新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.516 無料お試し期間分の代金を支払う事に納得がいきません


投稿者 GOさん  投稿日時 2008.1.28 PM 5:22


突然すいません! 新聞の解約に関して質問がありまして、すがる思いでメール致します。

昨年の8月に勧誘の方が家に来られ、「無料お試し期間がありますので2月まで新聞を試し読みしませんか?」と言われました。

うちではスポーツ新聞しか読まないからと断りましたが、「週末にスポーツ新聞も無料でおつけ致しますので無料ですのでお願いします。無料期間内でどうしてもやっぱり読まない場合は1月末に電話頂ければ構いませんので」ということで押しきられてその期間内入れてもらうと言う事となりました。

11月に新婚旅行に行く際に新聞を断る電話をしたところ、今までの分を支払えと言われました。

後から知ったのですが、クーリングオフの説明も受けておらず、あげく無料お試し期間内の新聞代金を払えと言われ、電話で決裂。

新婚旅行から帰って来てしばらくするとまた断ったはずの新聞が入り出して再び電話、またも代金を払えとのこと。

家に勧誘をした本人をよこすと言われ、一度日を決めましたが、こちらがわの都合で駄目になり、再び電話での話し合いにて決裂。

来月から支払いが始まるので、何とか断りたいのですが、どうしたらよいでしょうか?

無料お試し期間分の代金を支払う事に納得がいきません。ちなみに11月まではスポーツ新聞は入っておりませんでした。


回答者 ゲン


あんたの場合のポイントは、「購読契約書」および「購読申込書」に、あんた自身が署名したのかどうかという点にある。

通常、試読(お試し期間)では、その契約書が作られることはない。当たり前やが、試読とは、その期間、その新聞を読んで正規に契約するかどうかを決めるためのものやさかいな。

したがって、契約書の作成されていない試読期間に配達された新聞代を払う必要はない。販売店にしても、それを請求する根拠は何もないということになる。

しかし、契約書が作成されていれば、それは試読ということにはならん。法的には、正規の購読契約書として扱われる。

その場合は、あんたにその新聞代を支払う義務が生じていることになる。

ただ、あんたの場合は、その契約書を作成されていたとしても問題がありそうやから、それについては後で話すとして、契約書に署名していた場合の一般的なデメリットに関して、これから説明する。

たいていの新聞社では、試読期間というのを認めとる。しかし、それは一週間までと決められている。新聞販売店によれば、まれに、数日から一週間ほどの延長ということもあるようやが、あってもその程度や。

まあ、普通は、その新聞を購読するかどうかは一週間もあれば判断できるわな。

それからすれば、あんたが思われとるように『昨年の8月に勧誘の方が家に来られ、「無料お試し期間がありますので2月まで新聞を試し読みしませんか?」と言われました』という6ヶ月間もの期間を決めた試読というのは考えられんことや。

ただ、あんたはそう受け取り、その勧誘員の言うままに、その契約書に署名したと思われる。せやから、あんたとしては、ええ加減なことを言われて騙されたという思いがあるのやと思う。

このええ加減なことを言われて騙されたというのは、消費者契約法の「不実の告知」に問えることで、契約解除の要因とされる。

しかし、これについては、その確かな証拠、例えばそのやりとりを会話を録音しているとか、その場に第三者が同席していたということで証明されん限り、それが騙しやと言い切るのは難しいやろうと思う。

言うた言わんの水掛論になるケースがほとんどやさかいな。法廷の場では、そういうケースで一方が否定したら、それまでになる可能性が高い。

今回のケースでは、あんたは『無料お試し期間がありますので』というのを、そのすべての期間と受け取ったのやと思うが、その勧誘員は『無料サービス期間がありますので』と伝えただけやと言うはずや。

『お試し期間』を『サービス期間』やと聞き違いしたのやないかと。

本当のところは、ワシもあんたの言うてるとおり、その勧誘員が契約ほしさに、ええ加減なことを言うたのやろうとは思うが、残念ながらそれを裏付ける証拠がなければ、その主張が通るのは難しいやろな。

おそらく、あんたは渡された契約書の控えを、その場でまったく確認してなかったのやないかな。

『来月から支払いが始まるので、何とか断りたいのですが、どうしたらよいでしょうか?』と言われておられるところを見ると、今になってそれが契約書やと気づかれたのやろうと思う。

あんたの話から察すると、その契約書は、2年ないし3年契約になっているはずや。その場合、新聞販売店によれば、6ヶ月程度の無料サービスというのをするケースは考えられる。

そのことを契約者に説明しただけやとなれば、販売店の言い分の方が法的にも通りやすくなる。初めから試読とは関係なく、正規の購読契約書ということになっていたとしてな。

なぜなら、そんなことは、その契約書を見れば一目瞭然で分かることやからや。

せやから、このケースは、それを確かめていない、あんたの方に落ち度があったとされる可能性が高いということになる。

『後から知ったのですが、クーリングオフの説明も受けておらず』というのでも、そのことが分かる。

ほとんどの新聞購読契約書の裏面には、赤字で「クーリング・オフのお知らせ」というのがあるはずや。当然、そこにはその説明が明記されとる。

新聞購読契約の場合、それをもってクーリング・オフの告知、説明をしたということになる。法律は、口頭での告知を義務付けとるわけやない。

口頭でのものは、先ほども説明したように、言うた言うてないという水掛け論になりやすいさかいな。そうなった場合、判定のしようがない。それよりも、書面での通知を義務付けておけば、より問題は少なくて済むわけや。

今回の場合、あんたがその場で、その契約書、例えそのときには、それが契約書とは思わんかったとしても、それを確かめれば、少なくともそれが試読サービスの通知かどうかくらいの判断はついてたはずや。

たいていの人は、それが契約書やとすぐ分かるし、クーリング・オフの説明も見るはずやから、すぐに販売店に「おかしいやないか」と問い詰めることもできたはずや。

本当にいらないものなら契約解除を申し入れることもできたと思う。それに販売店が応じなければ、クーリング・オフの文書を出せば、今回のことは問題なく終わってたはずや。

『11月に新婚旅行に行く際に新聞を断る電話をしたところ、今までの分を支払えと言われました』というのは、あんたにとっては不本意かも知れんが、法的に見れば正当な要求と言える。

それだけで済ますということなら、むしろ良心的な販売店ということになる。

契約の成立している契約については、クーリング・オフや急な引っ越し、あきらかな不法行為による契約と証明されん限りは、契約者からの一方的な契約解除はできんとされとる。

また、例えそれらの事情で契約解除ができたとしても、それまでに受けたサービスや貰ったものは返還する義務がある。

民法第545条に原状回復義務というのがあり、『当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う』と規定されとる。

その契約書には、その契約期間の記載があって、その無料分の新聞代というのは、その契約を完遂することでのサービスということになっとるはずや。

つまり、今までタダでその販売店が配達したのは、その契約が守られると信じてのことで、それを解除するのなら、今まで受けていたサービス分の新聞代は、原状回復義務に照らせば、返さなあかんということになる。

加えて、新聞販売店は、その契約解除による損害賠償としての、解約違約金も請求できることになる。

それを、この販売店は、それまでの新聞代だけでええと言うてるわけやから、むしろ良心的やと言うたわけや。

もっとも、あんたとしては、いくらワシがこういう説明をしても納得できにくいやろうがな。

しかし、普通は、これ以上、どうしようもないということになる。

ただ、冒頭あたりで『その契約書を作成されていたとしても問題がありそうやから、それについては後で話す』と言うたが、ことによれば、逆転の可能性もある。

『家に勧誘をした本人をよこすと言われ、一度日を決めましたが、こちらがわの都合で駄目になり』ということで、まだ、その担当した勧誘員が来てないということが救いになる可能性がある。

あんたが、起死回生の逆転を狙うなら、必ず、その勧誘員を寄越して貰うことや。そして、その勧誘員に気づかれることなく、その会話の一部始終を録音しておくことを勧める。

そうすれば、その勧誘員が実際にそう言うて、あんたに契約書に署名させたということが実証できるかも知れん。但し、可能性としては低いと思うけどな。

「あなたは、初めに来られたとき、確か『無料お試し期間がありますので2月まで新聞を試し読みしませんか?』と言われましたよね」と言うてみる。

たいていは、ワシが言うたように、「それは、あんたの聞き違いと違うか」と、とぼけるとは思うが、中には「確かに言うたが、そんな証拠がどこにあんねん」と言うアホもいとる。

その言質が取れれば、あんたにとって有利になる。契約解除も可能になるということや。その勧誘員が、ええ加減なことを言うたと認めとるわけやからな。

それがあれば、消費者契約法の「不実の告知」違反に問え、契約を解除できる可能性も高く、新聞代を支払う必要もないと思う。それまでの新聞は、すべて試読ということになるさかいな。

ただ、その尻尾を最後まで出さんかったら、このケースは難しいやろなと思う。

その場合は、あんたも自分の落ち度を認めて、今まで配達された新聞代を支払って、正規に契約解除をするか、その契約書どおりに購読するかというのが、一般的な選択やと思う。

但し、あくまでも納得できん場合は、揉めてでも支払いを拒否するという手もある。

その販売店が、あんたから、その新聞代の支払いを受けようと思えば、裁判に訴えるしかない。

その販売店が、その裁判をするというケースはほとんどないとは思うが、万が一、その裁判を起こされたら、法的には、あんたの方が弱いやろうというのは言うとく。

もっとも、裁判やから、どう転ぶかは分からんがな。

いずれにしても、こういうトラブルに見舞われんためには、手渡されたものは、良く確認しとくことや。

はっきり言うて、新聞購読契約程度のことやから、被害と言うても新聞代程度のことで済むが、これが、悪質な業者や金融屋にかかったら大変やで。

どんなことでも、疎かに考えず、良く確かめて慎重にな。それが身を守るコツやと思う。


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