新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.479 どのように対応したらよいでしょうか?
投稿者 Osaka さん 投稿日時 2007.10.29 PM 7:02
以下何とか新聞購読を妥当に解約したくご相談申し上げます。
先日妻が脳出血で入院、私も病院通い及び仕事で新聞を読む余裕もなく、新聞販売店に解約相談しました。
当初は解約不可を言われましたが、交渉中、それより約1ヶ月間以上新聞配達停止されてきました。
今日突然ポストに解約違約金請求書が投函されていました。
申し込みは平成17年2月〜平成22年1月と長期で妻が申し込みました。
当初ビール3ケースとスポーツ新聞サービス(毎土日)の毎月¥3950/月をこれまで払ってきました。
解約料・違約金明細書は申し込み当初から現在までのスポーツ紙サービス代¥1040X31ヶ月=¥32,240・当初ビール3ケースX\3150=¥9450・契約時のセールス派遣費¥5,330の計¥47,020です。
新聞公正競争規約でサービスは6ヶ月購読料の8%のはずです。セールス派遣は販売店が勝手に来たものとの判断で請求内容に納得いきません。
どのように対応したらよいでしょうか?
ご助言の程、よろしくお願いいたします。
回答者 ゲン
奥さんが脳出血で入院されたとのこと、ご心中お察しする。
そのご事情も良く分かるが、このケースでの契約解除は、あんたの方の自己都合ということになる。
解除するには、その販売店と話し合ってというのが一般的や。
販売店次第では、今回のようにペナルティとしての解約料・違約金の請求があるというのも珍しいことやない。
もちろん、その請求があったとしても、それを無条件で認める必要はないがな。折り合えるまで話し合ったらええ。話し合いとはそういうもんや。
ただ、今回、その販売店の請求のうち『申し込み当初から現在までのスポーツ紙サービス代¥1040X31ヶ月=¥32,240・当初ビール3ケースX\3150=¥9450』というのは、解約違約金という性質のものやないと思う。
これは、サービスの返還分と考えられる。
契約解除となった場合、民法に原状回復義務というのがある。お互い契約以前の状態に戻して、何もなかったことにしようという考え方や。
その際、その契約がなかった場合、本来受けることのなかった利益分は返還せなあかんということになる。これは、理解できると思う。
今回で言えば、スポーツ紙の無料サービス分とビール3ケース分というのがそれに当たる。
それらは、その契約を完遂することによって得られる特典やさかいな。キャンセルすれば、当然のことながらその特典は失われる。
普通に考えて、約束は守らんけど、受けたサービス分だけは貰うとくというのも、おかしな話やさかいな。
こういうケースでは、ビール3ケースのような物は、たいていの人が返さなあかんと思うのやが、スポーツ紙代なんかは納得できんという人が多い。新聞の一部という捉え方になるようや。
当たり前やが、そのスポーツ紙の仕入れ代金は、すでに販売店が該当の新聞社に支払って負担しとるわけや。その分を払うてもらわな損やという考えになる。
ビール3ケースについては、現金支払いが嫌な場合は、同じ商品を買うて返還というのも可能やが、スポーツ紙については、現物返還というのは不可能やと思うから、返すにはその分の対価でということにどうしてもなる。
ただ、あんたの場合は、平成17年2月〜平成22年1月ということで、延べ60ヶ月間の契約ということになり、そのうち、31ヶ月が購読済みということは、半分はすでに経過しとるということになる。
通常、こういう場合は、その返還分に関しても半分免除してくれと言えるし、たいていの販売店もそれを考慮するはずや。
当然のことながら、その販売店は、あんたに31ヶ月購読を続けて貰うたことで利益を得ているわけやからな。原状回復義務に照らしても、その利益分の返還があってしかるべきやとなる。
あんたの方だけ、原状回復義務をふりかざされたら堪らんわな。これについては、納得するまで交渉したらええと思う。
今回、純粋な解約違約金としての請求は、『契約時のセールス派遣費¥5,330』ということになる。
これは、残り29ヶ月分の契約を遂行してもらえんことによる販売店の損失を考えたら、それほど高いとは言えんと思う。どちらかというと、解約違約金の請求額としては安い方や。
もっとも、名目の『契約時のセールス派遣費』としての請求というのは、いただけんがな。実質はそうやろうが、あまりにも直截的すぎる。正直なのか思慮が足らんのか理解に苦しむところや。
あんたが『セールス派遣は販売店が勝手に来たものとの判断で請求内容に納得いきません』という気持ちも良く分かる。
せやから、これについても納得いくまで話し合ったらええ。
『新聞公正競争規約でサービスは6ヶ月購読料の8%のはずです』というのは、景品表示法のことを言うておられるのやと思うが、これは公正取引委員会が業者を取り締まるための法律で、売買契約に介入できる類のものやないと考える。
インターネット上では、これを取り上げて「不法行為による契約は無効」と主張される一部の法律家や識者と言われる方がおられるようやが、現実問題としてこれを持ち出してもあまり効果がないと思う。
効果があるとすれば、それを主張することで、相手の販売店がひるみ交渉のペースを握れることくらいや。もっとも、それを狙って主張するのなら、それも方法の一つやがな。
この景品表示法を運用しているのは、公正取引委員会やが、こと新聞業界の過剰景品については、この2年間ほどは摘発されとらんはずや。
この業界では、あんたに示した程度の過剰サービスと目されるものは、かなりの頻度で行われとると思われる。
全国に900名からの専属モニターを擁しとる公正取引委員会が、その事実を知らんというのは考えにくい。毎年、かなりの数、その手の報告が届いとるはずやさかいな。
あんたが、その販売店についてその過剰景品の事実を通報したとしても、おそらく摘発されることはないと思う。もっとも、絶対とまでは言い切れんがな。
ここからは、ワシの推測、予断の範疇になるが、現在、公正取引委員会は、新聞業界の景品過剰行為の摘発を意図して控えとるように思う。
もともと、公正取引委員会が、独占禁止法を制定した考え方として、自由な競争社会にするためというのがある。その意味で言えば、値引きやサービスは歓迎できることやとなる。
むしろ、それについては、新聞協会、新聞社の方がうるさいくらいや。公にも、その過剰景品付与というのは絶対に許さんという姿勢やさかいな。
あんたの言う『新聞公正競争規約でサービスは6ヶ月購読料の8%のはずです』というのは、業界で俗に言われとる「6・8ルール」のことやが、これは、新聞業界が自主的に決めたものを、公正取引委員会が認可して法律となっとるものや。
その法律が制定された当時、公正取引委員会の決めた他業種の景品付与の上限が取引価格の10%やのに、新聞業界は自主的に8%としとる。
加えて、今年の平成19年3月7日から、一般業種の景品付与(総付景品)が改正され、10%から20%に緩和されたということがある。
これからしても、公正取引委員会による景品付与の制限に関しては甘い姿勢が伺われる。
このことも、ここ2年間ほど、新聞業界が過剰景品の摘発を受けていない要因やないかと思う。
因みに、新聞業界は、公正取引委員会がその緩和の改正した後も、かたくなに「6・8ルール」を守っとるのが現状や。
違反は摘発されて違法行為と認定される。それを緩和する方向にある公正取引委員会が果たして、あんたの指摘を違法行為として摘発するかということになる。
絶対にないとも言い切れんが、摘発される確率は限りなく低いというのがワシの見方や。
その法律が有名無実とまでは言わんがな。
現実問題として、このケースやと「不法行為による契約は無効」と主張するには無理があると思う。
違法性ありと思われるものが、必ずしも違法やとは断定できんさかいな。
あんたもすでに分かっておられると思うが、人が約束したことは、守るのが人の道や。
それが守れんようになった場合は、その約束を果たす条件のもとに貰ったものは返すのが道理やと思う。
それを『新聞公正競争規約でサービスは6ヶ月購読料の8%のはずです』というのを持ち出すのは、ワシからすれば、販売店の請求を支払いたくないための言い逃れの材料に聞こえる。
きつすぎるかも知れんがな。
もっとも、これは、アドバイスを求められたことによる一環での回答やから、あんたが納得できん場合は、それに従う必要はない。
アドバイスというのは、あくまでも参考として聞くべきものやさかいな。それに従うことやない。
結論として、あんたが納得すれば、ワシの示したラインでその販売店と交渉したらええし、納得できん場合は、一切を拒否するという選択肢もある。
その場合は、その販売店と揉めることになるが、それはやむを得ないと思う。
最終的には、その販売店が、あんたからその支払いを受けるには、損害賠償訴訟を起こすしか道はないということになる。嫌やと言う者から、強引に金を支払わせることはできんさかいな。
いずれを選択されるかは、ご自身で決めていただきたいと思う。
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