新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.456 拡張料について


投稿者 Fさん 現役拡張員  投稿日時 2007.8.25 PM 8:12


いつも楽しく拝見させてもらっています。私は現役拡張員です。ゲンさんの所属されている団はヨーロッパ(4、6、8)らしくて凄くカード料がいいですね!

私の所は一年でも4800円程度です。このような状態ですが、ゲンさんから見れば、だいたい、どれくらい団長からピンハネされてると感じますか?

私は拡張員を3年していて、不満とかはありませんが、凄くカード料がいいのでビックリしました!

ゲンさんはキャッシュ打ちでもなく、団に所属されているみたいなので、よけいビックリしました。


回答者 ゲン


『ゲンさんの所属されている団はヨーロッパ(4、6、8)らしくて凄くカード料がいいですね!』ということやけど、フルコミ制の拡張員なら全国的にも、これが一番多い形態や。特別ええというほどでもないとは思うがな。

因みに、ヨーロッパとは、3ヶ月契約4000円、6ヶ月契約、6000円、1年契約8000円のことで、それぞれの頭の数字(4、6、8)をとってそう呼んどるものや。

まあ、こういう呼び名があること自体、それが一般的やということやないのかな。

ただ、一般的やと言うても、当然やけど、すべての新聞拡張団に、それが当て嵌まるわけやない。

この業界は、それこそ千差万別、いろいろあるからな。

拡張員自体、フルコミ制というて、その拡張料とそれに付随するプレミアしか収入のない所もあれば、固定給制が導入されていて、ある一定のノルマ以上で歩合が多くなるシステムとでは、違うて当然や。

新聞社や地域によってもかなり違いが出る。また、拡張団それぞれのトップの考え方でも違いが大きいのが普通やさかいな。

一口に「拡張員の拡張料はこれだけや」と断言できる者は、この業界にはおらんと思う。

例え、そういう者がおったとしても、それは、自分の周りだけの極狭い範囲に限られた世界のことでしかないわけや。

まあ、あんたは、『一年でも4800円程度です』という拡張料が不満ということでもなさそうやからええが、もし、そういう気持ちになられたのなら、一言言うておく。

もっとも、以前、このサイトに拡張料について、他にええ所があったら教えてほしいという質問があったが、そのとき、その相談者に答えたのと同じものやけどな。

その部分を抜粋する。


あんたが、他の地域や団でのカード料を知りたいというのは何でやろう? それを知ることで、あんたのためになることが何かあるのかな。

それを一般社会で例えて言うなら、同業他社の給料を聞くようなもんやと思うんやけどな。それの多い、少ないを知ってどうするのやろか。

単価が安いということを知って、その値上げ交渉のための材料にするのかな。それとも、東京や大阪のような都会の方がカード料が高いという事を知って、そっちに鞍替えでも考えとるのかな。

いずれにしても、そういう単純な考え方からやったら悪いことは言わん。止めといた方がええ。どこに行っても同じや。何も変わらんし、ヘタしたらあんた自身がつぶれることにもなりかねん。

この世界は単価が良ければ稼げるというほど甘いもんやない。ワシも過去に拡張団を3社替わったが、その中で一番単価的に悪かった所が実質的には最も良う稼げたさかいな。

地域も都会やない。関西ではどちらかと言えば田舎とされる奈良や。新聞も扱った紙では力的には一番下やった。

拡張員が稼ぐのに報酬単価は一見関係ありそうに思うが、実質はそれほど影響はないもんや。

拡張員が稼げるかどうかというのは、カードが上げられるかどうかに尽きる。それには、いろんな要素がある。

その人間の営業力もそうやが、地域や各拡張団、入店する販売店なんかの条件で大きく違う。そういうのは、単価や金銭で計れることやない。

『東京や大阪ではもっと出している団があると聞きますが本当でしょうか』

すべてやないが、あることはある。しかし、そういう所は激戦区で拡張しにくいからということがある。

平均的なカード上げ枚数とカード料には相関関係がある。カードの平均上げ枚数の多い地域や拡張団ほど拡張料は安く、それに反する所ではカード料は高い傾向にある。

このサイトに寄せられた多くの情報をもとに、全国的な収益の比較をしたみた。

カード料×平均上げ枚数でその収入を計算したところ、カード料の低い地域の方が総収入が多いという結果が出た。これは、ワシの経験でも裏付けされたことや。

但し、それぞれ条件が微妙に違うから、絶対と言えるほどのデータやないかも知れんがな。

つまり、何が言いたいのかと言えば、カード料にはそれほどこだわる必要はないということや。

資本主義経済の原則には、需要と供給のバランスというのが必ず存在する。特に、長く続いとる職業ほどそれが言える。それを生業とする人間も、当然やがそれで生活せなあかん。

生活出来んような収入やとその職業自体の存続が危ぶまれるから、続いていくわけがない。

しかも、人が嫌がる仕事、やりたがらん仕事は特にそうや。新聞営業もそういう意味では、長期存続していながら嫌われる職業の部類に入る。

加えて、新聞営業は一般的な世間的評価も低い。特に制作サイドである新聞社との社会的地位と比べると販売に従事する側とでは、それが如実に表れとる。

1989年に公開された『社葬』という映画の冒頭に「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」というテロップが流れとったが、それが、すべてを物語っとるということや。

せやから、同じ訪問販売、セールス業界の中でも最悪やと言うてもええ。そういう仕事に従事するからには、それ相当のメリットがないと続けられん。

それ相当のメリットというのは報酬面や待遇面ということになる。この業界の謳い文句に「やれば稼げる」ということがある。

それが絵に描いた餅ではどうしようもないが、現実に高額の収入を得とる者もおる。あんたの周りにも一人や二人はおるはずや。

この仕事のメリットはどんな地域、条件であろうとそれが可能やということや。何度も言うが報酬単価の多い少ないやない。

あくまでも、その人間次第や。契約を上げる者が稼げ、上げられん者は稼げん。営業の世界とはそういうもんや。


ということや。これで、あんたにも単にカード料の高い安いにこだわる必要がないということが、分かって貰えたのやないかなと思う。

『ゲンさんから見れば、だいたい、どれくらい団長からピンハネされてると感じますか?』

拡張団のピンハネ率もいろいろや。それこそ、トップの考え方次第やからな。

ただ、これも、このサイトに寄せられてくる情報を総合的に判断すると、ピンハネ率は、30〜40%の間やろうと思う。

大体は、拡張員の貰うとる拡張料の1.5倍ほどが、新聞販売店こから拡張団に支払われとる額というのが多い。

それを、あんたの『一年でも4800円程度です』というのに当て嵌めれば、新聞販売店から拡張団に支払われる拡張料は、1年契約で7000円前後ということになる。

もちろん、これ以上ということもあるし、以下ということも考えられる。その確かなことは、それを知る立場にある当事者にしか分からんというのが正しい答えやと思う。

ワシに尋ねられても、推測の範囲でしか答えられんさかいな。まあ、当たらずとも遠からずとは思うがな。

これについて、あんたがどう思うかは自由やが、所詮、拡張の世界はピンハネ業界や。それを承知で続けるしかないやろ。嫌なら辞めるだけのことや。

その二者択一しかワシらには選択の余地はないさかいな。

あんたの『ゲンさんはキャッシュ打ちでもなく、団に所属されているみたいなので、よけいビックリしました』ということやけど、その「キャッシュ打ち」というのは、ワシらの方ではあまり聞き慣れん言い方やな。

「一匹オオカミ」とワシらが呼んどる拡張員のことを言うてるのかな。まあ、確かに、奴さんらは、その場で新聞販売店と直にカードの売買をしとるようやから、そういう言い方も理解はできるがな。

最後に、この業界は、本当にいろいろやさかい、あんたのところの情報もよければ、また教えてほしいと思う。


新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』書籍販売開始


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