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NO.62 奈良・小1殺害事件で、新聞社が販売所との取引を解除したことについて


投稿者 Jさん 新聞配達員 投稿日時 2005.1.24 PM9:26


私たち新聞配達員にとって、昨年は、奈良県の女児誘拐殺害事件の犯人逮捕で2004年の幕が閉じたようなものでした。

逮捕された犯人が新聞販売店員であったことで、こちらの店でも、誰もが「これでまた新聞屋のイメージが悪くなっちゃうよ。」といった嘆きを口々にしていました。

しかし、既にQ&A.NO.56でゲンさんにコメントしていただいたことによって私自身は、いくぶん気が楽になりました。

この中で、ほとんどの関係者は日夜業務に頑張っているのだからというゲンさんのご発言は本当にありがたいと思いました。

ところで、既にご存じかもしれませんが、奈良・小1殺害事件で、新聞社が犯人が勤めていた販売所との契約を解除したというニュースが流れました。


新聞社が販売所2店との取引解約 女児殺害事件

新聞本社は19日、容疑者(36)が事件当時に勤務していた販売所(奈良県)と、昨年1月〜5月まで在籍していた販売所(大阪市)との取引を1月末で解約すると発表した。販売所には従業員の監督責任があると判断した。

(05/01/19)
http://www.asahi.com/special/041215/OSK200501190040.html

私はこれを読んだとき、正直、本社のやり方に、憤りを感じました。
「まじめにやっている販売所の従業員はどうなるんだ!」って。

もしかしたら、ほとぼりが冷めたら契約を元に戻すなんていう、世間へのポーズを取るようなヤラセかな?と思いましたが、私の勤める販売所の店長はおそらく本気だろうと言っていました。

これに関して、もし機会がありましたら、ゲンさんのコメントをサイト上でお願いします。では。


回答者 ゲン


ワシもあんた所の店長と同じく本気で、新聞社はその2カ所の販売店を排除しようとしてると思う。新聞社は一度、発表したことを、そう簡単には翻したりはせんからな。

これについては残念としか言いようがない。ワシは、この事件に関しては、M紙が一番真摯な報道をしとるとQ&A.NO.56でも言うた。

この質問者の方にもM紙の購読を続けたらええとまで話したが、そのM紙がこういう結論を出したというのは、本当に残念で仕方ない。

これは誰がどう贔屓目に見ても、新聞社が販売店に対して監督責任という名の下に処分を下したという風にしか思えんことやからな。

もし、それが必要なら、その処分を下したM紙は販売店に対する監督責任がないのかとなる。

この事件で、まだM紙の人間が監督責任を問われて処分されたという報道は聞かん。もしや、その報道でもあるのかと思い、19日から本日まで見守って来たがそれもない。

そうしてるうちに、あんたからのコメントの要請があった。ワシは要請があれば、コメントする。せやないと、こんなQ&Aをやっとる意味がないからな。

このサイトは特定の団体や組織を糾弾することが目的やない。誹謗中傷もするつもりはない。

それでも、罪のない人間がその被害者になるというのは、どう考えても納得出来る話やないと思う。せやから、ワシ個人の意見として言いたいことは言わせて貰う。

もちろん、それなりの理由もM紙にはあるのやろう。そう思われる幾つかの報道があるから、それらから、今回のことをワシなりに検証してみようと思う。


新聞社の販売所2店との取引解約理由とされる主な報道

奈良市の小1女児誘拐殺害事件で、わいせつ目的誘拐容疑で奈良県警に逮捕された元M新聞販売所従業員○○容疑者(36)が、昨春まで勤務していた大阪市内の別のM新聞の販売所で購読料を持ち逃げしていたことがわかった。

この販売所は、府警東住吉署に被害届を出し、その後、容疑者の勤務先を確認したが、容疑者が返済を始めたため、同署には知らせていなかった。

同署は女児が連れ去られたのと同じ昨年11月17日に業務上横領容疑で逮捕状を取っていた。

調べでは、容疑者は昨年1月から大阪市のM新聞販売所に勤務。同5月6日から出勤しなくなった。その後、計23万円が入金されていないことがわかり、店側は同14日に被害届を提出した。

M新聞大阪本社によると、容疑者は7月になって奈良県の販売所で働き始め、9月ごろからは毎月3万円を大阪の販売所長あてに返済していた。返済は4回、計12万円になるという。

東住吉署の説明では、逮捕状は昨年11月17日に取って以降、2度取り直した。そのたびに、容疑者の居場所などを問い合わせたが、大阪の販売所の所長は「わからない」と繰り返したという。

M新聞大阪本社によると、虚偽回答について所長は「凶悪な事件の容疑者として逮捕されるなどとは夢にも思わず、毎月の返済が滞るのを恐れていた」などと説明しているという。

〈M新聞大阪本社代表室の話〉容疑者に11月17日の時点で逮捕状が出ていることはきょう初めて知りました。大阪の所長が容疑者の勤め先を知っていたのに、それを告げていなかったのは信じられない思いです。今後、販売所の教育・監督について、指導を徹底していく所存です。 (05/01/15)

http://www.asahi.com/special/041215/OSK200501140047.html


これが、2つのM新聞販売所の取引停止処分までの一連の報道経過や。

簡単に言うと、大阪の販売所は容疑者に金を持ち逃げされて、警察へ通報した。しかし、後日、何らかの方法で奈良の販売所におることを突き止めた。

そのことを警察へ通報すると逮捕され、その金が回収出来んようになると思うたから黙って、奈良の販売所とかけあって容疑者からその金を返済させることで合意した。

しかし、その容疑者がこんな大事件を起こした。

せやから、その販売所の行為は許せんと新聞社は言うてるわけや。取引停止の主な理由やということになっとる。

確かに、この2つの販売所のトップの処理方法は褒められたことやなかったけどな。特に大阪の販売所の対応は拙い。

警察に被害届けを出しているのなら、警察に容疑者の所在を知らせた上で、その被害届けを取り下げて借金の回収をせなあかんかったと思う。

ワシも昔、住宅リフォーム会社をしてた頃、ある依頼主の業者が金を持ち逃げして数百万円の損害を受けたことがある。警察にも被害届けを出した。

一年後、その業者を見つけて、交渉した結果、被害届けを取り下げることを条件に返済させたということがあった。

この業者はくしくも、この容疑者と同じ業務上横領罪ということになったが、略式起訴で少額の罰金刑程度で済んだ。被害届けを取り下げ示談が成立したということが大きかったわけや。

このケースもそうするべきやったと思う。被害金額が23万円程度なら、大した罪に問われることなく決着してたはずや。

奈良の販売所のトップもその保証人ということでその件は終わりやったと思う。事実、実際に容疑者が毎月返済に応じてるということやから、その奈良のトップも実質、保証人やったのやろと推測する。

ここまでなら、世間一般に良うあることや。穏便に解決しようということも普通に誰もが考え易い。大阪の販売所も悪気ということはなかったはずや。犯人隠匿ということすら考えてなかったのと違うかな。

経営者は誰でも損害を被ったら、その損害をなくそうとする。その相手が見つかれば、当然、返済を要求する。

ここで、ワシの意見を言う。容疑者が持ち逃げした金は、購読料金なわけや。当然、その料金からM新聞社へもこの販売所は支払いをしてるわけや。

ということは、そのための一連の行為やったと言えんこともない思う。新聞社への支払いの一部はそうした容疑者の返済からもなされているはずや。そう、考えれば、新聞社の今回の処置は酷過ぎると思う。

特に、奈良の販売所に至っては、善意でそうしたという風にしか思えんからな。少なくとも、その件に関して販売所のトップに何の悪意もなかったことは確かや。

このことが事前に発覚していれば、事件は避けられたと考える人もいとると思う。ワシはどうかなと思うがな。

大阪の販売所が奈良の販売所にその容疑者がいとるということが分かったのは、去年の8月頃のことのはずや。

『9月ごろからは毎月3万円を大阪の販売所長あてに返済していた。返済は4回、計12万円になるという』という報道が正しければな。

その時に、この容疑者のことを通報していたとしても、前述しているように、逮捕拘留と言うところまでは行ってなかった可能性の方が高い。刑も罰金刑程度のはずや。せやから、仕事も同じようにしていたと思う。

今回の事件は、何度も言うが、この容疑者の性癖というか性情、性根の問題や。この事件は、この男が存在していた以上、避けられなかったと思う。少なくとも、販売所のトップの対応程度ではどうしょうもなかったはずや。

現に新聞社も『容疑者は販売所に今年7月から勤め始めた。朝夕刊の配達や集金を担当。配達エリアに被害者宅は含まれず、被害者との接点については「知りようがない」』と述べている。不可抗力を認めとるということでも販売所のトップに責任がないと分かるはずや。

http://www.asahi.com/special/041215/OSK200412300009.html


ただ、これ以上、ワシが新聞社を責めた所でどうなるものでもない。世の中には、こんな理不尽なということはどこにでも存在する。そういうことはワシの人生においても何度もあったからな。

『組織』を守るためにはどんなことでもするというのは、どんな世界、業界でもあるというのは、今更、ワシが説明するまでもないやろ。そんな事例は枚挙に暇がない。

それでも、敢えて言いたい。その2つの販売所を潰す形になったとしても、せめてそこで働く人間のことは考えて欲しい。そこで働く従業員には何も落ち度はないはずやからな。

その彼らを救う方策を新聞社が示すことで、新聞に対する世間の評価も高まると思うんやけどな。逆に、その人たちに辛い仕打ちをすれば、そのことは必ず分かる。

特に、このサイトのこのコーナーは、そういう理不尽な仕打ちに遭った人たちの相談の場でもあるからな。そういう不幸な相談のないように新聞社の上層部の方には切にお願いしたいと思う。


追記

これをアップした直後、M新聞社より担当責任者の処分が発表された。このことに関して、ワシとしてはコメントは控えたい。ただ、一方的な処分ではなかったという点では評価したいと思う。後は、残された従業員の方々の処遇を考慮して欲しいと願う。

http://www.asahi.com/special/041215/OSK200501250041.html


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