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NO.593 事故で自賠責を使わないのは違法ですか
投稿者 Weed さん 新聞配達員 投稿日時 2008.7.1 AM 1:18
突然すみません。短期間の間に配達中、事故を数回してしまい、今度、事故したら自賠責を使わないからと言われました。
という事は自分で全て支払う事になるんだけど… それって違法とかですか?
回答者 ゲン
『今度、事故したら自賠責を使わないからと言われました』ということやが、心配せんでもそんなことは加入者の意志でできることやない。
自賠責保険とは、自動車損害賠償責任保険及び共済(強制保険)契約の締結のことで、国の法律として強制的に加入を義務付けとるものやから、加入者にその使用の選択権はない。
通常は、自動車の購入時もしくは車検時に強制的に加入徴収される。それがなかったら、その自動車自体に車検証が発行されんから乗ることもできん。
ごくまれに、車検切れをほっといて結果的に自賠責にも加入してないというケースもあるが、その自動車に乗ると違反やというのは分かるわな。
車検切れの状態で公道を走ると、道路交通法の無車検運行違反になり運転者は6点減点で、前歴がなくても30日の免停と罰金が科せられる。
その上、保険切れになっていれば自賠責保険法違反(無保険運行)というのも加わり、さらに6点が加算され合計12点の減点になり、前歴がなくても90日の免停、前歴があれば免許取消しの上、かなり高額な罰金が取られる。
自ら承知でそんな単車や自動車に乗るのなら別やが、そうやなく仕事で乗らなあかんような場合、そんな羽目になりたくなかったら、車検ステッカーや車検証書などで、その期限切れの確認をしてから乗ることやな。
法律は、例え一日でもオーバーしていたら許してはくれんさかいな。うっかり車検切れということもあり得るから、そういう用心は怠らん方がええ。
自賠責保険の目的は、人身事故による最低限度の保障を確保し、死亡や怪我などをした被害者の救済を図るためということになっとる。対人専用保険ということやな。
例え、この自賠責保険に加入していなくとも、自賠責法で政府が自賠責保険に準じた給付を行うことが定められとる。
因みに、ひき逃げなどで相手が不明の場合でもそれが摘要される。また、被害者に故意の過失がない限り救済されるとある。
被害者の故意の過失とは、詐欺目的の当たり屋や自殺目的で自動車の前に飛び込むケースなんかのことや。
つまり、交通事故であれば、一部の例外を除いて、すべて摘要され救済されるということになる。
但し、その救済には限度がある。
怪我などの傷害の場合は、治療関係費、休業損害、慰謝料などを含めて上限が120万円までと決められている。
死亡事故については、葬儀費、逸失利益、慰謝料などを含めて3000万円が上限や。
後遺障害の場合は、逸失利益、慰謝料などを含めて4000万円となっとる。
それ以上の請求は、任意保険や加害者本人の負担でせなあかんことになる。
尚、この請求は被害者側から被害者請求を直接、自賠責保険会社にして、その支払額から、治療を継続するための費用や、紛争処理、またはその民事裁判へ向けての準備費用に廻すことも可能やとされとる。
あんたが事故を起こして、相手を怪我させた場合やあんた自身が怪我をさせられた場合でも心配する必要はないということや。普通の事故であれば、あらゆる人身事故に適用される。
『短期間の間に配達中、事故を数回してしまい』というのも、その数に制限があるわけやないから故意の事故でない限り、すべてに摘要される。
ただ、数が重なるとその調査がうるさくなる可能性はあるがな。それにしても、正規の事故、と言うのも変な言い方やが、普通の事故であれば何の問題もないと思う。
『今度、事故したら自賠責を使わない』と言うたのは、そこの店長か経営者やろうが、それは、単に、あんたがあまりにも事故を多発するので業を煮やしてのことやと思う。
それができるとか、できんと知った上での発言やないはずや。
もっとも、あんたが『自賠責保険』と聞いたのが、本当は『任意保険』のつもりで言い間違えて「事故で保険は使わない」と言うたのかも知れんがな。
任意保険なら、加入やその使用も自由やから、そういうこともあり得る。
但し、その場合でも職務上の事故ということで、その程度により何らかの使用者責任はあるやろうがな。
少なくとも経営者が「そんな事故は知らんで」とは言えんケースの方が多いやろうと思う。
確かに、事故というのは避け切れんという場合もあるし、あんたの事故がどういうものか良う分からんから何とも言えんのやが、頻発するのやったら、あんた自身の不注意ということも考えられるから気をつけた方がええで。
相手に怪我をさせても自分が怪我をしても、ええ事なんか何もないしな。ヘタをすると、あんたの人生そのものを狂わしかねんからな。
結論として、万が一の事故が起きても、自賠責での最低限の保障は受けられるということや。心配する必要はない。
ただ、この事が分かっても、その店長なり経営者には何も言わん方がええで。逆なでするだけやさかいな。
言うのなら、実際に事故が起きてからでええ。
「今日も元気に無事故で配達を頑張ろう」
これは、実際にある販売店で配達に行く前に、必ず配達員各人に言わせている標語のようなもので、その効果もかなり上がっとるということやから、あんたもそれを実行されたらどうや。
注意するとは言うても、人間、常にその意識でいとるのは難しいから、それを日課として口癖にするというのもええのやないかと思う。
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