新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.539 配達区域内の引っ越しでは契約を解除することは無理なのでしょうか?


投稿者 YUZUさん 学生  投稿日時 2008.3.10 PM 8:15


初めまして。新聞の契約解除について調べていた所、貴サイトに辿り着きました。

Q&Aを一通り読んでみましたが、同じような質問があったらすみません。

お忙しいところ申し訳ありませんが、もしよろしければ相談にのっていただけないでしょうか。

丁度今住んでいるアパートの契約が切れることもあり3月中に引っ越しをするのですが、契約の解除について疑問が出てきてしまったのでご助言いただければ、と思いメールをさせていただきました。

A新聞会社と契約したのは19年4月で、購読契約期間は20年4月〜21年3月までの12ヶ月間でまだ新聞は来ていません。

また、引っ越し先は今住んでいる所とかなり近いところに位置するので、その販売店の配達区域内だと思われます。

以前契約した折、「そんなに先のことはわからないので」と契約を断った所、「新聞を配達する1ヶ月前にまた確認の電話をするからその時に読みたくなくなったら断ってくれても全然いい」と言っていました。

それなのに、その後の集金の際(その後またA新聞会社によって19年の12月から3ヶ月間購読させられたのでその集金)にはもうその時の契約が決定のように言われてしまったことと、「うちと契約をしてくれれば、もうこういう訪問販売はなくなるから。こういうの面倒臭いでしょ? ちゃんと他の新聞会社にも言っておくから」と言われ、それなら…と契約しました。

しかし、その後もA社はもちろん他の新聞会社の訪問販売もひっきりなしに来るのとで、A新聞会社(販売員)にも不信感をもっていたこと+新居の家賃が今より高いので経済的にも学生の私には苦しくなってしまったこととで、この引っ越しを期に契約を解除してしまおうと思ったのですが…。

上記に書いたことは会話の中の話のため証拠もありませんし、確かめようにも販売員の名前が契約書に記載しておらず確認することも出来ません。

ちなみに私が自分で書いたところは自分の名前のみでその他の所は販売員が書きました。控えには印鑑が押してないのですが、控えの方ではない契約書に印を押したかどうかは覚えていません。

やはり配達区域内では引っ越しを理由に契約を解除することは無理なのでしょうか?

自分でもずいぶん勝手な理由なのは重々承知しているので、違約金を払うことも仕方ないと思っているのですが、解除すること自体を断られてしまう可能性もあるのでしょうか。

説明が下手なため読みづらかったら申し訳ありません。お答えいただければ幸いです。


回答者 ゲン


『やはり配達区域内では引っ越しを理由に契約を解除することは無理なのでしょうか?』ということやけど、その場合は、その販売店との話し合いによる合意でないと契約解除が難しいのは確かや。

しかし、引っ越しする場所がいくら『今住んでいる所とかなり近いところに位置するので、その販売店の配達区域内だと思われます』と言うても、必ずそうやとは限らん。

販売店の営業エリアというのは、一般の地図の上での決め方をするわけやない。市町村とか何丁目何番地といった住所による区分けというのはほとんど影響がない。

新聞の宅配制度というのは、これで結構ややこしいことが多いもんなんや。隣接する同じ新聞社系列の販売店同士ですら、その境界が分かりにくくて揉めるということがよくある。

Q&Aの『NO.441 区域侵入について』なんかがそのええ例やと思う。

通常、この業界での販売店の営業エリアの境界を区切るものとしては、道路、河川、鉄道というのが一般的とされとる。

極端な話、道を挟んで向かい側にある新聞販売店ですら、その営業エリアが違うということがある。

そこからは、同じA新聞であっても配達されることはない。はるか遠い販売店から配達されるというケースも珍しいことやないさかいな。

つまり、同じ町内、近所であっても、その販売店の営業エリアが違うという可能性は十分、考えられるということや。

また、その販売店の営業エリアの広さもそれこそ千差万別というのがある。

狭い販売店と広い販売店の差は大きく、一定の決まった範囲というものがない。

同系列の新聞販売店が、一つの市町村に、数多くひしめき合っているケースもあれば、二つの市に渡る広範囲な営業エリアを持つ所もざらにある。

県境のある販売店なんかやと二県に跨(またが)って配達区域を有しているという場合もある。

一口に新聞販売店と言うても、その規模や配達区域には大きな違いがある。それが普通とされとる世界なわけや。

せやから、まず、あんたは新しく引っ越す所が、その販売店の営業エリアかどうかというのを調べてみることが肝心やと思う。

これは比較的簡単に分かる。Yahoo などの検索サイトに「○○新聞○○県○○市○○町」と打ち込めば、その地域をカバーしている販売店がすべて表示されるはずや。

そこに現在と違う販売店名があれば電話して確かめればええ。

「近く、○○町の○○マンションに引っ越す予定があるのですが、A新聞をお願いするのは、そちらのお店でよろしいのですか」という具合やな。

「そうです」という返事が返ってきたら、現在の販売店の営業エリアとは違うことになる。

「違います」という返答なら「申し訳ないですが、そこのA新聞はどちらのお店に言えばいいのですか」と聞けば教えてくれるはずや。万が一、教えてくれんかったら、その可能性のありそうな販売店に再度、電話をかけ直したらええ。

現在の販売店の営業エリアやないということが分かったら、引っ越しを理由に契約解除を通告したらええ。

その販売店の営業エリア外への引っ越しやから何の問題もない。その販売店からは配達できんようになるのやから、契約も自動的に解除される。その契約時に貰うたものを返せばそれで終わる。

引き継ぎ契約を言うてくる販売店もあるが、嫌なら断ればええ。法的に強制されることでもないさかいな。当然やが、その場合は、引っ越し先の住所なんかも教える必要はない。

但し、その引っ越し先が、その販売店の同じ営業エリア内やったら、そう言うた場合、バレる可能性は高いから止めといた方がええやろうがな。

たいていの販売店では空き家チェックというのをしていて、新入居に対しては常に見張っとるということがある。この業界は、なんというても引っ越し客が一番の狙い目やさかいな。

特に、今時分から4月にかけては、その引っ越しの最盛期やから、どこの新聞販売店でも血眼(ちまなこ)になっとるはずや。

新しい引っ越し先が、その販売店の営業エリアやと、解約するには合意解除しかないと思う。

『ちなみに私が自分で書いたところは自分の名前のみで』というのは契約書としては、それで成立する可能性は高い。

『その他の所は販売員が書きました』というのは、契約日とか購読条件などの記入やろうからそれで問題はない。本来、それは業者側が書くべきことやさかいな。

もっとも、住所欄は契約者の直筆の方が望ましいけど、それで契約が無効になるとまでは言えん。印鑑も、あんたの手元に残る控えにはなくてもええ。相手の社名が入っているかゴム印が押してあれば十分や。

『うちと契約をしてくれれば、もうこういう訪問販売はなくなるから』とか『ちゃんと他の新聞会社にも言っておくから』というのは、大嘘で、あり得ん話やから、消費者契約法の「不実の告知」として契約解除に持ち込む手もないわけやないけど、それは難しいし、面倒やろうと思う。

あんたも言われておられるとおり、『会話の中の話のため証拠もありません』ということで言うても水掛け論になる場合が多いさかいな。

もっとも、徹底して戦うつもりなら状況証拠は揃えられるかも知れんがな。どういうことかと言うと、その販売員は、当然やが、あんた以外にも、その近辺で同じようなことを言うて勧誘している場合が多い。

そういう話を聞いた、あるいは契約したという人を探し出せば、それが状況証拠となり有利なる可能性はある。

まあ、そこまでしたというケースは今のところワシらには届いてないがな。

このケースでどうしても解約したいというのなら『違約金を払うことも仕方ないと思っているのですが』というのが一般的やとは思う。

もっとも、販売店により、その違約金がいらんと言う所もあれば、その提示がある場合もある。その額もそれぞれや。

さらに、『解除すること自体を断られてしまう可能性もあるのでしょうか』という販売店も確かに存在する。

それについては、販売店の対応は多種多様やさかい、こうやとはワシには断言できん。

結論として、その販売店の営業エリアを調べて、そこがエリア外やったら、引っ越しを理由に契約解除を通告したらええし、営業エリア内やったら、話し合いでの契約解除を打診してみることや。

その結果次第で、どうするか考えな仕方ないと思う。それで、また分からんことがあれば遠慮なく相談してくれたらええさかいな。


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