新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.507 こんな拡張員にどう対処したらいいですか
投稿者 Kさん 投稿日時 2008.1. 9 PM 9:21
初めてメールします。どうか教えてください。
昨日、我が家に拡張員が来て「粗品を持ってきました」とインターホンで言ってきました。
私は会社から帰宅しておらず妻が「新聞はとるつもりがないので、いらないです」と言いました。
しかし、相手は帰らず、「新聞をとってくれとは言ってないだろ、とりあえず粗品だけでも受けとれ」としつこく言ってきました。
その後も粘り強く、短時間のうちに三回来たそうです。
小さい子供が二人いるので本当に怖かったようです。
「とりあえず、ドアを開けろ」などと言ってきたのですが、絶対に開けなかったようです。
そして今日も来たそうです。たばこを吸いながら、インターホンにむかって話してたようです。
私も常に家に居る訳じゃないので心配です。
もし、自分だったら、ガンガンやりあいたいのですが、逆恨みをかって私が居ない時に、何かあったらと思うと心配です。
回答者 ゲン
ほんまに、どうしようもないガキ(拡張員)やな。同業者として恥ずかしいし、まことに申し訳ないと思う。
普通の拡張員なら『新聞はとるつもりがないので、いらないです』と言えば、簡単に引き下がるもんや。
ワシらの仕事は、それが多いさかいな。話を聞いて貰えることの方が圧倒的に少ない。1日中、まじめに叩いて(訪問)も、100軒中、20〜30軒の人に話を聞いて貰えればええ方や。
そんなことは、この業界でちょっとでも仕事をしとれば、どんなバカでもすぐ分かることや。そして、普通は、客が嫌がっているようなケースで粘るようなことはほとんどない。
そんな暇があるのなら、次の脈のありそうな客を探す方が、よほど合理的やし、仕事になる確率が高いさかいな。
それにも関わらず、『その後も粘り強く、短時間のうちに三回来たそうです』と異常な執念を見せるのはなぜか。
当然やが、その拡張員がそうするには単にタチが悪いというだけやなく、それなりの理由がある。
業界用語に「過去読」というのがある。その名のとおり、過去に購読したことのある読者のことや。そして、拡張員の中には、その「過去読」を専門に廻る者がおる。
こういうのを俗に「データ拡張」という。これは、その販売店が過去に購読したことのある読者のデータを拡張員に渡して拡張させるためのものや。
一度、その新聞を購読していたことがあるのやから、再度取って貰えると単純に考えるわけやな。また、その確率も結構高いから人気のある拡張法でもある。
1日中、コツコツと叩くことの嫌いな古株の拡張員にこういう者が多い。中には、あんたの家に押しかけたようなタチの悪い奴がおるというのも、たまに聞く。
奴らには奴らなりのプライドがあり、そいう過去読を落とせんようでは、沽券(こけん)関わると考える。
また、そういう過去読用の手口というのも確立されとるということがある。
その一つに『粗品を持ってきました』というケースや。これは、たいていの場合、捨て材と言うて、契約とは関係なしに渡してもええという物や。新聞社名の入ったゴミ袋というようなのが多い。
その拡張員が言うたという『新聞をとってくれとは言ってないだろ、とりあえず粗品だけでも受けとれ』というのも、あながち、ええ加減な話でもないわけや。
もっとも、こんなぞんざいな言い方では相手には伝わらんがな。
ただ、常識的には、粗品を渡すだけで済むはずはないわな。それなりの裏心があってのことで、そこから、勧誘話に引き込むつもりなのは目に見えとる。
当然やが、いくら捨て材やからと言うても、すべての家にそんなものを渡してたら大変や。いくら安いもんやからと言うてもタダやないんやからな。
あんたにとっては、救いのない話かも知れんが、その過去読データをもとにしとるのなら、これからもそういう訪問が止むことはないやろうと思う。
そして、この過去読データで廻る場合、普通のまともな拡張員でも、一度行って会えなければ、後で再訪するということは、業界の常識としてある。しつこいと言えば言えるかも知れんが、過去読客と会えんのはもったいないと思うんやな。
それに、一般論として過去読客が門前払いをするケースが少ないというのがある。話くらいは聞いて貰えるものと考える。
その辺が、他の一般客との違いになるわけや。もっとも、それにしても、このケースのような拡張員は度がすぎとるし、悪質や。
『自分だったら、ガンガンやりあいたいのですが、逆恨みをかって私が居ない時に、何かあったらと思うと心配です』ということなら、遠慮する必要はない。
「攻撃は最大の防御」ということもあるしな。このままの状態やと好転するのは望みにくいと思う。むしろ、エスカレートすることの方をワシは危惧する。
逆恨みというのも考えにくい。タカが購読を強く拒否されたくらいで暴力的な仕返しをするほどのアホな拡張員はゼロに近いと思う。
そんなことをすれば手が後ろに回るだけや。何の益もない。それに、断られる度にそんなことをしてたらキリがない。
当然やが、どんなにあこぎでタチの悪い拡張員でも、そうすることで契約させられると思うからこそ、するわけで、その望みがまったくなく、危険が伴うと知れば、さっさと手を引くはずや。そんな程度の人間が大半やと思う。
もっとも、世の中には、気の狂うとるような、いかれた輩がおるのも事実やから、まったく心配ないとも言えん。ゼロに近いと言うたのは、万分の一にしろ可能性としてそれがあるからやけどな。
それでも、このままの状態よりかは、あんたが戦う姿勢を示した方がましなはずやとは思う。
このままやと、エスカレートする可能性があるとワシが言うのは、何をしても反撃されんとなれば、少々のことでは文句は言わんやろうと思い込むと考えるからや。甘く見るわけやな。
3回訪問した次は5回でもええやろとなる。そのうち根負けするのやないかと期待する。こんな輩の思考はそんな程度でしかない。
それなら、ただ、それに対して文句を言えばええかというと、そうもいかん。
ヘタにそういうストレートな攻撃を示せば、それを逆手に取られて、結局、契約せなあかんという風にもっていかれる危惧もある。
こういう輩と戦うには、それなりの方法というものがある。それを今から教える。
まず、奥さんの対応は今のままでええ。何があっても絶対に対応せん方が無難や。
対応するのは、あんたの仕事が休みのとき、あんた自身がする方がええ。
ところで、その拡張員が、どこの新聞販売店から来とるのかは分かっとるのかな。それが、分かってないと反撃するにも難しいさかいな。
もし、その相手の正体が未定なら、奥さんには絶対に対応せんように言うたが、今後も何度も来るやろうから、そのときに「主人は○月○日にいますので、そのときに来てください」と言うて貰うようにする。
「私では何も決めらめませんから」とでも言うてな。その際にも、なるべくインターフォン越しにすることや。
ドアは絶対に開けん方がええ。開けたとしても、ドアチェーンを絶対にしてからで、しかも片手に携帯電話を持っている状態にしとくことや。
こうしておけば、どんなにいかれた奴でも手は出しにくいさかいな。
相手が、それを了承すれば、その日、その人間を待ち受ければええ。
その際、その会話を録音できるものを準備しとく。
たいていの拡張員なら契約が取れると思うて喜び勇んで来る。事実、来れば必死で勧誘するはずや。
言うとくが、来たときに最初から喧嘩腰の態度はとらん方がええ。気持ちは分かるがな。極力、押さえた対応をする。
あんたのすることは、その拡張員がどこの新聞販売店から来ているかを探ることや。それさえ分かれば、この争いには十分勝算が生まれるさかいな。
それが分かった時点で、おもむろに「うちは新聞を取るつもりはないから、帰ってくれ」と言う。
この一言は重要やから忘れたらあかん。
もちろん、こんな程度で引き下がることは思う。その後もしつこく粘るはずや。あんたは、断り続ける。
十分、粘らせた上で「帰らんのやったら警察を呼ぶで」と言う。
刑法第130条に不退去罪というのがある。帰ってくれと言うて居座れば、その罪に問われる。
3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するとある。
それを言えば、少々タチの悪い人間でも引き下がるし、次から来ようとは思わんもんや。
しかし、中には、揉めることを喜ぶ輩もおる。「呼ぶのなら呼べ」と強気にでて、実際に警察を呼ばれたら「契約の話をしているだけやから」と、来た警察官に民事での揉め事というのを強調する。
警察には民事不介入という原則があるから、たいていの警察は引き下がることが多い。もっとも、警察官によれば、呼ばれたということもあり、その拡張員もその場を引き上げるように促すこともある。
例え、その場は引き上げたとしても、すぐ舞い戻って「警察は民事には関わられんのや。通報しても無駄やで」とでも言うて「この後始末はどないすんねん」と凄む。それで、契約せな収まらんという風にもっていくわけや。
それを許さんために、「帰ってくれ」の一言が重要やし、その拡張員との会話を録音しとるというのが生きてくるわけや。さらに、数日前から、嫌がらせを受けていたと訴えれば信憑性も増すことになる。
警察も、それがあれば、明らかに法に触れるわけやから、そのままにすることはできん。事情くらいは最低でも聞くはずや。
積極的な警察署やったら、それで罪を立件して起訴するということも考えられる。もっとも、この程度の罪状やったら警察の裁量内ということもあるから、厳重注意というだけで大したお咎めがないということもあるがな。
こちらとしては、別にそれでも構わん。その警察沙汰になったという事実があればええわけや。
それがあれば、その販売店に強く抗議できる。たいていは、すぐに謝罪に来ることが多い。その際、「二度とうちには勧誘員は寄越さないでくれ」と言えば、そうするはずや。
その販売店が、そうやなく、その拡張員の片を持つようやったら、新聞社の苦情係りに直接、事の顛末を言うたらええ。
刑事事件になったと強調すれば、その新聞社も放っておくことはないやろうから、それでたいていは収まると思う。
その販売店からの勧誘は来んようになるやろうし、その拡張員もその販売店に出入り禁止にくらいはなるはずや。
その際にも、その拡張員からの仕返しを心配されるかも知れんが、一度、それで揉めて、警察にも事情聞かれて聴取されとれば、そんな真似をすれば罪が重くなるというくらいは誰にでも分かるし、そんなことをするアホもおらんはずやから、まず大丈夫やと思う。
少なくとも、ここに相談に来られて、同じような回答をした人から、そういうことがあったという報告も皆無やしな。
それでも、何度も言うが、常識で計れんような奴が世の中におるのも事実やから、できる限りの用心はしといた方がええとは思うがな。
もっとも、そここまでせんでも、その新聞販売店名が分かっていれば、その苦情を言うくらいで収まる場合もあるがな。
あるいは、今回のようなケースが、今までになかったのなら、単なる一過性ということで、しばらくすれば、その拡張員の訪問がなくなるということも考えられんでもない。
これは、あくまでもワシなりのアドバイスやから、それを参考にされるかどうかは、あんた次第や。どうするかは良う考えて決められたらええと思う。
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