新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.565 金額提示のない契約は成立しない事になるのでしょうか?


投稿者 Hさん 東京都八王子市在住  投稿日時 2008.4.26 PM 10:02 


私は四月から東京は八王子に引っ越してきた者ですが、今までA新聞を取っていた。引越し中にA新聞が来たので早速契約した。契約内容は「朝刊だけで1年間」という契約である。

実際に集金に来ると3,710円でした。名古屋では2,710円でした。

契約の時に、契約金額を提示しなかったのは契約が成立しない事になるのでしょうか?

年間12,000円も違うので、同じA新聞なら同じだと思い込んでいました。

契約は破棄出来ますか?


回答者 ゲン


『契約の時に、契約金額を提示しなかったのは契約が成立しない事になるのでしょうか?』ということやけど、契約書にその金額の記載がなかった場合、そう主張することは可能や。

但し、一般的な朝夕セット価格としての3925円、統合版の3007円という価格は、1994年4月以降、14年間変動がなく、周知の事実ということで、その金額の請求であれば金額の記載がなくても単に新聞代ということだけで認められる可能性は高いと思う。

たいていのA新聞の契約書には、その価格の印字がしてあるから金額の提示云々は問題にはならんが、朝夕セット版地域で朝刊のみの選択の場合には金額の記入欄が空白になっていて、そこに書き込むことになっとるはずやから、その金額の記載が必要になる。

新聞の価格というのは、同じ新聞であれば新聞特殊指定の規定により全国同一価格にせなあかんと決められとるのやが、事、朝刊のみの場合は慣習として、その販売店毎の裁量次第ということがまかり通っている。

そのため、その価格にバラツキが生じとるのが実態なわけや。つまり、価格不明の商品ということやな。それの表示がないのはあかんわな。

しかし、それにしても、その販売店は、朝刊のみの集金額が3710円というのは、業界の常識に照らしても高い方やと思う。

1ヶ月の宅配購読料は朝夕のセット価格で3925円と決められとるのやから、それからすると、朝刊のみ3710円というのは、夕刊分だけやと215円ということになる。1日約7円という計算や。

いくらなんでも、7円で夕刊を作って配達の人件費を出すことはできんわな。誰が考えてもおかしなことやと気づく。

駅売り、コンビニ売りのA新聞の1部の定価は朝刊で130円、夕刊で50円と決められとる。

朝夕刊で180円。それが1ヶ月30日で5400円になる。本来、新聞の定価はその金額でなかったらあかんはずやが、新聞社は、それを宅配の購読者に限り特別に3925円に値引きして売っているのやと説明する。

実に1475円もの値引きということになる。つまり、新聞社としては、その1ヶ月の代金は定価ではなく割引したものやと言うわけや。しかも、宅配料込みでな。

それでいくと、3710円という金額は、30日で割ると124円弱になり、値引きなしの金額130円に近い。これは、新聞社としても、その言い分が通らんから容認できんのやないかと思う。

いくら自由な裁量としての慣習があるとしても、度がすぎとる。ワシが『業界の常識に照らしても高い』と言う所以や。

5400円が3925円になるという割合で計算すると、朝刊1部の定価130円は95円弱にならなあかんことになる。95円が30日なら、2850円という答えが出る。

本来、新聞社の示す正当な朝刊代だけなら、計算上は2850円にならなおかしいということになるわけや。せやないと、朝夕セット価格の3925円に新聞社が設定しとる計算と理屈が合わんようになるさかいな。

ただ、なぜか新聞社は、そのあたりのことを今まで曖昧にしてきたわけや。せやから結果として、こういうことが起きとるのやと思う。

因みに、あんたの『名古屋では2,710円でした』というのは安すぎるのやけどな。

名古屋のある愛知県内のA新聞には全国版というて朝刊のみしかない地域がある。新聞社で指定しとる全国版の宅配販売価格は3007円なわけや。

それを2710円に値引きして売っていたというのは、新聞特殊指定の全国一律の定価の原則に反するから、本来してはあかん価格設定ということになる。

これが、同じ関東地域内での引っ越しというのなら、あるいは似たようなことがあるから、その金額の記載がなくても許されるということがあるかも知れんが、その販売店の人間も引っ越しの勧誘に来たのやから、あんたがどこから引っ越して来たかくらいは聞いていたはずや。

それなら、新聞屋のプロとして名古屋を含む愛知県地区に全国版があるというくらいは知ってなあかん。しかも、その客が朝刊だけと言うのなら、その金額は当然、全国版の3007円やと承知しといてしかるべきやと思う。

あんたの方にも、その契約書を渡されたとき、そこに金額が明記されていないという不備を見逃し、確認してなかったという落ち度もあるが、それ以上に、そこに金額を書いてないという販売店の方が、はるかに落ち度が大きいのは間違いない。

ただ、それで法的にすぐそれを理由に契約を解除できるかとなると一概には言えんというのが難しいところや。

その後の交渉で是正され、その金額で合意すればそれでええということになるさかいな。普通はそうする。

このケースは、その販売店にしても、金額の提示、表示なしに、その金額を請求したのは騙そうということで、そうしたわけやないと思う。実際、他の朝刊のみの人からは、その金額を徴収しとるのやろうからな。

こういうケースでの、一般的な物品売買の契約でその金額が抜け落ちていて、それが返品不可能な物の場合、正当な時価計算での支払いをするのが妥当やと思う。

ただ、継続の意志がなければ、契約の続行は拒否すればええ。このケースは、契約書の不備を理由にそう主張できる。

よほど、その販売店にあんたの希望に近い歩み寄りがなければ、そうするのも仕方ないとは思う。

但し、その確かな法的判断は最終的には裁判所に委ねるしかないが、その販売店がそこまでするとは考え辛い。そういうケースは聞いたこともないさかいな。

ただ、あんたにしても、そのA新聞を購読するのなら、その販売店からしかできんわけやから、その場の怒りに任せてそうするのは得策やないとは思うがな。

先に示したような価格の裏付けをもって交渉したらどうやろか。あんたの希望の線に近づけられる可能性もある。

もっとも、どうするかは、あんた次第やがな。もちろん、その販売店の出方次第というのもあるがな。


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