を割安な料金で取り扱う」という趣旨の郵便制度や。

新聞はその認可を受けとる。条件として、広告が紙面の50%未満やないとあかんとされとる。

一般紙の広告スペースの割合は、その新聞社、地域、時期によっても多少違うが、たいていは20%前後のはずや。

これは、その第三種郵便物としての条件を満たすためだけやなく、新聞社の収入の45%がその広告収益ということも影響しとると思う。

新聞社の内情は、伺い知れん部分もあるが、これは、その範囲内に押さえとるのやないかと考える。

あまり、その広告費の割合が増えれば、企業寄りの紙面に終始するのやないかという批判を受けるということでな。

もっとも、今でも、そういう声は聞こえてくるがな。

ただ、新聞社は、紙面を作る編集部と営業、販売部門は、必ずしも一体というわけでもないから、営業面の都合が記事に影響することはないと、ワシは信じとる。

それには、編集部と営業、販売部が反目しとる新聞社が多いということもある。そして、新聞社の多くは、編集部がその実権を握っとるというからな。

ただ、そうは言うても、やはり大口の広告主に対しては、手心が加わる可能性はあるかも知れんがな。

外部から見れば、そう考えるのが自然やと思う。

それもあり、これ以上、広告紙面を増やすことが憚(はばか)られるからということで、フリーペーパー誌専門の子会社を立ち上げた。

そう考えれば納得できる。

一見、雨後の竹の子状態に見えるフリーペーパーの乱立やが、その実態は、必ずしも簡単に発生しとるわけでもない。

この流れに乗って、フリーペーパーのベンチャー企業を立ち上げようとする人間も皆無やないが、それにはかなり厳しい条件が必要になる。

フリーペーパーの収益は100%広告掲載料に依存しとるわけやから、企業からの広告依頼がなければ成り立たん商売や。

毎号を発行する度に印刷コストがかかる。広告枠が埋まって収益状況が安定するまでは赤字状態になることが多いという。

あるコラムで興味深い試算記事を目にした。

それによると、タブロイド版で8ページ程度のフリーペーパーを制作する費用は、発行部数によっても異なるが1部あたりで30円〜50円程度かかっているという。

フリーペーパーで発行部数が5万部とすると、各号の印刷代には100万〜200万円が必要となる。それを継続して発行していくことはとても大変なことだと指摘しとる。

事実、そのフリーペーパーの創刊も多いが、廃刊も相当数あるとのことや。

その点、大手新聞社や大手出版社、大手広告代理店が手掛けるフリーペーパー事業は、それなりの勝算があって成立しとるのやが、それと同じことを真似しても成功はおぼつかんということのようや。

ここでは、大手新聞社や大手出版社、大手広告代理店には、すでに多くの広告主が存在し、流通システムが確立されとるからこそ、それが可能なのやと結んどる。

つまり、ワシの言いたいのは、無料新聞、フリーペーパーの存在そのものが、今の日本で、新聞社の驚異と呼べるほどのものやないということや。

もちろん、それは、今のところということで、今後、どうなるかは分からんから、楽観できんとは思うがな。


以上のことで、大まかな状況が見えてくると思う。

あんたの『大手新聞社の反発もあって難しいのでしょうか?』というのは、新聞社が何らかの圧力をかけとるのやないかという疑念やと思うが、そういうのは、あまり考えにくい。

もっとも、新聞一般紙や新聞社系列の大手テレビ局では、その無料新聞に関して、ほとんど報道されておらんようやったから、積極的にニュースとして一般読者に知らせるつもりはなかったやろうがな。

これは単に、無料新聞社サイドの経営の問題やろうと思う。日刊から週刊に移行せざるを得なかったというのは、それ以外、考えにくいからな。

諸外国では、その無料新聞が猛威をふるっとるが、日本で、その普及は今のところ難しいということや。

再販制度の壁が、あまりにも厚すぎるということになる。諸外国には、そういうのがないさかい、比較的容易に無料新聞が台頭する下地があるのやと思う。

ただ、ワシもメルマガの中で『今後、どうなるかは分からんから、楽観できんとは思うがな』と言うてるとおりで、あんたの希望にあるように、無料新聞の台頭があるかも知れんという気はするがな。

何でも、そうやが、世の中、一寸先は闇やと思う。新聞関係者ですら、あっと驚くようなことが起きんとも限らんさかいな。

このサイトにも、最近、特に「ほんまかいな」という未確認情報が舞い込むことが多くなった。新聞業界全体が、不穏な空気に包まれとるのも事実やという気がする。

それらの中で、ワシらが、これは信憑性が高いと確信できたら、その内容もいずれ掲載したいと思う。

最後に、あんたの『新聞をタダで売るのは馬鹿にした行為とありましたが』というのを誤解されておられたらあかんから、その説明をしとく。

当たり前やが、無料新聞のようにタダのものを配るのは何の問題もない。

ただ、ワシらが必死になって、それこそ心血を注いで売っとる有料新聞をタダで売る拡張員がおることに腹が立つから「バカにした行為や」と言うたわけや。

そういう人間は、営業員ですらないとワシは思う。少なくとも、営業員になったからには、自分の利益は当然やが、組織の利益も確保せなあかん。それが仕事や。

当たり前やが、タダで売って利益なんか上がるはずがないからな。

しかも、それに拡材まで渡しとるバカがおる。ワシには、そういうことが信じられんし、許せんのや。絶対にあってはならんことやと思う。

営業員として誇りのない者への怒りが、その言葉になったと理解してほしい。


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