新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.577 拡張員の平均月給は、どれくらいですか?


投稿者 cherico さん  投稿日時 2008.5.30 PM 0:09


私は印刷会社に勤めています。新聞拡張員のことに興味をもち、ゲンさんのサイトに出会いました。

参考までに、拡張員の平均月給は、どれくらいですか?


回答者 ゲン


『拡張員の平均月給は、どれくらいですか?』ということやけど、これはどこで調べても誰が調べてもその確かな数字を示すことは無理やと断言できる。おそらく、この日本でそれの分かる機関も人間も存在せんはずや。

もし、どこかにそういう記述があったとしても、それは、ごく一部の狭い範囲でのものか、ただの憶測にすぎんものやと思う。

これが、ある特定の拡張団での話やと言うのなら、そこの内情に詳しい者なら分かるかも知れんがな。分かってもその程度や。

すべての業界中、秘密保持意識の強い最も秘密のベールに包まれた仕事であり業界やと言うのは間違いないと思う。

あんたが『新聞拡張員のことに興味をもち』という理由の一つに、それがあったからやないやろうか。

人は自分の知り得んことに興味が湧くもんやさかいな。しかも、それが調べる術のないもんやとなればよけいやと思う。

一般的な拡張団では、そこの団員(拡張員)にすら、その確かな数字を教えることはまずない。多めの数字なら団員を鼓舞させるために言う場合はあるがな。

求人広告などでそれが示されとるケースもあるが、それは、その可能性があるという意味を含んだものと解した方がええ。実態とかけ離れとるとまでは言わんがな。

求人広告は、この業界に限らずそうしたものが多いもんや。特に営業関係というのは、その成績いかんで大きくその収入に開きがあるのが普通やから、平均を示したところであまり意味がないというのがある。

目安にもならんと個人的には思う。もっとも、それを見る者には、そう錯覚させとるようやがな。

例えば、月に100万円稼ぐ者と10万円稼ぐ者が二人いたとして、その彼ら三人の平均は月収40万円ということになる。確かに、その数字は平均には違いないのやが、実態とは大きく違うわな。

月に100万円稼ぐ者からすれば、それは少なすぎるとなり、10万円しか稼げん者にとっては、それは夢のような数字で嘘やとなる。

しかし、この業界は、そういう極端なことが普通にある世界なわけや。

ただ、それで分からんと言うのでは、せっかく質問されてきたのに申し訳ないと思う。

そこで、ワシが知る限りの範囲と、このサイトに寄せられてくる情報の範囲内からの推測ということで良ければ話させて貰うが、それでええかな。

もっとも、その推測やとは言うても、限りなく実態に近いものやという自信はあるがな。そして、おそらくはどこよりも正確なはずやとも思う。

その前に、この業界、拡張団の仕組みを簡単に言うとく。

拡張団というのは、単に一般的な呼称というだけで、その実態は、新聞を売り込むことを生業とする営業会社のことを指す。

多くは株式会社、有限会社という形態になっとる。もちろん、個人営業というのもある。言えば、世間一般の企業形態と同じやと思うてくれればええ。

その収入源は、販売店からの依頼で上げた契約報酬と、それに比例した新聞社からの補助金、報酬金というのが、そのすべてということになっとる。

拡張団の形態には実に様々なものがある。

大きくは、新聞社の子会社的なものと完全独立した会社とに別けられ、その規模の大きさにはかなり開きがある。大きな所やと数百人規模の営業員を抱えとるが、小さい会社やと数人しかおらんというのも珍しくはない。

全国紙、ブロック紙、地方紙と呼ばれるほぼすべての一般紙に、その拡張員が存在し、それを束ねる営業会社としての拡張団が存在する。

その数、推定で全国に大小合わせて1000社程度あると言われている。参考までに、新聞販売店は全国に2万店舗ほどあるとされとる。

ただ、それらは、日々、増減を繰り返しとるから、その確かな数字を掴むのは困難やと思う。単に、そんなものやと思うてくれてたらええ。

拡張員の雇用形態には大きく別けて二種類ある。

一つは、完全歩合制。上げた契約に比例して報酬が貰えるというものや。もう一つは、固定給プラス歩合制というやつや。

どちらがええとも言えんが、現在は、後者の固定給プラス歩合制というのが主流になりつつあるようや。ちょっと昔までは、完全歩合制が圧倒的に多かったんやがな。まあ、これも時代の流れやろうと思う。

固定給プラス歩合制の固定給として最も多いのが、15万円前後とされとる。もちろん、これよりも多い所もあれば少ない所もある。

これに歩合給が加算されるが、その報酬システムは拡張団毎で大きく違う。

この業界には、すべてにおいて統一されたシステムというのがない。その新聞拡張団次第ということになる。もっとも、その地域での相場というのは若干あるがな。

ただ、この固定給のある所は、歩合給の加算が少ないというのはほぼ共通しとるようや。

当サイトで得ている歩合給の平均加算額は、その営業成績から算出した平均で5万円程度というのが多い。

それで、計算すると、月収としては、20万円前後という数字が弾き出される。

もう一方の完全歩合制(フルコミ)の場合も、その地域、拡張団、あるいは個人によっても違うのが普通や。

説明し辛いので、これについては、ワシが以前おった拡張団の例で示す。

ここでは、契約の報酬額が3ヶ月契約で4000円、6ヶ月契約6000円、1年契約8000円という、この業界でのフルコミの一般的な報酬額を採用しとる。

業界では、これを、それぞれの金額の語呂(4、6、8)から「ヨーロッパ」と呼ばれとる。まあ、そういう呼び名があること自体が一般的やという証明になるとは思う。

この団では、団員一人頭の契約数を30本と見積もる。それをもとに会社としての1ヶ月の契約総本数というのを新聞社と相談の上、決めとる。たいていは、その線になる。全国的にも、その見方が一般的やと聞く。

拡張員が得る、その契約1本あたりの報酬額を6000円と見込む。それで計算すると、30×6000円=180000円という答が出る。つまり、単純計算で月収18万円になるということやな。

但し、営業成績というのは幅が広すぎるから、平均やと言うても、実際にその金額を得ているケースの方が少ないかも知れん。

この業界は、稼げる者にはより多く、そうでない者にはそれなりにというのが鉄則なわけや。システム的にもそうなっとる。

せやから、すべてを総合して平均月収が18万円〜20万円程度ということになったとしても、実際には、それ以上の者とそれ以下の者との差が激しいということにどうしてもなる。

一般的な拡張団で、稼げる者と言われとるのは2割程度しかおらんと思う。後の8割は、その平均に近いかそれ以下やと思うてたら、ほぼ間違いないと思う。

良く、一般の人から「拡張員は稼げるのですか」と聞かれることがあるが、そんなときワシは「稼げる者もおるが、稼げん者もおる」と常に答えとるのは、そう言うしかない。稼げるかどうかは、あくまでもその人間次第ということになるさかいな。

ただ、やれば儲かるのやないかと安易に考えてする仕事やないのだけは確かやと思う。「他に何もないから、拡張員でもするか」と手軽に考える者がいとるがな。そういう人間は、たいていすぐケツを割る。

もっとも、そうは言うても、向き不向きというのがあるから、ごくまれに何の経験もない者が飛び込んで短期間のうちにいきなり稼げるようになるというのも、また事実としてあるがな。

逆に、営業経験が豊富やからというても稼げん者はざらにおる。そういう世界や。

ワシが平均月収にはあまり意味がないというのはそういうことや。分かって貰えるかな。

それでもあえて言えば、ワシの知る限り、このサイトで得る情報の範囲内という限定でなら、拡張員の月収は20万円前後というのがその答えということになる。

もっとも、今は、拡張員にとって冬の時代になりつつあるから、できる者でもよほど苦心せな稼げんようにはなっとるがな。平均もそれにつれ下がるわな。

何とかせな、このままやと、拡張員が激減する危惧があると思う。


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