新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.460 地方紙の動向について
投稿者 新さん 投稿日時 2007.9.19 AM 0.02
私は結婚して所帯を構えて以来、ずっと地元の新聞を購読しております。他に変えるのが煩わしいし、地方紙特有の記事が必要なのです。
この十数年で一度だけ拡張員の人が来ました。たいへんだなと思って契約しましたが、その後、誰も来ないので3ヶ月で元の地方紙になり、そのままです。
なぜ拡張員の人が来ないのか。お金がありそうにない借家だからか。借家に不釣合いの我が愛車ベンツが止まっているのでやばいのが住んでいると思われているのか。ま、どちらにしてもセールスマンはあまり来ないのどかな所です。
助けてやろうと思うのか、宗教の勧誘はしょっちゅうですが。
そんなのんびりした土地柄ですが、最近聞いたところではこの地元紙、新社屋を建ててから販売店への押し紙が急に増えたとか。そんなことでインターネットを検索すると他県の地方紙も押し紙なんかで結構もめているみたいです。
元奨学生の私の感覚では地方紙は安定していて、拡張合戦もなく、手堅くやっている感じでしたが今はそうでもないのでしょうか。私が読んでいる地方紙に限定してお答えをいただくわけにもまいりませんので、ゲンさんのご存知の範囲で地方紙全般について教えていただければ幸いです。
ちなみに私が病気の疑いで新聞屋を追い出された時、いちばん親切だったのはK新聞の専業の人でした。「焦らなくてもいい。仕事を辞めても宿舎を出て行くのは猶予があるはずだ」なんて、角刈りの怖そうな専業さんが励ましてくれました。
そんなこともあって、地方紙の人ってぎすぎすしてなくていいなあ、なんて思っていたので気になりました。
回答者 ゲン
『この十数年で一度だけ拡張員の人が来ました』ということやけど、そういう地域もそれほど珍しいことでもない。
あんたの言う「拡張員」というのは、全国紙のということやと思うが、地方紙のシェアの強い地域では、全国紙とは言うても小規模販売店が多いのが普通や。
そういう所へは、月に1、2度、その拡張員が2、3人も入れば御の字という販売店はざらにある。少ない所やと、一人の拡張員が、3、4ヶ月、あるいは半年に1度というのも良う聞く話や。
そして、シェアの低い販売店ほど、販売部数に反比例するように広域な営業エリアを有しとるというケースがままある。当然やが、そういう所やと、入店の少ない拡張員と遭遇することの方が希や。
一般的な地方の全国紙の販売店でシェア10%程度の場合、1000部の実売部数があるとしたら、その地域には、10000世帯あるということになる。
そして、拡張員には現読拡張禁止の原則があるから、その内の購読者である1000世帯を引いた残り9000世帯が拡張の対象となる。
単純に計算して、一人の拡張員が1日に叩(訪問)けるのは、その拡張員の性質、地理的条件などにもよるが、平均して100軒程度のもんや。
一人で1ヶ月に1度、その9000軒をくまなく叩くとして、90ヶ月、7年半かかる計算になる。しかも、その日時、タイミング良くその家にいたとして遭遇できる確率で、勧誘に来たとき留守やったら、それでそのチャンスは消滅する。
加えて、同じ拡張員がその周期で廻るというのも、拡張員の定着率の低さからして考えにくいと思う。
せやから、『この十数年で一度だけ拡張員の人が来ました』という拡張員が何度か入店していたのやったら、あんたの家に再度来た可能性はある。
しかし、そうでなかったら、別の拡張員の訪問を受ける確率は、「砂漠の中の米一粒」とまでは言わんが、限りなく低いということになる。
それでも、その販売店が、勧誘に力を入れとる所やと、拡張員やなく、そこの従業員が勧誘に廻るから、訪問を受ける確率は高くなるやろうが、そうやなかったら、それもないということになる。
結果、『この十数年で一度だけ拡張員の人が来ました』ということになるわけや。
反対に、地方紙の拡張員との遭遇なら確率は増えることになるが、それも先に言うたように、拡張員の現読禁止の原則からすれば、その現読者であるあんたへの訪問はないということになる。
『なぜ拡張員の人が来ないのか。お金がありそうにない借家だからか』というのは、逆や。
一般的には、そういう家ほど拡張員の訪問は多い。この業界には「ガサ」と呼ばれる地域がある。賃貸の古い集合住宅の集まった地域をそう呼ぶ。拡張員が勝手に低所得者と思うとるような所やな。
そういう所なら、「拡材」と呼ばれる景品やサービス品でなびく客が多いはずやというのが拡張員の常識となっとる。せやから、一般的な拡張員ほど、そういう所への勧誘を好むから、訪問を受ける確率は上がりこそすれ、下がるということはない。
反対に、豪邸が建ち並ぶ住宅街には、そんなものは通用せんと勝手に思い込むために、拡張員が寄りつくことの方が少ない。
『借家に不釣合いの我が愛車ベンツが止まっているのでやばいのが住んでいると思われているのか』というのは、あるかも知れんな。気の弱い拡張員なら避けるやろうからな。
『そんなのんびりした土地柄ですが、最近聞いたところではこの地元紙、新社屋を建ててから販売店への押し紙が急に増えたとか』ということやが、それが事実やとしたら、えらく露骨な新聞社やな。
そんなことをして噂を立てとるようやと、週刊誌なんかの格好の標的にされかねんで。
『そんなことでインターネットを検索すると他県の地方紙も押し紙なんかで結構もめているみたいです』というのは、昔からあることで、この業界では、それほど珍しいことでもない。
多くの人は、そういう押し紙は全国紙にありがちやと思うとるようやけど、地方紙全体のシェアは、全国紙と匹敵するくらいあるのやから、同じような構図があっても不思議やないわな。
『元奨学生の私の感覚では地方紙は安定していて、拡張合戦もなく、手堅くやっている感じでしたが今はそうでもないのでしょうか』ということやが、これもあんたのイメージとしてはそうなのやろう。
しかし、実際には昔の方が地方の拡張合戦は酷かったという話は良く聞く。
むしろ、今の方が全体としては、そういう拡張合戦は少なくなっとるはずや。それでも皆無ということやないとは思うがな。
ただ、あんたが遭遇したというK新聞のやさしい従業員の方がおられたというのも事実やろうから、そういう経験をされれば、『地方紙の人ってぎすぎすしてなくていいなあ』と思われるのも無理もないことやけどな。
人は、誰でも自分の置かれた環境、経験で物事を考えやすいというのがある。もちろん、それが間違いやと言うてるわけやない。それも、一つの事実には違いないさかいな。
ワシのこれまでの経験から言うても、ええか悪いかの違いは、その販売店の経営者のものの考え方次第で決まると思う。
人情味のある販売店の経営者なら、店全体がそういう雰囲気になり、逆に情けのカケラもないような所は、評判の悪い販売店ということになりやすい。
それには、全国紙やから、地方紙やからというのは、あまり関係ないと思うがな。
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