新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.592 納得がいかないのですが、どうしたらいいでしょうか
投稿者 ミーさん 投稿日時 2008.6.26 PM 11:13
A新聞と 契約時の景品の事でトラブルになっています。
今年の3月から一年契約しました。景品の他に条件として野球の観戦チケットを後日必ず持ってくるからと口約束ですが、していました。
もし、チケットを持って来ない場合は解約します。と約束しました。
結局、チケットを持って来ないので解約したのですが、後になって「景品代金を一萬五千円一週間以内に振り込みなさい」と内容証明が届きました。
話し合いも警察まで呼んでしました。そのときは勧誘の当事者を連れてきてからもう一度話し合いをするという事で終わっていたのですが、電話をしても居留守を使って出ません。
どうしたらいいのでしょうか。2ヶ月間は新聞代金は払ってました。
契約したとき貰った12000円分のJCBギフト券ですが、今年の2月末の契約時に「プレゼントだから気兼ねなく使って下さい」と言われ考えの浅い私はすぐに使ってしまいました。
一度は返したのですが(トラブルになると嫌なのでと言って)、「後で返せなんて言いませんよ」と言われ真に受けてしまいました。
あと鍋も貰いました。鍋はまだ新品なのでお返しします。と言ったのですが「それは要らない。現金が欲しい」と言われました。納得がいかないのです。
回答者 ゲン
解約自体は、その勧誘員が約束を守らんかったということで問題なかったようやな。
問題は、景品の返還ということやが、あんたの場合は微妙なところがあると思われる。
まず、その勧誘員が「プレゼントだから気兼ねなく使って下さい」、「後で返せなんて言いませんよ」と言うたのであれば、契約をすることの条件として貰ったものやないと解することもできる。
事実、そう主張して景品を返さんでもええと言う法律家もおる。
ワシ個人としては、その考えはあまり支持できんがな。
もっとも、新聞勧誘において、こういうケースでの判例がないから、確定的なことは誰にも言えんけどな。
ただ、その勧誘員が逃げ回っているという現状やとそう言うたと実証するのは難しいかも知れんな。例え、その勧誘員を捕まえたとしても、そんなことを言うてないとシラを切られることも十分考えられる。
普通の状態やったら、ワシは、こういう場合、その貰うた景品は返しといた方がええと言うてる。
民法545条の規定にある原状回復義務というのを説明してな。
原状回復義務というのは、契約を解除した場合、お互いをその契約する以前の状態に戻そうという考え方や。
その観点から言えば、その契約時に貰ったものは返すべきやと思う。
例え、その勧誘員が「プレゼントだから気兼ねなく使って下さい」と言うてたにしても、その前提として契約して貰えたらということがあったはずや。
もし、あんたがその契約をその場で断っていたら、100%に近い確率で、その勧誘員は景品なんかは渡してないやろうしな。
それに、法律の判断がどうあれ、契約を解除するというのは、その販売店の利益を断ち切るということやから、景品を返しとく方が、契約者の心情としてもすっきりするやろうと思う。
いらん揉め事も少なくて済む。
ただ、今回の相談にある『後になって「景品代金を一萬五千円一週間以内に振り込みなさい」と内容証明が届きました』というのは、ワシも解せん話やと思う。
あんたがその景品の返還をするとしても、その内容証明書にあるとおり『景品代金を一萬五千円』の現金を支払う必要など一切ない。
原状回復義務に照らしても、基本的に貰うた物は、その現物で返せばええわけや。
ただ、ごくまれに現物で返せんような物、例えば無料サービス期間中の新聞代などは、その現物というても実質的には無理やから例外的にその対価ということになる。
また、これはタチの悪い客にありがちなことやけど、景品として貰った洗剤などの箱を開けて使った残りを返すというようなことも、その商品の時価もしくは同じ商品の新品で返さなあかんとされとる。
あるいは、契約者の方から、その景品の対価を「現金で支払いたい」と言う要望があれば、それはそれで構わんと思う。
しかし、今回、あんたの意見を何も聞かず一方的に内容証明で「現金で払え」というのは何事やとワシも思う。しかも、一週間以内に払えやて?
ほんま、とぼけた販売店やで。そんなもの無視しても構わん。法的な拘束力なんか一切ないしな。
本来、業者側から内容証明を送付するという行為は、それに応じんかった場合、裁判沙汰にするという意味合いを含んでのものやけど、何も心配することはないから「どうぞ、そうしてくれ」と言えばええ。
そうなったときは、「プレゼントだから気兼ねなく使って下さい」、「後で返せなんて言いませんよ」と勧誘の人間に言われたとして「景品の返還拒否」で争うのも手や。
上手くいけば、その裁判所の裁判官の判断次第では、その景品の返還すら必要なくなる可能性もある。
よしんば、原状回復義務により、景品の返還を言い渡されたとしても、その現物でええわけや。現金で払えとは絶対と言うてええほどの確率でないはずや。
あんたの都合で『12000円分のJCBギフト券』については現金で払うてもええし、同じ物を買って返すのでもええ。
鍋についても使うてないのやったら、そのままの返還ということでええ。
あんたが、その販売店の言うとおり15000円を支払ったとしたら、12000円分のJCBギフト券は現金と同じやからええとしても、その差額の3000円で、その鍋を強制的に買わされることになる。
その鍋の値打ちが、それ以上あると見込まれるか、あんたがそれで納得できるのなら別やが、『納得がいかないのです』と言われるのなら論外な話にしかならん。
当たり前やが、新聞販売店というのは、新聞を売って配達する所であって、その12000円分のJCBギフト券や鍋を売る店やないさかいな。
そう言うて押し通せば、その販売店も引かな仕方ないとなるはずや。
それでもゴリ押しするのなら、裁判を受けて立つという姿勢でええと思う。
一般の人にとって、裁判をすると言われると何か途方もないプレッシャーを感じるかも知れんが、民事裁判など大したことはないから心配することはまったくないと言うとく。
そのための弁護士さえ雇わへんかったら、それにかかる費用も、訴えられた側は、その日その裁判所に行くための交通費と仕事を休むことによるマイナスくらいなものや。
ワシやハカセも、その民事裁判の経験なら腐るほどあるから良う分かるし、万が一、そうなった場合は、いつでもその相談は聞くつもりや。
その民事裁判の手続きとか内容については『NO.35 契約内容が新聞販売店から変更されたので解約したい』の中で、かなり詳しく説明しとるから一度、読んでみられるとええ。
もっとも、それ以前に、そんな内容証明を出すとか、裁判するぞと言う販売店は、相手をそれで威嚇することにより有利に持ち込もうという浅はかな考えの者が大半やから、実際に裁判までする所はまずないやろうがな。
逆に「どうぞ」と言えば狼狽(うろた)える所が大半やと思う。
『勧誘の当事者を連れてきてからもう一度話し合いをするという事で終わっていたのですが、電話をしても居留守を使って出ません』というのは、あんたの方に裁判してでも景品自体を返したくないという考えがあるのなら別やが、景品そのものの返還について納得されとるのなら、その勧誘員は必要ないし、どうでもええと思う。
その景品の出所は販売店やから、それの返還はそこの責任者と話し合って決めるしかないと思うで。その勧誘員を交えて話をしたところで埒があかんのと違うやろか。
結論として、景品を返還するつもりなら12000円分のJCBギフト券もしくは、その対価としての現金と貰った新品のままの鍋を返すと押し通せばええ。
それが嫌やと言うのなら「どうぞ裁判してくれ」と言うしかないやろな。景品の返還自体に応じるつもりがないのなら言うに及ばずということになる。
それとも、そんな揉め事にいつまでも関わるのが、うっとうしいということなら、その請求どおり15000円の現金を支払うという手もある。
いずれにしても、どうされるかは、あんたが良う考えて決められたらええと思う。
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