新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.530 なぜ、女性専用の新聞が発行されないのですか?
投稿者 さちこさん 東京話し方教室講師 投稿日時 2008.2.20 PM 4:33
とても楽しく、また、為になるサイトで、私の経営する『東京話し方教室』の受講生で営業をされている人たちに教えてあげたくなりました。
早速ですが、質問です。
もう20年も前から、思っていました。何で【オンナ子供新聞】がないんだろうと。
そうしたら、子供新聞はできましたよね? でも、新聞のレディース版はできませんでした。○○ウーマンとかそういうの、出てもよかったかなと思います。
ただ、女性向けで最も望んでいたのは、
1)文字を大きくする
2)印刷が浮かないように
3)カラー写真
4)紙面を減らす
だったので、1)はそういう方向に進んでくれ、まあ、解決。3)も解決。
だから、そういう方向に進んでくれた、とは感じますが。
でも、スポーツ新聞のようなイメージが私の女性版なのですが、そういうのが出なかったのは?
R25世代や女性をターゲットに情報量半分・見やすい紙面・小さめ・手が汚れにくい(汚れない)のが出てくれなかったなあ、と、不思議に思っています。
雑誌があれだけ分かれているのに、と。
回答者 ゲン
あんたのことは、ハカセから聞いとる。かなり人気のある『東京話し方教室』というのを経営されておられるとか。
実は、この質問の問い合わせと同時に、「拡張の話し方について」の意見を聞かせてくれとハカセに言われた。
何で今更、改まってそんなことを言うんやと不思議に思うたが、良く聞いてみると、「ゲンさんの話し方教室」と題したものを、次回のメルマガでしたいということやった。
どうやら、ハカセがそうしようと考えたのは、あんたとのメールのやりとりにあったようやな。あんたの話に感化されたような口ぶりやった。
ハカセは、文章を書くのは専門家やから、それなりの自信は持っとるようやが、話すことについては自分がどの程度のレベルにあるのか良う分からんと言うてた。
そんな勉強をしたことも、しようと考えたこともなかったと。
ワシは、「あんたに口で勝てる者は滅多におらんから心配せんでも大丈夫や」と、太鼓判を押したったけどな。
ワシも喋りには自信を持っとる方やが、その面でも奴さんには勝てそうもないからな。口から先に生まれたとまでは言わんけど、ほっといたら何時間でも喋り続ける男や。
人を飽きさせない、面白い会話ができるというのが「話し方」の評価の基準なら、かなりの高レベルやとは思う。
というても、それを証明することのできんネット上で、そんなことを言うても意味はないがな。身内の褒め合いとしか聞こえんやろうしな。
とにかく、そのハカセが、あんたの話し方教室というものに興味を惹かれたというのは、それなりの理由があってのことやろうというのは分かった。
それはさておいて、そろそろ、あんたの質問に答えるとする。
それにしても、女性向けの新聞というのは面白い発想やな。言われてみれば、そういうのがあってもええとは思う。
子供新聞というのは、将来を見据えた新聞社の戦略の一環として考え出されたものやから、それなりの方向性というのは、はっきりしとる。
ただ、その一方で、女性専用というのはどうかなという気もせんではない。
そもそも、新聞自体、男女の区別を念頭に入れて作られたものやないと思う。広く一般に向けてが基本にある。
もっとも、新聞の歴史は古く、封建時代から長く続いとるということで男尊女卑の思想が色濃く受け継がれとるのやないかと考えられたのかも知れんがな。
あるいは、新聞各社で、圧倒的に男性記者の方が女性記者よりも多いということもあり、女性に対する配慮に欠けとると感じられてというのも考えられる。
新聞のレディース版というものができたとして、具体的にどんな内容、情報がええのやろうか。
子供新聞やったら、毎日のニュース記事を子供向けにやさしく分かりやすく解説するというのは分かるが、それを女性向きにというのは、どうもピンと来んけどな。
女性の立場にたったニユース解説ということなのやろうか。
しかし、それをコンセプトにした場合、新聞という範囲を逸脱することになると思うのやがな。
新聞というのは、事実を事実のままに伝えるというのが最大の使命やと考える。そこには、いかなる見方や思想も入る余地のない客観性がなかったらあかんものや。
もっとも、そうは言うても、記事を書いてそれを載せとるのは人間やから、まったくのイデオロギー(思考傾向)抜きというわけやないとは思う。
新聞各紙、同じ事件、出来事であっても、その記事の扱いが微妙に違うということは実際あるしな。また、そう受け取られても仕方ない記述や表現があるのも確かや。
ただ、そうであっても、女性受けする記事を書く必要性というのには疑問を感じる。もちろん、それが男性向けであっても同じや。
ワシらにとっても確かに、その方が面白い記事になり、売り込みやすいということに、つながるからええのかも知れんが、果たしてそれで新聞としての役目が果たされるのかと考えたとき、どうしても疑問符がつく。
『スポーツ新聞のようなイメージが私の女性版なのですが、そういうのが出なかったのは?』というのは、何となく分かる。
これは、新聞のしくみに関係あると思う。
多くの新聞社内で最も実権を持っているとされとる部署は編集部やという。つまり記事を書いて紙面を作る所やな。
その彼らの思考の中には、新聞を売るために記事を書くということは、さほど重要事項やないというフシが見受けられる。
他紙を出し抜くためのスクープ記事というのには相当の力を注いでいるようやがな。
それが即、新聞の売り上げに結びつくかと言えば、悪いがノーや。そう信じて書く記者さんはおられるかも知れんがな。
もっとも、ある特定の新聞だけ常に、そのスクープ記事が偏って掲載されるということなら、そういうこともあるかも知れんが、それはほとんどない。
そのスクープ記事というのは各紙、それなりにあるもんやさかいな。
これが、スポーツ紙やタブロイド紙なら、その多くが駅売り、コンビニ売り、店頭販売などに依存しとるから、その日の記事の善し悪しによって売れる売れへんということに影響する。
必然的に、一目で購買者の目を惹く体裁にせな売れんから、そこで、面白い表現やら洒落やらが踊ることになり、色使いもカラフルになる。
しかし、通常の新聞売りは宅配が基準や。宅配率は、公称、93%もある。実数はもっと低いやろうが、新聞各社はその宅配にすべてを依存しとると言うても過言やない。
その宅配は、あんたも知ってのとおり、月決め契約を主体として購読者と契約を結ぶ。
購読者は、その契約をする際に、日々の記事の善し悪し、スクープのあるなしにそれほど左右されることはない。
ほとんどは、勧誘員とのやりとりで決める。そこで、その勧誘員と新聞の内容について話し合われるということは皆無やないが、ほとんどない。
その仕事を14年ほど続けとるワシが言うのやから間違いない。また、このサイトに協力して頂いている多くの勧誘員の方からも、そういう話はあまり聞かんさかいな。
さらに言えば、このサイトへ訪れられる圧倒的多数を占める一般購読者からも、そういう話は皆無や。
数ヶ月から数年という契約期間のサイクルの中で、そのスクープ報道というのが顕著になっていれば、それも選択の条件とする購読者がおるかも知れんが、それでもその数は少ないと思う。
新聞購読者に一番多いのは、同じ新聞を長期で取っているという人たちや。
次に、新聞のサービスに惹かれて契約するという人たち。ワシら拡張員との関わりが深い人たちやな。
その次に、新聞折り込みチラシを求める人たちと続く。
残念ながら、新聞を毎日読んで活用しとる言う人は、購読者全体の2割もおればええ方やろうと思う。
突発的な大事件や話題性のある記事が掲載されれば、読む程度という人が圧倒的に多い。そのためだけに新聞を購読しとると言われる人もおられるくらいや。
新聞社はその事実を知ってか知らずか分からんが、それほど関心があるようには思えん。
新聞社サイドに、新聞を売り込むための方法を考えるとか、そのための営業努力するという姿勢があまり感じられん。
構造的に、新聞を売るのは販売店や、その専門営業会社である拡張団ということになっとる。つまり、あなた任せにしとるということやな。
加えて、スポーツ紙やタブロイド紙のような表現は愚劣やという一般紙の編集者も多いという。プライドというやつやな。
そういう状況がある限り、紙面がスポーツ紙やタブロイド紙のそれになるようなことは、考えにくいということになる。
それでも、『R25世代や女性をターゲットに情報量半分・見やすい紙面・小さめ・手が汚れにくい(汚れない)のが出てくれなかったなあ、と、不思議に思っています』というのは、考えに入れてもええとは思うがな。
購読者別にターゲットを絞った新聞なら、あんたのようにほしいと思う人もおるわけやし、ワシらにしても、バリエーションがあった方が売りやすいからな。
ただ、あんたの要望の中の『手が汚れにくい(汚れない)』というのは難しいのやないかと思う。
新聞紙に使う紙は、経済産業省の分類項目で、非塗工用紙と決められている。
非塗工用紙というのは、俗に言う更紙(ざらがみ)のことで、白色度も低く、表面がやや粗く耐久性に乏しい下級の印刷用紙や。塗装による加工の施されていない紙という定義もある。
ただ、日本の新聞紙は、表面に多少の塗料は塗っとるようやけどな。カラー印刷なんかの印刷性を上げるためらしい。というか、それがないとカラー印刷ができんようやがな。
それが、どの程度配合されとるかというのは分からん。企業秘密のようや。
これが、手触りにも影響してくる。手がインクで汚れるというのも多分にこの材質によるインク乗りの悪さが影響しとると考えられる。
この非塗工用紙という縛りがなくならん限り、今以上の新聞紙の改良はないのやないかな。
もっとも、昔と比べて、現在はそのインクの改良は格段に進んでいるようやから、あんたがそう思って新聞を敬遠されておられるのが、いつの頃からかは分からんが、最近はかなり改善されとるのは間違いないと思う。
それでも、まったく手が汚れんということやないがな。
また、『R25世代や女性をターゲットに情報量半分』というのが、現在の新聞の情報量が多すぎて読む時間がないということなら、当メルマガの『第130回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■役立つ賢い新聞の読み方』を参考にしてくれたら比較的短時間で効率良く紙面を読む方法が分かるはずや。
新聞の傾向として、今後、情報量はもっと増えると予想されとるから、それに反する情報量の削減というのは難しいやろうな。
ただ、そうは言うても、ターゲットを絞るというあんたのアイデアは悪くない。新聞社に提案してみる価値は十分あると思う。
せやから、この件に関して、ハカセが、主な新聞社にメールで、その要望を伝え問い合わせると言うてたから、その返信があれば連絡するので、それまでしばらく待っていてほしい。
もっとも、その返信がなければ、それまでやけどな。
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