新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.486 新聞の契約解除について


投稿者 タカシさん 投稿日時 2007.11.19. AM 4:05


初めまして。タカシと申します。

新聞の契約で困っているところ、このサイトを見つけメールしました

私は今年の5月頃新聞勧誘がきて、商品券をあげるし、いつでも解約できるから来年の4月から一年間分契約してくれと言われ、契約してしまいました。

契約書には名前と電話番号しか書いておらず住所や契約日は未記入なのですが、商品券はすでに使ってしまいました。

こういった場合、解約はできるのでしょうか?

アドバイスをお願いします。


回答者 ゲン


解約を強行したいのか、穏便にしたいのかによってアドバイスは違ってくる。

あんたの場合は、いずれを選択しても微妙なところがあるように思うたから、初めにそう断ったわけや。

まず、強行策からや。

契約解除をするには、相手の違法性、落ち度を突くのが一番、手っ取り早い。

『契約書には名前と電話番号しか書いておらず』ということやけど、それを書いたのが、その勧誘員ということなら、あんたの筆跡とは違うわけやから『無効や』と言える。

この場合は、法律でもそう認められるはずや。

契約書は、契約者本人の自署というのが基本やさかいな。他人が代筆することは、よほどの事情以外認められることはない。その本人が知らんと言えばそれまでになる。

当たり前やわな。こんなことが認められるのなら、そこらの人間の名前を勝手に書き込めば契約したことになってしまうさかいな。

勧誘員によれば「頼まれたから書いた」あるいは「あんたの了解で書いた」と言う者もおるかも知れんが、それは、あくまでも当事者であるあんたがそう認めた場合のみ有効なことで、否定すれば、それは通用せんことや。

ヘタをすると、刑法第159条の私文書偽造罪に問われるからな。勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄する行為のことや。

3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという罰則規定がある。思うほど軽い罪やない。

販売店も、そんな契約書を認めることはまずなく、勧誘員が代筆したと知れば「まことにすみませんでした」と謝罪する所が多いと思う。

販売店が認めん場合でも、新聞社に言えば、それで終わる可能性が大きい。新聞社もそんな契約を擁護することはできんから、その販売店にきつく注意、指導するはずやさかいな。

そうやなく、あんたが署名したという場合は、基本的には、その契約書の内容を認めたということになり、有効になる。

『住所の未記入』というのは、本来、あんたが書くべきところやから、それがないというだけで、相手の落ち度を問うことはできんと思う。

例え住所の記入がなくても、あんたやと分かって、配達場所さえ間違わんかったらええわけや。

問題は、契約日の未記入という点やな。これは、勧誘員が記入しとかなあかんものや。

通常、この契約日の未記入は契約書として認められにくい。特に訪問販売の場合はな。

クーリング・オフ制度というのは知っておられると思う。契約日から8日間以内に文書での通知をすれば、無条件に解約できるというものや。

その契約日の記載がないというのは、クーリング・オフの明確な日が特定できんということになる。つまり、それは、クーリング・オフの説明をしてないということを意味するさかいな。

「特定商取引に関する法律」の第9条に「訪問販売における契約の申込みの撤回等」というのがある。これがクーリング・オフのことやが、これには業者が契約者に、そのことを告知する義務を定めている。

契約日の記載なしに、そのクーリング・オフの告知をしたとは言えんから、その告知義務違反に問われても仕方ないわけや。

つまり、それをもって契約の解除を申し入れることも可能やということになる。

逆に、その契約日の記載さえあれば、特に口頭でそのクーリング・オフの説明をしていなくても、たいていの新聞購読契約書の裏面には赤字で「クーリング・オフのお知らせ」というのがあるはずやから、それをもって告知したと判断されるがな。

通常、この契約日の記載のない契約書を認める販売店はまず考えられん。せやから、その契約を持ち帰った勧誘員は、店へ提出する契約書には、その契約日を記載しとる可能性が高いと思う。

もっとも、単に記載忘れということもあるが、その場合やったら、販売店からそう指摘されて、再度、その契約日の記載に、あんたの所まで来るはずやと思う。ワシの知る限り、そうやった。

契約日の記載というのは、それだけ重要なものという認識の販売店が、ほとんどやさかいな。

それがないというのは、意図的にあんたの方の契約書だけ、その契約日を書いてないと判断した方が良さそうやな。

しかし、意図してそうする勧誘員は、それで、クーリング・オフ逃れを目論んだつもりやろうが、それはあまりにも稚拙な行為としか言いようがない。

契約書とは、双方同じ内容のものを持つという民法の大原則がある。

一方に、契約日の記載がなく、一方にその記載があるというのでは、その原則に反する。

加えて、クーリング・オフの告知義務違反にも問われるとなれば、その勧誘員の行為は販売店にとっては最悪ということになる。

それだけの落ち度を伝えれば「仕方ありませんね」と折れて契約解除に応じる可能性はあると思う。

ただ、その一方で納得できんという販売店もあるかも知れんがな。

多くの販売店では、契約を貰うたその日に「お礼の電話」というのをする。これは、監査と言うて、その契約が正しいかどうか確認するためにするものや。

「本日は、ご契約頂き、まことにありがとうございました。ご確認ですが、2008年の4月から1年契約ということでよろしいでしょうか」という電話連絡が入っていたのやないかな。

そのとき、あんたが「それに間違いありません」と言うてたら、単に「契約日の記載がないから」という理由で契約破棄を要求をすれば「その日に確認したはずでしょ。今になってそれは認められませんよ」と、その販売店が反論した場合、理屈とすれば通ることになる。

もちろん、何も連絡がなければ関係ない話やがな。

『いつでも解約できるから』と言われたというのも、契約書にそう書いてなければ、言うた言わんの水掛け論になる。まあ、契約書にそんなアホなことを書く勧誘員もおらんがな。

ワシらやったら、そういうことを言う勧誘員もおるというのは知っとるが、第三者から見た場合、その証拠がない限り、その確かな判断はできんことやからな。揉めた場合は不利になる。

強行策を取るのなら、その販売店次第では揉めるケースも考えに入れてなあかんということになる。

穏便に済ますという手もある。

あんたの解約したいという理由がもう一つ分かりにくいけど、クーリング・オフの期間をすぎての解約は、よほどのことがない限り、自己事由ということになる。

その場合は、販売店と話し合いで解決するしか手はない。簡単に解約を承諾する所もあれば、解約違約金というのを請求するケースもある。

これも、相手の販売店の出方次第やが、穏便に済ますつもりなら、その話し合いをするしかないと思う。

『商品券をあげるし、いつでも解約できるから来年の4月から一年間分契約してくれと言われ、契約してしまいました』というのを、いつでも解約でき、しかも、その商品券はタダ貰いになると考えて契約したと言うのなら大変な間違いやとしか言えん。

どういう形にせよ、解約となったら、契約することを条件に貰った物、この場合は商品券になるが、それは返さなあかんことになるさかいな。

民法545条に原状回復義務というのがある。解約した場合、双方をその契約前の何もない状態に戻そうという考え方や。

解約するということは、契約という約束事が守られんと言うてるのやから、それを条件に貰った物は、返すのが当然やと思う。それを受け取る正当性が、あんたには何もないのやからな。

『商品券はすでに使ってしまいました』ということなら、同じ物を買って返すか、現金でということになる。

それが、返せないのなら、その契約どおり新聞を購読するのが筋やと考えるがな。

自ら署名したのなら、それなりの責任を負うことになるのが契約というものやと知ってほしい。新聞購読契約に限らず、すべての契約に共通して言えることやさかいな。

それらのことを良く考えられた上で、強攻策か穏便策での解約、あるいはこのまま契約を続行するかのいずれを選択するか決められたらええと思う。


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