新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.483 リタリンについてHP上で記事にしていただけないでしょうか?
投稿者 匿名希望さん 投稿日時 2007.11.06. AM 10:58
ゲンさん、ハカセさんこんにちは。いつも大変お世話になっております。
おかげさまで、会社を円満退社することができ、現在勉強に勤しんでおります。
ところで、私は長らく精神的な病に悩んでおり、7年前にある薬を処方されて以来、正常な生活を営めるようになっているのですが、最近マスコミに過剰報道(バッシング)されたのがきっかけで厚生労働省が今月から処方を禁止したと昨日クリニックに行って知りました。
その薬とは「リタリン」という薬です。リタリンのおかげで私は布団から出られない所謂ひきこもりの状態から脱し、就職・結婚もでき、人生が楽しいと思えるようになったのです。
私は7年間も特に副作用もなく用法用量を守って安全に使用していたので、マスコミがリタリン=覚せい剤というような報道をしていることや、テレビで偏見に満ちたコメントをしているタレントに憤りを覚えました。
マスコミがリタリン=覚せい剤という報道や乱用者ばかりを取り上げて徹底的に叩いたせいで、正しく処方し、ようやく人並みの生活を取り戻せた私と同じような立場の人が切り捨てられようとしています。
そこで、ゲンさんとハカセさんにお願いなのですが、このことを多くの人に知ってもらうために、HP上の記事にしていただけないでしょうか?
私も夫以外にはカミングアウト(告白)しておりませんし、世間の偏見に、当事者が声を上げることの難しさを実感しております。
また、薬の名前を出すとゲンさんもハカセさんも偏見を持たれる可能性がありますので、そこは伏せていただければと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
回答者 ゲン
そうか、あんたが会社内の対人関係で悩んでおられたのは、そういうことがあったのか。
リタリンというのは、今まで、うつ病の治療薬の一つとして長く使われていたようやな。
それが『厚生労働省が今月から処方を禁止したと昨日クリニックに行って知りました』ということで、困っておられるわけや。
ワシは、正直言うて、うつ病になった経験もないし、その薬の知識もない。また、それが禁止になったという経緯も知らん。
ワシの信念というか、姿勢の一つとして、あまり知らんことには多くを語るつもりがない、また語るべきやないというのがある。
ただ、こと薬に関しては、ハカセも長年苦労しとるから、あんたの気持ちは良う分かると言うてた。他人事やないともな。
その薬が何であれ、それなしでは生活もままならんほど重要なものが、ある日、突然、「お上からの達しで処方できません」と言われたら誰でも「そらないで」と思うさかいな。
病人にとって薬は、命そのものを左右しかねん大切なものや。当然やが、それを切るからには、それ相当の理由がなかったらあかん。
『そこで、ゲンさんとハカセさんにお願いなのですが、このことを多くの人に知ってもらうために、HP上の記事にしていただけないでしょうか?』というのは、長くサイトを懇意にしてくれとるあんたの頼みやから、そうするのは別に構わん。
しかし、何度も言うように、この件に関しては、ワシは良う分からんというのが本音やさかい、大したコメントもできんから、それは承知しておいてほしい。
ただ、今回のこのリタリンについて厚生労働省が今月から処方を禁止した事態には、HP上で賛否両論渦巻いているというのは分かった。
今から、その両方の意見を取り上げて紹介したいと思う。
『最近マスコミに過剰報道(バッシング)された』というマスコミとは、調べる限り主に、全国紙のM紙のようや。加えて、系列のテレビ局もな。
他紙には、そのM紙ほどのリタリン追放キャンペーンというほどの報道はあまり見当たらんかった。
普通、何かのバッシングというのは、すべてと言うてええほどの新聞各紙やテレビ局で報道が展開されるもんやが、この件に限り、そのM紙のみが中心となっているのは、正直、ワシにとっては解せんことやと思う。
まあ、それはともかく、まずはそのM紙の記事から抜粋して紹介する。
リタリン製造元、うつ病を適応症除外へ 乱用に歯止め
依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用が広がっている問題で、製造・販売元の「ノバルティスファーマ」(東京都港区)が、適応症から難治性・遷延性うつ病を削除する方向で検討していることが分かった。
リタリンは覚せい剤と似た効果があり乱用による依存者の急増が明らかになっている。
ノバルティス社は関係学会や厚生労働省の了解が得られ次第、同省薬事・食品衛生審議会に自主的に削除を申請する方針。
うつ病への処方の全面禁止は乱用への大きな歯止めとなりそうだ。 リタリンは中枢神経興奮剤「塩酸メチルフェニデート」の商品名。
1958年の販売開始以来、軽いうつ病に使われていたが、爽快(そうかい)感や多幸感が得られたり、食欲抑制効果があるため、若者を中心に乱用が社会問題化。
旧厚生省は98年、通常の抗うつ薬では効果が不十分な難治性・遷延性うつ病に適応症を限定した。
しかし、インターネットの普及などで十分な診察もせずにリタリンを処方する医療機関の情報が簡単に手に入るようになったことを背景に、その後も乱用者が急増。適応症のない患者が掛け持ち受診して大量に入手したり、違法に売買するケースが後を絶たなかった。
また、国立精神・神経センター(東京都小平市)の調査で、リタリンを乱用して依存症などの副作用で入・通院したケースが06年度、精神科病床を持つ全国の医療施設で15例に上り、2年前の約2倍になったことが明らかになっていた。
関係者によると、ノバルティス社は乱用に歯止めがかからない現状を重視。
検討した結果(1)現在の科学水準に照らし、うつ病に効果があるとの十分な根拠が得られていない
(2)他に効き目がある抗うつ薬が多数販売されているとして、適応症からうつ病を除外しても問題はないと判断した。すでに厚労省や精神疾患関連の学会と協議に入っている。
うつ病が削除されれば、リタリンの適応症は「ナルコレプシー」(睡眠障害)だけとなる。
この病気の患者は国内で約20万人程度と推計され、診断も脳波などの厳格な検査が必要なため、医療関係者は「うつ病を適応症から外せばリタリンの乱用は激減する」と期待している。【精神医療取材班】
次に、ネット上で見つけた、リタリン肯定派のブログ記事の抜粋を紹介する。
リタリンで生きられる患者がいる
前文略
最近、この薬の製造元である製薬会社、ノバルティスファーマは、うつ病への適用除外を検討中との報道があった。なぜ、製薬会社はこのような措置をとろうとするのだろうか。
推測するに、「M新聞」のリタリンのバッシングキャンペーンである。この記事には、問題が多々ある。最も大きいのは、リタリンにより、救われた人のことを取り上げずに、中毒になり遊びに使っていた人を取材対象として選んでいることである。
救われている多くの人にスポットを当てる必要がある。100人の患者がいたとする。遊びに使っている人数は、0.5人ぐらいではなかろうか。いや、もっと少ないと私は思う。ADHD(注意欠陥多動性障害)や、ナルコレプシー(睡眠障害)を含めればもっと真面目な患者はいるはずだ。
なのに、「リタリン」を悪者にするためだけに、2本の「M新聞」の記事(9月18日、9月22日朝刊)は作られている。偏向報道であり、ある意味、精神病患者への差別ともいえる内容である。
心の病に薬を飲む、という考えは普通に暮らしている人間にとっては、なにか怖いものもあるかもしれない。
しかし、明日自殺しようと考えることを、思いとどまらせることができるのは、肉親と心を落ち着かせる薬だけである。リタリンは、家から出られずに、社会と関わりたいのに関われないという人間にとっての、神様からのプレゼントなのである。
ノバルティスファーマが、難治性鬱病患者を適応外とした理由は簡単である。「怖い」のだ。マスコミにたたかれたのが怖いのだ。
組織を守るためには、それを必要としている人間がいようとも、あえて外すしかないのだ。心の病というのは、見えにくい。横綱朝青龍も、安倍前首相も悩んでいるが、そのことをわかる人間は本人だけ。マスコミは、仮病だと騒ぎ立ててバッシングする。
うつ病も薬を飲んでいれば、ある程度は、健常者として暮らしていくことができる。わからないのだ、みんなから。私のように、カミングアウトできればいいのであろうが、社会の目があり、そのようなことができる人は少数であろう。そのような人たちは薬を飲み、うつの病が過ぎていくことを待つのである。その待つために必要なのが、リタリンであった。
必要なのです、リタリンは。
リタリンを覚せい剤代わりに、乱用している者は、摘発してもかまいません。ネットで売りさばいている奴らも、摘発してかまいません。
でも、病院で、きちんと処方される人には、きちんといままで通りに、生きる期間をください。リタリンがなくなれば、自殺者が増えます。社会に適応できず、社会全体からイジメを受けて死んでいくことでしょう。
苦しめないでください、もう。
助けてください、私たちを。
だから……乱用者を摘発し、正しい患者を、救い続けてください。
事実、リタリンにより、自殺することなく生きていられる人間からの言葉です。
この問題について何も知らんワシにとっては、新聞記事にも、そうかと思わせるのがあるし、ブログ記事からは切実な訴えが良う伝わってくる。
双方の主張の展開は、これだけに止まらず、他にも多くの記事、意見が存在する。ここで、取り上げたのは、あくまでもその代表的なものやと思うてもらえればええ。
ワシには、正直言うて、どちらがどうとは言えんが、はっきりしとることもある。
ワシは、常日頃から、すべてのことにはええ面と悪い面の両方が混在すると言うてきた。また、それだけは絶対の真理やと信じとる。
例えば、核は大量殺戮兵器としての核爆弾を生み出すが、同時に原子力発電などの平和利用としても使われる。
自動車は、日本では毎年、1万人前後もの人の命を奪っている凶器ともなるが、反面、生活にこれほど貢献しとる乗り物も他にない。
酒やたばこも人体には良うないと誰もが知っとるが、嗜好品として多くの人が愛用しとる。
悪い面だけが目立つ麻薬にしても、医療には欠かせん薬になるのも事実や。
包丁に至っては、誰もが料理になくてはならんものやと思うとるが、ときとして人の命を奪う凶器になる場合もある。
つまり、それを人がどう扱うかで、まったく同じ物であっても、人の役に立ったり、あるいは人に害する物になったりするということや。
それに例外はないと思う。
それと同じで、リタリンという薬にも功罪があるはずや。
人は、何かを判断する場合、往々にして一方からだけの視点で答えを出すことが多いように思う。立場の違いと言うてもええ。
危険なものは確かに制限が必要やろうが、それを必要としとる人がいる限りは、その門戸を閉ざすようなことはすべきやないと思う。
それからすれば、ワシ個人としては、ブログにあった『病院で、きちんと処方される人には、きちんといままで通りに』という言葉に共感できる。
当たり前のことやが、どんな物でも危険なものにすぐ変貌するわけや。せやから、その危険な物と思えるものの規制より、危険な物として使う人間を厳しく監視する方が先やろうと考えるがな。
少なくとも、それがなくなることで明日の命を脅かされるという人を生み出すべきやないと思う。
薬は医師の扱う分野なのやから、その医師に任せるのが本来、あるべき姿やないやろうか。
そのリタリンが、ええか悪いかは分からんでも、その程度のことはワシでも分かる。
『また、薬の名前を出すとゲンさんもハカセさんも偏見を持たれる可能性がありますので、そこは伏せていただければと思います』というのは、気の使いすぎや。
その薬の名前を出したからというて、誰もそんな目で見ることはないはずや。まあ、あっても気にはせんがな。
それに、そんな偏見で見られることを気にするようなら、最初からワシらは、こんな拡張員の話だけのサイトなんかやってへんで。
こういうサイトをやってることの方が、よっぽど偏見に満ちた目で見られとるのと違うやろか。
最後に、もう一度。これを見られておられる読者の方で意見や感想があれば、是非、教えて頂きたいと思う。
追記 意見
感想です
投稿者 Jさん 投稿日時 2007.11.10 PM 8:44
今週のメルマガで、新聞が急激に衰退しはじめているとの報告がありましたが、そうはいっても新聞社の存在感は、叩かれる方から見たら、実に強大な存在でしょう。(どんな一流企業でも、「新聞社に狙われる」というのは、ゲンさんが言われたように、相当の恐怖だろうと思います。)
言い古された言葉に「ペンは剣よりも強し」という格言みたいなものがあります。
その相手が権力や大企業ならまだしも、結果として、病人や社会的弱者を苦しめる結果になるような記事であったなら、それは、新聞による暴力に他ならないと思います。
報道機関、とりわけ新聞やテレビは、それだけ重い責任を持っているのだということを肝に銘じながら仕事をして欲しいと思いますね。
追加情報
リタリン回収、ノバルティスは関与を否定
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中