新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.534 引っ越しのため契約解除したいのですが


投稿者 ほま さん  投稿日時 2008.2.27 PM 6:14


この度3月に他県に引っ越すことになりました。

契約期間はH19.1〜H20.12までの2年間です。半年無料購読のサービスがありました。

販売店に、契約解除を言うと、転居先で引き続き購読してほしい、契約解除なんてケースは今までないと言われ、どうしても、購読できないなら返金3か月分をと言われました。

最後まで、「こんなケースははじめて」「こっちがびっくり」と言われ続けました。

でも、このサイトを見て、返金という形があると知り、驚きました。

今回のことで私がいろいろ言ったからか、担当の方は大柄な態度だし、私としては転居先でも、もう読みたくないです。

担当の方が言うように、3ヶ月分の返金が妥当なのでしょうか?


回答者 ゲン


引っ越しによる契約の解除は、法的には問題なくできるから、いくらその販売店の人間が『転居先で引き続き購読してほしい、契約解除なんてケースは今までない』と言うても、あんたがそれを拒否するのなら、それは仕方のないことや。

ただ、『どうしても、購読できないなら返金3か月分をと言われました』というのは、あんたのケースでは、おかしなことやないと思う。

法に照らしても正当な要求やと言える。また新聞販売店としても常識的な範疇に入る。

もっとも『このサイトを見て、返金という形があると知り、驚きました』という一般の方は、あんたに限らず多いがな。

今回のケースは、あんたの引っ越しにより、その販売店からの配達は実質不可能ということになるということで、引き継ぎを拒否すれば、契約解除ということになる。

契約解除になった場合、契約は最初からなかったものとして白紙の状態に戻すことが民法で義務付けられている。

その場合、基本的には、その契約を全うする条件として貰った景品やサービス品は返還する必要があると決められている。

あんたの場合は、『半年無料購読のサービスがありました』というのがそれになる。

民法545条に原状回復義務というのがある。

既に履行された債務(既履行債務)については、履行を受けた当事者は原状回復義務を負担する(545条1項)。直接効果説に従えば、契約が遡及的に消滅する結果、既履行債務は不当利得となり、原状回復義務は不当利得返還義務として構成される、とある。

ここで言う『不当利得』というのは、その景品や新聞の無料サービス分になる。法律は、その返還が必要やと言うてるわけや。

その『半年無料購読のサービス』というのは、おそらく先にそうされとるはずや。その場合、半年間の新聞代は、そのサービス分として、あんたはすでに利益享受したことになる。

原状回復義務での返還は、実際は貰うた物を返すということでええのやが、新聞の場合は実際上、その新聞での返還は難しいやから、どうしてもその分の新聞代でということになる。

今回のように、完全に契約を解除することを希望するのなら、その契約(約束)が守られんということになるのやから、原状回復義務に照らせば、その分の返還が必要になると考えられるということや。

その契約を全うするために、そのサービスがあったわけやからな。その契約の続行ができんと言うのなら、その受けた利益は返すのが当然やと思う。

引っ越しによる契約解除は致し方ないことや。これについては、どちらが悪いということでもないさかいな。

こういう場合、多くの読者の方が「そんなサービスは、販売店が一方的にしたものやないか」と言われるが、その認識はきついようやが、間違っていると言うしかない。

契約というものは、お互いの納得の上で交わされるものや。その契約書に、その条件としてのサービスと記されていて、実際にそれが履行されているのなら、勝手にという言い分は残念ながら、成立せん。

契約書への署名捺印をしたということは、そこに書かれていることをすべて認めたと法的には解釈されるからな。

もっとも、法的な解釈は別にしても、あんたがそのサービス分を貰いっぱなしにできる理由はどこにもないと思うのやがな。

この場合、これが品物や商品券の類なら、それを返還することに異を唱える人は少ないと思うが、この無料新聞代金ということになると、それを支払わされることが、何か途方もない理不尽なことやと感じる人もおられる。

両方とも、理屈上は同じなのやがな。

しかし、理不尽さは、その販売店の方でも感じとるというのも分かってほしい。

今回の件について言えば『担当の方は大柄な態度だし』というのが、どの程度かは分からんが、それ以外はまったくその販売店には落ち度のないことやと思う。

その落ち度のないことで、一方的に契約の打ち切りを余儀なくされ、これから残り10ヶ月程度、購読して貰えるはずの利益も失うことになる。

もっとも、それは、何度も言うが、決まりがあるから仕方ない。また、あきらめなしゃあないことでもある。

それならせめて、タダでサービスした分くらいの損害は回収したいと考えるのが人情やし、正当な請求やと思う。

販売店にしてみれば、あんたがその契約を全うすることを条件にサービスした6ヶ月分の新聞の仕入れ代金は、すでにその新聞社に支払い済みなわけや。

新聞社は、例え1部たりとも販売店にタダで新聞を卸すということはない。そして、そのサービスについては、新聞社は預かり知らんことになっとる。実際、関係ないと言う。

今回、その原状回復義務の観点から言えば、そのサービスした6ヶ月分の新聞代の請求をしてもおかしくはないのやが、それを3ヶ月分だけでええというのは、常識的でもあり良心的な部類に属する販売店やと思う。

これは、有料分8ヶ月の新聞代金を支払ったことで実質3ヶ月の無料サービスを受けたのと同じになるさかいな。これ自体、その販売店にしても破格のサービスのはずや。

今回、あんたが、あくまでもその契約解除にこだわるのなら、その3ヶ月分の支払いをした方がええと思うし、引っ越し先で、残りの契約分を購読するのなら、それは支払う必要はないということになる。

『最後まで、「こんなケースははじめて」「こっちがびっくり」と言われ続けました』と言うのは、その無料サービス分の新聞代の返還をするか、引っ越し先で残りの契約を購読するかの選択をする際、その販売店では多くの人が、引っ越し先での購読を選ぶから、そういう発言をしたのやろうと思う。

ワシも、客観的に見て、これからもどこかの新聞を取り続けるつもりなら、そうしとくほうが得やとは思うがな。

もっとも、どうされるかは、あんたの判断次第やから、良う考えて決められたらええ。


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