新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.614 このままM新聞で続けていけるのかどうか
投稿者 ヒロさん M新聞販売店専業員 投稿日時 2008.8.17 PM 7:05
はじめまして、ゲンさん。いつも勉強させて頂いております、ヒロと申します。
実は私、M新聞販売店で専業をやっているのですが、ここ最近ネットで話題になっているwaiwai問題についてメールを出させて頂きました。
メールマガジン第8回の「第8回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■MDN醜聞の波紋 」も読ませていただきました。
個人的には許せない事件なのですが、M新聞というと私の職場に当たるわけで、なんとも言えぬ不快感を覚えております。
私が新聞業界に入り2年が経ちます。私の親がM新聞販売店主でして、コネで入った形になります。
そこで一番悩んだのが営業でした。その営業もゲンさんを見習って人並みにはなったと思います。
M新聞は元々、他紙に比べて売りにくかったり憎まれていたりしていました。不祥事多いですからね。
そして拡張なんてド素人であった私ですが、最近になってようやく契約も取れはじめていた矢先に起きたwaiwai問題です。
私の親や、私自身の2年間。また、他店の人たちが積み重ねてきた年月。全て崩れ去っていきそうで、とてもやるせない気持ちでいっぱいです。
このままM新聞で続けていけるのかどうか。早めに見切りをつけるべきか。何かできる事はないのか。
仕事に対するモチベーションがあがらず、憂鬱な日々を過ごしております。
今回はその不安と憂鬱な気持ちにかられてメールをしました。
回答者 ゲン
この問題を終熄させるには、M新聞社が今以上の真摯な姿勢を見せる以外に術はないやろうと思う。
確かに、M新聞社も事の重大性を感じ、過去のどんな不祥事よりも、その経緯を自ら語って謝罪している点では評価できるのやが、残念ながら、どこかまだ軽く考えとるように思えてならん。
つまり、あれではこの問題を終熄させるには不十分やということや。
多くのネットユーザーたちも、それがあるために攻撃の手を緩めることができんのやと思う。
このままの状況が続けば、さらにこの騒動は大きくなるのは必至や。実際に、そのための運動を始めているグループも存在するさかいな。
その中の一人の方から、「この件はアメリカとイギリスでは大事件として報道されました」という報告を貰った。
しかし、日本ではその報道は今のところまだない。
昨今の企業の不祥事にある謝罪会見を見れば分かると思うが、その対応の拙い企業は、できるだけ事実は最小に、隠せるものは隠すという姿勢が見え見えで、その結果、自らを追い込んでしもうとる。
そういう企業に救いはなく、実際にも廃業を余儀なくされとるケースが多い。
ワシらが『第8回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■MDN醜聞の波紋』および『第10回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の近未来予想』で、訴えたかったのは、まさにそのことやったわけや。
今回の対処を誤ると致命的なことになりかねんという危機感をM新聞社に持ってほしかった。
ワシらは、あんたのようなM新聞の販売店関係者や拡張団などの多く方々と懇意にさせて頂いている。今まで、様々な情報を寄せて頂き、またアンケートなどにも多数協力して貰って本当に助かっとる。
こういう問題が起きると、真っ先に影響を受けるのは、その販売店関係者であり拡張団の方々なわけや。
当然やが、今回の問題では、その人たちには何の責任もない。
これが、本紙の紙面に掲載されとることなら知らんでは済まんかも知れんが、ネット上や海外向けの紙面というのでは、その存在すら知らん販売店関係者や拡張団の方が大半やったと思う。
あんたにしても、ネット上での騒ぎになったからこそ気がつかれたことやと思うしな。
しかし、結果として、こういう問題が起きると新聞紙面そのものの評判が落ち、売りにくくなり、解約されるということも増えてくる。
実際に、そういう報告も幾つか届いとるさかいな。
加えて、今回の場合は、この問題に怒った一部のグループの人たちにより、M新聞の不買運動なども実際に行われている。
そのための宣伝ビラも大量に配られていると聞くから、その地域の新聞販売関係者の方々は大変やろうと思う。
そのグループの人たちの狙いは、あくまでも打倒M新聞社なのやが、結果として、その前にどちらかと言えば零細企業に近い販売店の経営を圧迫させ、廃業に追い込むことになるのやないかと懸念する。
もっとも、それを分かっておられるのか、ワシ宛てに『お友達にM新聞拡販員がいらっしゃったら今のうちに転職を勧めてあげてください。会社が無くなってからでは出る物も出ないでしょうから』というメールを送ってこられた方がいた。
これも良くありがちな誤解なんやが、一般の方の中には、ワシら拡張員や新聞販売店の関係者はすべて新聞社の社員か何かのように考えておられるケースがある。
『出る物も出ない』というのは給料が出ないという意味やろうが、もともとワシら拡張員や新聞販売店の多くは新聞社から給料なんかは貰うてないから、その意味での心配はいらん。
拡張員は拡張団という営業会社に所属しとるから、転職はその気にさえなれば比較的簡単やが、新聞販売店の経営者の方はそうはいかん。
新聞販売店を廃業するということは、倒産するということに等しいわけや。倒産すれば、ヘタをするとその経営者、従業員の家族まで路頭に迷うことも考えられる。
ただ、そうかというて、そのグループの人たちの行為を注意するとか批判することはワシらにもできん。
その人たちが不買運動をしとるのは、それなりの正義、確固たる信念のもとにやっておられることやさかいな。
今回の件では、MDNのいわれのない悪意に満ちた報道記事により、気を悪くした一般のネットユーザーだけやなく、それで大打撃を受けた医師の方もおられると聞く。
誰でも、その生活を脅かされ、攻撃されれば反撃はするもんや。
それを責めることはワシにはできん。
ただ、すべての不買運動の蔭には、その狙いである企業にダメージを与える前に、細々とその日の生活を営んでいるだけの小売店の多くを犠牲にしとるという現実があるのも確かなわけや。
ただ、そういうことをしているグループの存在が分かると、その人たちに敵愾心を向ける新聞販売店の人が、ごくまれにおられるようやがそれは間違っている。
さらに、これは非常に残念なことやが、あんたと同じM新聞の販売店関係者から『正直きみは新聞離れ促進してる。営業してて君の話でたわ。新聞が衰退したくないならサイト閉じてくれ』というメールがワシらに届いた。
このサイトも、そのM新聞打倒に一役買っていると思い込んでおられるわけや。
『Yの拡張員だからって適当に書いてんな! Yよりの書き方だなきみは』ともあったさかいな。
ワシがYの拡張員やから、M新聞を敵視しとるという思い込みや。今はそうやないんやがな。
言うとくけど、この問題は単にM新聞だけを糾弾したら終いという類のものやない。業界全体が心せなあかん問題やと思う。
他の新聞各社にしても、この問題をさして重大事として取り上げず、その報道もあまりしていない。
それに触れようとせんということは、新聞の報道機関としては同罪を意味すると思う。暗黙のうちにそれを認めたと解されても仕方ないさかいな。
つまり、すでにY新聞だのM新聞だのという小さなレベルの話やなくなっとるわけや。
ワシは、拡張員という立場では話すが、どこの拡張員が良くてどこの拡張員が悪いなどという思いを持って話したことは一切ないと断言できる。すべて同じと考えていた。
もう一度、はっきり言うが、ワシらの意図はあくまでも、M新聞社に反省を促すためのもので、批判や糾弾するのが目的やない。
あんたのように『このままM新聞で続けていけるのかどうか。早めに見切りをつけるべきか』と追い詰められておられる販売店関係者の方を、その窮地から救いたいがために言うてることでもある。
『私の親や、私自身の2年間。また、他店の人たちが積み重ねてきた年月。全て崩れ去っていきそうで、とてもやるせない気持ちでいっぱいです』ということなら、M新聞社に直接、その思いをぶつけられたらどうや。
それは、先のワシらに苦情をぶつけてこられた方にも言える。
誰が考えても、今回の事件の責任はM新聞社にある。それはM新聞社自身も認めとることや。
責めるのなら、責任のあるところを責めるなあかん。その他を責めるのはお門違いや。
但し、ひとりではあかん。まったく意味がないとまでは言わんが、やはり弱い。これが、まとまってというのなら、かなり違うてくるがな。
新聞販売店には、どこにでも地域の販売店協力会という組織があるはずやから、その集まりで、今回のこの事件のことを議題に出して、その総意として新聞社に意見の具申をし、提案するわけや。
具体的にはどんな提案をしたらええのか。
ここからは、あくまでもワシの個人的意見として聞いて貰いたい。
今回の事件で最も拙かったのは、その責任の取り方にあったと思う。
その責任の取り方次第で当事者の問題意識と誠意が分かるさかいな。
英文編集部記者を懲戒休職3カ月。英文編集部長を役職停止2カ月。当時のデジタルメディア局次長で現デジタルメディア局長を役職停止1カ月の懲戒処分。
デジタルメディア担当が役員報酬の20%(1カ月)。当時の常務デジタルメディア担当、現社長が役員報酬10%(1カ月)。総合メディア事業局長の役員報酬20%(1カ月)返上。
処分している現職部長より前の歴代英文編集部長を追加処分の検討対象としたが、すでに死亡している者1人、退社している者1人についてはお構いなし。
在社している元編集部長1人の処分はしたが、現在、社内の役職を退いているためその内容の公表は差し控えるという。
以上が、この事件でのM新聞社の発表した処分のすべてということになる。
これで、この問題の幕引きにしようと考えとるのなら、正直言うて救いはないと思う。
現場の責任も比較的軽いが、それが上にいくほどさらに軽くなっている。
しかも、これやと、軽く考えとるという他にも、現場の人間により多くの責任を押しつけとるようにも見える。
こういうのは、最近いやというほど見せられてきた図式であり光景やと思うのやがな。
この事件は、単に誤報とか、ねつ造という従来の新聞社にありがちやった不祥事とはまったく異質なものなわけや。意図して、国辱ともいうべき記事を全世界に垂れ流ししとったのやさかいな。
新聞業界始まって以来の未曾有の大事件やと思うんやが、残念ながらM新聞社にそこまでの危機意識は感じられん。
その記事の内容が新聞本紙に掲載されとったと考えさえしたら、簡単にそれが重大事やと気づくはずやと思うのやがな。
あり得んことやと。それがない。
この茶を濁した程度の処分で多くのネットユーザーの怒りが収まるとは、とてもワシには思えん。
事実、これが火に油を注いどると言うてもええくらいやさかいな。
M新聞社自らが律することができんのなら、下から突き上げて喚起を促すしかない。
M新聞社内部にも、多少、その動きはあるようやが、それはそれとして、販売店関係者の方は先に言うたように結束して、この問題の解決のための提案をすることや。
この問題を終熄させる一番の方法は、他の問題を起こした企業がやっているような謝罪会見を開き、その席上でトップの責任を明確にし、責任を取ってトップ自らの意志で辞職することやと思う。
そうすれば、世間の見方も必ず変わるはずや。ネットユーザーの多くも納得してその矛先を収める公算が大きいという気がする。
本当に、そのトップがM新聞社のことを考えるのなら、そうすべきやないやろうか。心あるトップならそうするはずやと思う。
しかも、そうするのなら、なるべく早いうちがええ。
本当は、7月20日に謝罪した際に、その処分を発表すれば良かったのやが、それでもまだ、今のうちなら何とかなりそうな気がする。
そのためにも現場の販売店関係者の方たちが声を上げるべきやと思う。このままではやっていかれへんと。
それをしても、聞き入れて貰えんというのならM新聞社には本当に未来がないとワシも思うさかい、早めに見切りをつけるのも一つの方法ではあるがな。
もっとも、どうするかは、あんたの判断次第やけどな。
ワシの考えすぎで、この問題はほっとけば勝手に終熄するという見方もできんではない。
それに期待するのなら、そのままという選択肢もある。
願わくば、ワシの考えすぎであってほしいとは思うが、果たしてそんなに上手く事が運ぶやろうかというのが、正直な気持ちや。
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