新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.444 契約期間終了後の配達について
投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2007.8.23 AM 11:37
こんにちは。新聞販売店とのトラブルで困っています。
2005年に今のマンションに引越し、Y新聞の勧誘(結構強引で)3ヶ月の購読契約をしました。
購読料は前払いで支払いました。しかし、契約の期間終了後も新聞の配達が続いていました。
こちらとしては契約していないし販売店が勝手に入れているので、いつか販売店が契約していないと気づいて配達をやめてくれるだろうと放っておきました。その間一度も集金にはきませんでした。
最近になって販売店から封書が入っていたので連絡をすると、販売責任者という方から「販売店の管理ミスで投函はしていたが、そちらもどうして連絡をしなかったのですか。料金を全額払えとは言わないが気持ち程度は払いなさい」といったことを言われました。
私も、自分は契約をしていないからと強気で無視しておこうという気持ちや、契約の時の強引な人が来ると嫌だという気持ちで何年もズルズルきていたのはいけないと思いますが・・・
Y新聞の読者相談センターに連絡しましたが販売店と相談して下さいの一点張りでどこに相談してよいのか困っています。
どうか、ご意見お願いします。
回答者 ゲン
今回のケースで一番悪いのは、『管理ミスで投函していた』という販売店には間違いない。そのことは、その販売店も認めとるようや。
『こちらとしては契約していないし販売店が勝手に入れているので、いつか販売店が契約していないと気づいて配達をやめてくれるだろうと放っておきました』というあんたの気持ちも分からん話やない。
しかし、それには程度、限度というものがあると思う。
1ヶ月程度なら「どないなっとんねん」と怒るのも筋は通る。しかし、2005年からというと、その契約期間月にもよるが、2年以上そういう状態やったということになる。
そうやとしたらそれは異常なことやと言うしかない。その点では、少なからず、あんたの方にも落ち度はあると考えられる。
契約終了後に新聞の投函があれば、すぐ、その販売店に苦情を言うのが普通やし、実際、そういう人の方が圧倒的に多いはずや。
たいていの人は、それを放っといて集金にでも来られたら堪らんと考えるさかいな。
もっとも、あんたは、そのときになって言うつもりにしとったのかも知れんがな。
先にも言うたように1ヶ月以内やったら、それで済んでいた可能性は高いと思う。
今回のケースとは少し違うが、悪徳商法に「ネガティブオプション」あるいは「押しつけ商法」、「送りつけ商法」というのがある。
契約して購入した覚えもない、あるいは承諾した品物でもないものを勝手に送りつけその代金を請求してくる。
さらに、「商品が不要であれば、数日以内に返品してください。期間内に返送のない場合は購入したものとして代金のお支払いをお願いします」という類のものがそれや。
特定商取引に関する法律では、このような「ネガティブオプション」の場合、商品の送付があった日から数えて14日を経過する日、あるいは商品の送付を受けた消費者が業者に引き取りの請求をした場合、その請求をした日から7日を経過した日以後は、特商法第59条により、業者は商品の返還請求ができんことになっとる。
つまり、今回のケースが、特商法の言うところの「ネガティブオプション」に当たると判断されたら、あんたが当初考えていたとおり、支払いには応じる必要はなくなるということになる。
しかし、今回のケースでは、それが認められる可能性は低いやろうと思う。
犯罪、不法行為が構成される背景には、その悪意性というのが問題にされる。
悪徳商法の「ネガティブオプション」の場合は、最初から金銭を得る目的でそうしとるという悪意性はあきらかや。
それに反して、その販売店は自らのミスを認めとるから、新聞の投函自体に悪意があったとは考えにくい。
さらに言えば、今回のミスが起こった背景として、『購読料は前払いで支払いました』というのもあったと思う。
もちろん、あんたがそうしたことについては何の落ち度もないことやがな。
ただ、新聞販売店からすれば、顧客の新聞代全額先払いというのは極めて珍しいケースなわけや。
新聞販売店では、新聞社への入荷支払い、顧客への集金などほとんどの収支が月決め決算で行われとる。当然、事務処理もそれが主体になる。
当たり前やが、全額先払い客への集金は除外されるから、業界で「証券」と呼ばれる毎月の領収書の発行はされてないはずや。
つまり、あんたの場合、3ヶ月の契約切れの処理が何らかの理由で行われず、それ以降、新聞の投函が続いていたにも関わらず、最初から集金台帳への記載が洩れていたために、今まで集金に来んかったと考えられる。
単なるミスで悪意性がなかったと言う理由や。
まあ、例えそうやとしても、そんなことは新聞販売店として、あってはならんし不細工な話やけどな。
それに対して、あんたの方はどうかと考えてみよう。
あんたも過去に新聞代を払うとるくらいやから、新聞がタダのもんやないというのは承知していたはずや。通常、契約切れ以降に投函されていた新聞も購読時と同じように見て利用していたと考えるのが自然や。
少なくとも、その新聞が配達されることで迷惑やったとは考えんかったと思われる。
つまり、あんたは積極的な承諾やないにせよ、その新聞の配達自体は認めていたことになるわけや。にも関わらず、その支払いを拒むのは、僅かながら悪意が感じられると思うのやがな。
「おそらく配達ミスで入れとんのやろ。言うてくるまで放っとけ、例え言うてきても払う必要はない」というのが本音やなかったのかなと思う。
まあ、あんたも『何年もズルズルきていたのはいけないと思いますが・・・』と、その非も認めておられるようやから、これ以上は何も言うつもりもないがな。
それらのことを総合的に判断すれば『料金を全額払えとは言わないが気持ち程度は払いなさい』という販売店の要求自体は、常識的なものやと考えるけどな。
もっとも、その販売店があんたの言うとおりの物言いをしたのなら問題ありやがな。
このサイトは多くの新聞販売店関係者の方も見ておられるから、敢えて言うが、こういう場合は「料金を全額支払ってくださいとは言いませんが、気持ち程度は払って頂けませんか」と言うくらいは商売人としては当然やと思う。
人は、その物言い次第で反感を抱きやすいものや。客に対して高圧的になっても得になることは何もない。間違っても客に「〜しなさい」というようなことは言うべきやないと思うけどな。少なからず、非を認めとる販売店の言動やない。
ワシは、法律家でも何でもない、ただの拡張員やけど、他の仕事で数多くの民事裁判を立ち会った経験が過去にある。
その経験から言わせてもらえば、今回のケースで裁判になった場合、落としどころとしても、話し合いのうえでの金銭的な合意で落ち着くやろうと思う。
と言うても、その確かなことは実際に裁判になり、調停で決着がつくか、裁判官の判決を待つまでは誰にも分からんことやけどな。
『Y新聞の読者相談センターに連絡しましたが販売店と相談して下さいの一点張りで』というのも、新聞社の苦情処理係あたりやとそう答えるしかないやろうと思う。
基本的に、新聞社は、販売店ないし勧誘員があきらかに不法行為を働いとると認めん限りは、注意、指導するということはまずない。
契約事とか、支払いの問題に関しては、あくまでも販売店が対処すべきことで、新聞社はそういうことには一切タッチせんというのが、公のスタンスやさかいな。
つまり、民事で揉めるのなら、販売店と顧客同士でしてくれということや。
因みに、お互いの納得いく線での合意というのは、どの程度のもんやという疑問があるかと思うから、ワシの私見をここで言うとく。参考にするかどうかは、あんたに任せる。
まず、支払いのない新聞代の総額を計算する。そして、販売店とあんたとの落ち度の比較をする。交通事故の事故負担責任率と同じやと思えばええ。
落ち度の比率は、販売店7であんたの方が3程度やと思う。それからすると、新聞代の総額に対して30%が、あんたの負担額ということになる。
何度も言うが、これはワシの私見やから、このとおりにする必要はまったくない。話し合いで8対2、あるいは9対1に持っていってもええわけや。
これとは別に、もう一つ、落としどころがある。
それは、その新聞代を払う代わりに、新たに購読契約をするから、そのお互いのミスの部分はチャラにしようと言うことや。
そうやな、6ヶ月契約くらいが妥当な線やないかと思う。
単純に計算して、もし30%でまとまったとしても、2年分の新聞代は、1ヶ月3925円で94200円やから、28260円の負担になる。金を払ってない期間が2年以上あるとしたら、総額はもっと増え、負担も増える。
もっとも、20%、10%で決着つけば負担はそれよりも軽くなるやろうがな。
ただ、いずれにしても、あんたにとっては予期せん出費になるわけや。それくらいやったら、6ヶ月ほど契約すると言えば、支払いも毎月になるし、あんたの方も楽やろうと思う。
それに、この申し出は、おそらくその販売店も喜ぶはずや。あんたの契約は切れて過去のものになっとるから、販売店としても新たな契約を取れるということにもなるしな。
あんたにしても、その新聞はそれなりに活用されてたわけやから、これから6ヶ月、余分に取ったとしても差し支えはないのと違うかな。
そうすれば、このトラブルもお互い、笑って解決できるのやないかと思う。実際、あんたと似たケースで、そうして決着したという方がおられたからな。
トラブルを収めるには、お互い相手の非だけを突いても仕方ないと思う。一歩、引き下がるというのも大切や。それに気づけば、結構、落としどころというのは見えてくるはずや。
もっとも、どうしても納得できんかったら、とことん争うという選択肢もある。裁判も辞さずということなら、そうするのも手やと思う。
どうするかは、あくまでもあんた次第や。アドバイスを求められれば、ワシには、こういう回答しかできんというだけのことやさかいな。
『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』書籍販売開始