新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.438 名前を書いた者が認知症だったらどうなるのでしょうか
投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2007.8.10 PM 6:33
前回NO.436の御回答ありがとうございます。これについてさらに質問があります。
契約書に名前を書いた者が認知症だったらどうなるのでしょうか。
認知症の程度は当然、自分の名前は書ける。しかし、現住所は書けない(書けても旧住所)
日常会話ならできるが内容はほとんど覚えていない。そして、短時間なら一人にしておいても問題はない。
こんな感じでしょうか。だとすれば、名前のみ本人で後は販売員が書いた契約書もありえると思います。
基本的には認知症と言えども契約した本人、及び、その契約を阻止できなかった家の者に責任があると思います。
しかし、住所も書けない者から契約を取っていく販売員、そんな契約書(名前と住所を書いたのが別人)でも、確認をしない販売店には疑問を感じます。
もっとも、認知症者とは分からなかった、と言えばそれまでだと思いますが。
そこで、できればお会いしたくない販売員(販売店)の訪問自体をお断りするいい方法は無いでしょうか?
認知症者と販売員が顔を合せなければトラブルは発生しないと思います。せめて一回目は仕様が無いとしても、2回目以降はお断りできるいい方法はないでしょうか?
「家には認知症者がいるので、間違って契約する事のないように今後の訪問はお断りします。」と言っても効果のない販売店があるようです。
自分勝手かもしれませんが、よきアドバイスをよろしくお願いします。
回答者 ゲン
『契約書に名前を書いた者が認知症だったらどうなるのでしょうか』というのは、その症状の程度によってかなり違うと思う。
医師による診断書があり、身内の方に法定後見人の方がおられれば、認知症の患者が契約したものは、その法定後見人の判断で問題なく契約解除できる。
ただ、医師にもかからず、単に物忘れや判断力が鈍ってきとる程度であれば、認知症としての客観的事実がないから解約は難しいかも知れんがな。
『認知症の程度は当然、自分の名前は書ける。しかし、現住所は書けない(書けても旧住所)日常会話ならできるが内容はほとんど覚えていない。そして、短時間なら一人にしておいても問題はない』
というのも、一般的には軽度で勧誘員には認知症の症状が分からんから仕方ないという捉え方をされる場合が多いが、それでも、契約時に発症していたという医師の診断書があれば、契約解除に応じる販売店もあるはずや。
販売店が、応じんかった場合はその新聞社の苦情係りにでも連絡すれば、契約解除になる確率は高いと思う。
新聞社にしても、認知症患者に新聞を契約させたという事実は、聞こえも良うないし見過ごすことはできんからな。
ただ、医師の診断を受けず単に物忘れや判断力が鈍っとるのを、勝手に認知症やと言うてるだけやと弱いやろな。これは、法律的にも一般人の扱いをされる。
それに、確かな診断もなく認知症やと触れ回ると名誉毀損、人権侵害に問われることすらあるから、主張する方も慎重にした方がええ。
この認知症に関連したものに、当メルマガ『第60回 ■認知症患者のための契約解除法』 というのがあるから、それを良く見て貰えば、たいていの対処法は分かるはずやと思う。
『基本的には認知症と言えども契約した本人、及び、その契約を阻止できなかった家の者に責任があると思います』というのも、その症状次第ということになる。
認知症と診断されていれば、誰かの責任云々は関係なく契約が解除される可能性は高いし、そうやなくまだ認知症の前段階程度なら本人の責任になると思う。
ただ、いずれにしても、『その契約を阻止できなかった家の者に責任がある』というのは法的にはあり得んことや。そう思いたくなる気持ちは分かるがな。
ワシらは、このQ&Aをやっていて、実際にその悩み事を聞くことがあるが、認知症患者の行動を逐一、注意し監視するというのがいかに大変で難しいかというのは十分、分かっとるつもりや。
苦言を言うようやが、他で先のような発言は控えられた方が無難やと思う。
『認知症者と販売員が顔を合せなければトラブルは発生しないと思います。せめて一回目は仕様が無いとしても、2回目以降はお断りできるいい方法はないでしょうか?』
というのも、一番確実なのは、医師の診察を受け、認知症と診断してもらった上で、法定後見制度、保佐、補助制度による、法定後見人および保佐、補助人の認定を受けることや。
それがあれば、その認知症患者のした契約は、その法定後見人の承諾がなかったら認められんから、契約解除は比較的簡単や。
家庭裁判所か、これを取り扱っている市町村役場で手続きを申請すれば資格が取得できる。
新聞購読契約程度のものやったら、被害というても、金額的にはそれほど深刻に考えんでもええとは思うが、他の悪徳訪問業者から高額の商品を売りつけられると大変やさかいな。
実際に認証患者を狙った悪徳訪問業者が、最近、特に横行しとるというからな。物によれば数十万円から数百万円に達するようなものまであるという話や。
そういう危惧を抱えとる家庭は、早急にその手続きをすることを勧める。
その資格があれば、その認知症患者のした契約は、すべて阻止できるから、勧誘員の来訪に気をもむこともないと思う。
それに、一度でも、それで契約を解除すれば販売店も分かるから、そこからの勧誘は止まるはずや。拡禁(拡張禁止)にもなるやろうしな。
問題は、軽度で法定後見制度、保佐、補助制度の対象外の場合やな。
これについては、こまめに販売店に訴えるしかないと思う。具体的には、勧誘が来ると思われる各新聞販売店に事情を説明して拡禁にしてもらうことや。
たいていの販売店なら、もめてまで契約を取るようなことは嫌がる所が多いから承諾すると思う。
但し、それは法的拘束力のあることやないから、絶対、確かやとは言えんがな。
『「家には認知症者がいるので、間違って契約する事のないように今後の訪問はお断りします。」と言っても効果のない販売店があるようです』ということも、あり得ることや。
拡禁にしてなかったら、そこに出入りする拡張員に、それは伝わらんさかいな。
その場合は、もめるのを覚悟で根気よく交渉を続けるしかないやろうと思う。
もっとも、その軽度と思われる人にも人権というものがあるから、その人を説得できんとそれも無理やろうがな。
実際に、そういう人で新聞が読みたいというケースがあったのやが、息子夫婦が新聞嫌いということで販売店に独断で断ったために、親子関係が崩れたというのもある。
比較的若い人の中には、新聞は無駄やという先入観で無読に徹しとる場合もあるが、年配者にとっては、新聞というのは子供の頃から、そこにあって当たり前という環境で長く接してきとる人が多い。
せやから、それがないと物足りない気分や不安になるという人もおられるわけや。
そういうことへの配慮も必要や。いくら親子であろうと、自分の価値観を一方的に押しつけるのは良うないさかいな。
それに、症状が比較的軽度なら、精神科の医師の中にも新聞を読むことを推奨しとる人もおられるくらいや。活字を読むのは認知症の進行を遅らせる効果があるようやからな。
いずれにしても難しい問題やが、一考の余地はあると思う。
『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』書籍販売開始