新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.432 夜9時以降の集金は違法ですか
投稿者 菊さん 販売店従業員 投稿日時 2007.7.30 AM 5:01
ハカセさん、ゲンさんはじめまして。
私は新聞販売店に在籍しているものです。
実は、お客様とのトラブルがあり、解決の方策を探そうと色々検索していて、こちらのHPを拝見した次第です。
色々な項目を大変興味深く拝読させていただきました。
前述のトラブルのことでご相談させていただけないかと思い、メールを送らせていただきました。
トラブルとは集金のことです。
普段お会いできないお客様のところへ、夜の10時過ぎに訪問した集金担当員が、「責任者を呼べ! 21時以降は貸金業法とか訪問販売法違反だ、訴える! 悪いけど、俺は勝てないことはしないから」という苦情を受けました。
明日本社へも連絡し、訴訟の手続きする気満々のご様子と、お客様の元へ謝罪に伺った店長が言っていました。
付け焼刃で調べてみましたが、私どもは貸金業ではありませんし、また、営業に行ったわけでもありません。
お客様はお申し込みの方ですので、こちらが無理に営業をかけたわけでもありません。
夜9時以降の集金は、本当に貸金業規制法や訪問販売法に違反するのでしょうか?
代金の集金と、債権の回収、営業とを混同されているような気はするのですが、自信はありません。
確かに夜分遅くに訪問した当方にも落ち度はありますが、集金をするうえで中々お会いできないお客様への夜分もしくは朝の訪問はやむを得ないのが実情です。
こういうお客様ほど、口座振替等にしていただけないのです。
購読契約や営業などに関する質問ではないので、場違いな質問ではないかとは思うのですが、新聞販売や集金などに関する法律相談はなかなかできる場がないので、本当に貸金業法や訪問販売法に違反しているのかどうか、それだけでも知りたいと思いまして、思い切ってご相談させていただきました。
ご回答がいただければ幸いですが、見当違いでしたら、申し訳ありません。
回答者 ゲン
購読者の中にも、時折、何を考えとんのか分からんような無茶なことを言う者がおる。
『普段お会いできないお客様のところへ、夜の10時過ぎに訪問した集金担当員が、「責任者を呼べ! 21時以降は貸金業法とか訪問販売法違反だ、訴える! 悪いけど、俺は勝てないことはしないから」という苦情を受けました』
これは、はったりで言うてるか、本当に何も知らんかのいずれかやと思う。
訴えると言うてるとのことやが、この人間は何を訴えようというのやろうか。
新聞販売店の集金は、正当な売掛金の請求や。当然、貸金業者とは違うから、貸金業規制法の適用を受けることなんかは考えられん。
そして、集金業務は訪問販売の営業行為とは関係のないことやから、訪問販売法違反に問われることもない。
それらの法律で告発しても警察が動くことはまずないと断言する。
さらに、『お客様はお申し込みの方です』というのも、訪問販売法の規制から除外される。このケースの契約者には、クーリング・オフの権利すらないさかいな。参考までに言うとく。
訴えるのなら民事でということになるが、それについても、その根拠は一体何や?
夜の10時過ぎに集金に来たことにより、精神的な苦痛を受けたとして慰謝料でも要求するつもりなのやろうか。
しかし、そんな訴えを認める裁判官はまずおらんで。
また、簡単に訴えると言うとるが、訴訟費用や弁護士費用がどれだけかかるか分かっとんのやろか。
弁護士もピンからキリまでいとるから、こんな依頼でも引き受ける者もおるかも知れんが、普通の良識ある弁護士なら、まず止めとけて言うはずや。
どんなに良心的な弁護士に依頼しても、民事の場合は一件あたり30万円程度の報酬が必要になる。もっとも、その程度では、こんな裁判を引き受ける弁護士は少ないと思うがな。
引き受けるとしたら、よほど高額の報酬を提示した場合くらいやろな。それ以外、引き受けるメリットがない。
『悪いけど、俺は勝てないことはしないから』という自信は一体どこからくるのやろうかと思う。理解に苦しむ。
ただ、希に告訴を取り下げることを条件に、いくらか慰謝料を寄越せと迫るというのは聞いたことはある。
一般の人は、裁判するぞと言われると、それだけで驚いて萎縮することがある。おそらく、その男の狙いも、それにつけ込んだものやと思う。ろくな奴やない。
せやから、こういう人間には「どうぞ、ご自由に」とでも言うてやれば、却って慌てるはずや。
新聞社に電話しても、こんな話は取り合わんと思うで。良くて、「夜の集金には注意させますので」と言うくらいや。それも、タダをこねる子供をあやすようにな。
ただ、あんたの方も『集金をするうえで中々お会いできないお客様への夜分もしくは朝の訪問はやむを得ないのが実情です』というのは、業界人のワシらには良う理解できることやけど、それを納得できん人間もおるというのを知っておかなあかんわな。
一般の常識では、夜10時の集金というのはやはり遅い。人によれば寝ている時間や。なかなか会えんとのことやが、それまでに方法は幾つかあったはずや。
その集金人が、その客の所に何回行ったのかは知らんが、留守で会えんということであれば、「本日、集金に寄せて頂きましたが、お留守のようでしたので、誠に恐れ入りますが、当店の○○(集金担当者名)まで、ご都合をお知らせ願えないでしょうか」とでも書いたメモ、あるいは印刷物を入れておくべきやなかったかな。
または、土日のような、明らかに仕事が休みと思われる日に集金に行くという手もあったはずや。
大半の販売店では、そうしとるよ。
それをしていて、尚かつあかんかったというのなら、その時間の集金もやむを得んとは思う。それがあれば単に夜遅く集金に来たというだけの理由で怒るには無理がある。
その集金に行った日にもよるが、その月の新聞代の支払いが遅れとるのは事実やろうしな。その時点で、落ち度としては購読者側にあるさかいな。
ただ、その購読者がそこまで怒る理由として、その集金人の言動、態度に腹を立てたというのは考えられる。
その集金人というのが、それ専門の人間ならにいざ知らず、配達を兼ねた従業員の場合なら、その時間の集金というのは寝る時間が削られとるわけやから、その客に対しては面白くなかったはずや。
それで、つい嫌みめいたことを言うてしもうたのやないかな。もし、そうやとすれば、売り言葉に買い言葉という低次元の喧嘩になっていた可能性がある。
その勢いで、そう口走ったとしたらあり得る話や。
しかし、それなら、すぐに店長が『お客様の元へ謝罪に伺った』ということやから、普通はそれで収まってなあかんはずや。
それを収められん、納得できずに許せんというのは、その人間の性質にもよるやろうが、冒頭で言うたように、悪意のあるブラフ(はったり)の可能性が高いとしかワシには思えんわけや。
店長が、そのことについて謝ったにも関わらず、それ以上、誠意を見せろというのは言いがかりとしか考えられんからな。
こういう客に対しては、三つの対応策がある。
一つは、先にも言うたように「それならば仕方ありませんね。どうぞ、ご自由に訴えて下さい」と突き放すことや。
心配せんでも、こんなことくらいで本当に訴える人間はおらんはずや。万が一、訴えたとしても心配することはない。
あんたから聞く限りの話やと、こんな裁判であんたの方が負けることはほとんどないと断言してもええさかいな。
そらそやわな。こんな訴えが認められるとしたら、世の中は混乱するで。
品物を買うて、その支払いをせず知らん顔をしとって、夜遅く集金に来たという理由だけで訴えられ慰謝料を取れるということにでもなれば、商売の根幹すら揺るがすことになりかねんからな。
なんぼなんでも、そんなバカな裁定が下ることはないわな。
二つ目は、その客のご機嫌をとることや。その客の狙いは、ごねることで某かの得をしたいのやと思う。それ以外で、そこまでごねるというのは考え辛い。
あんたの方としては不本意やろうが、泣く子と客には勝てんということで割り切るしかない。こういうのは、世の中にはままあることやとな。
客の希望する条件が、受け入れ可能なものなら、また、交渉の余地のあるものなら、あえてその人間の策に落ちるのも、商売人としては悪い判断やないと思う。
このままやと、その客は新聞代の支払いにも応じんやろうしな。新聞販売店としたら、やはり、購読料を払うて貰わんことには話にならんさかいな。
三つ目は、そんな客は、さっさと切るという考え方や。
はっきり言うて、こんな客は、この業界広しと言えど、そうそういとるんやない。えらいのに引っかかったと思うて、あきらめて手を切れば、少なくとも、精神的には楽になれると思う。
ただ、そうなると、こちらから契約解除するわけやから、勧誘時の景品を含め拡張料なんかの損失も覚悟せなあかんがな。
こういう人間の本来の狙いは、それにあるのやないかという気がする。
インターネットの世界には、こうすれば得をするというさもしい根性で、この手のことを平気で煽るようなサイトや掲示板があるのは事実や。
やっこさんらは、それを裏技と称しとるようやがな。こんな人間ばっかりになったら世も末やが、幸いこんな人間はほとんどおらんから、まだ救いはある。
これをする場合、この客は拡禁(拡張禁止)にしとく必要がある。この手の人間は、何度でも同じことを繰り返すようやからな。
もっとも、どうされるかは、店長、およびオーナーの考え方次第やがな。
ただ、『夜9時以降の集金は、本当に貸金業規制法や訪問販売法に違反するのでしょうか?』ということについては、そんなことはないから心配することはないと伝えてあげといたらええと思う。