新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO410 誰かに訴えることはできないのでしょうか


投稿者 shun さん 大学生  投稿日時 2007.5.23 PM 6:44


初めまして、早速ですが昨日受けた新聞勧誘についてご意見を頂けたらと思います。現在自分は、アパートの学生一人暮らしで、大学一年です。

昨日の夕方、新聞の勧誘にある男性がきました。

最初の挨拶は、「上(アパート)に引っ越してきた者だけど、なるべく騒がしくしないようにするけど、仕事の関係上少しうるさくなるかもしれないから、その時は申し訳ないね。」という感じで挨拶してきたので、この時点では、まだ勧誘だとは分かりませんでした。

「新聞の勧誘をしてるんだけど、今回一回だけでもいいから付き合ってくれないかな」という感じで話を切り出してきたので、正直取りたくなかったのですが、勢いで押されて相づちを打ってる間に契約までこぎ付けられました。

しかし、その男性が帰ったあと、親に連絡したら、とる必要はないと言われました。自分で払うには金銭的にも厳しく、新聞は学校等でも読めるので、クーリングオフ制度を利用して、新聞販売店の人には手数をかけて申し訳ないと思ったのですが、契約の解除を頼もうと申込書に書いてある電話にかけました。

しかし、午後五時半ぐらいにかけたのですが、ひたすら電話中の音がなるだけでコール音すらならない状況が午後八時まで続きました。

そして八時半ごろ、携帯から離れている間に、一件、新聞販売店から違う番号で電話がかかっていて、出られなかったので留守電にこれから直接確認をしにくると、記録に残っていました。

そして、その電話にかけなおそうとした時、インターホンがなって出てみると、勧誘の時とは違う人が来て、確認をとりにきていました。

その時にクーリングオフの話を切り出したら、契約側と勧誘側は違うから勧誘側の人間を呼ぶといい、しばらくたって二人で来ました。

そして勧誘の男性が「兄ちゃん、どうしたんだ?」と言い、「やはり、契約時の後に親に確認をしたら、必要がなく、自分の金から出すのは厳しいので契約の解除をお願いしたいんです」と切り出したら、色々、向こうの勧誘側が言い出し、「いや、こっちはお兄さんが一人暮らしだからお兄さんに聞いたの。」「親と住んでるなら親御さんに聞いてるよ」などと、言います。

「バイトもしていなく、仕送りに頼ってるので親が必要ないと言って解除しろと言ったので」

「そこはなんとか、お兄さんのお小遣いから出すとかでお願いしますよ。一日110円程度なんだから」

「いや、ですから親の仕送りで生活しているので、親がお金を出してくれない限りは取れないんです」

「じゃぁお兄さんは友達と遊ぶ時とか、本とか買うとき、いちいち親に許可とってもらってるわけ? この周りの学生さんはそんな親が親がなんて言わないよ?」

などという押し問答が続きました。

確かに、多少の漫画や本を買ったりするなどの私的に使うお金はあるものの、結果的に負担がかかり、新聞を取ると、その分のお金が減ることになるので、とても、へ理屈に聞こえました。

しまいには「お兄さんも男なら頼むよ。」などと、新聞とる=男とかいう意味の分からない定義を押し付け、遠まわしでもかなり私的には侮辱された気分になりました。

その時の既に疲れていたので、六ヶ月契約を進められてたのですが、こちらは三ヶ月契約を押し切り、三ヶ月にしましたが、三ヶ月になってしまったのは自分の対応不足なのでこの際諦めます。

しかし、向こうはセールストークでいったつもりでも、私的にはかなり侮辱された感じに受け取りました。

これは誰かに訴えることはできないのでしょうか(新聞社本社など。)


回答者 ゲン


『これは誰かに訴えることはできないのでしょうか』ということやけど、この程度の内容では、どこに言うても、あんたの期待するほどの効果は得られんと思うよ。文句を言わな気が済まんというのなら止めはせんけどな。

あんたの話を聞く限り、この勧誘員に違法性は、あまり感じられん。しつこく粘る勧誘員という程度や。

残念ながら、勧誘で粘るだけでは相当の長時間でもない限り違法性があるとは言えんと思う。そうやな、そうなる可能性としての目安は2時間というところやないかな。

それ以上は、常識的にも長すぎる。ただ、それにしても、違法やとなるかどうかは微妙なところやと思う。あんたのケースはそれでもならん可能性の方が高いやろな。

勧誘での違法行為というのは、あきらかに脅迫まがいの言動があるか、騙して契約させる、あるいは契約書の偽造などが一般的やけど、このケースは、そのどれにも当て嵌まりそうもないからな。

侮辱された気分になったというのは分からんでもないが、相手が違法なことをしてなければ、例え、新聞本社に言うたところで、「当該の販売店に言っておきますので」という程度の対応で終わると思う。

新聞本社もその販売店へ連絡するにしても叱責という感じやない。事情を聞く程度や。販売店は、「何も違法な勧誘はしていませんよ」と答えるはずやから、たいていは「そうですか」で終わる。

そこから、また同じようにその販売店の担当者と勧誘員が、あんたの所にやってきて、契約を続行してほしいと、同じことを繰り返すか、「何で本社に電話した」と文句を言うくらいが関の山やと思う。

こういうケースで、相手の勧誘員に違法性を持たせるのなら、その対応が嫌になった時点で、「とにかく、お断りしますから、帰ってください」と言うておくべきやった。

これを言うてて、居座った場合には、刑法第130条の不退去罪となる。これは、警察にも通報可能な事案や。これが適用されれば、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するとある。

実際にこれで摘発された勧誘員もいとるさかいな。

『クーリングオフ制度を利用して、新聞販売店の人には手数をかけて申し訳ないと思ったのですが、契約の解除を頼もうと申込書に書いてある電話にかけました』

あんたのように、クーリング・オフは口頭でもええと勘違いされとる人がおられるが、それでは法的効力は何もないというのは言うとく。

もちろん、口頭で伝えるのが悪いというわけやない。伝えて、それに応じてくれる販売店も多いさかいな。ただ、その場合は、クーリング・オフでの解約やなしに、任意での解約ということになる。

クーリング・オフでの解約を確定させるには、新聞購読契約の場合、その契約書を貰うた日を入れて8日間以内に文書ですることと法律で義務づけられとる。それ以外のクーリング・オフというのはない。

具体的には、内容証明郵便、配達証明付きハガキ、簡易書留郵便ハガキというのがある。近くの郵便局に行って、その手続きを取ることや。多少なりとも金はかかるが、それは仕方ない。

その詳しいことは『NO.144 クーリング・オフについて教えて下さい』で説明しとるから、それを参考にされたら分かると思う。

もし、今からでも、そのクーリング・オフの手続きをとるつもりがあるのなら、まだ遅うはない。その勧誘に来たのが、昨日というのは、5月22日のことやと思うから、5月29日までが、その期限ということになる。

もっとも、『こちらは三ヶ月契約を押し切り、三ヶ月にしましたが、三ヶ月になってしまったのは自分の対応不足なのでこの際諦めます』ということで、そうするのなら、そうすればええことや。

ただ、それで、あんたと親御さんの仲が悪くなるというのでは、何にもならんから、もう一度、良う相談しとくことや。親御さんは、反対されておられるようやさかいな。

あんたの場合は、大学一年生ということのようやから、18歳か19歳ということなのかな。もし未成年ということなら、クーリング・オフ以外での解約方法もある。

民法第4条に未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができるというのがある。

この法律で言えば、未成年と契約するには親権者の許可が必要やから、この法律に基づいて、親御さんから「その契約は認められん」と直接、言うて貰えば、普通は、それで解約できる。因みに、この法律については期限は特にない。

ただ、民法第4条と関連する第5条3項に『法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする』というのがある。

分かりやすく言えば、未成年であっても、小遣い程度の金銭であれば、契約の取り消しはできんという考え方や。

おそらく、その勧誘員も、それが頭にあったから、「そこはなんとか、お兄さんのお小遣いから出すとかでお願いしますよ。一日110円程度なんだから」と言うてたのやろうと思う。

この小遣いの範囲というのは、実に曖昧なものや。法律には、その受け取り方次第でどうとでも解釈できるということがある。「それは、小遣いや」と言い張ることも、「嫌、違う」と突っぱねることもできるということになる。

このQ&Aでは、新聞契約は小遣いの範囲には該当しないという判断で、アドバイスをしとる。

1ヶ月3000円〜4000円程度やから、小遣いの範囲やないかという見方もあるとは思うが、契約は総額で判断せなあかんと考える。

3ヶ月の場合、9000円〜12000円になる。収入のない学生さんにとって、それが小遣いの範囲と呼べるかどうかということになる。

ワシは、小遣いの範囲を逸脱しとると思う。これは、当サイトに協力して頂いている法律家の先生方も同じ意見や。

もっとも、これについては、確かなことは裁判所の判断を仰ぐしかない。残念ながら、新聞購読代金について、どの程度までが小遣いの範囲なのかという判例が今のところないから、裁判で争うしか分からんわけや。

せやから、どうしてもその販売店が認めんということであれば、そちらで裁判でも起こしてくれと突っぱねるしかない。しかし、たいていはそんなことはせんから、販売店次第では、押し問答が続くこともある。

それが、面倒やというのなら、あんたの場合は、まだクーリング・オフの期間内やから、その方が早いし確かやと思う。

その場合は理由すら告げる必要もない。「やはり、考え直した」で十分やさかいな。

法律は、このクーリング・オフ後の契約者への翻意させる目的での業者の訪問を禁止しとる。せやから、後の心配もそれほどすることもないはずや。

つまり、ヘタに「何でクーリング・オフやねん。3ヶ月とると約束したんと違うんかい」と脅かせばその罪に問われ逮捕されることもあるさかいな。

その法律を適用された逮捕者も実際におる。

これは、「特定商取引に関する法律」の第6条第3項にその規定がある。

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

というのが、それや。これが適用されると罰則規定は2年以下の懲役・300万以下の罰金となる。軽い罪やない。

これがあるから、たいていの人間は、クーリング・オフ後に翻意させようとして訪れるようなことをする者も少ない。契約時のサービス品は返してくれとは言うて来ることはあるやろうがな。それさえ返せば、すべて終わる。

因みに、この「特定商取引に関する法律」の第9条が、クーリング・オフの規定になっとる。

ただ、何度も言うが、現在の3ヶ月の契約で納得して購読すると言うのなら、そうすればええ。判断するのは、あんたやさかいな。

良う考えて決めたらええ。但し、結論を出すまでの時間は限られとるがな。


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