新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.576 契約書に後から追記された有効性について


投稿者 NUXさん 投稿日時 2008.5.29 PM 11:04


ゲンさん、ハカセさん、はじめまして。NUXと申します。

新聞の購読契約の解除について質問があってメールしました。長文になりますがご容赦ください。

過日、私の元にも新聞の勧誘が来ました。

長期の契約を結ぶつもりはなく、読むにしてもせいぜい3ヶ月程度の購読に留めておくつもりだったのですが、販売員の中に2年以外の契約を結ばせる意思がなかったようで、「とりあえず2年って書いとくけど、(販売店ではなく)自分に言ってくれればいつでも途中で解約できるから」と何度も繰り返されたことに折れてしまい、契約書には[2年]の欄に○が付けられ、5月から購読することになりました。

なお、このとき販売店からの確認の電話はなく、代わりに販売店の人が直接やってきて契約内容の確認を行いました。その際、途中解約に関する事項のやり取りはしていません。

しかし、そんな口約束だけではどうにも心許なく、後々トラブルになることも避けたかったため、その日のうちに販売員本人にもう一度電話し、途中解約が認められることが書面上で示せるようにしてほしい、そうでなければこの契約を続けることはできない旨を伝えました。

そして翌日、その人がまた私の家にやってきました。

私は契約を一からやり直してほしいと言ったのですがそれには応じず、代わりに昨日作った契約書の裏面に販売員の筆跡で契約日(この日から見て前日になります)と「途中解約OK」の文面、それに販売員の氏名・電話番号と拇印が加えられました。

その時はそれでいったん落ち着いてしまったのですが、改めて考えてみると、これらの条項はその場で書き足したものなので、販売店側の台帳?にこの記載はないと思われます。

また、この追記が行われたのは販売店の人が来た後だったため、このことを販売店が認識しているかも定かではないため、特約事項としての有効性も疑わしいかもしれません。

しかし、それらに気付いたのはクーリングオフの期間の過ぎた後のことでした。

このような場合、私が当初言われた通りに途中で解約しようとした時に、この契約書に書かれた「途中解約OK」の言葉は契約解除の根拠として有効なのでしょうか。

Q&Aなどでの記述を読む限り、自己事由による解約には解約違約金の請求があることが多いとのことですが、契約書にそのような記述がある場合においてもこれは同じと考えてよいのでしょうか。

販売店側のそれにそんな記述がないから無効だ、と言われたらそれまでのようにも思えてしまいます。

そもそも、解約申し入れの際に販売店ではなく自分を通してくれ、という発言にはどのような意味合いがあるのでしょうか。

これによって販売員側に生じるメリットというのが、いまいちよく分かりません。もし本当に解約を申し入れる場合、直接販売店に交渉したほうがやはり無難なのでしょうか。

強硬な手段を取れなかった自分にも落ち度はあると思い、反省しています。

解約申し入れ時の交渉や万一のトラブルに関しても、勉強兼戒めだと思って臨むつもりではいるのですが、いざと言うときの心構えとして、現状には不安があります。

最悪の場合、途中解約OKの文面が実際とは異なる日付で書かれていることなどを根拠に、その販売員共々詐欺に問われるのではないかとさえ思ってしまいます。

情けない話だと思われるでしょうが、アドバイスを頂けたらと思います。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。


回答者 ゲン


『この契約書に書かれた「途中解約OK」の言葉は契約解除の根拠として有効なのでしょうか』ということやが、そう主張することは十分できる。

契約は、契約書の内容どおりに遂行するという決まりがある以上、契約書に『「途中解約OK」の文面、それに販売員の氏名・電話番号と拇印が加えられました』ということなら、それを理由に途中解約を希望するのを、その販売店が拒否することはできんと考えてええ。

『これらの条項はその場で書き足したものなので、販売店側の台帳?にこの記載はないと思われます』というのは、そのとおりやろうと思う。

しかし、『販売店側のそれにそんな記述がないから無効だ、と言われたらそれまでのようにも思えてしまいます』というのは、心配する必要はない。

その勧誘員が販売店員の場合やったら、そういうことを言う販売店はまずない。また言えるはずもない。

拡張員の場合であっても、その販売店の社員証を所持して勧誘することを義務付けられとるわけやから、例え名目上であってもそこの従業員ということになる。

昔は、「それは拡張員が勝手にやったことやから知らん」で通してた販売店もあったが、今はそれは通用せん仕組みになっとるわけや。

もっとも、これが口頭で言うた言わんというのなら、その証拠がなかったら水掛け論になるが、あんたの場合には証拠があるのやから、何ら問題はない。

したがって、いずれの立場の勧誘員が記入したものであっても、立派に契約書として通用するということや。

また、万が一、その販売店の所有している契約書にその記載がないということで、そんなことは預かり知らんと言えば言うたで、それは契約書自体を無効にできる口実になる。

契約書の大原則には、双方同じ内容のものを持つというのがある。当たり前や。一方だけが内容の違う契約書が法的に認められることはないさかいな。

それが認められるのやったら、契約した後でナンボでもその契約内容を変更できるという理屈になる。そんなアホなことは絶対にあり得んわな。

つまり、その販売店がそれを拒否した段階で、双方の契約書の内容が違うということになるわけや。したがって、法的にも違う内容の契約書は一方が拒否すれば無効と判断される。

『Q&Aなどでの記述を読む限り、自己事由による解約には解約違約金の請求があることが多いとのことですが』というのは、あんたの場合には当て嵌まらんから考えに入れる必要はない。

『最悪の場合、途中解約OKの文面が実際とは異なる日付で書かれていることなどを根拠に、その販売員共々詐欺に問われるのではないかとさえ思ってしまいます』というのも、あり得んことや。

あんたは、その勧誘員との口約束だけでは心許ないと思うたから、その一筆を取ったわけで、それを記入した日が違うというのも、あんたの話の筋としたら通っとるから、何ら問題はないと考えるがな。

その販売員とやらが、販売店を騙す意図があったかどうかは、あんたには関係のない話や。実質か名目かは知らんが、その販売員は、そこの社員なんやさかいな。

もし、そういう揉め事になっても、そっちで勝手にやってくれで済む。それは、販売店がその勧誘員に対して叱責することであって、客であるあんたを責める材料にはならんことやと。

また、あんたは実際に購読しとるわけやから、詐欺に問われる要素は何もない。どこからどう見ても、あんたは正当な交渉をしたということになる。

おそらく、あんたは、このQ&Aを急いで多く見られたために、かなり混乱されとるのやないかなと思う。

過去のQ&Aを参考にされるのはええが、トラブルや問題は一見同じように見えても、それぞれのケースで微妙に違い、その回答や対処法もそれぞれやから、あまり早合点して思い込まんことや。勘違いすることになる。

その意味では、ここに相談されたのは正解やと思う。

普通、『そもそも、解約申し入れの際に販売店ではなく自分を通してくれ、という発言にはどのような意味合いがあるのでしょうか』と言うのは、そこの販売店員の場合やったら、比較的そう言うケースが多い。

言葉どおり、それでなんとかできると思うからそう言うてるわけや。

そういうことができるのは、その店でも店長、班長クラスの上位の人間か、最低でもあんたの地域を管轄しとる区域責任者と呼ばれる人間くらいやろうと思う。

俗に言う、絵を描くということやが、それはそれぞれの人間のやり方があるから、一概にこうやとも言えんが、その場合やと、比較的、あんたの望むような結果になる可能性は高い。

これが、拡張員の場合やったら、その場しのぎのええ加減な話やと考えてた方がええ。一介の拡張員に、そんな芸当はまず無理やさかいな。

『これによって販売員側に生じるメリットというのが、いまいちよく分かりません』ということやが、メリットなんかはないやろ。

単に他の販売店の人間に、あんたとのやりとりを知られずにごまかす上で、その方が都合がええというだけのことやと思う。

『もし本当に解約を申し入れる場合、直接販売店に交渉したほうがやはり無難なのでしょうか』というのは、あんたがその勧誘員を信用できんと考えた場合はやむを得んやろうな。

あんたが、揉めてでも解約しようと考えておられるのなら、状況から言うてもそれは可能やろうと思う。あんたの立場の方が断然有利やさかいな。

ただ、揉める揉めへんというのは、あくまでもその販売店次第というところがある。

あんたのような状況を突きつければ、「当店の営業の者が、大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした」と、あっさり解約に応じる販売店も実際にあるさかいな。

それとは逆に、『販売店からの確認の電話はなく、代わりに販売店の人が直接やってきて契約内容の確認を行いました』ということを盾にとり『そんなことやったら、何でそのときに言うてくれんかったんや。今更、そんな話は聞けんで』と、強硬な姿勢に出てくる販売店というのも考えられる。

電話での確認や出向いて調べるというのは、業界では「監査」と呼ばれとるもので、中でも現場に出向いてまでそうするというのは、その勧誘員が店から信用されてないケースにそういうのが多い。

「そのときに何も言わんかったのやから、そんなことは通らん」という理屈を言う販売店がおるのは確かや。

もちろん、それにも一理あるが、あんたの場合はそれも関係ない。

なぜなら、「そのときは契約したばかりで、解約するつもりはなく、そうなった場合の保険のために、口約束では心許ないから、後で一筆書いて貰っただけや」と言えばええ。

また、「私の方の契約書に後で書かれた内容は、当然、営業員さんが、そちらの販売店に報告するべきことであって、それがなされていたかどうかは私には預かり知らないことです」と言えば、誰がどうみても、その方が筋が通っとるわな。

あんたの話からすると、確率的には前者の方が高いと思われる。そういう販売店やからこそ、その勧誘員も販売店に内緒にしたがると考えた方が自然やからな。

前者の販売店は客には仕方ないという対応をするやろうが、その勧誘員には厳しく責めるはずや。ヘタしたらそこで仕事ができんようになる。まあ、そうなっても自業自得やがな。

ただ、確率的には低くても後者の場合やと、厄介な対応を迫られることになる可能性はある。理屈抜きで、押し切ろうという販売店も皆無やないさかいな。

もっとも、あんたに一歩も引かんという心構えができておられるのなら、それでも問題はないがな。出るところへ出れば、証拠がある分、あんたが負ける要素は限りなく低いしな。

現在、あんたが、いつその『途中解約OK』の切り札を出すつもりなのか分からんが、それほど急いでないのやったら、その販売店の程度を確かめる上でもカマをかけてみるのも一つの手やとは思う。

具体的には「これは、参考までにお聞きしておきたいのですが」と前置きして「私もなるべくならこのまま購読を続けたいとは考えていますが、営業員の方からいつでも途中で解約してもいいと聞いていますので、万が一、新聞代金が払えずご迷惑をおかけしそうになった場合、本当にそうしてもよろしいのでしょうか」と、電話で聞いてみることや。

そのときには、まだ、契約書にその文言が書かれているというようなことは黙ってた方がええで。せやないと、その場で揉める店とは揉めるやろうからな。同じ揉めるのでも、その心構えを十分してからそうする方が得策やと思う。

それで、その販売店の程度がある程度、分かるはずや。

その販売店という男が、その電話の後、すぐ来るようやったら、その人間はそこの従業員の可能性が高いということになる。

その場合は「新聞代が払えんようになった」という理由で比較的簡単に解約に応じるのやないかと思う。また、そういう風に絵を描くよう持っていくということも十分考えられる。

それが、即座に「そんなことは無理ですよ」という答が返ってきたら、難しい販売店やと判断して、今後の交渉は、それなりに考えな仕方ないやろな。

その場合、交渉に自信がなかったら、その詳しい経過状況を言うて、またここに相談してくれたらええ。

あんたがそうしたいという時期のこともあるやろうし、ワシらもいつでも構わんから、別に焦る必要はないで。それをいつ切り出しても、事ここに至っては、あまり関係ないと思うしな。

最後に、その文言を書いた販売員に、後で文句を言わせんためにも、実際にあんたが解約したいと思うたときには、まずその意志を先に伝えてやることや。

それで、その人間があんたの望むような処理をすれば、それで問題ないわけやし、それを渋るか、ええ加減な対応をするようやと、あんたの方にも仕方なく販売店に連絡したということになるさかいな。

まあ、どう転んでも、あんたの場合は、その証拠となる一筆を取っとるわけやから、間違うても不利になるようなことはないと思う。

ただ、どんなに上手く言われたとしても、その契約書は絶対に渡したらあかんで。その証拠がなくなったら、逆にあんたの方が不利な立場にならんとも限らんさかいな。

万が一の用心に、念のためその契約書のコピーでも取っといた方がええかも知れんな。

普通は、そこまでする必要はないとは思うのやが、話を聞く限り、あんたはかなり心配性のお人のようやから、安心するためにも、そうしとくように勧める。


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