新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.548 聞く耳をもたない地域での拡張は?


投稿者 桜島さん 拡張員 九州在住  投稿日時 2008.4. 6 AM 0:02


九州の温泉が多いところの県で拡張してます。

基本、お客に断り文句を言われそうになると「アっ、いや」とか言いつつ拡材を渡しながら契約カードを差し出して契約のお願いをしますが、お客も新聞拡張なれしてます。

そういう厳しいところでの拡張をするときの対処法をぜひ聞きたいと思っております。

まず「Y新聞です!」と言った瞬間、聞く耳をもたない地域ではゲンさんは普段どうしてますか?

雑談トークも通用しない地域ありますよね。お願いします。


回答者 ゲン


『そういう厳しいところでの拡張をするときの対処法をぜひ聞きたいと思っております』ということやが、厳しいのは普通のことやと思うがな。

『聞く耳をもたない地域』というのも特別珍しいことやない。営業とは、そうしたもんや。

何かを売りつけられると分かって歓迎する人の方が圧倒的に少ない。まず、それがあって当然やということを認識しとかなあかん。簡単に話を聞いて貰えることの方が少ないのやと。

あんたの言う『厳しいところ』というのが、どの程度なのかは分からんが、ワシらの方では1日、100軒の家を叩いて(訪問)、ドアを開けて対応して貰えるのは、ええとこ20軒もあればええ方やと思う。

大半は、居留守を使われるか、ドアホンキックで終わりや。

一般的なことで言えば、話を聞いて貰える確率を上げるには、訪問件数を増やすしかない。「ヘタな鉄砲数打ちゃ当たる」ということやな。

それが、当たり前という捉え方をしてないと、この拡張の仕事をするのは無理やで。

もっとも、ただ闇雲に叩くだけでもあかんがな。拡張について、何が嫌われとるのかということも、しっかり認識しとく必要がある。

当メルマガに『第109回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞営業でオンリーワンと言われるための心得』というのがある。

その中に『新聞勧誘が嫌われる主な理由』と題した項目があるので、その部分を抜粋する。


新聞勧誘が嫌われる主な理由


@慣れの部分も強いが、長年、購読しとる新聞がベストやと思う読者は多い。長期購読者という人たちや。この客層からの断りが一番多い。

彼らは、よほどの事情がない限り、それを変更する意志のない人がほとんどやと考えてええ。

よほどの事情とは「誤配、遅配があって販売店の対応が悪い」「集金に来なくなった」「その販売店が何かの事件に関係した」「評判が悪くなった」「販売店と揉めた」という類のものや。

タイミングよく、そういうときに訪問したら、カード(契約)になることがある。

しかし、それ以外の変更する意志のない人にとっては、新聞の勧誘は、来られるだけでも、うっとうしいものやとなる。

または、その意志がないのに、その話を聞くのも悪いと思う人もおる。

それなら、最初からその素振りも見せん方がええとなる。これはこれで、ある意味、親切なことでもあるがな。

A勧誘員の外見が大きく左右する。多くは、服装、スタイルなどの第一印象で判断して嫌がる。

嫌われるスタイルとは、ヤクザの着るようなハデな服とか、だらしないと思われる格好や。

中には洗濯しとるのかと疑うような汚れたヨレヨレの服を着とる者もいとる。身だしなみに気を遣わんような人間や。

これは、営業員にとっては致命的なことや。営業の世界ではタブーとされとることやけど、この業界は、それについて甘かったというのがある。

現在は、厳しい所が大半やけどな。それでも、一部にそういう人間が未だにおるのも事実や。

B態度や話し方というのも大事や。営業は、話すことから始めるわけやから、それが嫌われたら話にならん。

しかし、他の営業員と比べると接客態度の悪い者が多いというのは、残念やが認めんわけにはいかんやろと思う。

もちろん、中にはちゃんとした者も多いが、営業全体のランクで言うと悪い部類に属する。

営業は、当たり前やが、客がおって初めて成り立つものや。極端に言えば「お客様は神様」というくらいの気持ちで接せなあかん、とワシは思う。

ワシらが飯を食うていけるのは、その客から契約が貰えるからやからな。

そう考えれば自然に客に対して接し方、物言いも嫌われんように心がけるはずなんやが、それが分からん人間がおるから困る。

そういう人間のおかげで、他の真面目な拡張員も、それと同列に見られ扱われることになるわけや。

これには、その基本的な営業の心得を教える拡張団である営業会社が少ないのと、昔からの悪しき伝統を引き継いどるということにも、その一因がある。

それについては、このメルマガやサイトでも、事ある毎に言及しとる。

そもそも、新聞拡張団の起こりは、ヤクザ組織のような連中を勧誘員として新聞社が使い始めたということにある。

そのヤクザに一般人に対して他の営業員のような態度で接しろというのは酷な話かも知れん。

どうしても「契約したれや」という言動になりやすい。それが、60数年間も続いてきたという背景があるからな。

最近、かなり浄化されつつあるとはいうても、一朝一夕に変わるものでもない。どうしても、その悪しき伝統が残っとる所もあるということや。

C拡材の存在も大きな要素や。これには、思い違いをしとる拡張員が多い。

思い違いをしとると、第一声から「こんなサービスがおまっせ」と拡材中心の勧誘になりやすい。

そういう勧誘員は「拡材を渡すんやから、契約してくれてもええやろ」という気持ちと態度にどうしてもなる。

例え勧誘員本人は、そのつもりがなく、それと気が付かんでも、客はそう受け取る。これは、客にとってはバカにされとる気分になる者もおる。

例えて言えば、魚釣りをしとるのに似とる。多くの釣り人は、エサ次第で魚が釣れると思う。そう思えば、どういうエサを与えれば釣れるかということだけを必死で考えるようになる。

本当はエサだけで魚が釣れるわけやないんやが、それ以外のことに考えが及ばんわけや。

魚と違うて、人はバカやないから、そんな扱いをされとるというのを敏感に感じ取る。「景品なんかは別にいらん」と言う客がそうやと思えばええ。

これには、暗に「バカにするな」という意味合いが含まれとる。そういう客は、当然のように拡材の話だけしかせん勧誘員に嫌悪感を示すことになる。

もっとも、その拡材の景品次第で契約する客がおるのも事実やから、これは止むことのない手法やとは思うがな。

相手次第では有効な営業なのも確かや。ただ、いずれにしても、それだけやと嫌われやすいということも心しとく必要はある。

D最近では、さすがに喝勧やてんぷらということも少なくなってはきたが、未だに騙しのような手口は横行しとるようや。

そういうのも、嫌われる大きな要因になる。

「宅配便です」「古紙回収の者です」「引っ越しの挨拶に来ました」と嘘をついてドアを開けさせようとするのが、その典型や。

サイトの『新聞勧誘・拡張なんでもQ&A』の相談にもそういうのが多いからな。そういうのが、なくならん限りは、ワシらへの評判が良うなることもないやろと思う。

当然やが、一度でもそういうのに遭遇したら、新聞勧誘に対して不信感を抱かんといてくれと言う方が無理やろうからな。

E自分本位な勧誘員も嫌われる。世の中には、自分中心で物事を考える人間は多い。一般人やったら、それでもええかも知れんが、営業する者がそれやと救いがない。

自分本位な人間とは「せめて話くらい聞けよ」というタイプや。これは、例えそのことを口に出さずとも、その気持ちは必ず相手に伝わる。

どうしても横柄な態度になりやすくなるからな。客と揉め事を起こすのは、間違いなくこのタイプや。

営業は、営業員の一方的な都合で訪問して客の時間を奪うことになる仕事やから、それについての思いやりの気持ちが必要やと思う。

これは、そう考えるだけで、自然にそういう接客態度になるはずや。


この他にも、人により、それぞれで嫌う理由はあるやろうが、だいたい、こんなものやと思う。

これを正しく認識しとれば、どうすればええかは簡単に分かるはずや。嫌われる要素に思い当たることがあれば、それをせんように注意すればええだけのことやさかいな。

あんたの『お客も新聞拡張なれしてます』の言葉は、せやから仕方ないという風にしか、ワシには聞こえん。

それでは、その『厳しいところでの拡張』とか『聞く耳をもたない地域』ということから離れられんのやないかと思う。

営業というのは、気持ちの占める割合が、他の仕事に比べて格段に高い仕事なわけや。

つまり、モチベーションを常に高めとく必要があるんやが、気持ちに負け、ネガティブなマイナス要因を自分で作り出すと、難しいものがよけい難しく感じられ、そこから抜け出せんようになる。

それでは、あかんわな。

そうやなく、この仕事は、断られて当たり前くらいの気持ちが常にあれば、「ま、ええか。次、いこう」と、前向きな気持ちになれるはずや。

もっと言えば、「これだけ断られ続けたのやから、次はいけるで」というくらいの思い込みやな。

おそらく、あんたは、そうは思えず、気持ちも落ち込んどるのやないかという気がする。

この拡張に必要やと思えることは『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』 でいろいろ言うてるが、その中でも特に大事なのは「笑顔で客に接する」ことやと思う。

そうして落ち込んで笑顔をなくしたまま拡張しても、ええ結果が得られることはまずないと断言する。

この笑顔の重要性については、『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第1章 新聞営業の基本的な考え方 人間関係構築編 その3 第一印象が勝負』や『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』で話とるので、時間があるときにでも見ておいてほしいと思う。

人間は弱いもので、成果が上がらんと、常に何かのせいにして逃げたがる。

それが『厳しいところでの拡張』であり『聞く耳をもたない地域』ということになるのやろうと思う。

しかし、何度も言うが、この拡張の仕事は、それが当たり前なわけや。日本全国、どこに行っても、楽な地域というのはないで。

それがあるとすれば、その人間の気持ちが高揚して調子よく契約を上げられとるときに、そう感じられるのやと思う。

つまり、そういう状態というのは、その地域の問題というより、その個人のモチベーションによって決まると言うても過言やない。

『ゲンさんは普段どうしてますか?』ということなら、ワシは常に前向きにしか考えてない。また、考えんようにしとる。それまであかんでも、次の客とは、必ず成約できると。

『雑談トークも通用しない地域ありますよね』というのも、そういうことはないと信じとる。

そういうものは、すべて自らが作り出す状況なわけや。

そら、結果が悪いときもあるが、少なくともそういうときは、何かのせいにするようなことはない。

何かのせいにして逃げれば、結局は救われんことになる。そう思うがな。


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