新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.449 裁判にすべきでしょうか?
投稿者 T.T さん 投稿日時 2007.8.30 AM 0:23
ゲンさん、興味深く読ませていただきました。藁にもすがる思いで、検索していたところこのHPにたどり着くことができました。
唐突で申し訳ありませんが以下の相談にアドバイスいただけたら幸いです。
兄が、東京で某新聞の拡張員をしておりました。今では逃げるようにして別のところで仕事をしていますが、その拡張団から借金の返済が弟である私のところに請求されてきました。
その際、保証人が必要ということで私も保証人になったのですが、借金の明細を見てみると不良カードとか赤字計上とか販売店謝罪費用など、併せて約160万の請求が来ました。
知り合いの警察や弁護士にも相談したのですが、やむを得ず本人にも相談して、100万を指定口座に振り込みました。しかしながら、あと60万を支払うようにと執拗に請求してきます。
何のアポも取らずに突然家まで来て、その際の交通費なども計上されておりましたので、すべては払う必要はないだろうと判断したのですが残りの金額も払わなければならないでしょうか?
あるいは、裁判にすべきでしょうか? 弁護士は勧めますが…
難しい相談で申し訳ありませんが、お答えできる範囲内でご意見をお聞かせください。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
『裁判にすべきでしょうか?』というのは、相手もあることやからどうなるかは分からんが、弁護士を入れて対応した方がええのは確かや。
『何のアポも取らずに突然家まで来て、その際の交通費なども計上されておりました』というのは、まともな会社のやることやない。ヤクザか、たちの悪い金融屋の発想や。
一口に拡張団とは言うても、たいていは、れっきとした営業会社として法務局へ事業登録しとるはずやから、そんなヤクザまがいのやり方が許されるわけはない。
しかし、理由はともかくとして、お兄さんの保証人になった以上、その範囲内の責任を果たす必要があるやろうとは思う。
ただ、そうやからと言うて、何も一方的に請求されるままに支払う必要はないがな。
どの金を支払うべきか、支払う必要がないかは、やはり弁護士さんに判断して貰うた方がええやろうと思う。
また、そうすれば、相手は直接、あんたに話をすることはできんようになるから、今のような煩わしさも解消されるやろうしな。
その詳しい請求書を見て見んことには何とも言えんが、その請求額の減額は十分考えられるし、うまくいけば、先に支払った100万円のうち、幾らか返金して貰える可能性もあるのやないかと思う。
『不良カードとか赤字計上とか販売店謝罪費用など』というのは、この業界としては自然な請求やが、一般社会通念上、あるいは法律に照らしてとなると、かなり疑問符のつくことやさかいな。
『不良カード』というのは、結果的に客が購読せんかったという理由で無効になった契約のことや。販売店から買い取ることはできんと突き返されたものを通常そう呼ぶ。
その責任が、確実にお兄さんにあると実証され、それに対して団がすでにお兄さんに支払い済みの拡張料の返還だけを請求しとるというのなら、それなりに筋は通る。
しかし、たいていはそれに対してペナルティが上乗せされとる場合が多い。そのペナルティが正当なものかどうかという判断が必要になる。
このペナルティというのは、見せしめ的要素の強いものやから、拡張団の中には、かなり高額に設定されとる場合があるということや。
普通、それらは一括請求という形になっていて、その不良カード一枚一枚の請求理由というのは添付されとらんはずや。
弁護士さんなら、それの添付を要請できる。当たり前やが、それがなかったら、その請求が正しいかどうかの判断すらできんさかいな。
これは、あくまでもワシの憶測やが、中にはええ加減なものも含まれとるのやないかと思うで。少なくとも、弁護士さんならそれを念頭に対処するはずや。
『赤字計上』についても、同じようなことが言える。これも、一括請求やと思うがその明細の提出も必要や。
たいていは、拡張員個人の借金というのが多いが、その借金については、借用書もしくは、お兄さんがそれと認めた証拠が必要になる。
それが、なければ、でっち上げやと突っぱねることも可能や。もっとも、そんなことは弁護士さんなら百も承知されておられるやろうけどな。
『販売店謝罪費用』というのは、いかにも拡張団らしい発想やが、法的には払う必要はないのやないかと思う。
通常、拡張員が入店して営業行為をする場合、その販売店の社員証というのを携帯する決まりになっとる。
つまり、一時的には、そこの社員、従業員扱いとしてその販売店の営業エリア内で仕事をするわけや。
業者は、正当な業務においてその支配下使用人の行為によって引き起こされた不利益についての負担分を、その当人に請求できんことになっとるはずや。
会社が社員に「お前のおかげで契約を取り損なって1億円の損害を受けたからその弁償をしろ」と言うても認められんのと同じ理屈になる。
『販売店謝罪費用』というのは、あくまでも拡張団と販売店間の任意のやりとりで、それを拡張員個人に押しつけるのは筋が通らんことやと思う。
もっとも、実際に『販売店謝罪費用』というのが支払われとるどうかも怪しい限りやがな。
少なくともワシの知る限りでは、そういうのは聞いたことはない。不祥事を起こしたことについて団として「詫びを入れる」ということはあっても、金銭に換算してというのはなかったと記憶しとる。
ただ、この業界は広いし、いろんな慣習もそれぞれであるようやから、絶対にないとも言い切れんがな。
それを払う払わんは別にして、念のために、それについての領収書の添付は請求しといた方がええやろうな。当然やが、それがなければ拒否もできるわけやしな。
あんたは、現在、お兄さんとも連絡を取られておられるようやから、弁護士とも交えてそれらの請求を一緒に精査したら、かなり減額ができるのやないかと思う。
その辺の判断も弁護士さんに任せとったら大丈夫なはずや。
その拡張団と、その話し合いがまとまれば示談ということになるし、決裂すれば裁判ということになる。
何にしても、ややこしい相手に、素人さんが独自に対応してもええ結果にはならんと思うよ。
最後に老婆心ながら言うとく。
たいていの弁護士さんはあるゆる業種の専門家と懇意にしとるというケースは多いが、さすがにこの新聞勧誘、拡張の世界に精通しておられるという方は少ないはずや。
弁護士は法律のプロやからその点では安心やが、交渉となると、また別の要素が必要になる。
その道に長けとる方が何かと有利になると思うので、それに関して質問があれば、いつでも遠慮なく言うてくれたらええ。答えられる限りは答えるつもりやさかい。
『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』書籍販売開始