新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.598 手紙作戦はどうですか


投稿者 Jさん  投稿日時 2008.7.17 PM 9:48 


NO.597 時期待ちのお客様についての対処方法やトークについて

これを読んで思ったのですが、頻繁に訪れることができない見込み客に対する"繋ぎ止め"の作戦として、「時候の挨拶の手紙に、捨て材を同封して郵送する」というアイディアを実践したらどうかと思いました。

特に、直筆の手紙は、相手のハートを掴みやすいとも言われます。

80円切手一枚のコストでお客様の信頼を得られるのなら、コスト的にも安上がりと思ったのですが、いかがでしょうか。


回答者 ゲン


ちょっと以前までなら、『手紙作戦』というのはDM(ダイレクト・メール)に属することで、あまり効果は期待できんやろうと言うてたかも知れんが、最近の業界を取り巻く環境を考えたら、それもアリかなという気になる。

メルマガ『第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について』の中でも触れたが、『特定商取引に関する法律』の改正として新たに『勧誘の意志の確認』というのが、努力規定ながら加わった。

もっとも、形は努力規定やが、新聞社サイドは公にはこれを遵守する方針を決めとるから、業界内では義務、決まりになったと受け取ってた方がええやろうと思う。

しかも、この法律の施行は実際にはもっと先なのやが、すでに始まっとると解した方が無難や。

日本新聞協会の『訪問販売にかかわるさらなる自浄努力の具体策』 の発表がそれを裏付けとるし、実際にそれを踏まえたと考えられる新聞社の苦情センターの対応があったという情報も寄せられとるさかいな。

また、旧メルマガ『第194回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■飛び込み勧誘全面禁止条例案についてのアンケート募集』 の中で、秋田県議会が、『飛び込み勧誘禁止』の条例案を検討し、年内にも議員提案で成立させ、早ければ、2009年からの施行を目指す、というのもある。

こちらの条例案はどうなるかは未定やが、弱者保護、消費者保護の大義名分があるから、ある程度のものにはなるのやないかと予想される。

これは、一地方の条例案ではあるが、可決されれば追随する地方もあるやろうと思う。

つまり、すでに時代は、勧誘営業そのものが厳しい状況になったと認識する必要があるということや。

従来どおりのやり方を変える必要がある。

あんたの意見もそれを踏まえたものやと思う。その意味では有り難い提案や。

特に、勧誘営業の分野では高齢者に対しての規制が強化されると考えられるから、その人たちにはこの手紙作戦というのは、それなりに効果が上がるのやないかと思う。

現在、インターネット、情報のグローバル化などと騒がれていても、正直、高齢者の方々にはついていけんと考える人が多い。

また、高齢者やなくとも紙としての新聞を好み、年賀状や暑中見舞いは直筆のものがええという人はまだまだ多いはずや。

それらの点でも『特に、直筆の手紙は、相手のハートを掴みやすいとも言われます』というのは真理やと思う。

昔、ワシがまだ若かった頃は、手書きより活字の方がええとされてた。活字で書かれたというだけで無条件に信用されてたこともあったほどや。

しかし、現在、ネットやメールなど、どこを見ても活字の方がはるかに氾濫する時代になった。

それがあるからこそ、却って、手書きの方が新鮮やと考えられるわけや。

『80円切手一枚のコストでお客様の信頼を得られるのなら、コスト的にも安上がりと思ったのですが、いかがでしょうか』

本当に、それで信頼を得られるのなら安いもんやが、どうなんやろうな。

これが、販売店の営業方針としてならまだええやろうが、『NO.597』の人のように、拡張員という立場でするのは個人の見解やが、懐疑的にならざるを得ん。

拡張員の多くは、個人的に契約が取れんと意味がないと考える。

その新聞社や販売店がいくら部数を伸ばそうが、はっきり言うて関係ない。

その新聞系列の一員と考えるのは正論かも知れんが、拡張員は自身の成績にならん限り、一銭にもならんというシステムがそこにあるさかいな。

その新聞の利点を説く、その販売店の信用を高めるというのは、その場で契約が取れるのなら問題ない。

しかし、今回のように、将来的な契約をつなぎ止めるために、それを拡張員がしたとしても、その顧客が果たしてその拡張員個人とだけ契約したいか、するかということになる。

手紙はよほど親しい人からのもの以外、相手の顔は思い浮かばんもんや。

もし、その手紙で心を揺さぶられて、その新聞を取ってもええなと思えば、たいていの人は、その新聞を扱う人なら誰からでもええと考える。勢い、そう考えた直後にやってきた、その新聞の勧誘員と契約する確率が高くなる。

また、そうしても、いつも来る拡張員の人も同じ新聞を扱うとる仲間と契約するのやから喜ぶはずやと思う。

ところが、拡張員の側からすれば、そんなことがあったら、他紙に契約を取られるよりショックが大きいわけや。例え僅かでも、それに経費と手間をかけていたら尚更、落ち込むことになる。

これだけを聞けば、拡張員は自分のことしか考えん何ともさもしい人間やと思われがちやが、本来、営業とはそうしたもんなんや。

その会社、業界が繁栄するより、営業員個人の成績向上を望む。それしか、成績にも金にもならんシステムになっとるのやから仕方ない。

プロ野球の選手なんかがええ例で、チームが優勝することを望むと広言はしても本音のところでは違う。

いくらチームが優勝しても、個人の成績が上がらな給料が増えることはない。それどころか、例えそのチームが優勝しても個人の成績が悪ければ戦力外通告、つまりクビになることすらあるわけや。

プロ野球に比べれば、より個人プレイの顕著な拡張員の世界では、そのやり方は馴染まんやろうと思う。

ただ、販売店として全体の部数を伸ばすめにするのなら、その方法次第では効果があるのやないかという気はするがな。

いずれにしても、業界が生き残るには、そういうことを一つずつ真剣に考えなあかん時期にきとるのは確かやと思う。


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