新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.575 一般紙からスポーツ新聞へ選択する権利はないのでしょうか


投稿者 Kさん  投稿日時 2008.5.27 AM 5:53


新聞紙を一般紙からスポーツ紙に切り替えをおねがいしたが、販売店から断られました。私が読みたいスポーツ紙はその販売店で扱っています。

選択する権利はないのでしょうか。


回答者 ゲン


気の毒やけど、その新聞の契約期間中は、その契約内容が優先されるから、販売店が変更に応じない場合は難しいと言う外はないな。

あんたにしてみたら、新聞を切り替えてくれと言うてるだけで、何も止めると言うてるわけやないのに、おかしいやないかと考えられておられると思う。

その販売店で扱っているほぼ同じ金額の商品やから、損をさせるわけでもなく切り替えるくらいは何の不都合もないはずやと、一般消費者の立場なら、そう考えても無理はない。

しかし、この新聞販売店には、一般消費者の伺い知れん特殊な事情というのがある。

それには、そもそも、新聞販売店が何で存在しとるのかというところから説明せんと分かりにくいと思うからそうさせて貰う。

新聞販売店というのは、多くの場合、ある特定の新聞社名を冠した所が多い。業界で言う専属販売店というやつや。

そういう所では、新聞社は、その新聞の販売、配達することを条件として、販売店に営業許可を与えているという構図になっとる。

新聞社と販売店との間には、業務委託契約書というのが結ばれとるのやが、その契約書にそれがはっきりと明記されている。

つまり、販売店にとってその専属紙、これを業界では本紙と呼ぶのやが、それを売ることのみに義務と責任が被されとるわけや。

当然のことながら、その売り上げいかんによって、新聞社が販売店を評価するという仕組みになる。

その成績が悪いと新聞社が判断したら、その業務委託契約書の解除、業界で改廃と言うて、実質的に営業権を取り上げられ、つぶされることもある。

その根底には、部数至上主義というのがある。部数がすべてに最優先するという考え方や。

販売店もそれを良う心得とるから、必然的に本紙の獲得のみに力を注ぐようになる。

ワシら拡張員が必要やというのは、まさにそのためなわけや。ワシらは、その本紙以外の新聞の勧誘を基本的にすることはないさかいな。

せやから、今回のように、『一般紙からスポーツ紙に切り替えをおねがいした』というのは、販売店では、その本紙を解約されるという風に受け取ることが多い。

解約というのは、部数が減ることを意味するから、販売店にとってはとんでもないことやとなる。

しかし、その系列のスポーツ紙に変更するのなら、同じ新聞グループやからええやないかと考えやすいが、これは組織上は別会社ということになっとる。

それぞれがお互いを干渉することもないし、興味も薄いというのが実態なわけや。一般が思うほど、同系列やと言うても新聞社同士に、それほど強固なつながりはない。

当然、そのスポーツ紙の売り上げがいくらあろうと、その本紙とされる新聞社には何のメリットもないとなる。本紙の部数がそれで増えることはないし、別段値打ちが上がるわけでもないさかいな。

通常の新聞販売店には、そのスポーツ紙を含め、業界紙、機関紙の類の新聞が十数種あるのが一般的や。それらは、すべて委託販売という形を取っている。

販売店が、それらを積極的に売り込むというケースは少ない。注文があって初めて配達して集金するということになる。言えば、販売店にとって、そうするのはサービス、奉仕という感覚なわけや。

もちろん、それを売ることで利益を得ることはできるが、言えば、それだけのことでしかない。

販売店にとって、本紙の売り上げが何よりも優先されるから、そのサービス配達のために、部数減になるのは、極力避けたいと考える。

よって、『一般紙からスポーツ紙に切り替え』というのは、容認できんから断るということになるということや。

ただ、すべての販売店がそうかと言うと、それは一概には言えんがな。実際に、その変更を快く承諾する販売店もある。

そうすることで、極力、客と揉めるのを避け、評判を落としたくないという考えからや。一口に販売店と言うても、そこの経営者の考え方次第でかなり違う。

しかし、あんたのケースは、それが嫌やとその販売店が言うてる以上、どうしようもないやろうと思う。その本紙の契約が終了するまでは、あんたの意見は通らんやろうな。

本紙の契約が終了してからなら、あんたが、そのスポーツ紙を欲しいと言えば断るケースはまずないはずや。その場合なら、あんたに選択の権利がある。

すべての販売店でそれができるという保証はないが、新たに本紙とスポーツ紙の契約を一緒にするということなら、相当分の値引きというのが期待できる可能性はある。

つまり、本紙さえ取っていたらスポーツ紙を格安で買えることもあるということや。

販売店にとって、部数減が防げるのなら相応の無理を利かせるという程度のことはありがちやさかいな。少なくとも、そういう交渉の余地はあると思う。

ただ、その販売店が交渉には応じんというのなら、それは仕方ない。あきらめて、どこかのコンビニか駅売りの店頭で、そのスポーツ紙を買うことやな。

新聞に宅配制度があるうちは、そのスポーツ紙は、その販売店からしか普通は配達されんからな。

因みに、スポーツ紙は、一般紙と違うて、店頭売りと宅配ではその料金に差がないのが普通やから、毎日宅配して貰えるという以外は特に何のメリットもない。

せやから、あんたが、そのスポーツ紙をほしいという理由にもよるが、近くのコンビニか通勤途中の駅売りなどの店頭で買うてもええのやないかと思う。

ハカセなんかは、熱烈な阪神ファンやけど、スポーツ紙は必ずコンビニで買うとる。

野球の場合、毎日勝つということはあり得んから、負けたときの新聞なんか読みたくたいというのがその理由のようや。これは、野球ファンに共通した考えやないのかな。

もっとも、阪神は、ここ数年強いから買いに行くケースは多いとは言うてたがな。ただ、ハカセがそうしたのは、昔、阪神が長く不遇の時代があったためやという。

今からはとても信じられんやろうが、10年ほど前の弱い時代の阪神には、こんな笑えん話があった。

「阪神がこの前勝ったのはいつやった?」

「確か、あれは……、1ヶ月ほど前の横浜球場、満月の夜やなかったかな……」

哀しいけど、そういう不遇のときがあったわけや。ファンとしたら、そんな贔屓(ひいき)のチームが負けてばっかりの新聞を毎日配達されたら、それはある種の拷問になる。

やはり、スポーツ紙は贔屓のチームが勝ったときだけ見る方がええのやないかな。

こんなことを言うと、スポーツ紙からクレームが来るかも知れんが、どんな競技のどこのファンであれ、そのスポーツが年中やっているわけやないやろうから、必要なときというのも限られとると思う。

スポーツ紙は、必要なときだけでええのやないかという気がする。特に必要でないときにまで購読するのは勿体ないと思うがな。

スポーツ紙に切り替えて購読するということは、年中読むということになる。一般紙のように、宅配で買えば格安になるというのなら、また別やけどな。

もっとも、それはその人の好みの問題やから、そうしろと言うてるわけやないで。大きなお世話と言われれば、確かに大きなお世話やさかいな。

ただ、スポーツ紙側もそういうのは良く承知しとるから、スポーツ紙の売り上げは店頭販売が、その主力になっとるわけや。

もっと言えば、スポーツ紙自体も、それほど宅配に依存してないから、販売店には配給制にして、あまり卸してないというケースも多い。他の業界紙は売ってくださいやが、スポーツ紙に関しては、売らしてやっているというニュアンスを感じるさかいな。

せやから、『NO.166 こんな新聞販売店てあっていいいの?』 のように、スポーツ紙だけしか取ってないと不配があっても、その相談のようにすぐには持って来んというケースが生じることもあるわけや。肝心のスポーツ紙不足ということでな。

結論として、今のままやと、どうしようもないから、一般紙の契約終了と同時にスポーツ紙への変更を依頼するしかないと思う。それなら、たいていは応じるはずや。

まさか、そのために、現在の契約に対して解約違約金まで支払って解約し、スポーツ紙に変更するというのはバカらしいやろうからな。

もっとも、そこまでするつもりなら、その販売店にそう言うてみるのも手ではあるがな。その販売店がそれに応じて、あんたが納得すれば問題はないわけやしな。

しかし、それに、応じないようなら、面倒でも店頭販売でそのスポーツ紙を買うしかないのやないかなと思う。

あんたにとって、望むような回答やなかったやろうが、そういうシステムがある限り、現状ではこう答えるしかないわけや。悪いけど。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム