新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.506 プライバシーの侵害になるのでは無いですか?
投稿者 Yさん 女性 投稿日時 2008.1. 9 AM 10:13
新聞配達員が自宅の門扉をあけてポストの反対側から新聞を入れていました。
ポストを開けることはプライバシーの侵害になるのでは無いですか?
回答者 ゲン
『新聞配達員が自宅の門扉をあけてポストの反対側から新聞を入れていました』ということやけど、これだけをもってしてプライバシーの侵害になるかと聞かれても何とも言えんというのが正直なところや。
プライバシーの侵害とは、民法第709条の『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う』ということになるのやが、これに該当するには、故意や過失による不法行為と、それによる被害が立証されなあかん。
新聞配達員が、あんたの家に契約もしていないのに、断りもなく勝手に門扉を開けて敷地内に入れば、不法侵入(刑法第130条住居侵入罪)に問われる可能性は高い。
他人のポストに契約していない新聞を断りもなく投函したというのも、あるまじき行為ということになる。
そういうことなら、プライバシーの侵害やと言える可能性はある。
しかし、その新聞配達員の所属する新聞販売店とあんたが新聞購読契約を交わしているのなら、例えそれらの行為があったとしても、普通は、不法行為に問われることはまずないと思う。
新聞購読契約とは、契約者はその期間、その購読料を支払う義務を負い、新聞販売店はそ期間、新聞を遅滞なく配達する責務を負うことになる。
つまり、その関係がある以上、その配達員がポストに新聞を入れるというのは正当な職務上の行為と言える。
刑法130条の住居侵入罪というのは、正当な理由なく立ち入った場合に摘要される。つまり、正当な理由があれば、その罪には当たらんということになるわけや。
因みに、ワシらも一戸建ての住宅地で門扉にインターフォンの付いてない家を叩く(訪問)場合、やはり、門扉を開けて玄関口まで行くことがある。
これ自体は、正当な訪問行為ということで罪に問われることはない。ワシらの訪問営業は、これでも公認された正当な仕事やさかいな。
もし、その行為があかんというのなら、そういう法律を作るしかないが、今のところそんなものはない。
その配達員が、そうするのは、それ相当の意味があるはずや。普通は、ポストの表から入れる方が早いし簡単やから、そうする。
それにも関わらず、わざわざ、門扉を開け、中に入ってまでそうしとるというのは、何らかの理由で、そのポストに新聞が入れられん、もしくは入れにくいからやと思う。
ワシ自身、昔、新聞配達をしていた経験で、同じようなことがあった。
ポストの表から入れた新聞が、そのまま、後ろの蓋をすり抜け庭先に落下したというものや。
その際、たまたま、そこが水たまりになっていて、そこの家から、新聞が濡れたという苦情があり、急いで新聞を交換しに行ったということがあった。
調べると、そのポストは古いということもあり、後ろの蓋の開閉が甘くなっていた。
ワシは、ちゃんとそのポストの中に入れたつもりなのやが、結果としてその後ろの蓋を押し開け、下に落ちてしもうたわけや。
ワシとしては不可抗力やという思いもあるが、客にそう言うわけにはいかん。実際、新聞が濡れて読めん状態になっていたのは事実やさかいな。謝るしかない。
その翌日の配達から、ワシもそのポストの裏まで廻ってそれを確かめたり、裏側から入れたりということをしていた記憶がある。
ワシなりの親切、気遣いやったわけや。
配達員としては、時間のロスにもなり、そんな面倒なことは、できれば願い下げにしてほしいんやが、新聞をちゃんとした状態で届けるには、それも致し方ないと思う。
もっとも、ワシの場合は、客に言うて、すぐに専用の新聞受けを門扉に設置させて貰うたがな。その販売店もそうしたら、問題は解決すると思う。もしくは、あんたがそれを要求してもええ。
その門扉には、カギがかかってなかったのやと思うが、もし、カギがかかっていたのなら、無断で他人の敷地内に入る行為は、いくら正当な理由があっても許されることやないというのは補足しとく。
当たり前やが、そこの住人の許可がいる。
『ポストを開けることはプライバシーの侵害になるのでは無いですか?』と言うことには、そこに入っている郵便物を見られるということがあるのかも知れんが、それを手に取って見るとか、その中身を見たというのならプライバシーの侵害ということも考えられるやろうけど、単に新聞を入れるために開けただけでは、それも弱いと思う。
結論として、あんたは、その配達員の行為をプライバシーの侵害と決めつける前に、どうして、その人間がそういうことをしたのか、その理由を問い質す方が先決やないかと思う。
そして、その行為が許せないのなら、その販売店にそう言えばええし、そのポストを使わせない方法を採ることを考えた方がええのと違うかな。
ワシのケースのように、その販売店から、専用の新聞受けを持って来させて設置するというのもええし、任意の場所を決めてそこに新聞を入れさせるのでもええと思う。
どんなことでもそうやが、相手の不法行為ばかりを咎め立てしても始まらんと思うのやけどな。
もっとも、他に何か理由でもあるのなら別やが、これだけの情報では、ワシとしては、こう言うしかないということや。
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