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NO.525 解約条項の記載がない新聞の契約書は無効?


投稿者 Mさん  投稿日時 2008.2.12 PM 3:01


今年から年金生活になるので、今、購読している新聞をやめようと思います。

しかし、航空券のチケット、旅館やパック旅行の予約の解約にはペナルティーが記載してありますが、新聞の契約書には解約をする場合の条件や違約金等のことが契約書に記載してありません。

解約が出来ない契約は存在しないのではないですか。


回答者 ゲン


あんた……、おっと、明らかに年上と思われる人に対して不遜に思われるかも知れんが、これがこのサイトでのワシのスタイルやさかい、許して頂きたい。

話を聞く限り、あんたは少し勘違いされておられるように思う。

航空券のチケット、旅館やパック旅行の予約と新聞購読契約を同一視されとるようやが、同じ契約でも内容と実態には大きな開きがある。

航空券のチケット、旅館やパック旅行の予約は、指定された期日のみ役務(えきむ)の受け渡しがあり対価が必要とされる契約や。

航空券のチケット、旅館やパック旅行は、その搭乗予定の航空機の座席、あるいは旅館の部屋、その他乗り物などの確保をしとかなあかん関係上、同じものを二重販売できんというのがある。

それを一方的な客側の都合だけで、キャンセルというのを認めていたら損害を被ることになる。それを防ぐために、契約などで定めた条件に従って発生する約定解除の項目を設けとるわけや。

お互いの合意のもとに交わされる任意規定ということになる。

これは民法などの法律よりも拘束力のあるもので、その契約の内容が何より優先されるため「任意規定契約は当事者間の法となる」とも言われとるほどや。

『航空券のチケット、旅館やパック旅行の予約の解約にはペナルティーが記載してあります』というのは、その任意規定を確定させる目的のためということになる。

対して新聞は、その特定のものだけを売るような二重販売やないから、その必要性に欠ける。というか、そこまでは拘束していない。

もっとも、特記事項の記載があれば、それが任意規定ということにはなるがな。契約書に書いてあれば、よほどのことがない限り、それが優先される。

それのない新聞購読契約の場合は、法律の規定によって一定条件のもとに発生する法定解除を選択しているということになる。

つまり、民法、消費者契約法、特定商取引に関する法律などに従うということや。

あんたは『新聞の契約書には解約をする場合の条件や違約金等のことが契約書に記載してありません』ということが落ち度のように思われておられるようやが、そうやないということになる。

法律の規定に準じるというのは、そのすべての法律に従うことやから、それらを記載するのは物理的に不可能ということになるわな。

民法は言うに及ばず、消費者契約法、特定商取引に関する法律にしても、その法律の条文だけの本でも分厚いし、気の遠くなるような文書量があるさかいな。

裏を返せば、任意規定で特記していない契約は、すべて当該の法律によって縛られるということになるわけや。

加えて、新聞購読契約は、契約の当事者で話し合う合意解除を取り入れとるということがある。

たいていの販売店とは、解約に向けて話し合えばそれで済むことが圧倒的に多いのがそれや。

ただ、全国に2万店以上あると言われる新聞販売店が、すべて同じような対応をするとは限らんがな。

ある販売店は、解約したいと言えば、「分かりました」と、何も言わず解約に応じるケースも実際にある。もちろん、そういう所は解約違約金なんかの請求もすることはない。

その解約でヘタに揉めると、その客からは将来に渡って二度と契約して貰えず、また、その地域での評判を落とすというのを危惧する販売店もあるさかいな。

あんたのように『今年から年金生活になるので、今、購読している新聞をやめようと思います』という一方的な自己事由での場合は、民法の解約事項に照らして、あるいは合意解除として解約違約金を請求するケースもある。

そして、数は少ないが、解約には梃子(てこ)でも応じないという販売店もある。法律や道理も聞く耳持たんというのもな。

一口に新聞販売店と言うても、いろいろあるわけや。

せやから、あんたがその契約を解除したければ、まず、その販売店にそう言うてみることからしか始まらんと思う。

新聞購読契約というのは、あくまでも、契約者とその新聞販売店との間でのみ有効とされる契約やさかいな。例え、その新聞社であっても立ち入れる問題やないし、またしようとはせん。

立ち入ることがあるとすれば、その販売店が明らかな不法行為を犯していると認めたときくらいやろうと思う。

他の新聞販売店では、こうだったからと言うてみても、その販売店がそれで納得せん場合は、そのときどきの状況に合わせて対処するしか方法はないわけや。

似たような状況であっても、結果が違うということはいくらでもある。

まあ、それぞれやからこそ、日々、これだけ多くの相談なり質問が、このQ&Aに寄せられとるわけやけどな。そして、それはこれからも続くはずや。

『解約が出来ない契約は存在しないのではないですか』というのは、確かにそのとおりやと思う。ただ、それも簡単にか、そうでないかという違いはあるやろうがな。

合意解除というのは、当然やが合意して成り立つもので、合意しなければ長引くか決裂ということもある。決裂すれば、法に委ねるしかない。

せやから、あんたもその販売店に解約の意志を告げてみて、上手くいかんようやったら、またここに相談してくれたらええと思う。

但し、先にワシが言うた程度のことは理解してからにしてほしいがな。

最後に僭越ながら、あんたに苦言を呈したいことがある。

『今年から年金生活になるので、今、購読している新聞をやめようと思います』というのは、もっと早くに分かっていたはずやから、今やなく、その新聞の購読契約をするときに考えて、その期日前までの契約にしとくべきやなかったかなと思う。

まあ、新聞の購読契約程度のものはいつでも断れると安易に考えておられたとしたら、そこまで配慮する気にもなれなんだのかも知れんがな。

これは、何もあんたを責めとるわけやない。そういう考えの人が世の中には多いというのも大きな要因やろうと思うさかいな。

実際、簡単に解除できるケースもあるわけやしな。

しかし、新聞購読契約も正規の契約には違いない。そして、契約は不当なもの以外は法律で保護される。

簡単には契約解除に応じない販売店があったとしても、正当な言い分と見なされることが多い。

あんたの断ろうとしとる理由は、その販売店にとっては何の責任も落ち度もないものや。自分の都合だけの自己事由ということになる。

それについては分かると思う。それにより、一方的に契約解除され損害を受ける謂われもないわな。

『解約条項の記載がない新聞の契約書は無効?』と件名にあったが、新聞の購読契約書に抜けや落ち度があるものは少ないというのは言うとく。

多くの新聞販売店の購読契約書は、新聞社および新聞販売店と関係の深い法律家の助言をもとに作成されとるから、単純な瑕疵や穴はまずないはずや。ほとんどは、法律の決められた範囲内のものになっとる。

素人さんに簡単に指摘されるようなものは、契約書になる前の段階でチェックされ訂正されとるやろうし、よしんば、それが見過ごされてたとしても、長い歴史の中で、そのままになっているというのは考え辛いさかいな。


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