新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.434 この場合、契約は有効になるのでしょうか?
投稿者 hiromi さん 投稿日時 2007.8. 2 AM 1:08
初めまして。新聞契約のことで少しもめています。
景品をくれるということで6ヵ月の契約してしまいました。
実際、投函されて読むとあまり読まないなぁという感じだったので6ヵ月契約を1ヵ月にしてほしいと販売店に申し出ましたが受け入れてもらえず、ならば3ヵ月ならというと、4ヵ月はとってほしいということでした。
でも読まないものにお金を出していくほど余裕もないのでなんとかしたいのですが…契約書をよくみてみると、日付、住所はちゃんと書いてあります。
ただ、名前を書くとこが2ヶ所あって、1つは世帯主。もう1つは契約者となっていて世帯主のとこに私の名前。契約者のとこは無記名になっています。既婚なので世帯主は私ではありません。
この場合、契約は有効になるのでしょうか?
ちなみにセールスがきた時は旦那はしらないし、セールスがきたことを知ったのはクーリングオフ期間を過ぎてからです。
回答者 ゲン
『名前を書くとこが2ヶ所あって、1つは世帯主。もう1つは契約者となっていて世帯主のとこに私の名前。契約者のとこは無記名になっています。既婚なので世帯主は私ではありません』
ということで、契約書の不備について言うておられるようやが、世帯主と契約者の名前を書いた場所を間違えたというのは、それほど大きな問題とはならんと思う。
問題は、それを誰が書いたかということや。
契約書というのは、契約者の記入欄には契約者本人が、名前と住所を記入するという大原則がある。
その部分を他人、この場合、そのセールス(勧誘員)が書き込んだというのであれば、無効を主張できる可能性は高い。
但し、それでも難しいケースはあるがな。それについては、もう少し後で話す。
これが、契約者本人、もしくはその契約者と婚姻関係にある者の手によって書かれたものならば、契約書として認められる可能性は高いということになる。
つまり、ご主人名義の契約書であっても、奥さんの署名があれば十分やということや。
民法第761条に、夫婦の日常の家事に関する債務の連帯責任というのがある。
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
というのが、それや。
新聞購読費が日常家事債務に該当するかどうかの最高裁の判例は今のところないが、このサイトでは、それに該当するとしてアドバイスしとる。
当サイトの法律顧問、今村英治先生はじめ、他の法律家の方々も同じ意見が多いということもあるしな。
因みに、夫婦の日常の家事に関する債務に該当せんものを言うとく。
不動産、アクセサリー類、妻の高級外出服などの贅沢品とされとるものが、たいてい該当せんようや。
『ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない』という例外事項というのもある。
具体的に今回のケースに当て嵌めると、ご主人がその契約に関して、それを知った時点で「そんな契約は知らん」と、その販売店に通告しとった場合やな。
しかし、あんたの場合は、それを主張するには遅すぎると思う。
するのなら、せめて『ちなみにセールスがきた時は旦那はしらないし、セールスがきたことを知ったのはクーリングオフ期間を過ぎてからです』という時点で、そう販売店に通告しとくべきやった。
但し、それも、同居しとるのであれば、現実的には契約したことを知らんかったとするには説得力に欠けると思うがな。知らんかったという明確な根拠が示せん限りはな。
契約書の署名をそのセールスがした場合でも、難しい場合があると言うたが、その説明をする。
それは、あんたの話を聞く限り、新聞投函後もそのアピールをしてなかったという点や。
普通、契約書の不具合を理由に購読を拒否する場合は、契約直後か新聞投函前までにそれを言うもんや。少なくとも、最初のアピールがそれやなかったらあかん。
それをあんたは『実際、投函されて読むとあまり読まないなぁという感じだったので6ヵ月契約を1ヵ月にしてほしいと販売店に申し出ました』と言うておられる以上、その時点で、その契約自体を認めていたとみなされても仕方ないということになる。
この場合は、例え契約書の筆跡が、その販売店のセールスのものやったとしても「契約していない。代筆の契約書は無効」やと言うても、あんたがそれを認めてたという事実があれば、それを覆すのは難しくなる。
実際、あんたの本当の意志は『読まないものにお金を出していくほど余裕もないのでなんとかしたい』ということにあるはずやからな。
契約書の不具合は、そのための理由を探した結果にすぎんと思う。
ワシが、難しい場合があると言うた理由や。
ただ、あんたが氏名、住所を書いた契約書やなかったら、それを押し通せば解約できる可能性はある。契約書の原則に外れたものやさかいな。
これは、販売店の大きな落ち度や。どんな理由があれ、氏名、住所の欄は契約者に書いて貰わなあかん。事実、大半の販売店では、それでないと契約として認めとらんはずや。
ワシら拡張員が、そんな契約書を持って帰ったと知れたら間違いなく、てんぷら(架空契約)やと疑われる。
再度、契約者に書いて貰ってくるように強要される。それができん場合は、その契約書は無効や。
それくらい厳しくなかったら、今回のように、もめる原因になりかねんからな。
その落ち度をもう一度、突っ込めば、あんたが妥協できる『3ヵ月なら』というのが通る可能性はかなりある。上手く交渉すれば、1ヶ月、つまり今月限りの解約もできるかも知れん。
3ヶ月契約に絞って交渉するのなら、6ヵ月の契約として貰った景品分の減額を申し入れれば話はスムーズにまとまりやすいと思う。
あんたも、6ヶ月契約と3ヶ月契約では、貰える景品に差があることくらいは分かるやろうからな。
その販売店が『4ヵ月はとってほしい』と言うのは、案外、その辺がネックやったりするからな。
但し、それも、あんたがその契約書に直筆で氏名、住所を書き込んだというのであれば、それ以上、譲歩する販売店は少ないやろうと思う。
その場合のあんたの理由は、『読まないものにお金を出していくほど余裕もない』ということで自己事由にしかならんさかいな。
どんな理由であれ、一度交わした契約は守る義務が生じる。それが、契約社会の原則や。
当たり前やが、一方の都合だけで簡単に破棄できるのなら、そもそも契約みたいなものは世の中に必要ないわな。
それができるのは、クーリング・オフか明らかな不法行為による契約の場合くらいなものやさかいな。
冒頭で言うたように、今回のケースは、誰がその契約書の名前と住所を記入したかによって、違いが生じるということや。交渉の明暗は、それで左右される。
最後に言うとくが、『読まないものにお金を出していくほど余裕もない』というのは、契約前に考えることであって、契約後に言うべきことやないし、言うても正当な解約理由にならんということを分かっておいてほしいと思う。