新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.461 「NO.458 増紙に環境条件は加味されるものなのでしょうか?」について一言


投稿者 田舎帝王さん 元販売店従業員 投稿日時 2007.9.22 PM 0:19


NO.458 増紙に環境条件は加味されるものなのでしょうか?」の質問の中で、『人口減少地域がハンディを背負っていると思う』とありましたが、人口減少地域が不利で増加地域が有利ともいえない時代だと思います。

自分が働いていた販売店のエリアは全国で人口増加率1位を記録した地域でしたが、購読率は軒並み低下していました。

理由は今更書く必要も無いと思いますが、無読者層や外国人の増加が挙げられます。

人の流動の激しい地区になると、購読者が退去したあとに無読者が転入してくるケースがほとんどで、人口が増えているのに購読率が落ちるという最悪な状況を生んでいます。

先日、以前働いていた販売店の女将さんと話をする機会がありましたが、その時も「マンションが出来たが全て断られた」とため息をついていました。

「人口が増えているのに何で増えないんだ」と上からのプレッシャーが重いそうです。

「ネットに記事を流しておいて紙を増やせとは勝手すぎる」と憤慨していましたが、販売店の不満を黙殺し続ける事が新聞社自体に有益に働くとは思いません。

むしろ、減紙を容認する経営体制を新たなビジネスモデルに加えれば、販売店も大いに活性化すると思うのですが、ゲンさんはどう思われますか?


回答者 ゲン


『人口減少地域が不利で増加地域が有利ともいえない時代だと思います』というのは、特殊なケースに限っては、そのとおりやと思う。

最近5年間で『全国で人口増加率1位を記録した地域』というのは愛知県のことやと思うが、これは経済的な問題が大きく影響してそうなっとることや。

現在、愛知県を中心とした東海が好景気やと言われとる背景には、自動車産業や電気機械産業の好調さがある。

周知のとおり、日本の自動車産業や電気機械産業は、世界のトップクラスや。それらの企業の多くは海外へも拠点を数多く持っていて、それらの国々から多くの労働者が日本へ集まっとる。

日本人は、工場勤務などの仕事に従事するのを嫌がるという傾向にある。これは昔から俗に言われ続けてきた3K「きつい(kitsui)」「汚い(kitanai)」「危険(kiken)」の仕事やというのが根強いのやろうと思う。

そのためか、就職難と言われていたときでさえ、それらの工場では日本人労働者を確保するのには苦労をしてたという。

しかし、工場に労働力は欠かせん。その労働力を補うために、外国人に頼るのは仕方のないことやと思う。

もっとも、日本人労働者を雇うより、外国人労働者を雇う方がコスト減になるから、積極的にそうする企業もあるとは聞くがな。

そのため、そういう企業では日本人を雇うのでも、正社員よりコスト安な期間従業員を募集するケースも多いという。俗に「期間工」と呼ばれとるのがそうや。

おそらく、その比率も全国一のはずや。

いずれにしても、愛知県の人口増加率が高い理由の大半はそれらが大きく影響しとると思う。

一部の人を除いては、外国人が新聞を購読するというのは少ない。これは、実際、ワシ自身、この地域で拡張していたから良う分かる。

また、この地域の多くの販売店が、そういう外国人を「拡禁」に指定しとるということで、購読の対象外とされていたというのも大きい。

実際の人口が増えとるにも関わらず、それが購読増に反映されとらんというのは十分考えられる。

ただ、それは全国的な傾向やない。この愛知と良く似た状況にあるのは、他では関東の東京、神奈川辺りくらいなものや。

もっとも、その辺りの外国人の増加には、他のサービス業、風俗関係も多く含まれとるようやがな。

地方の過疎化の進む市町村では、やはり人口の減少は購読者数の減少に直結しとるのは間違いないと思われる。

反対に大都市周辺の一部のベッドタウンと呼ばれとる地域では、住宅の低価格化により人口の増加があり、それにつれて購読者数も伸びとるのは確かなようや。

ただ、この傾向は、名古屋という大都市を有しとる東海でも同様におきとることで、この「NO.458 増紙に環境条件は加味されるものなのでしょうか?」の質問をされた方も、実はあんたと同じ東海の人や。

そこで、『私の勤める販売店の地域では、人口が急激に増えた時期がありまして、その頃、本社から部数を伸ばしたことで、賞を取ったようでした』ということやから、あんたの言う『購読率は軒並み低下していました』ということでもないのやと思う。

もちろん、あんたのいた地域ではそうやろうが、その周辺には、また違った状況の所も存在してたということになるわけや。

『購読者が退去したあとに無読者が転入してくるケースがほとんど』というのは、ワシには良う分からん状況やな。

この表現やと、引っ越しをしてきた者は無読者が多いということになるが、実際に、そういう根っからの無読というのは、ワシの経験では1割もおらんと思うがな。やはり、引っ越し客は、この業界ではどこでも狙い目のはずや。

ただ、『先日、以前働いていた販売店の女将さんと話をする機会がありましたが、その時も「マンションが出来たが全て断られた」とため息をついていました』というのが、その入居者のすべてが無読者やったから新聞の購読を断られたというのなら、これは異常なことやと言うしかない。

そのマンションが若い独身者向けの賃貸で部屋数の少ない所や、短期滞在者専門のような所なら、たまたまそういうこともあるかも知れんが、分譲住宅などである程度、まとまった軒数のマンションやと、その状況はちょっと考えにくいな。

通常、そういう分譲住宅なら、その地域の他の販売店からも勧誘員が集まるはずや。そのすべてで同じように断られるというのもないやろう。

もし、そのとき、その販売店だけしか勧誘してなかったというのなら、他のことも考えられるがな。

一番、大きなのは出遅れたということや。

そのマンションの引っ越し開始日時の情報を掴み切れんかったら、当然のように他の販売店の後手を踏むことになる。

また、分譲マンションの場合、内覧というて、引っ越し以前に部屋の下見に来る日時が決まっとるというのがあるが、アンテナを伸ばしとる販売店は、いち早くそれを察知して、その日に勧誘するというケースもある。

それらの情報も知らなんだら「マンションが出来たが全て断られた」という状況もあり得るやろうと思う。

いずれにしても、そのマンションの全員が新聞を購読していないというのは考えられんし、そういうケースは知らん。

『「人口が増えているのに何で増えないんだ」と上からのプレッシャーが重いそうです』というのは、新聞社、特に販売部の担当員としては、そう言うやろうと思う。

新聞社の部数至上主義の考え方においては、増紙できんかったという事実だけが重要なことで、それに至る背景が考慮されることはない。

結果として、新聞社は部数が増えればええわけや。

必然的に担当者も「人口が増えている」という状況にあれば「何で増えないんだ」と言うしかないと思い込む。また、そう言うて追い込むようにとの上からの指示があるのかも知れんがな。

つまるところ、増紙できんかったという言い訳は一切、認めんられんということや。

『「ネットに記事を流しておいて紙を増やせとは勝手すぎる」と憤慨していましたが、販売店の不満を黙殺し続ける事が新聞社自体に有益に働くとは思いません』というのは、そのとおりやが、どこまでそれが新聞社に分かるかということやろうな。

現時点においては、その販売店のように不満に感じとる所が多いのは確かやと思う。

『減紙を容認する経営体制を新たなビジネスモデルに加えれば、販売店も大いに活性化すると思うのですが』については、それで販売店が活性化するかどうかは何とも言えんが、減紙はあるものとして考えていかな、これからはどうにもならんやろうな。

誰の目から見ても、明らかに部数至上主義の考え方は破綻しとるし、増紙を強制するという昔ながらの新聞社のやり方は時代錯誤の暴挙に等しいと言うしかない。

何でもそうやが、無理なことを要求したり強制したりしても、それで業績が向上することは絶対にないさかいな。

ヘタをすれば、不法行為や不良勧誘員を増やすだけやし、この業界に見切りをつける経営者も増えるのと違うかな。

ワシは、それらのことを危惧して警告の意味でも「部数至上主義の考え方を改めろ」と言うてるのやが、どこまで新聞社に分かって貰えるのかは、正直言うて良う分からん。

軌道修正の必要性に迫られとるのだけは確かやと思うが、新聞社が以前と変わらん姿勢のままやと、この業界に明るい未来はない。残念やけど、それだけは確かや。


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