新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.537 高齢者の契約解除について


投稿者 kyoko さん  投稿日時 2008.3. 4 PM 5:14


高齢の母が一年前に契約したそうなんですが、その契約自体を覚えてません。

それで契約解除を申し出たら出来ないと言われました。

本当にできないのでしょうか?


回答者 ゲン


気の毒やが、高齢で覚えてないという理由だけでは、一方的に契約解除をするのは難しいと言うしかない。

あんたのようなケースで、無条件に契約解除ができるのは、違法に交わされた契約か、その契約時に、お母さんが認知症の診断を受けておられて、あんた、もしくは誰か身内の方に 法定後見人などの資格を持っておられる場合くらいなものや。

このケースでの違法に交わされた契約というのは、その契約書にお母さんが直筆で署名してない、ハンコもそこらの100円ショップで売っている三文判で勝手に押されてたというのが多い。

業界では、こういうのを、てんぷら(架空契約)と言う。まあ、架空契約なわけやから、それが無効になるというのは分かるわな。

そこにその契約書はあるのかな。もし、ないようやったら、そのコピーをその販売店に貰えばええ。たいていの販売店ならそれに応じるはずや。

新聞販売店には、その契約書の保管義務が法律で定められているから、それがない、あるいはそれができんとは言えんわけや。

もし、それに難色を示すようなら、契約書がないことを理由に「そんな契約は知らん」と言える。契約書がないと言うんやから、その契約自体を立証するのは無理やわな。

その契約書が手元にあるか、販売店がそのコピーを持ってきたら、契約者の氏名欄に書かれている筆跡が、お母さんのものかどうかを確かめる。

明らかにお母さんの筆跡と違えば、架空契約の疑いが濃厚となるから認められる可能性は少ない。

これを見分ける簡単な方法は、本来、勧誘員が記入する箇所とされている、契約日や渡した景品などの書き込みの筆跡と契約者の氏名欄に書かれている筆跡とが似通っているかどうかを見るというものや。

それが架空契約やった場合は、同じ勧誘員が書いたというケースが多いからな。

もっとも、中には手の込んだ者もおって、その名前の箇所をわざと筆跡を変えたり、他の仲間の勧誘員に書かせるというケースもあるから、それと見分けにくいという場合も考えられるがな。

これは、その契約を買い取る販売店に、てんぷらと怪しまれんための細工の場合が多い。当然やが、ほとんどの販売店では、このてんぷら行為は御法度やさかいな。

また、その箇所を勧誘員が記入したと認めたとしても、それは、お母さんに頼まれたから書いたと言う場合もある。しかし、その場合は、お母さんがそうと認めん限り、その言い分が通ることはないがな。

契約書の大前提には、契約者本人の直筆という絶対条件があるさかいな。

契約書の筆跡が明らかにお母さんのものでも、契約当時、医師から認知症の診断を受けておられて、あんた、もしくは誰か身内の方に法定後見人などの資格を持っている方がおられるのなら、その判断で契約を解除できる。

それらに該当する場合は、その契約時に貰ったものがあれば、それを返還すれば終わる。

もっとも、お母さんは契約自体を覚えておられないということやから、そのサービス品を貰ったことも覚えておられんということやわな。

その場合は、その契約書にサービス品を渡したという記述があり、そこにお母さんのサインがあれば、それを返還するしかない。

但し、ない場合は、その事実がないと拒否できる。

販売店が、あくまでもその返還にこだわるのなら、確かにお母さんに渡したという証拠を提示せなあかん。

受け取りのサインというのは、そのためのものでもあるわけや。それがないというのでは話にならんわな。

その契約書の署名がお母さんに間違いなく、その契約当時、認知症の診断を受けておられず法定後見人の資格もないというのなら、その販売店の言うように、通常では、その契約を解除することはできんということになる。

その場合、どうしても、その契約を解除するには、その販売店との話合いでということになる。それしか道はない。

一般的には、今回のように販売店がその契約の解除を拒否している場合は、解約違約金を支払ってというのが多い。それについては、お互いが納得する額で話し合って折り合うしかない。

現在、高齢者に対する、あこぎな訪問販売の勧誘の是非が問われていて、それがもとで『特定商取引に関する法律』の改正作業が進められとる最中やから、勧誘に制限が加えられる可能性もあるが、現行法では、単に高齢者に勧誘したというだけで違法性を問うことはできんわけや。

これからも、こういった問題が起きることも考えられるから、お母さんが認知症の認定を受けられているという以外は、その対処が難しいと思う。

考えられるとすれば、この問題が解決つけば、その販売店はもちろんやが、その地域のすべての他紙販売店に、お母さんと契約されても、その契約は無効やと通知するくらいなことやと思う。

そう頼めば、拡禁(拡張禁止)扱いにして貰える可能性は高い。絶対とは言えんがな。

しかし、それ以外の訪問販売業者となると、お母さんに印鑑を渡さない、持たせないというくらいしか対処法はないのやないかという気がする。

ただ、健常者のお母さんに、そうすることがええか悪いかは何とも言えんがな。難しい問題や。

もっとも、それについては、そちらのご家庭の事情もあることやから、ワシなんかの立ち入る問題やないけどな。

以上やが、ワシの言うたような状況と違うとか、さらに揉め事になって困るということがあれば遠慮なく、またここへ相談されたらええさかいな。


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