新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.571 やはり泣き寝入りするしかないのでしょうか?


投稿者 who さん 大学生  投稿日時 2008.5. 9 PM 4:30


はじめまして。新聞勧誘の詐欺などを調べていたらこのサイトにたどり着きました。似たような事例がサイト内にありましたが、私のは微妙に違う為ご相談させてください。

私は大学6年生(2年留年)で今年の9月に卒業予定の者なのですが、今年の4月に勧誘がとてもしつこかったので、無料+ビール24本の誘惑に釣られて新聞の購買契約を3ヶ月しました。

そして4月分の集金の日に私は普通に支払いをしたのですが、いつまで経っても、4月分の新聞代を拡張員さんが持ってきません。

月末に必ず持ってくると言っていて、もし私が不在だった場合にはポストにいれておくからという事でした。

以前からちょくちょく無料で3ヶ月分の契約をしていましたので、新聞代の半分がビール券だったりした事はありましたが、全く持って来ないというパターンは初めてなのでどうすればいいか困っています。

やはり泣き寝入りするしかないのでしょうか?

どうせ9月でいなくなるのだから今後に繋がらないしという考えなのでしょうか?

今後の支払いを渋っていれば拡張員の方がお金を持ってくるという考えは甘いでしょうか?

長々と書き綴りましたが、お返事お待ちしております。


回答者 ゲン


あんたは、『以前からちょくちょく無料で3ヶ月分の契約をしていましたので』と言うておられるところからすると、その拡張員を信じたということのようやな。

『新聞代の半分がビール券だったりした事はありましたが、全く持って来ないというパターンは初めてなので』ということで、それが常習化されとったいうのは良く分かる。

そういう状況が長く続いていたのなら、その拡張員も同じやと思い、信用したのも無理ないとも言える。

こういうケースでは、たいていその拡張員の個人的な連絡先くらいは聞いとるというのが多い。その連絡先が分かるのやったら、まずそちらに連絡を取るのが先やろうと思う。

その返答次第でどうするか決めたらええ。

ただ、このまま何もせず『今後の支払いを渋っていれば拡張員の方がお金を持ってくるという考えは甘いでしょうか?』ということなら、そうやと答えるしかない。

普通に「待ってくれ」と言うて支払いを止めるくらいやと、販売店がその拡張員にわざわざ「あんたから契約を取った客の支払いが滞っとるで」とまでは言わんはずや。

1ヶ月程度の支払い遅れというのは、それほど珍しいことでもないさかいな。まして、一度支払っていれば尚更ということになる。

あんたが支払いを渋っている事実を知らんその拡張員は、あんたがあきらめて支払いをしとると考えるのやないかな。

それならと、その理由を販売店に告げれば、かなりの高確率で、その拡張員はあんたと交わしたという約束は「知らん」と、とぼけるはずや。

あんたのような契約のことを、業界では「爆カード」と呼んどるのやが、これはそれと発覚するとその拡張員は、かなり拙い立場に立たされる。良くて、その販売店への出入り禁止で、ヘタをすると所属拡張団から解雇ということまであり得るさかいな。

あんたの話を認めるということは、その拡張員にとっては死活問題になるわけや。絶対と断言してもええくらい認めることはないと思う。

当事者間でしか分からんことで、それを証明できる証拠や文書でもない限り、客観的に見て、あんたの立場の方が分が悪いということになる。

この新聞購読契約というのは、契約者であるあんたと、新聞販売店との間のみに有効とされるものや。せやから、この契約に異議を唱えるのなら、その販売店の落ち度を突くしかない。

落ち度を突くというのは、そのことが契約書に記載されているとか、契約時、その販売店から電話があった際、その拡張員との約束を確認していたというようなことや。

それがあれば問題はそれほどでもないが、その拡張員に「販売店には内緒にしてくれ」と言われて、販売店にもそのように口裏を合わせていたのなら、当然やが、その販売店の落ち度を突いて解約に持ち込むのは難しいということになる。

その販売店には、何ら非はないことになるさかいな。法律上も、その契約書に書かれている内容だけが有効なものとされる。

せやから、その販売店が解約を拒否すれば、法的にも契約解除は無理になるということや。例え、応じたとしても、かなりの高確率で解約違約金の請求をしてくるものと思われる。

さらに言えば、それで話がついたとしても、それだけでは済まんことになる。

あんたは、その契約時『ビール24本』を貰うたとのことやが、その契約が解除されたら、それを返還する義務が生じると考えられる。これは、民法545条に原状回復義務というのがあるためや。

一般的に、契約時に貰うた景品は、その契約を全うする条件やったと見なされる。その契約が守れず契約解除になるわけやから、それを返さなあかんという理屈になるわけや。

因みに、いくら相手側の不備を訴えても、その返還義務から逃れられることはない。例え、その契約が違法なものと判断されたとしても、認められるのは「契約解除」のみやからな。

あんたは『新聞勧誘の詐欺などを調べていたら』ということのようやから、これは詐欺やないかという主張があるのかも知れんが、残念ながら、このケースが詐欺と認定されることはまずないやろうと思う。

詐欺というのは、相手方から金品、財物を騙し取る行為ということやが、あんたが実質的にその被害にあったとするには根拠が薄すぎるさかいな。

あんたにすれば、1ヶ月分の新聞代を支払わされたということがそれに当たるのやろうが、その新聞代というのは、その1ヶ月間、新聞を配達した対価やから、正当な請求と見なされる。それを詐欺やと言うても、おそらく警察も取り合うことはないはずや。

因みに、契約解除を勝ち取ったしても、すでに支払った新聞代を回収することは法的にもできん。

つまり、現時点で、あんたがその販売店と争っても益になることは、ほとんど考えられんということや。

今から、このことを問題にしても、それが解決するまでには、相当日数もかかると思う。その間、配達された新聞の支払いを法的に拒否することはできん。

上手くいって今月中に解約できたとしても、解約分は残り1ヶ月だけや。それに解約違約金だの、『ビール24本』の返還なんかしてたら逆に足が出るのと違うかな。得することはほとんど考えにくい。

もっとも、揉めてでも文句を言わな気が済まんというのなら止めはせんけどな。

実質的な損を回避したいのなら、その信じた拡張員というのを信じるしかないやろうと思う。その拡張員に連絡を取って「ちゃんと約束を守ってよ」と頼むことや。

その上で「お宅が払ってくれなかったら、販売店に本当のことを言うしかない」と言うことやな。先にも言うたように、そうされたら、たいていの拡張員は困ると考えるはずやさかい、何とかその新聞代を支払おうとするかも知れん。保証はできんがな。

そうすることで上手くいけば、それがあんたにとっては一番、損のせん方法やと思う。

『どうせ9月でいなくなるのだから今後に繋がらないしという考えなのでしょうか?』

それは、どうやろか。何とも言えんが、そこまでは考えてないと思うけどな。

その拡張員にとっては、あんたへの新聞代を払わんかったら、その時点で揉めるということは想像できるわけやから、そんな先のことまで考える余裕はないはずやしな。

結論として、あんたの方によほど有利な切り札でもない限り、寒いやろうがその拡張員を信用するしかないのと違うかなと思う。

もっとも、揉めてでも新聞代を払わんという選択肢もあるにはある。しかし、そうするのは、あらゆる面から言うても不利になるのを覚悟しとかなあかんやろうがな。

最後に苦言を一言。タダやからええかという考えは捨てた方がええと思うで。昔から、タダより高い物はないというのが世の中の常識であり定説やさかいな。

あんたも、ここまで説明すれば、それは良う分かったと思うが、ついでやから言うとく。

新聞がタダのものやないというのは理解できると思う。それをタダにするということは、誰かがそれを負担するということや。そして、その負担ができんようになれば、当然のことながら、それで揉めることになる。

つまり、タダの物には常にその危険がつきまとうわけや。特に、それが後払いになるというのなら尚更や。唯一、それが成立するのは、その契約時に、その分の現金全額を渡されたくらいなものやさかいな。

それからすれば、あんたのようなケースは、嘘やったというのが普通のことなわけや。

むしろ、今まで、それで上手くいってた、約束が守られてきたという方がラッキーで不思議なくらいやと言うてもええと思う。


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