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NO.550 このような場合、解約はできるのでしょうか?


投稿者 Sさん  投稿日時 2008.4. 7 PM 9:50


夜分遅くに失礼します。長くなりますが、質問があります。よろしくお願いします。

Y新聞の契約が2月末にきれ、新しく1年契約を交しました。しかし、急に引っ越しが決まったため、Y新聞を引き継ぎで3月半ばから新しい住所でお願いしました。

引っ越して10日ほどで3月の集金が来ました。そのときに、3月分と前回住んでいたときの未払い分(2週間分)で全部で5750円を支払いました。

しかし、よく考えたら払いすぎでは? と思い、今日Y新聞に電話で問い合わせました。むこうも私が払いすぎということを理解し、明日返金に伺います、とのことでした。

さらに、「洗剤と商品券をすぐにお持ちします」とY新聞の方が引っ越してきてすぐ家に来たものの、持ってきません。理由を聞くと月末なので遅れる、とのことでした。

引っ越してきたのは3月半ばで、今は月末でもありません。はっきり言って意味がわかりませんでした。些細なことかもしれませんが、私はこれで不信感をもちました。

主人が出張中のため、電話で主人にこのことを伝えると、解約しろ、とのことでした。明日返金に来るとのことなので、解約のことは主人がY新聞に電話で伝えました。

クーリングオフなどイロイロあるとややこしいと思い、契約書を確認したのですが、前の住所で契約した契約書(H20.3月〜H21.2月まで)であり、引っ越した先(今の住所)で契約書を交した覚えがありません。

前に住んでいたところ(契約していた)Y新聞の方と引っ越しに伴ない新聞のことについて話しているときに、『どっちみち引っ越した先で新しく契約書を書かなければいけない』と言われた覚えがあるのですが、引っ越してきて契約書を書いた覚えがありません。

契約書の住所、電話番号は前の住所のものです。

このような場合、解約はできるのでしょうか?

ちなみに、みじかいですが、購読していた分は払う気があります。商品券、洗剤は主人が受け取りを拒否しました。

前に住んでいたところのY新聞が、とても対応がよく4年程契約していたので、今回のことがあり、とてもショックです…。

今後、新聞を取ることがあると思いますが、それでもY新聞以外は取るつもりはありません。半年から1年くらい時間をおいて、契約しようかな? とも思っています。

今回の私の解約はどうなるのでしょうか…。主人がおらず、私も20代前半なのでナメて見られそうで…。明日何を言われるのか、今から不安でなりません…。

長くなり申し訳ありませんが、回答をよろしくお願いします。


回答者 ゲン


『前の住所で契約した契約書(H20.3月〜H21.2月まで)であり、引っ越した先(今の住所)で契約書を交した覚えがありません』という理由で、一方的な解約が可能やと考えておられるとすれば、残念やが心得違いをされとるとしか言えん。

『前の住所で契約した契約書』は、『急に引っ越しが決まったため、Y新聞を引き継ぎで3月半ばから新しい住所でお願いしました』ということなら、現在の販売店との契約は、譲渡契約されたものとして扱われる。

その譲渡契約についての民法の法律用語に、「債務引受」というのがある。その人の負っている債務が同一性を維持しつつ別の人に移転するということを指す。

普通、債務と聞くと、借金のことのように思われがちやが、そうとばかりは限らん。

債務とは、ある人が他の人に対して一定の行為をすること又はしないこと(不作為)を内容とする義務のことをいう。義務を負う者を債務者、権利を有するものを債権者と呼ぶ。と、定義されとる。

譲渡契約は特に書面による手続きの必要はなく、譲渡人であるあんたが債務者(販売店)に通知をし、承諾があったと認められる状況があれば成立する。
 
今回の場合は、あんたからの申し入れということと、『引っ越して10日ほどで3月の集金が来ました。そのときに、3月分と前回住んでいたときの未払い分(2週間分)で全部で5750円を支払いました』という事実で、その譲渡契約を認めたとされる可能性は高い。

つまり、あんたは、現在の販売店と『H20.3月〜H21.2月まで』の1年契約をすでに結んでいることになるわけや。それに同意したと見なされる。

『どっちみち引っ越した先で新しく契約書を書かなければいけない』と前の販売店の人間に言われたということやが、もちろん、それがあるに越したことはないが、譲渡契約が成立しとるのなら、別になくても構わんとされとる。

ワシの個人的な意見では、新たに契約しとくべきやと思うがな。ワシの知る限りでも、そういう販売店の方が多い。

そうしとけば、今回のような揉め事にならんかったと思うし、あんたもそれを理由にはせんかったはずや。

新聞社は、個人購読者との契約事には、一切タッチせんというのが基本的なスタンスなんやが、この引き継ぎ契約だけは別で、その仲介をしとる。

どういうことかと言うと、前の販売店は、あんたから引き継ぎの依頼を受けた段階で、新聞社にその旨を伝える。

新聞社は、あんたから得た引っ越し先の住所情報をもとに、当該の地域を担当する現在の販売店に通知する。

現在の販売店は、それにより、新聞の配達を開始し、その集金をしたということになる。

ここまでは、あんたの方にも何の異論もなかったはずや。

それなら、この契約は解除できず、どうしようもないのかと言えば、そうとばかりは言えん。場合によれば、あんたの主張が通ることも考えられる。

新聞の払いすぎに関しては、その分の返金さえして貰えれば、それでええのやないかと思う。その販売店も、それについては応じるということのようやしな。

ただ、それに加えて『さらに、「洗剤と商品券をすぐにお持ちします」とY新聞の方が引っ越してきてすぐ家に来たものの、持ってきません』というのは頂けんな。

約束した以上、それは守らなあかん。当たり前のことや。しかも、それを客に指摘されながら『理由を聞くと月末なので遅れる、とのことでした』と逃げを打つのはもっての外や。

あんたが『引っ越してきたのは3月半ばで、今は月末でもありません。はっきり言って意味がわかりませんでした』と言われるのは当然のことや。

『私はこれで不信感をもちました』というのもよく分かる。

ただ、ワシには、その販売店の人間が『月末なので遅れる』と言うた意味は分かりそうな気もするがな。

一つには、あんたから、その『洗剤と商品券』をまだ持ってきてないと指摘をされたとき、本当に品切れしていて、その手配を月末にしても、すぐには入荷しないという意味で言うた場合。

もう一つは、月末は、販売店の従業員にとって集金の忙しい時期なので、それが済んでからにしてほしいという願いを込めて言うた場合。などが考えられる。

しかし、そんなことは、あんたには関係ないことやわな。

そのとき、その販売店の人間が、もっと丁寧に、その非を認めて遅れることを謝って真摯に対応しとれば、あんたも、そこまで怒ることもなかったと思う。

何でも、ものには言い方というのがある。「月末なので遅れる」と、ぶっきらぼうに言われたとしたら誰でも腹が立つわな。

そういう態度に業を煮やして「解約や」と言い出す客も珍しいことやないし、多い。

販売店次第では、それで客を怒らせたのは、自らの責任ということで、その解約に応じる場合がある。

『明日返金に来るとのことなので、解約のことは主人がY新聞に電話で伝えました』ということなら、それであきらめる可能性も考えられるということや。

客と揉めてまで、新聞を配達しようとまでは考えん販売店も実際にあるさかいな。

しかし、『洗剤と商品券』を遅れながらでも持ってきた場合、契約不履行とまでは言えんから、それを理由にしての解約をその販売店が拒否すれば、法的には解約するのは難しくなると思う。

『明日何を言われるのか、今から不安でなりません…』というのはよく分かるが、実際、あんたの方が「解約の意志」を示している以上、その販売店の出方を見んことには、その対処のしようがないわな。

ただ、あんたの『このような場合、解約はできるのでしょうか?』と言われるのが、法的にという意味なら、先にも言うたように可能性とすれば低いとしか言えんと思う。

いずれにしても、その販売店の対応如何でアドバイスも違うてくるさかい、その結果次第で、また相談してくれたらええ。


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