新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.556 経営者になるためにやるべき事はなんでしょうか?
投稿者 若社長さん 新聞販売店従業員 投稿日時 2008.4.15 PM 9:23
初めまして。僕は専業を始めて2年目になります。
取り扱ってる銘柄はM新聞とI新聞(地方紙)です。所長(父)は10年後には権利を譲ると言っています。
今後、僕が経営するまでにやるべき事はなんでしょうか?
実は親父とはあまり話しません。訳は色々あるんですが、きっと今後もあまり話さないと思います。
このありがたいサイトや新聞業界を勉強して自分で知識を得ています。今後、僕がやらなければいけない事を、経験豊富なゲンさんに教えて貰えれば幸いです。
お忙しいとは思いますがよろしくお願いします。
回答者 ゲン
『実は親父とはあまり話しません。訳は色々あるんですが、きっと今後もあまり話さないと思います』ということのようで、本来ならそういうプライベートなことにまで踏み込むつもりはないのやけど、それでも敢えて言わせて貰うが、仕事を引き継ぐつもりなら、それではあかんと思う。
『僕は専業を始めて2年目になります』ということなら、この仕事が楽なものやないというのはよくご承知のはずや。
それでも、この仕事を続けて行きたいというのなら、それこそ、いろんなことを貪欲に勉強せなあかんわな。
あんたは『このありがたいサイトや新聞業界を勉強して自分で知識を得ています』と言うておられるくらいやから、そのこともよく分かっておられると思う。
それなりの事情もおありやとは思うが、その仕事を引き継ぐと決められというのは、少なくとも、所長である、お父さんに対して敵対心があるわけやないやろうと察する。
もっとも、お父さんやと思うからこそ、接しにくいというのもあるのかも知れんが、そういうことにこだわっていたら、あんた自身が損や。
お父さんである所長は、この道では大先輩で経験も豊かやし、知識も豊富なはずや。それを盗まん手はないで。
お父さんである所長さんも、あんたに、それを伝えるのに惜しむようなことはせんはずやしな。そのつもりなって聞けばいくらでも答えてくれると思う。
それには会話することが一番やと思うんやがな。
このサイトを見て勉強されとるというのは、ワシらからしたら嬉しいことやけど、最も参考となる生きた手本が、すぐそばにおられるのやから、まずは、その人から、その極意を盗まなあかんのと違うかな。
この新聞販売についてのやり方というのは、それぞれ千差万別あり、その場その状況に合わせるしかないという側面が強い仕事やと思う。所変われば品変わるというのがこの業界なわけや。
まず、その販売店、その地域の状況を把握するしかないのと違うかな。それには、それに一番詳しい人から聞くのがベターやという理屈は分かると思う。
お父さんが所長やという意識があるから、そういう気持ちが生じるわけで、仕事中だけでも単に所長と従業員という関係で接するようにしたらどうや。
そうすれば、仕事に関して、知りたいこと、聞きたいこと、あるいは頼みたいことというのが言えるのやないやろうか。
新聞販売店の一般的な従業員は、将来、店主を目指してもなかなかそうはなれず、また所長とも満足に意志の疎通ができないというのが普通なわけや。
それから比べたら、あんたは、その気さえあれば、そうできるのやから幸せやと思うのやけどな。
まあ、そうは言うても、あんたの事情とやらがワシには良う分からんから、あまり無理強いするわけにもいかんがな。
ただ、一考の価値はあるのやないかと思うだけや。考えてみてほしい。
『今後、僕が経営するまでにやるべき事はなんでしょうか?』についてやが、それはあんたの希望、目標次第で違うと思う。
現状維持でええのか、店の規模を大きくしたいのか、評判のええ店にしたいのかによっても違うてくる。そして、何よりそれに対するあんたの取り組み方、意識の問題が大きく左右することになる。
普通、こういう質問をされてこられる人は、意欲的で店の規模も大きくしたいと考えておられるやろうし、評判も勝ち取りたいやろうから、そのつもりで話す。
こう言うと、仕事の能力、人望、経営、店の仕組み、客への応対といったことが重要やと思われがちかも知れんけど、ワシには、販売店を経営していた経験がないから、そういうことのアドバイスは難しい。
しかし、販売店にとって何が一番大事なのかというのは分かるつもりや。
それを一言で言えば、評判やと思う。それが大きな力になるのだけは間違いない。販売店の評判というのは、その経営者そのものの評判やと言うてもええ。個人に負うところが大きいと考える。
そのためには、客に愛想よくしたりとか、勧誘での迷惑をかけんようにしたりとか、トラブルを起こさん、また上手く処理するというのも大事と言えば大事やが、それ以上に心がけなあかんことがある。
それは、日々の挨拶やと思う。
何やそんなことかと思われるかも知れんが、これは考えるほど簡単なことでもないようや。これを徹底してできる人間は少ないというさかいな。
来店する客や訪問する客への挨拶は当たり前として、道ですれ違う人間にでも「こんにちは……ですね」と笑顔で声をかけられる状態なら、そうすることや。
「……」の部分は気候のことを言うくらいでええ。「こんにちは、寒いですね」「こんにちは、暑いですね」といった具合やな。
道でこんな風に声をかけられたら「ほんとですね」とほとんどの人間が挨拶を返してくれるはずや。
見知らん人間でも、近所の知り合いと勘違いするんやな。これを長く続けとるとプラスになることはあっても、マイナスになることは絶対にない。
何度か同じ人間とそういう挨拶を交わしていると本当に、それだけで知り合いになることも多い。
この何度も会うということやが、それほど広いバンクやなかったら、限られた範囲の客と接するわけやから、どうしても同じ人間に出会すことも多くなる。
そうすると、勧誘なんかで訪問した家からその人間が出てきた場合、新聞を断ろうと思うてた人間でも、普段、そういう関係があったら話くらい聞くし、悪い印象もないやろうから勧誘もしやすくなるはずや。
つまり、こういうことを習慣付けておくだけで、自然に人間関係が出来上がってる場合があるということや。
これは当然のことと思うて、ワシ自身、営業中は常に心がけて実践もしとる。
これは、金やサービスをかける以上に最も効果的な営業方法やとワシは信じとるのやがな。
この業界の長期読者の特徴というのは、その販売店の経営者と懇意にしとるからという理由がかなりの比率で多い。当然、そういう人を翻意させるのは難しいわな。
人間関係が完全に出来上がっていればいるほどそうなる。少々のサービス品をちらつかすくらいでは心変わりはせんさかいな。
販売店や拡張員の営業というと、どうしても拡材のサービスだけに走りがちやが、この挨拶をすることで得られる人間関係には勝てんということや。
ワシの知っている経営者に、この挨拶を徹底することで、部数を数年で数倍以上増やした男がおる。その男は、東海でY紙の経営者をしとる。
Y紙と言えば、日本一の部数を誇る大新聞社やが、その東海地方のみで言えば、僅かなシェアしかない三流新聞なわけや。一般読者、企業からもそういう扱いでしかない。
ここでは、ブロック紙のC紙が圧倒的なシェア(占有率)を誇り、その率80%強の販売店が軒並みという地域や。
多くのC紙の販売店が自社ビルを持っていたり、店舗の裏に豪邸を構えていたりというのが普通にある。
その男が、その店の経営者になったときには、Y紙がその地域で確保していると目されるシェア5%ほどのさらに半分以下やったという。
しかし、その男は、明けても暮れても、ただひたすら近所の人間と挨拶を交わすことを心がけ、その評判を高め、ついには、そのバンク内で、そのC紙の販売店と比肩するまでになった。
それくらい、日々の挨拶というのは大切なものやと思う。
当たり前やが、日々そういうことを心がけとれば自然と客との会話も増え、また地域のために役立てたいと考えるようにもなるし、そういう運動にも積極的に参加するようになる。嫌でも密接な関係になっていくわけや。
それなれば客も増える。増えれば、評判も上がる。評判が上がれば、その地域の企業からのチラシ依頼も増える。
つまり、すべてが好循環になっていくわけや。もっとも、ナンボ、ワシが「挨拶は大切やで」と言うても、肝心のあんたがそう思えなどうしようもないがな。
実際、頭で分かっていてもできる人間は少ないという。もったいない話ではあるがな。
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