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NO.418 特定商取引法第6条第3項の解釈について
投稿者 NONさん 千葉県在住 投稿日時 2007.6.11 AM 2:04
ゲンさん、ハカセさん、たいへんご無沙汰しております。NO.108 で相談したNONです。
NO.413の中で、NO.108の事件について触れられていますね。そのときのゲンさんの言い方で気になったのが、特定商取引法第6条第3項の解釈です。
「販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない」
この条文を私は、「訪問販売業者は、(1)契約を締結させ(るため、) 又は(2)契約の申し込みの撤回・解除を妨げるため、人を威圧して困らせてはならない。」という意味で捉えていますが、ゲンさんはいかがでしょうか?
NO.108事件は、そもそも契約自体が成立してないのにクーリングオフ妨害での逮捕はありえないので、2時間の押し売りがそのまま「契約を締結させるために威圧して困らせた」に該当して逮捕ではないでしょうか?
YouTubeの動画も見ました。全国ネットで報道されていたのは知らなかったです。ちらっと映った販売店の映像は、間違いなくあの店でした。
わりと時間が経ってからだと思うので、事件の影響かはわかりませんが、その店は移転しています。しかも前より広くなっています。
この販売店は私の地域の販売店とは違いますが、当時、代表者は私の地域の店と同じ人だったみたいです。あの事件でどうなったのかはわかりませんが。
道理で(?)私もろくな勧誘を受けなかったです。
回答者 ゲン
特定商取引法第6条第3項の条文について、あんたの解釈は正しいとワシも思う。
しかし、『(1)契約を締結させ(るため、)』の解釈だけに関して言えば、実際には効力を発揮することの少ないものやと言う外はないがな。
『NO.108事件は、そもそも契約自体が成立してないのにクーリングオフ妨害での逮捕はありえないので、2時間の押し売りがそのまま「契約を締結させるために威圧して困らせた」に該当して逮捕ではないでしょうか?』
これに関しては、昔、NO.108での回答の際、この程度で逮捕されたという報道に驚いたと言うた。
今も、その思いにあまり変わりはない。その事件以降、「2時間の押し売り」「威圧して困らせた」ということに類似したケースで、逮捕されたという報道はない。少なくとも、ワシは知らん。
実際、それを認めて逮捕状を出す裁判官は少ないと思う。警察も請求はしにくいはずや。理由は、その実証、証明にある。
通常、こういうケースのように、当事者間だけの会話、やりとりの場合は、言うた言わんで終わることの方が多い。
こういう場合、ヘタにクビを突っ込むと、民事不介入の原則に抵触するということで、嫌がる警察が多いというのもある。
口論だけの場合は、そう言い逃れることは比較的、簡単やさかいな。
報道にあるとおりのことが起きていたとしても、警察もそれを実証できんから、その被害者が、相談に行った直後も、これといった逮捕行動は起こしてない。
誰かそれを証言する人間がいとるか、テープなどに録音した証明でもない限り、事情聴取することすら難しいからな。
もし、あんたの言う『2時間の押し売りがそのまま「契約を締結させるために威圧して困らせた」に該当して逮捕ではないでしょうか?』というのが、本当の逮捕理由なら、そのときに逮捕、もしくは警察に引っ張られてなかったらおかしいということになる。
あんたの解釈なら、それで犯罪が構成済みということになるからな。
そうすることが難しかったと思われる状況証拠は他にもある。
その動画の報道でも言うてるとおり、その警察管内では、その年の3月から4月にかけて47件もの同様の苦情が寄せられており、実態も把握していたはずや。
それにも関わらず、大半は放置されていたことになる。それが、何よりも雄弁に「2時間の押し売り」「威圧して困らせた」という程度では逮捕できんかったということを物語っとるのやないやろうか。
実際には、被害者が警察に相談に行った後、加害者の販売店員が、再度、被害者宅に怒鳴り込んで行ったことで逮捕となっとる。報道にあるとおりやとすればな。
せやから、法律の条文では「2時間の押し売り」「威圧して困らせた」というのが、「契約を締結させ」というのに該当すると思うてても、ワシとしたら、そうやとは言いにくいわけや。
この件の例を見ても分かるやろうが、実際には機能し辛い条文の文言ということになる。
それを、「2時間の押し売り」「威圧して困らせた」ということがあれば逮捕されると言えば、真に受ける人が現れんとも限らんさかいな。
「その勧誘員の行為は、特定商取引法第6条第3項に抵触するから捕まえてくれ」と、警察に迫っても、それが単に口論だけなら、難しいと思う。そうならん確率の方が高い。
せやからこそ、ワシは敢えて、実効性の高い「契約の申し込みの撤回・解除を妨げるため、人を威圧して困らせてはならない」というクーリング・オフの妨害行為を特定商取引法第6条第3項の条文として、このサイトで紹介しとるわけや。
法律のド素人のくせに僭越やという意見もあるかも知れんが、個人的には間違った解釈やとは考えてない。また、実際に即したアドバイスやとも思うとる。
ここからは、ワシの想像になる。ほぼ間違いないと確信はしとることやがな。
被害者と加害者との最初のやりとりで、おそらく、形の上では契約させられたことになったはずやと思う。そこまでごり押ししとる販売店員が、物別れになって引き上げたというのはいかにも考えにくい。
もちろん、購読契約書にその被害者が直筆のサインをしたかどうかは分からん。その販売店員が勝手に契約書に書き込んで作成したというのも十分考えられる。
あるいは、その被害者は、その場を逃れるために適当に相づちを打つか、返事をしただけなのかも知れん。
翌日、その新聞が入れてあったというのは、その契約書があったと考えた方が自然や。そこまで、強引に契約を迫る人間が、その契約書なしに新聞を入れるというのは、いかにも不自然や。
しかし、その被害者にとっては、そんな契約を認めるわけにはいかんから、すぐ、警察書に相談に行った。本当に契約した意識もなかったのかも知れん。
その警察署でも、多くの苦情を寄せられとるにも関わらず、これといった対策ができず、内心忸怩(じくじ)たるものがあったのやないやろうか。
そこで、一計を案じたのが、特定商取引法第6条第3項のクーリング・オフの妨害事項やったと思われる。
もし、この被害者が、当Q&Aに相談されたら、ワシは間違いなく「クーリング・オフをするべきや」と言うてる。
「契約もしていないのに、そんなことをすれば契約を認めたことになるのでは?」という意見もあるやろうが、クーリング・オフをすれば、どんな状況であってもチャラにできるから、揉め事を回避するのなら、一番てっとり早い方法なわけや。
その警察署の相談係も、そうアドバイスをした可能性がある。
つまり、販売店が契約になっているというのなら、それを逆手にとるわけや。契約日から8日間以内なら、文句なくクーリング・オフができるからな。
そして、被害者がそうした場合、そのクーリング・オフ後に怒鳴り込んで来れば、これは完全に、特定商取引法第6条第3項の「契約の申し込みの撤回・解除を妨げるため、人を威圧して困らせてはならない」に該当することになる。
これに違反すれば、2年以下の懲役・300万以下の罰金に相当する罪に問える。当然、逮捕にも何の支障もない。
これに関して言えば、クーリング・オフ後に、文句を言いに訪れたということさえ分かればええわけや。
その事実をもとに初めは任意で引っ張ることも可能や。そして、取り調べでその事実を認めれば、逮捕となる。
事件が起きたのが2005年5月3日で、逮捕されたのが5月30日ということからすれば、そう考えた方がすべて自然なような気がする。
ワシは、この事件以降、このQ&Aでも、クーリング・オフ後に契約者を訪れ翻意させるような行為は、特定商取引法第6条第3項の違反行為に当たり、逮捕される可能性があると言い続けてきた。
これからもそうするつもりや。それが、ワシの考えということになる。分かって貰えたやろうか。
ただ、ワシがそう思うだけで、絶対に正しいかどうかは分からん。誰か、その顛末の詳しい事情を知っている方がおられたら教えてほしいと思う。
いずれにしても、この事件そのものは責められてしかるべきことには違いない。この報道のとおりとすれば、この販売店員に同情の余地はないさかいな。
話は変わるが、その事件そのものの是非は別にして、その2年前の事件が、今頃になってYouTubeの動画で紹介されとるということに、ワシはある種の違和感を覚えとる。
実は、ある読者の方から、新聞を専門に攻撃しとるブログに、これがあったと教えて頂いた。
この事件そのものは、事実やから、それを掲載することは何の問題もない。
ただ、そのブログには、あたかもこの事件がつい最近の出来事のように紹介してあったというのは頂けんことやと思う。
もっとも、そのブローガーの方も、それが最近の事件と信じられてたようやがな。
聞けば、YouTubeの動画は、個人でも比較的自由に登録できるものらしい。もし、そうであるのなら、同じ載せるのなら正確を期してほしいもんやと思う。
その動画には、その事件がいつ起きたのかという部分が、きれいに削除されとる。
この事件が起きたのが2005年5月3日で、逮捕されたのが、5月30日。そして、テレビ報道が「昨日」と言うてることからすると、5月31日ということになる。
その一切の事実が、この動画報道から欠落しとる。
そのYouTubeの紹介窓に『Added: April 29, 2007』とあるから、2007年の4月29日、つまり、つい最近、それが載せられたことになる。
これでは、誰でも、最近の事件やと錯覚する。
ワシには、どう見ても誰かが意図的に編集したものを載せたようにしか考えられん。内容も不自然なカットが見受けられるしな。
新聞記事にもその新聞社のお詫びのコメントがあったが、テレビ報道の場合にも、それがあったはずや。もっとも、ワシは、そのオリジナルを見てないから断定はできんがな。
これは、新聞勧誘の悪質さを強調する狙いでそうしたのやろうというのは分かる。しかし、報道であるからには、正確さを期すべきやと思う。
そうしてこそ、その訴えは支持されるはずや。このままやと、大げさな話、ねつ造報道と大差ないという気がするさかいな。
いくら、その内容が信憑性の高いものであったとしても、たった一つの意図した報道のカットが、そう思わせることもあるということや。
報道の怖さが、ここに凝縮されとるように思う。つまり、悪意に満ちた報道をしようと思えば、どうとでも編集してそれができるわけや。
このYouTubeの動画にニュースとして流れとることを、そのテレビ局は知っとるのやろうか。まあ、普通に考えて、いつ起きた事件か明記してないものを知って許可するテレビ局はないとは思うがな。
もっとも、そんなことは、あんたにはどうでもええことかも知れんけどな。
このことは、ワシのただのぼやきやとして聞き流しといてくれたらええ。