新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.450 団の移籍について
投稿者 Mさん 現役拡張員 投稿日時 2007.9. 2 AM 1:23
お久しぶりです。注文した本、読ませてもらいました。
第二弾が出ることを期待しています。
今回、団の移籍についてのことで、話を聞いてもらいたくてメールしました。
3年前ぐらいに、新しい団に移ろうとしたとき、辞めようと思っている団から、団移籍の妨害を受け、すごく腹ただしい思いをしました。
げんさんの見解を聞かせてもらいたいので、過去の話をさせてください。
ある団を辞めようと思い、ほかの団に面接に行きました。しかし、採用できないといわれました。それは、前の団が、登録をはずさないからということらしいのです。
面接に行った先の団の面接の担当が、近代化センターに問い合わせたところ、自分の登録ができない理由として、借金ありとして届けてあったことが原因だというのです。
借金なんか1円もないのに、とんでもないので前の団長に面接の担当の人に問い合わせてもらったら、自分が急に辞めて店に迷惑をかけ、団に損害をかけたのでということを、借金ありの原因にしたということでした。
僕は辞めるときは事前に団長に話もしたし、退団届けも出し円満に辞めたつもりだったのに、自分の団の選択の自由を、妨害するようなことまでされたことに今でも納得いきません。
過去の話ですが、こういうことはよくあることなのか教えてください。
ちなみに、辞めることを相談した後、1週間後ぐらいに、退団届けをだして、さらに1週間後ぐらいに、面接に行ったときの話です。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
本を買うて読んでくれたとのこと、ありがとう。おかげで、売れ行きの方も順調なようや。
質問の『過去の話ですが、こういうことはよくあることなのか教えてください』というあんたのようなケースはあまり聞いたことはないな。少なくとも、ワシの知る限りの団ではなかったと記憶しとる。
その団長のしたことは、明らかに労働基準法に抵触するはずや。何人も労働の選択の自由を侵すことはできんとされとる。例え、実際に借金があったとしても、そういう妨害行為は許されることやない。
労働基準監督署に訴え出れば、何らかのお咎めを受ける可能性は十分にある。
ただ、そういうええ加減な理由を届け出とったというのは問題やが、辞めて一週間程度やったら、近代化センターへの登録を変更、あるいは削除してないというのはあり得ることやと思う。
もちろん、近代化センターへは、所属せんとなったらすぐ登録の削除しとかなあかんがな。
普通は、忘れ、ルーズでという程度で済みそうなものやが、この場合は明らかに意図してそうしとるようやわな。
こういう同業他社への移籍妨害というのは何も拡張団に限ったことやなくて、世間一般の会社にも結構あることや。
大した実力もないどうでもええ社員というのなら、さほどでもないやろうが、そこそこできる社員のライバル他社への移籍というのは、経営者とすれば、たいていは苦々しく思うものや。
特に、拡張団のように営業会社でそれが顕著や。有能な営業員ほど移籍されることにより、かなりの損失になると考えやすい。できることなら、妨害してでもそれをくい止めるよう画策しようとすることも珍しいことやない。
ワシは昔、建築屋で長いこと営業しとったが、その頃にはそういう話は良う聞いたさかいな。
その業界で影響力の強い会社なら、そういう人間を雇いそうな会社へ圧力をかけるということもあるし、そこから人物評価についての問い合わせがあれば、わざと問題ありと返答するというのもある。
あんたにとっては、迷惑な話でも、団としてはあんたの実力を買うてたという場合もあるわけや。「目をかけとったのに」という気持ちの裏返しやな。
もっとも、拡張団の多くは秘密主義というのが多いから、他に行って団の内情を喋られても困るというのもあったかも知れん。
さらには、同じ地場エリア(拡張団の営業範囲)内への移籍やと現実的にカード(契約)の減少に直結すると考えるというのもある。
新聞販売店のケースやったら、同じようなエリアの他紙販売店へは、その地域の新聞販売店同士が協定を結び6ヶ月間程度の期間内の移籍を禁止しとる所もあるということや。
『NO.257 他紙販売店のアルバイト配達に移りたいのですが』の中で、そういうケースを取り上げとるので見て貰うたらええ。同じ新聞業界やから、共通した部分もあると思う。
これは、ワシの考えやから人に強制することやないが、参考までに聞いといてほしい。
ワシ自身、今までに拡張団を二度替わり、3つの団に所属した。
その都度、新聞社を変え、地域も離れた。一度目が京都のA紙。二度目は、大阪、奈良でのS紙。三度めは東海のY紙という具合や。
そうしたのは、ワシなりの信念、矜持があってのことや。ワシは人間が古いからかも知れんが、同じ地域で他紙他団に移籍することには抵抗があった。
別に取り立てて、世話になった恩義に報いるというほどのものは何もない。そうしたからというて、誰からも後ろ指さされる謂われがないのも承知しとる。
ただ、その地域では、まがりなりにも「○○新聞のゲン」で売ってきてたわけや。値打ちをつけるという意味やないが、どうしても同じ地域の同じ客に「△△新聞のゲン」とは言い辛いという気持ちになる。
団に対しての恩義というよりも、曲がりなりにも「○○新聞のゲン」として、めしを食わせて貰ったたという気持ちが強い。同じ地域で「△△新聞のゲン」と名乗ると、自分の存在そのものを否定することになるのやないかと考えたわけや。
もちろん、これはワシの勝手な思い込みかも知れんがな。それと、どこに行ってもやれるやろうという妙な自信があったというのも、そうした理由でもある。
せやから、ワシはあんたのような妨害めいたことをされた経験は一度もない。人知れず他国に行くという感じやさかいな。
あんたにとっては、許せんという気持ちやろうが、経営者からすれば、他団への移籍は「うちでめし食ってとって、後ろ足で砂をかけるんかい」という気持ちになる人間もおるということや。
もちろん、あんたの『僕は辞めるときは事前に団長に話もしたし、退団届けも出し円満に辞めたつもりだった』というのは、筋の通ったことやから、何ら問題になることやない。
しかし、ケツの穴の小さい人間は、少しでも不利な状況を招くと考えると、そういうしょうもない妨害行為に走る場合もあるということや。理解しろとは言わんが、そういう人間の存在は知ってた方がええと思う。
あんたは、そのときのことを思い出して「腹が立つ」ということになるのやろうが、所詮、その程度の器の人間のすることやと寛大な気持ちになれば、少なくとも精神的には、その団長より高みに登れると思うのやがな。
もっとも、ワシもそれは3年も経った今やからこそ、アドバイスできることで、これが今起きとることなら、迷わず、労働基準局へでも通報したらどうやと言うてるはずや。
それに、こういうことを考える人間というのは、当然やが、他にも法に触れることをしととるやろうから、追い込むのもさほど難しいとも思えんというのもあるしな。
ただ、そんな人間と争うても、あんたの人生において何のプラスにもならんとは思うけどな。結果として、現状で良かったのやないかな。
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