新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.489 新聞の無料サービスは景品?


投稿者 Jさん  投稿日時 2007.11.24 PM 0:36


NO.487 販売店の言うとおりにしなければいけませんか?』の回答の中に、次のフレーズがあります。


それで計算すると、あんたの場合、渡せる景品の上限は、1884円にしかならん。

それを、1年の無料サービス分、2万円の商品券、10キロの米となると、単純に計算しても、実に7万円ほどにもなる。

これは、大幅な違法行為ということになる。


商品の値引きは、景品表示法上では、「景品」には当たらないことは、ご存じかと思います。

そして新聞契約は、通常、複数年契約を一括りにして1契約と捉えているはずなので、たとえ初年度の新聞代を集金しなくとも、全体として見れば、やはり、「値引き」(今回の相談の場合では20%引)に当たるので、景品ではないと考えられないでしょうか?

私の認識間違いであったなら、お詫びいたしますが、ご確認していただけましたら幸いです。

参考

独占禁止法の法律相談.com 


回答者 ゲン


あんたの言われるとおり、商品の値引きは、原則として景品表示法上の「景品」には当たらない。

そして、新聞の無料サービスは実質的な値引き行為に相当するのも間違いのないことや。

しかし、この景品表示法には例外規定がある。

あんたの示した参考ページの中にも、それは言及されている。


景品及び表示に関わる問題


値引(対価の減額又は割戻し)は、原則として、景品類には該当しません。また、同一商品又は役務の提供も「値引」と同一の扱いを受けることになりますが、これらの場合であっても、次のいずれかに該当するものについては、景品類に該当するものとされています。

すなわち、対価の減額又は割戻しであっても、
@ 懸賞による場合(減額・割戻しを当該商品又は役務の購入者の中から抽選やクイズなど「懸賞」により提供する場合)
A 減額・割り戻した金銭の使途を制限する場合
B 同一の企画において減額・割戻しと景品類の提供を併せて行う場合


というのがあるが、この中の『B 同一の企画において減額・割戻しと景品類の提供を併せて行う場合』というのが、その例外規定ということになる。

この裏付けとして、HP公正取引委員会の中に、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準 というのがある。

その『1 告示第一項の「景品類の提供に係る取引の価額」について』の(5)同一の取引に附随して二以上の景品類提供が行われる場合について、の中に、『ア 同一の事業者が行う場合は、別々の企画によるときであっても、これらを合算した額の景品類を提供したことになる』とあるのがそれや。

これを、新聞の場合に当て嵌めて、分かりやすく解説すると、無料サービスの値引きと景品の両方を同時に行うと、すべて景品として扱われるということになるわけや。

もっと言えば、値引きと景品のいずれがええかを選択させるだけでも、公正取引委員会の判断では、その両方が景品扱いということになる。

実は、このことについては、当サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第1章 新聞営業の基本的な考え方 法律・規則編 その5 景品表示法についての考え方』の中でも言うてたことや。


無代紙というのがある。この法律で使う用語や。ワシらは単にS(エス)と呼んどる。サービスの新聞代のことや。

例えば、1年契約で3ヶ月の新聞代が無料というやつや。これは、何のお咎めもない。景品扱いにはならん。値引きと同じ扱いとなる。値引きはこの法律の規制の対象にならんということや。

但し、ここが法律のややこしい所なんやが、勧誘員がこの無代紙と景品の両方を提示し、客がこの無代紙のサービスの方を選ぶと、景品表示法の規制にかかる。

併用も同じことや。例えば、無代紙のサービスに洗剤を1箱でも付けたら、この法律の規制対象になるということや。何やペテンのような法律やが、決まりならしゃあない。

こういうことがあるから、拡張員もせめて勧誘や拡張に関する法律くらいは知っておかなあかんということや。世の中、悪気はのうても知らんがために犯す法律違反ちゅうのは結構あるからな。


とな。因みにこの記述は3年前からそのままや。

この理屈で言うと『NO.487 販売店の言うとおりにしなければいけませんか?』の中での『1年の無料サービス分、2万円の商品券、10キロの米』はすべて景品と判断され『単純に計算しても、実に7万円ほどにもなる』ということになるわけや。

これに関しては、ワシも『何やペテンのような法律や』と言うてたとおり、ややこしく分かりにくいさかい、あんたに限らず、新聞販売店の経営者の方でも、この景品表示法を誤解されておられる人は多いがな。

無料サービスだけなら、景品扱いにならんから違反にはならんてな具合に考えとる販売店の経営者の方もおられる。サービスはそれだけやという所も結構、多いしな。

なるほど、無料サービスは、値引きということになるから、それだけしかない場合は景品表示法の対象にはならんが、新聞業界では、それも違反行為ということになる。

知ってのとおり、新聞は、独禁法の適用外である再販制度の指定業種になっとる。それに関連したものに、新聞業における特定の不公平な取引方法(特殊指定)というのがある。

去年、大騒ぎして、このサイトでもアンケートを取ったし、あんたもそれに快く協力してくれたから、覚えておられると思う。

その特殊指定の禁止事項、第2項に、『新聞の個別配達をする販売業者(新聞販売店)が、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』というのがある。

これに違反すれば、特殊指定の見直しに発展し、再販制度そのものが危うくなりかねんから、新聞業界とすれば、景品表示法より、むしろ、こちらの方が驚異なわけや。

去年、2006年6月には、結局、政治決着による見直しの先送りということになったが、いつ、この問題が再燃してもおかしくない状態にあると言える。

まだ、今は不確定情報ながら、2010年には再度、その議題が持ち上がるのは、ほぼ間違いないという話も漏れ聞こえてきとるさかいな。

そのときになって、今回と同じような政治決着になるという保証はどこにもないわけや。

それに関わった人間自体、すでに高齢やし、その頃に同じような影響力を備えとるかどうかは怪しいわな。

政府も今の与党がそのまま続いとるというのも、情勢的にも難しいと思われる。政府が変われば、その行政機関で内閣府の外局という位置づけになる公正取引委員会の方針も変わる可能性もあるやろうしな。

せやから、どう転ぶか分からんというのが、正しい見方やと思う。

そういうこともあり、新聞各紙は、今まで、ほぼ容認、黙認してきた感のある無料サービスについては、これから徹底したメスが入るものと思われる。

もともと、新聞社は、公式には、実質的に値引きとなる無料サービスは認めとらんのやからな。その気になって取り締まろうと思えば、いつでもできるわけや。

あんたの『新聞契約は、通常、複数年契約を一括りにして1契約と捉えているはずなので』という解釈には、若干、誤解があると思う。

確かに、契約は、1年契約であろうと、5年契約であろうと、一つの契約に変わりはないし、全体として見るという、あんたの考え方にも一理ある。

また、普通に考えて、1年契約より、5年契約の方がサービスが良くて当たり前という気にもなるさかいな。

しかし、景品表示法の『新聞業における景品類の提供に関する事項の制限』 には、特別の規定が設けられ、それが認められてないわけや。

その第3項『懸賞によらないで提供する景品類にあっては、次に掲げる範囲』の『イ 景品類の提供に係る取引の価額の100分の8又は6か月分の購読料金の100分の8のいずれか低い金額の範囲』とあるのがそれや。

これが、業界で俗に「6・8ルール」と呼ばれとるものや。

これによると、どんなに長い契約でも6ヶ月以上は、すべて同じ景品サービスやなかったらあかんということになる。

全国紙の一般のセット版の購読料は3925円やから、6ヶ月で23550円ということになり、その8%の1884円が景品として渡せる上限ということになる。

それ以上は、すべて違反になるということや。

もっとも、新聞各社により若干、その新聞代に差があるから、多少の違いはあるがな。いずれにしても、6ヶ月の購読料の8%が、渡せる景品の上限ということや。

長期契約を取るか取らんかは、その販売店次第やが、長期になればなるほど、その違反額が増大するのは間違いのないことやと認識しとかなあかんと思う。

6ヶ月分の景品サービスで5年契約が取れたら何の問題もないが、それはまず無理やろうしな。

この景品表示法に基づいて契約を取るのなら、6ヶ月契約毎に契約を更新して、その都度、景品を渡すというのが、一番客に対してサービスできる方法やと思う。

これなら、同じ5年取ってもらえれば、実に10倍の18840円までの景品付与が可能ということになるさかいな。

あんたの質問に対する回答は以上やが、納得してもらえたやろうか。

まあ、普通に考えて、おかしなことが多いというのは、この業界の特徴でもあるから、その点は、理解してもらうしかないとは思うがな。


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