新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.429 何とか成らないものですか?


投稿者 Oyazi さん 販売店経営者  投稿日時 2007.7.18 AM 5:10


NO.427での回答、ありがとうございました。

また一つ質問です。店主、主任、営業、と様々に良い人、そうでない人と居ますが、この業界は何故か他業種に比べてかなり、常識、モラル等、様々な質が落ちる気がします。

その原因は元々人の集まる業種では無い? と思いますが、この現状、どう思われますか?

何とか成らないものですか? 特に若い主任達が胸を張って『新聞屋です』とは言えないな、と言ってます。


回答者 ゲン


『店主、主任、営業、と様々に良い人、そうでない人と居ますが、この業界は何故か他業種に比べてかなり、常識、モラル等、様々な質が落ちる気がします』

というのは、この業界の多くの人が感じとることやないかな。

それには『その原因は元々人の集まる業種では無い』と、あんたが言われておられるとおりのことがあるとワシも思う。

はっきり言うて、新聞販売店や新聞拡張団に就職しようかという人間は、その場しのぎと言えば語弊があるかも知れんが、どこにも他に勤め先がなかったからという理由の者が多い。

どうしてもこの仕事がしたいからと望んでくる人間は皆無やとは言わんが、少ない。たいていは、腰掛け程度の軽い気持ちで求人広告の応募を見てくる。

それが、定着率の悪さとして表れる。当たり前やが、定着率の悪いところに、ええ人材は集まりにくい。

労働環境の過酷さというのも、その一因としてある。

一般的な販売店従業員の労働時間は、勧誘と集金を含めると1日15時間程度あるとも言われとる。休みは1週間に1度あればええ方や。

もっとも、その状態に慣れた業界の人間は、それを過酷とは思うてないがな。当たり前やと考えとる。管理者ほどその傾向が強い。

それでも、給料が他の業種と比べてとび抜けてええというのなら、我慢することもできようが、その過酷な労働の割には給料が少ないと感じとる者が大半のようや。

実際に、そういう苦情を持つ販売店従業員の方からの報告も多いしな。

加えて、この業界では夢を持ちにくいというのもある。新聞販売店での最高峰は、店主やが、そこまで到達するのは至難の業や。良くて雇われ店長止まりというのが多いさかいな。

目鼻の利く人間は、その環境に失望して早期のうちに辞める。残るのは、行き場がない人間か、その現状に仕方なく満足する者というのが、この業界の一般的な見方や。

しかし、何にでも例外はある。中には素晴らしい人材が存在するのも確かや。

優良店かそうでないかの別れ目は、その数少ない優秀な人材をどれだけ確保しとるかどうかに尽きると思う。

この業界は、人材次第という側面の強い仕事やさかいな。

それには、前回の回答でも触れたが、経営者であるあんたの考え方や姿勢が大きく影響することになるわけや。

人が仕事する上において、そのモチベーションを高めるのに必要なものは、何も労働条件や収入面だけがすべてやない。

この経営者のためなら、あるいは上司のためならという心意気も、その大きな要素となる。

箸にも棒にもかからん人間は仕方ないが、優秀やと思える人材に関しては、なるべく手の内に入れるように普段から心がけとくことやと思う。

もっとも、あんたは、すでにそうされておられるやろうから、今更な忠告やと思うけどな。

大所帯の経営されておられるにも関わらず、ワシのような一介の拡張員に教えを請うというのは、なかなかできることやない。

それだけでも、あんたの人となりが分かるというもんや。

この業界は確かに人材が集まりにくい業界ではあるが、その人材が離れていくかどうかは、やはり、そこのトップの器量にかかってくると思う。

ただ、他業種と比べてモラルが低いと一概に決めつけるのは、どうかなという気はするがな。

ワシらがこのサイトで訴えたいことの一つに、「人間の世界には、どこにでも、ええ奴と悪い奴、真面目なのや、いいかげんなのという具合に、いろんな種類の輩がおる」というのがある。

モラルの高い仕事というのは一体何やろか? 

政治家? 今の日本に彼らがモラルの高い人種と思うとる人間は少ないわな。新聞紙上、あるいはテレビ報道でその醜聞を毎日のように晒しとるさかいな。

教師? これも昨今の報道では、考えられんことをする連中があまりにも多いために信用は著しく低下しとる。教師のモラルの低下がその一因やと批判もされとる。

役人? 昨今の年金問題に代表される社会保険庁などの例を持ち出すまでもなく、役人に対しては多くの国民が不満に思い信用をなくしとる。これも、モラルの高い連中の集まりとは言えんわな。

警察官? これも、犯罪や不祥事には事欠かん職種や。警察官の総数は、販売店関係者の半数ほどしかおらんが、その犯罪発生率は比較にならんほど多いさかいな。

他にも、弁護士や医者、あるいは介護福祉に携わるような、本来、もっともモラルが高いと思われとる職種ですら、犯罪に手を染めたり醜聞をまき散らかしたりしとる者がいとるという現実がある。

また、昨今、ニュースを賑わせた某製菓会社や某食肉業者は言うに及ばす、偽装請負で摘発された日本を代表する電気、自動車メーカーも、そのモラルを疑われるようなことを平気でしとるという実態もある。

一般企業にも、その例外はないわけや。

つまるところ、モラルというのは、それに関わる個人の資質によるところが大きいということになる。

しかし、世間ではなかなか、そう認識する人は少ない。

哀しいけど、日本はまだまだ、職業差別や偏見の色濃い社会やと思う。その職業で、人格すら判断されかねんわけやからな。

『何とか成らないものですか? 特に若い主任達が胸を張って『新聞屋です』とは言えないな、と言ってます』と嘆く気持ちは分かるけど、これについては、ある程度、日々の取り組みで変えられる可能性はあると思う。

人が、自信を持てる背景には、他人からの評価というものがある。他人の評価が良ければ、それに従事する人間も誇りを持てるし、逆なら、嘆くことになるわけや。

これが、販売店業界全体という広範囲なものなら、個人の努力では、いかんともしがたい。

しかし、特定の販売店でということなら、心がけ次第で、そのエリア内の評価を高めるのは可能やと思う。

人から尊敬されたかったら、人を尊敬することや。しかも、それには謙虚な姿勢が必要になる。

口で言うと何か大げさなことのようやが、具体的には、日々のあいさつを徹底するくらいでええ。

当たり前やが、販売店のエリア内に住むすべての人が「お客さん」あるいは「お客さんになり得る人」なわけや。

そう考えて「おはようございます」「こんにちは」「こんばんわ」という日々のあいさつを会う人すべてにするように、従業員に徹底させる。

たった、これだけのことで、あんたの店の評判は格段に違うものになる。人は、あいさつを交わすことで、相手に悪印象を持ったり、持たれたりすることはなくなる。

また、普段からそうしとれば、少々無茶なことを言う客に対しても、自然と丁寧な対応ができるはずや。客と口げんかをすることも少なくなると思う。

新聞販売店も客商売や。その客と喧嘩をしても何の益もない。理由のいかんを問わず、揉めて喧嘩をした場合、その評判を落とすのは確実に販売店の方やさかいな。

その当時者は、無茶なことを言う客が悪いと納得できるやろうが、何も知らん世間一般の人は、客に対して横柄な態度をとる販売店という印象しか持たんわけや。

どちらが得かは、考えるまでもないわな。

しかも、これは、誰でも心がけ一つでできることで、特別なことや金のかかることでもない。

さらには、地域の市民活動なんかも、可能な範囲で積極的に取り組むのもええ。特に、防犯関係では、販売店ほどその力を発揮する業種はないやろうと思う。

その地域の情報や事情が一番良く分かっとるはずやからな。

考えれば、その地域で評判を上げる方法はいくらでもある。その評判を上げることが、人から良く思われる最良の方法やと考えるがな。

その地域の人から、評判よく思われれば、自然と「私は○○販売店の者です」と胸を張って言えるようになるはずや。

それが、ひいては人材の確保になるし、現在の従業員の意識改革にもつながると思う。

しかも、この評判を高めることこそが、最良の営業になるわけや。一度、その評判が定着すれば、勝手にそれは広まるさかいな。

誰しも評判の悪い販売店より、評判のええ販売店から新聞を取りたいと思うのが人情や。自然に増紙も可能になるのは間違いないと思う。

そんな上手いこといくんかいなと思うかも知れんが、実際にそれで大きく業績を延ばしたという例は幾つもサイトへ報告されとる。

ただ、それを周知徹底させるには、何度も言うが、そのトップの考え方次第やけどな。

あんたが、それに賛同されるのなら、まずは、店長、主任の方々の意識改革に取り組まれたらどうかと思う。


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