新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.512 拡張員自体存在してるのがおかしいと思いませんか


投稿者 Sさん 某拡張団団長  投稿日時 2008.1.19 AM 0:56


あるセールスチームのリーダーです。キャリアは約8年です。

本音で言うと、拡張員自体存在してるのがおかしいと思いませんか。

わたしも以前鉄鋼業界で営業しました。店力ですべて賄うのが当然と私は思います。

正直、拡張員なんか必要無いとも思っている一人です。

セールスチームのリーダーしながらこんな事言うのはおかしいかもしれませんが、げんさんいかがですかね。


回答者 ゲン


セールスチームのリーダーということは、拡張団の団長さんだと思うが、そういう人から『拡張員自体存在してるのがおかしいと思いませんか』と問いかけられるのは初めてや。

これが一般の人からというのならよくあるがな。

そもそも、新聞拡張団というのは、終戦直後の昭和20年代に相次いで組織され始めたものや。

普通、どんな企業でも、その商品の売り込みには、その企業の社員が営業する。

それで言えば、あんたが『店力ですべて賄うのが当然と私は思います』と言われるように、販売店の人間が中心となって営業すべきということになる。

ところが、新聞業界は業務委託という形で外部に任せることにした。

もちろん、それには、それなりの理由とメリットがあってのことや。

理由の一つには、今までがそうやったように、新聞販売店のみに営業を任せていたんでは購読者が思うように確保できんということがある。

そのためには、新聞社独自が読者の開拓をせなあかんという結論になるのやが、当時の新聞各社には自前の営業員を雇うほどの余裕はなかった。

もっとも、今でもそれは無理やと思うがな。今と同じだけの部数を確保しようと思えば、膨大な数の営業社員が必要になるさかいな。

終戦後の昭和20年には、新聞の総部数発行は1400万部ほどやった。現在のそれと比べると4分の1程度にしかならん。

この頃までの新聞は、一部の富裕層、有識者、中産階級中心ものやったと思う。とてもやないが、一般庶民にまで行き渡っとると言うにはほど遠いものやった。

それが、終戦後に劇的に変わった。

その大きな要因が、新聞各社により組織された拡張団の存在や。

もちろん、それだけやなく、政治的にもその新聞の普及をバックアップするため世界にも類をみない再販制度というシステムが確立されたというのも大きいと思う。

その事情について話しだせば長くなるからやめとくが、要は、それで新聞各社が、その部数獲得をしやすくなり、それに向かって突っ走ったということになる。

俗に言う、部数至上主義というやつや。

特にY紙とA紙の争いが熾烈(しれつ)を極めたという。もっとも、それは今でも続いとるがな。

その当時、日本ではA紙が部数トップを誇っていた。一説にはY紙が、そのA紙に追いつくために、その拡張団の結成を考案したのが始まりとされとる。

それが、目に見えて効果を上げ、新聞各社に瞬く間に波及していったということや。

その当時の新聞社にとって、それはまさに画期的な方法やったわけや。

外部に業務委託をしたことで、実質的に膨大な数の営業員を使うことが可能になった。

しかも、それは業務委託契約を交わすだけで済む。終戦当時の職業難ということもあり、仕事のほしいところは何ぼでも集まった。

その多くが、昔から組織として確立されとったヤクザやったわけや。特別に組織を編成することもなく、そのままで使いやすいということもそれに拍車をかけた大きな要因やと思う。

今になって考えれば、そのヤクザ組織を使い始めたことが、ボタンの掛け違いになっていくわけやが、それで飛躍的に、新聞の部数が伸び、業界が急成長を遂げたということになれば、その方法が間違っていたとは誰も考えんわな。

それは、ちょうど、1876年にドイツのニコラウス・オットーがガソリンエンジンを発明したときから始まった、自動車の製造競争に似とると思う。

自動車というのは、人間にとってはこの上もなく便利なものやが、現在では、排気ガスによる二酸化炭素の増加で、温暖化という現象により、地球は危機的な環境汚染に喘ぐ結果になっとる。

今になってやっとそれに気づく人も増え始めたが、その当時は、つゆほどもそうなるとは誰も予想してなかった。

自動車業界にとって、明るい未来しかなかったわけや。

新聞業界にも、それと同じようなことが言えると思う。

終戦後の昭和20年には、新聞の総部数発行は1400万部ほどやったのが、拡張団の本格的な勧誘の開始により、昭和27年には2200万部に増えた。

更に、昭和40年頃には3000万部、昭和50年過ぎ、4000万部、昭和60年前後、5000万部と順調な伸びを見せた。

これはこれで、社会的には有意義やったと思う。それまでの日本人には字も読めんという人がかなりの数、存在してた。

その識字率が飛躍的に伸び、一躍、世界のトップクラスにまでなった。

例えどんな方法であったにしても、その一翼を担ったというのは、ある意味、歴史的な功績やとも思う。

加えて、新聞の場合は、単にその勢力を伸ばすというだけに止まらず、そうすることで絶大な力を得ることができると考えられとる。

新聞の影響力には計り知れないものがある。業界人にとって、そのトップに君臨することは、天下を取るほどの値打ちがあるという。

その競争も尋常やなかったと容易に想像できる。その新聞の普及を支えた最大の功労者が新聞拡張団というわけや。

新聞社にとっては、間違いなくなくてはならんかった存在やったということになる。そして、その部数にこだわり続ける限りは、その関係はこれからも続くと思う。

しかし、その多くがヤクザ組織から始まったということで、そこには営業という観念がほとんど存在せん世界でもある。

他の業界に見られる確立された営業マニュアルのようなものが、この新聞営業には未だにないというのが、それを裏付けとると思う。

一般の営業論のほとんどがその用をなさず、長くヤクザ特有の論理が中心となってまかり通っていたさかいな。

分かりやすく言えば、アメとムチや。ムチは脅しで、アメは拡材ということになる。その二つを上手く使いこなせる者が成績を上げることのできる優秀な拡張員とされてきた。

しかし、そんなやり方がいつまでも続くはずはない。

事実、そのツケが今の時代に回ってきて、この業界は危機的というほどやないにしても、かなり厳しい状況になっとるのは確かやさかいな。

一般消費者もアホやないから、そういう勧誘に対して多くが拒否反応を示しとるし、また、法律もそれを許さず、次々に整備されて締めつけてきとるというのもある。

あんたが『拡張員なんか必要無いとも思っている一人です』という疑念があるのも、突き詰めれば、そこからきとるのやないかと思う。

仕事をする限りは誰でも、その意義を見いだしたいもんや。人の役に立てるものでありたいと。そう思えんと辛いわな。

しかし、それは考え方一つで、好転できる可能性があるとワシは思うとる。

昔の勧誘方法がだめなら、今の時代に合うものにすればええ。確かに長年培った方法を変えるのは難しいことやとは思う。

せやけど、あかんものにいつまでも固執していても仕方ない。しかも、自ら必要ないと思うような仕事では意味もないやろうしな。

人のためになる営業。それができるとしたら理想的やないやろうか。

そんな夢みたいなことと思われるかも知れんが、不可能なことやないと思う。

もちろん、新聞を売り込むだけに集中しとったんでは、それは無理や。

その答は早くから『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』の中で言うてきたつもりや。

人間関係の構築というのがそれになる。

ワシは、新聞を売り込むより先に、その客にワシ自身を売り込む、気に入ってもらえるようにと常に考え、そう実践してきた。

営業員と客という関係を越え、友人に近い付き合いやな。

もちろん、すべての客とそうなれるわけやない。人と人というのは気が合う合わんという相性のようなものもあるさかいな。

しかし、例え一人でも二人でもええから、それを心がけ地道に、そういう人を増やしていけば、やがて大きな財産となって返ってくると信じとる。

そこに信頼関係が生まれれば頼りにされるということも多い。人の役に立てるわけや。そういう例なら、このサイトの中にはいくらでもある。

分かりやすいところでは『メールマガジン・新聞拡張員ゲンさんの裏話・バックナンバー』で探してもらえれば比較的簡単に見つかるのやないかと思う。

あんたも、以前、他の営業をされていたということやから、その得意先に気に入られることが一番重要やというのを良う分かっておられるはずや。

もっとも、この拡張の仕事は、客から契約を貰うたらそれで終いと考えやすいから、他の営業のように先々を考えて、個々の客と仲良うしても仕方ないという意見もあるがな。

結論として、ワシは、拡張員自体存在してるのがおかしいとも、必要ないとも考えてないということになる。ワシなりに意義深い仕事やと思うとる。

ワシは、客とそういう付き合いが可能なこの仕事が好きや。見ず知らずの人間に気軽に話ができるのは、この訪問販売の対面営業の他にはないとも思うとる。

当然やが、どんな人も自分とは違う人生を歩んできとる。その話を聞くことは貴重なことやないかと常に考えとるしな。

ただ、あんたは、あんたの考えがあってのことやから、それはそれでええと思う。

そんな考えは間違うとるというようなことを言うつもりもないし、資格もないさかいな。


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