新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.566 調停申立書にサインして返送しても大丈夫でしょうか?


投稿者 Dさん  投稿日時 2008.4.27 PM 7:11


はじめまして。新聞の契約のことで相談したいことがあります。

半年程前に今年の四月から新聞の契約をしました。

仮契約とのことでサインしたのですが、その後四月に他社の新聞をとることになって契約解消したいとの電話を、その販売店グループの本店にしたところ、そこから担当の支店に連絡をして頂いたようで新聞の配達は来なくなりました。

ところが、担当支店の方が訪れ「何で本店に連絡したんだ。これからも新聞入れてやる」などと怒鳴られ、とても恐怖を感じたので、その後、誰が来ても出ないようにしています。

本日郵送で「当店は、景品、値引き等は、一切しておりませんので、契約は有効です。又貴殿が購読を拒否するのであれば、損害賠償の手続きに入りますので、同封の書類に署名捺印して当店まで返送お願いします」との手紙と調停申立書(一週間以内に返送下さいとのこと)が届きました。

調停申立書は明らかにコピーしたものでした。コピーしたものにサイン捺印して返送しても果たして意味あるのでしょうか?

調停申立書は申立人のところに新聞販売店住所、所長の名前、判子が押してあります。(申立ての趣旨は無記入です)

それと、新聞は学割がきき少し安くなるとのお話を伺っただけでサービス等はありませんでした。

新聞を購読する気はないので、調停申立書にサインして返送しても大丈夫でしょうか?

安易にサインをしてしまい悪用されないかが心配です。それとも本店に連絡して相談しても大丈夫でしょうか?

今回は安易にサインをしてしまった自分に非があるので、解約金を払い解約したいと考えております。

ちなみに新聞は四月から3日分いただいていて契約は一年契約になっております。

契約解約金、損害賠償金はいくらくらいかかるものでしょうか?

無知なもので自分の起こした安易な行動にとても後悔し反省しております。どうぞアドバイス宜しくお願いします。


回答者 ゲン


『その後四月に他社の新聞をとることになって契約解消したい』というのは、自己事由での解約ということになり、『今回は安易にサインをしてしまった自分に非があるので、解約金を払い解約したいと考えております』と言われとるあんたの意志は尊重したいし、そのつもりなら反対はせんが、このケースはどうかと思うで。

普通は、ペナルティ覚悟でないと契約解除は難しいから、あんたの考え方で間違いはないんやけどな。

ただ、このケースは別や。あまりにも、理解に苦しむことが多すぎる。

その担当販売店の人間とやらの対応は、お粗末を通り越して笑えてくる。信じられんアホや。そんなアホな真似をした販売店は、今まで聞いたこともない。

あんたが嫌なら、今回のケースでは違約金を支払う必要はないと思う。

契約解除云々以前に、この契約はすでに解除、解消されとるのは明白やさかいな。また、そう主張できる。

新聞の購読契約というものは、その契約期間内、契約者はその代金の支払い義務が生じ、新聞販売店は、その間、遅滞なく新聞を配達するという責務を負う。

どちらか一方が、それを守らんかった場合、契約不履行となり、契約は解除されることになる。こんなことは契約のイロハや。

今回のケースで言えば、『新聞の配達は来なくなりました』というのがそれになる。一方的にその担当販売店とやらが配達を止めたことで、この契約は解除されたものと見なされるわけや。

事実、『契約解消したいとの電話を、その販売店グループの本店にしたところ、そこから担当の支店に連絡をして頂いたようで』と、あんたが推察するとおり、その販売店の本店側の意向もそうやったはずや。

担当販売店もその意向を汲んだからこそ、その新聞の配達が止まったと考えた方が自然やさかいな。

しかし、その後、それでは気の収まらん、その担当販売店の人間が『何で本店に連絡したんだ。これからも新聞入れてやる』と怒鳴り込んで来たのやと思う。

言えば、単なる腹いせや。そこまでなら、まだかわいげも少しはあるが、その後が頂けん。

『本日郵送で「当店は、景品、値引き等は、一切しておりませんので、契約は有効です。又貴殿が購読を拒否するのであれば、損害賠償の手続きに入りますので、同封の書類に署名捺印して当店まで返送お願いします」との手紙と調停申立書(一週間以内に返送下さいとのこと)が届きました』というのは、ふざけるにもほどがある。

どこの誰に、そんな入れ知恵されたのか、あるいはその人間が勝手に考えたのかは知らんが、あまりにもタチが悪すぎる。

まあ、ワシからすれば、アホなほど稚拙なやり方にしか見えんけどな。

そんな、『調停申立書』とやらは無視して放っといたらええ。間違うても、絶対に署名捺印して送り返したらあかんで。

調停申立書というのは、申し立て人、この場合は、その販売店グループの代表者が、その理由としての意見書を管轄の裁判所に提出する書類なわけや。

それに、申し立てられる人間の署名捺印など必要ない。

普通、こういうものは、裁判所からの出頭通知があって初めて知るものや。事前の了解や確認、ましてや承認などするくらいなら、話はそこで終わりや。裁判する必要なんかない。

ちょっと考えたら誰にでも分かることやけど、訴える相手の署名捺印を貰わな裁判できんのやったら、日本に民事裁判はほとんどなくなるで。裁判するという相手に協力する人間なんか世の中におるかいな。

裁判するというのは、言えば喧嘩するというのと同じなわけや。この人間の言うてることは、「これから喧嘩するから、ここにハンコ押してね」と言うてるみたいなもんや。

調停というのは、厳密に言えば裁判とは違うけど、裁判所に出向いて裁判官の前で話すことになるのに変わりはない。話し合いが不調に終われば、そのまま本裁判ということもあり得る。

本来、こういう裁判沙汰というのは最後の手段にせなあかん。どうにも話し合いができず、仕方なく起こすもんや。

『損害賠償の手続きに入ります』というのは、民事の損害賠償訴訟のことやが、構うことはないから『どうぞそうしください』と、言えばええ。

万が一、そうされても心配する必要はない。民事紛争の場合は何も弁護士を雇う必要はなく、その事案の正当性さえ主張できたらそれで十分対抗できる。そのためのあんたの負担は、裁判所に出頭するために仕事を休むのと、交通費くらいなものや。

参考までに裁判に関連した話としてQ&Aの『NO.35  契約内容が新聞販売店から変更されたので解約したい』や『NO.515 代金を回収するのは不可能ですか?』および、当メルマガ『第113回 ■民事裁判への考え方』 というのがあるから、時間のあるときにでも見て貰うたらええ。

まあ、そういう事態になったときは、また相談してくれたらええがな。

しかし、この担当販売店の人間、およびその販売店の経営者は、実際には裁判にまで訴えるようなことはせえへんと思うで。そう言うことで、あんたを揺さぶり、脅かすのが目的やと思う。

ワシが推察するに、その『申立ての趣旨は無記入です』というものに、あんたの署名捺印をさせることで、後でそこにその販売店側の有利な文言を書き込み、あんたに「それを承認したやないか」と迫る腹やろうと思う。

あんたが『安易にサインをしてしまい悪用されないかが心配です』と危惧しとることが現実になる可能性は高い。

もっとも、そんなものを裁判所に提出しても何の効力もないがな。その申し立て書にどんな内容のものを書こうが、そもそも、その販売店には、あんたに損害賠償訴訟を起こす根拠と理由が何もないわけやさかいな。

当たり前やが、損害賠償とは、与えられた損害に対して行うものや。それから言えば、あんたが、その販売店に与えたと言える損害は、せいぜい『ちなみに新聞は四月から3日分いただいていて』という3日分の未払いの新聞代くらいなものや。

後は配達してないわけやから、その販売店の実害も損害もないはずや。

その販売店にすれば、あんたの契約を確保することによる、営業経費を損害という風に考えとるのやろうけど、何度も言うが、すでに契約解除になっている契約に対してそれが認められることはまずない。

これが、まだ配達が続けられていて、契約が解除されてない状態なら、また違う。

あるいは、話し合いの解決がつくまで、あんたとその販売店が合意の上で新聞の配達を休止扱いにした場合なら、あんたにとっては不利な状況になってたと思う。

契約解除を認めんと言われたら、かなりややこしいことになっていたはずやさかいな。

言えば、その販売店は、自ら勝手に配達を中止したことで自爆したわけや。

それで、どうしようもなく、窮余の一策として今回の手を思いついたのやないかと思う。

ワシが、『信じられんアホや』と言うてたのは、そういうことからや。

その販売店の人間の狙いは、そうすることで、あんたを追い込み有利に持っていきたいと考えたのやろな。

『それとも本店に連絡して相談しても大丈夫でしょうか?』ということやけど、その本店の人間も相手側には違いないから、一応、その男とグルやとは思うといた方がええで。

せやから、その本店とやらには「そちらは、裁判を前提として考えておられるようで、非常に残念です。私はなるべくなら争いたくはなかったのですが、そちらの考えは、それでよろしいのですね」と確認の意味で問い質せばええ。

「そのとおりや」と言うのなら決別するしかないし、「いや、こちらにそのつもりはない」と言うのやったら、その担当販売店の人間が勝手にやっとることやということになる。

『契約解約金、損害賠償金はいくらくらいかかるものでしょうか?』というのが、本来のあんたの質問やと思うが、この解約違約金というのは、この業界でも取り決めのようなものは一切なく、その販売店、それぞれで請求額が違うというのが実態なわけや。

加えて、それを請求されたからと言うて、必ずその金額を支払う必要もなく、あくまでも話し合いで納得できる金額で手を打てばええわけや。

普通は、まず、その販売店の請求額を聞くようにアドバイスする。それによって、その販売店の程度というのが、ほぼ分かるさかいな。

まともな話し合いのできる所ならそうすればええ。

ただ、あんたのケースは、いろいろ言うてきたように、かなり有利な立場やと言える。

支払いたくなければ拒否しても、まず問題はないと思う。裁判すると言うのなら、是非そうして貰うてくれと言いたいくらいや。

しかし、それは、あんたの考え方にもよるから、ワシが強制することでも勧めることでもないがな。

そんな揉め事になるより、穏便に某かの解約違約金を支払うことで解決つけた方がええと言うのなら、それも一つの方法や。尊重はする。

ただ、せっかく有利な状況のあるのやから、もし、解約違約金を支払って解決するのでも、あんたが納得できる線で手を打ちや。

そして、その交渉をするのなら、その本店の最高責任者とした方がええな。この話は、すでにそのレベルにあると思う。はっり言うが、その担当販売店の人間とやらと、いくら交渉しても無駄や。

その本店の最高責任者の出方次第では、すんなりとはいきそうにない可能性もあるから、その折りには、いつでも、また遠慮なく相談してくれたらええさかいな。


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