新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.573 物事へのとらえかたが急に変わるものでしょうか


投稿者 ボーイさん 東京都在住 40歳  投稿日時 2008.5.17 AM 1:37


初めてこのHPを見た2年程前に疑問に感じたことがありハカセさんに聞きたいのですが、 大嫌いだった新聞拡張員に対し偶然ゲンさんとの出会いがあっただけで物事へのとらえかたが急に変わっていくものなのだろうか? ということです。

HPの冒頭にある通り「何事も一方からの見方だけでは真実は分かりません」という、この考え方に関しては全く同意見です。

残念なことに日本人の国民性(島国根性)とでも言うべきか、何かと方程式を作りたがり物事に対して決めつける人種であることは否定できません。

特に世代が上になるほどその傾向は強くなっているのが現実です。

しかし、ハカセさんも過去に何度となく酷い目にあっているのではないでしょうか?

その辺をお聞かせ下さい。


回答者 ハカセ


『ハカセさんに聞きたいのですが、 大嫌いだった新聞拡張員に対し偶然ゲンさんとの出会いがあっただけで物事へのとらえかたが急に変わっていくものなのだろうか? ということです』についてですが、私の場合はそうでしたね。

私とゲンさんとの出会いは『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第2話 男の出会い』 に詳しく書いてありますので、ここではその説明は省きますが、多少、物語風にアレンジはしてあるものの、その中での出来事は概ね事実です。

そのとき、私は持病の心臓発作を起こして、ゲンさんの適切な処置によって助けられたわけですが、もちろん、それだけで好意を持ったわけではありません。

惹かれた大きな要因は、やはりその人間性でした。

正直、私もそれまでは、ボーイさんと同じく拡張員という存在に嫌悪感を持っていましたし、否定的な見方しかしていませんでした。

実際、勧誘に来る人間の程度も悪かったですからね。

ただ、『ハカセさんも過去に何度となく酷い目にあっているのではないでしょうか?』ということですが、それはありませんでした。

どちらかというと、私の家にやってくる拡張員さんの方が、災難だと感じていたかも知れません。ほとんどの場合、満足に話を聞くこともなく有無も言わさず追い返していましたからね。

その話の冒頭に、私と元ヤクザの拡張員との間で、いきなり喧嘩を始める場面がありますが、実は、あれには伏線となる前段の話があります。

その事が起きる少し前、ある若い拡張員が、勧誘に訪れました。そのとき、あまりの接客態度の悪さに腹を立て思わず怒鳴り散らしてしまったのです。

私の地声の大きさは自分で言うのも何ですが、異常なレベルだと思います。そのとき数軒先の家から何事が起きたのかと出て来られた方もおられたくらいですからね。

その迫力にびっくりして、その若い拡張員は逃げ帰ったのですが、その後に、河田と名乗る、いかにも極道(ヤクザ)に見える男が、その仇討ちのつもりなのか「うちの若い者をようも、ドヤしてくれたな」と言ってやって来たわけです。

HPを見ておられる方には意外に思われるかも知れませんが、私はかなり短気で向こう見ずな男なんです。自分が正しいと思えば、例えヤクザであろうが何者であろうが絶対に後には引かない性分ですので。

当然のように、喧嘩が始まりそうになったわけです。もちろん、こんなことは何の自慢にもならないバカなことですけどね。まったく恥ずかしい限りです。

今も時折、それに近いことをすることがありますが、子供たちにたしなめられるような次第です。この性分は死ぬまで直らないでしょうね。

結局、その場は、ゲンさんが現れて、その男を連れ帰って何事もなかったわけですが。

ゲンさんは、あの話の後も、入院中の私を何度か見舞いに来てくれ、そのときに、じっくりと腹を割って話をしました。

その人間性に触れていくうちに、つまらない偏見に囚われていた自分自身を恥じるようになりました。

正直、こんなすごい人もいるのかと思いました。私は、ゲンさんが拡張員だから付き合っているわけではありません。たまたま、そのとき拡張員をされていたというだけのことです。

おそらく、そのゲンさんとの出会いがなければ、今も私は、その偏見に囚われたままだったかも知れません。

ゲンさんの話は、どれ一つとっても面白く唸るものばかりでした。

私は、若い頃、一時、小説家を志していたことがありました。それもあり、このゲンさんの話は、私一人が聞くだけでは、あまりにも勿体ないと思うようになり、一般に広めたくなったわけです。最高の題材だと直感しました。

それが、このHPを開設しようと考えたきっかけでもあります。もう4年半くらい前になりますが。

ただ、私も世には認められていなくても、これでも一応物書きの端くれを自認していましたので、単にゲンさんの話だけを聞きかじりで書くわけにはいかないと考え、敢えて、その拡張員の仕事に挑戦することにしました。

それで実際に拡張の仕事を半年ほどしました。ゲンさんの話を理解して、それを伝えるにはそうするしかないと考えたわけです。言えば、私なりの取材方法ということになります。

文章というものは怖いもので、いくらそれらしく書いても実際にそれと知ってなければ突っ込んだものは絶対に書けません。聞きかじりだけでは、どうしても軽薄なものになってしまいます。

そして、そういう物は読み手に響くものにはならず、見透かされるものにしかならないと思っています。

また、どれだけそれがいい話であろうと、人を感動させたり納得させたりする説得力など生み出すことはできません。それを伝えるには、取材というのは不可欠なものだと考えます。

後は、文体を関西弁にするとか、いろいろ細かな工夫はそりなりにして、その約8ヶ月後の、2004年7月3日にHPを開設したわけです。

それが功を奏したのかどうかはまだ分かりませんが、私の思惑どおり、多くの人の共感と賛同を得ることができました。少なくとも、私はそう実感しています。

多くの読者のおかげで、ビッグサイトというほどではありませんが、それなりに注目して貰えるサイトにはなったと思っています。

私は、いい物を書けば人は必ず集まってくると信じていますから、サイトを広めるための宣伝活動は、ほとんど何もしていません。いいと思えば見て貰えるだろうし、だめだと判断されたら見向きはされない。それだけのことだとしか考えていませんので。

もっとも、その宣伝方法を知らないと言った方が正しいのですが。

ただ、私とゲンさんの偶然の出会いがあったように、HPの開設わずか3日後、大手ポータルサイトのGoogle に「拡張員」のキーワードでいきなり第1位になり、その1ヶ月後、Yahoo!Japan の新着トピックスに紹介されるという普通では考えられないことが起きました。

それがなぜ起きたのか、未だに私には分かりません。ただ、Yahoo!Japan に関して言えば、出来上がったばかりの当サイトが、その調査をしていた担当者の方の目に、たまたま、偶然に止まったということのようですが。

その後、現在に至るまで、当サイトは、そのYahoo!Japan からは特段の扱いを受けています。当サイトで紹介する、あらゆるページがその検索で上位にランクされていることからも明らかですので。

もちろん、それだけで、日々多くの人がサイトに訪れているわけではないと思っています。それに内容が伴わなければ、例え一度は訪問することがあったとしても、継続的には支持されないでしょうし、見向きもされないと思います。

それを維持するには、ネタ元であるゲンさんの話にしても単に個人の経験ですから限りがありますし、私の僅か半年程度の拡張経験だけでは、それも限界があります。いつかは、ネタ切れになり飽きられることになると覚悟もしていました。

しかし、現在、それを救う大きな力になって頂いているのが、多くの新聞拡張団、新聞販売店関係者の方々から日々寄せられる業界の情報なのです。また、一般読者からのご意見や情報もそうです。

私は、このHPの開設当初までは、ゲンさんは特別な人で、こんな拡張員は他にはいないだろうと考えていました。

しかし、多くの業界関係者の方々からメールを寄せて頂き、取材を重ねていくうちに、そうではないということを痛感しました。世の中は広く、ゲンさんと同じような凄い人も多いというのを実感せざるを得ませんでした。

もっとも、その一方で、実にくだらないことをするという拡張員や販売店の人間の話も、一般読者の方々から数多く伝わってきますけどね。

私たちは、その両方の存在を隠すことなく伝えていこうと考えています。悪いことは悪い、いいことはいいと言い続けていきたいと思っているわけです。

ボーイさんにとっては、拡張員の存在は認められないでしょうが、一般読者の中にも酷いことをする人間が数多くいるのもまた隠れもない事実なのです。

ただ、ネット上では、一般読者だけが弱者で被害者という構図が出来上がっているにすぎません。

私自身、拡張員という立場で仕事をしていたとき、それは嫌というほど思い知らされました。

悪いのは、拡張員ばかりではありません。一般読者の中にも悪い人間はいます。つまり、悪いことをする人間は、ありとあらゆる世界に存在するということです。

それと同じく、素晴らしい人もあらゆる世界に存在します。それに例外は一切ないと断言できます。

『残念なことに日本人の国民性(島国根性)とでも言うべきか、何かと方程式を作りたがり物事に対して決めつける人種であることは否定できません』というのは、ある意味、当たっていると私も思います。

しかし、それもすべての人がそうだとは思えません。

私は、日本人であれ、どこの国の人であれ、基本的には個人個人、特有の性質を有しているのが人間だと思っています。

一口にこうだと括(くく)れるものは何もないとも考えています。そこには数多くの考え方が存在し、数多くのそれぞれの正義が存在します。もっとも、便宜的なものはあるかも知れませんが。

ボーイさんの考えがそうであるように、私の考えもまた違います。そして、それはいずれの考えが正しくて間違っているというのとは違います。

それぞれの考えがそれぞれの正論であり正義だと思います。ただ、その視点と立場が違うために、見る方向により、それが良くも、悪くも見えるのだと考えます。

もっとも、人に迷惑を及ぼし、害をなす行為というのは、すべての人が否定しなければいけないことだとは思いますけどね。その視点で指摘されるものについては、ごもっともと、お答えするしかありません。

そうは言っても、ボーイさんの見聞きする範囲での風聞は悪いのでしょうし、実際に酷い体験をされておられということで、新聞の勧誘員を嫌われておられるのは理解します。それを否定することはしません。それは事実でしょうから。

しかし、それでも敢えて申し上げますが、すべての「新聞勧誘」が悪いということは決してありません。悪いことをする勧誘員がいるというだけのことです。

このHPを書くにあたり、私なりに様々なところで調査、取材を繰り返した結果、その悪いことをする勧誘員というのは、ほんのごく一部の人間だということが分かってきました。

ボーイさんには信じられないかも知れませんが、新聞の勧誘員に対して悪い印象を持っていない一般の方が圧倒的に多いというのも、また紛れもない事実なのです。

悪質な勧誘員は一部の地域(関東方面)に集中しているため、そこに住んでおられる方には、すべて悪いと映るのだと思います。このQ&Aへの苦情件数も、その地域からが圧倒的に多いですから。

考えてもみてください。本当に悪いとされる勧誘員ばかりがいるとしたら、本当に宅配率93%、実際は80%代かも知れませんが、いずれにしても、それだけ多くの人が新聞の購読を続けるでしょうか。

その勧誘を支えているのは、紛れもなく勧誘員なのです。その評判が悪く、実際にボーイさんが考えておられることばかり続いているとすれば、新聞自体、とっくに消滅していると思いませんか。

それよりも、その悪質な勧誘員が少数であるために容認されているからこそ、それだけ多くの人が新聞を購読していると考えた方が自然ではないでしょうか。

そのことについても、このサイトやメルマガの中のあらゆる場面で言及しています。

ただ、人は自分の周りで起きていることや、確認できないこと以外は、何をどう言われても信じられないとは思います。また、それを信じてくださいと言っても、とても無理な話でしょう。

私にしても、ゲンさんという人に出会って物の見方が大きく変わり、このHPを開設したことで、さらに多くの方との出会いを重ねるうちに、そのことにやっと気づいたわけですから。

人と人との出会い、縁(えにし)というのは、本当に不思議なものだと思います。

昔のあらゆる偉人の例を引き合いに出すまでもなく、その偶然の出会いにより、その人の考え方が劇的に変化したということは数多く存在します。その偶然の出会いがなければ、その偉人が存在しない、あるいは世に知られてないというケースは相当数あったと思われます。

人と人との偶然の出会いが、歴史を作ってきたと言っても過言ではないと私は考えます。

現在、インターネット上では、新聞の勧誘員について否定しているサイトが数多くあります。バッシングと言った方がいいかも知れません。勧誘側の立場から見た意見、考え方というのは、ほとんど紹介されてないというのが実状です。

それでは、あまりにも片手落ちです。ですから、せめて、私の命のある限り、事実は事実としてありのままを伝えていきたいと考えています。

それが、HPのトップページにある『何事も一方からの見方だけでは真実は分かりません』ということですから。

それが、たった一つではあっても、当サイトは大手ポータルサイトの検索では、そのほとんどページが上位表示されていますので、その主張が多くの方に届く可能性は大きいと思っています。

そして、現実に多くの読者の方々から、共感したというメールも寄せられています。それが、例え牛歩の歩みであろうと、私たちがあきらめず続けていけば、いずれ何らかの結果が現れると信じています。すでに、その兆候も感じています。

また、私たちがこのHPを続けていくモチベーションとして、このQ&Aがあります。ここで、回答することにより、多くの方から感謝して頂いています。それが、私たちにとってもありがたいことなわけです。

ここでは、悪質な勧誘員、販売店から身を守る、またそのためのアドバイスも積極的に行っています。

私たちも、勧誘員の立場、見方を伝えるという姿勢であっても、不正を肯定しているわけではありません。その他の善良な勧誘員の方々のためにも、そういうものは排除、撲滅しなければならないと思っています。

実際、それに共感して頂いている拡張団、販売店の方々が数多く、私たちを応援して頂いています。

また、業界全体にもその動きが加速度的に広まっています。単なる偶然かも知れませんが、それは私たちのサイトが開設されたときから始まっているように思えます。どこまで影響があるのかは私たちにも分かりませんが、その一助になればいいというのが正直な気持ちです。

また、考えの甘いと思われる相談者の方には、苦言を呈することも数多くあります。それには、新聞勧誘のトラブルが必ずしも、勧誘側だけの問題ではないということがあるからです。いずれの立場の方にも、大なり小なりそれなりの問題はあります。

私たちが苦言を呈するのは、あくまでも、その相談者のためを思ってのことです。多くの方は、それに理解を示して頂いていますが、中には反発される方もおられます。

分かって頂けない方には残念ですが仕方ないと思っています。本当は、ゲンさんも私も、相談者の言われることに迎合した方が楽なのですが、嫌われるかも知れないと承知で敢えて、その苦言を呈しているわけなのです。

もっとも、いくらゲンさんが良かれと思ってアドバイスをしたことでも、それを押しつけるということはしません。アドバイスをどう受け取けとり、どう活かすかは、あくまでもその相談者次第ということになります。

私は、今までの人生の中で、人の役に立つようなこととか、喜ばれるようなことをしてきた覚えがあまりありません。それが、現在、まがりなりにもできているというのは、大きな喜びでもあるわけです。

今や、このサイトは、私たちのライフワークとも言えるものです。大袈裟に言えば、生きる証、理由のようなものです。

それも、ゲンさんとの偶然の出会いが招いた僥倖(ぎょうこう)だと思っています。

非常に長くなりましたが、以上が、私の個人的な意見ということになります。分かって頂けたでしょうか。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム