新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.585 期限の定めのない契約の解除について
投稿者 Y.Kさん 大学生 投稿日時 2008.6. 6 AM 3:49
げんさん、こんにちは。
一つ、質問があってメールしました。
僕は現在大学生です。去年の11月に、就職活動のためにとN新聞を取り始めました。
インターネットを通して申しこみ、その後に販売店の方がこられました。取り扱いはY紙系の販売店です。
その時、契約の際に、一年契約を僕がしようかと思ったんですけど、販売員からのススメで、特に期限の定めのない購読の契約のような契約をしてしまいました。
現在、将来のことなどを考え、新聞を解約したいと思っています。
違約金を支払うのは仕方がないと考えています。しかし、ネックなのは期限の定めのない契約をしてしまったことです。
こういうケースの場合、違約金はどれくらい必要でしょうか? 契約の際、なにももら
っていません。
また、僕が大学卒業の3月まで新聞を取り続けるとします。僕は就職がきまったのです
が、おそらく今住んでいるところから離れてしまう可能性が高いです。
上述のような契約をした場合、転居先でも、同じ新聞をとらなくてはいけないのでしょうか?
御教授お願いします
回答者 ゲン
購読していたのがN新聞で『特に期限の定めのない購読の契約のような契約をしてしまいました』ということなら、好きなときにいつでも契約解除できるから何の問題もないと思う。
民法の契約の原則は、いつでも契約解除ができるということになっている。
それを阻止することのできる条項として、民法第521条に『承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない』というのがあるわけや。
つまり、期間の決められた契約は、その期間は縛られることになるが、その期間が決められていなければ、自由にいつでも契約は解除できるということや。
まあ、当たり前と言えば当たり前の話やけどな。
もし、契約期間の決められていない契約に縛られ続けるのなら、一度契約してしまうと永遠にそれに縛られるということになるさかいな。
いくらなんでも、そんなアホな話はないわな。
販売店に、そのN新聞を解約したいと言えば、「そうですか、分かりました」とたいていは簡単に応じるはずや。それで終わることの方が多い。
はっきり言うて、Y紙系の販売店の多くは、N新聞の契約に固執することはあまりない。たいていはサービス的に配達しとると考えとるはずや。
これが、期間を決めた契約書を作っていたら、あるいは「解約できん」と言うかも知れんがな。それにしても、簡単に解約に応じる可能性の方が高いと思う。
新聞販売店が解約にこだわり必死になるのは、Y紙系の販売店なら、Y新聞だけやと言うてもええ。販売店では、これを本紙という。
その本紙の場合やったら、販売店として、その期間を決めずに契約することは絶対と言うてええほどあり得んことやと思う。そして、解約に応じるケースは少ない。
ワシら拡張員の存在も、その本紙の契約獲得だけにあると言うても過言やない。
実際、ワシらがN新聞やスポーツ紙、またはその他の業界紙の購入希望を持ち帰っても一銭にもならんことの方が圧倒的に多いさかいな。ワシらも、そういうものはカード(契約)とは考えていない。
もちろん、販売店としては売り上げが減るわけやから、N新聞といえど契約解除されるのは、ええ顔せんかも知れんが、それでもその契約にこだわって、客と揉めるほどのことはないと考えるのが普通や。
当然やが、『違約金を支払うのは仕方がないと考えています』というのも、あまり考える必要はないということになる。
ついでやから『転居先でも、同じ新聞をとらなくてはいけないのでしょうか?』についても言うとくが、これは例え、その販売店で期間の定めのあるY新聞の契約期間中に引っ越したとしても、契約解除はできる。
その場合は、「できん」と頑張る販売店もあり『転居先でも、同じ新聞をとらなくてはいけない』と言う場合もあるが、嫌なら拒否できる。
例え、契約書にどんな条項を盛り込んでいたとしても、引っ越しによる契約解除を阻止することはできんさかいな。
新聞の購読契約は、あくまで、購読者と販売店との間だけで有効なものとされとるものや。
中には、新聞社と契約しとるように思うておられる人もおられるが、それは違う。新聞社は、購読者との契約は一切、関係はないというのが公式な立場やさかいな。
もっとも、あんたの引っ越し先で、その販売店が配達可能やと言うことであれば、その契約は継続されるものと考えられるがな。
それ以外は、引っ越しを理由に契約解除できるということになる。
新聞には宅配制度というのがあり、販売店の宅配区域というのが決められとる。せやから、販売店は、その範囲外に新聞を配ることはできんわけや。
こういう状態になった場合、民法第543条に履行不能による解除権が認められるとある。
ただ、転居先で新聞を継続した方が、契約者にとって有利なケースがあるから、それは自由に選択したらええわけや。単に、嫌なら解約できるとだけ分かって貰えればええ。
結論としては、その販売店に、N新聞を解約したいときに、そう言えばええということや。
まず、何の問題もないとは思うが、万が一、それを拒否されて揉めるようやと、もう一度、ここに相談してくれたらええ。その状況に合わせたアドバイスをするさかい。
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中