新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.620 このような場合も自己都合の解約となってしまうのでしょうか?


投稿者 musasiryu さん  投稿日時 2008.8.31 AM 2:19


パソコンのメール機能の調子が悪いので携帯から失礼します。
 
私は専門学校の2年生で、5月か6月に9月からのY新聞を購読する契約を結びました。

その時は就職活動に役立つだろうと思っていたのですが、思っていたよりもあっさりと内定を頂き必要なくなってしまいました。

契約の際にセールスの方から「配達が始まる前に確認の電話があるから、必要なくなった場合はその時伝えてくれれば解約できる。ただ、そうすると自分の成績に関わるからできれば休止か開始の延期を申し出てその後知らんぷりしてくれ」というような事を言われていました。

しかし、「休止や延期を申し出てその後知らんぷり」というのは、道徳的にどうだろと思い、自分の成績〜以降は言わずただ「解約できるといわれたので解約したい」と解約の旨を伝えると、販売店の方から「とりあえず9月の分は支払って頂いて、10月以降の事はセールスマンに確認してから話し合おう」と言われました。

このような場合も自己都合の解約となってしまうのでしょうか?

また、できれば解約という事で話しをつけたいのですが、3ヶ月の購読契約なので違約金や使用してしまった商材の返金額によっては素直に3ヶ月分支払ってしまおうかと思っているのですが、まとめて3ヶ月分払ってもう配達は結構ですと断ることはできますか?

読まない新聞を毎日配達されても正直邪魔なので。
 
世間知らずの馬鹿と言われてもしょうがないと思いますが、ぜひ回答をお願いします。

それでは失礼します。


追伸 

先程相談のメールをお送りした者ですが、自分で色々調べた所、景品は契約総額の8%までと定められているそうですが、景品分の金額を請求された場合はその8%の支払いだけで切り抜けることはできないでしょうか?

短い間隔で何度も申し訳ありません。それでは失礼します。


回答者 ゲン


『このような場合も自己都合の解約となってしまうのでしょうか?』というのは、結果としてはそうなる可能性が高いと思う。

あんたは『その時は就職活動に役立つだろうと思っていたのですが、思っていたよりもあっさりと内定を頂き必要なくなってしまいました』と言われておられることからすると、その内定が決まらなければ、その新聞を購読していたということになる。

それが決まったので必要ないから解約するというのは自己都合の何ものでもないと思う。

ただ、問題は、そのセールス(拡張員)から『配達が始まる前に確認の電話があるから、必要なくなった場合はその時伝えてくれれば解約できる』と言われたにも関わらず、その販売店の人間が『とりあえず9月の分は支払って頂いて、10月以降の事はセールスマンに確認してから話し合おう』と言うたのは、それと矛盾するという点や。

販売店側は実質的な解約拒否の意向やと考えて間違いない。話が違うということになる。

それにしても、『とりあえず9月の分は支払って頂いて、10月以降の事はセールスマンに確認してから話し合おう』というのは理解に苦しむ答弁やな。

長くこのQ&Aをやっとるが、そういうケースは初めてや。

なぜ、まだ配達もされてない9月分を払えというのかが分からん。解約を拒否するのなら、普通はそれだけを通告するもんや。

この自己都合による解約は、契約者と販売店の間で話し合いによる合意解除しか術のないものやさかいな。

ただ、そのセールスが『配達が始まる前に確認の電話があるから、必要なくなった場合はその時伝えてくれれば解約できる』と言うたというのが確かでその証拠があれば、消費者契約法の「不実の告知」に該当するから、契約解除の正当な理由にはなる。

しかし、こういうケースは、その場にはその証人となる第三者もおらず、その言動を録音しとるということもないやろうから、言うた言わんの水掛論に持ち込まれることの方が多い。

もっとも、頑としてそれを主張すれば、中にはあきらめる販売店もあるが、それは保証の限りやない。

そうした場合、たいていは、その揉め事は長期化する。簡単に決着はつかん。どちらかがその主張を引っ込めん限りはな。多くは平行線を辿るだけや。

普通は、その揉めとる期間にも新聞は投函され、結局、その契約の解除が認められたにしても、それまでに投函された新聞代を払わなあかんというケースが多くなる。

これが、1年以上の契約が残っている状態なら揉めても結果として報われることがあるかも知れんけど、3ヶ月程度やと揉めとる間に終わってしまう公算の方が大きい。

ただ、以前は、こういう揉め事を新聞社の苦情センターに持ち込んでも「それは販売店とお話しください」とニベもない対応をされとったが、最近は、ちょっと事情が変わってきとると聞く。

当メルマガの『第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について』の中でも話したが、その法律案の改正が本決まりになったことで、その対応がころっと変わったとのことや。

現在は、どちらとも取れんケースは、契約者の言い分を優先するという方向にあるようや。

もっとも、そのケース毎でも対応は違うやろうから、あんたの言い分が100%通るという保証はできんが、一度、言うてみても損はないと思う。

上手くいけば、その契約解除もスムーズにいくかも知れんさかいな。

ただ、今までの過去のこのケースからすると、その販売店と話し合い、多くは解約違約金の支払いという線で落ち着くか、あんたのように3ヶ月程度の契約ならあきらめてそのまま購読するかのいずれかを選択することが多かったと記憶しとる。

『まとめて3ヶ月分払ってもう配達は結構ですと断ることはできますか?』というのは、それが解約違約金として処理され、あんたがそれと認めさえすれば法律的には問題ないが、それは損やと思うで。

新聞代全部が解約違約金というのも法外やし、それを払うくらいなら、新聞を普通に配達して貰う方が得やと考えるがな。

『読まない新聞を毎日配達されても正直邪魔なので』というのも分からんわけやないけど、この新聞というのは、これはこれで読まんでも結構役に立つ便利なものなんやで。

旧メルマガ『第31回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■古新聞の利用法?』 というのが、あるからそれを見られれば、その利用法というのが実に多岐に渡って便利なものやというが分かって貰えると思う。

邪魔になるとは言うても、タカが3ヶ月分くらいの新聞の量やと知れてると考えるがな。

それに、あんたは新聞を過去にも取ってなく、これからも取りそうにもないさかい、その新聞が減ってもそれ以上増えるということもないやろ。

そのまま持っていても万が一、必要なときには役に立つはずや。まあ、それもよけいなお世話やと言われれば、それまでやけどな。

『自分で色々調べた所、景品は契約総額の8%までと定められているそうですが、景品分の金額を請求された場合はその8%の支払いだけで切り抜けることはできないでしょうか?』

というのは、その販売店がそれと認めん限りは無理やと言う外はないな。

あんたが、その3ヶ月の契約の際にどんなものを貰ったのかは記載がないから分からんが、契約を解除するのなら、その契約を満了する条件で貰ったものは返還する義務というのが生じる。

これは、民法545条に「原状回復義務」として規定もされとることや。

この原状回復義務というのは、双方を契約以前の状態に戻そうという考え方や。これについては理解できると思う。

ちなみに、あんたの言う『景品は契約総額の8%までと定められている』というのは、景品表示法での規定やが、これは業者を取り締まるための法律で、個人に影響するものやない。

この法律を運用しとるのは、公正取引委員会という国の行政機関で内閣府の外局という位置づけの組織や。

あんたの言い分としては、それをオーバーしとる分は違法やから返さんでもええという理屈なのかも知れんが、それを違反とするかどうかの判断は、その公正取引委員会が下すことでしか分からんわけや。

間違っても素人の判断が優先されることはない。

しかも、その公正取引委員会が景品表示法違反やと判断しても、それが、その景品の授受に関してまでおよぶことはない。その権限はないさかいな。

つまり、それが違法やから契約者に貰ったものは返さんでもええとは、その公正取引委員会は言わんし、言えんということや。

景品の授受に関しては、民法の規定に「原状回復義務」があるから、それが適用されることになる。

加えて、この景品表示法に違反しとるからと、警察や裁判に訴えても、管轄違いで門前払いされることになるというのも言うとく。

もっと言えば、その景品表示法では、現在、新聞を除く一般商品の景品付与は取引金額の20%までに緩和されとるということがある。

新聞の場合は、新聞業界の意向としてその公正取引委員会に8%と自主申告したものが法律になっとるわけや。それも、一般商品の景品付与が取引金額の10%までと決められていた時代にな。

公正取引委員会がその20%の緩和を行った以降も新聞業界としてはそのままなわけや。

さらに、新聞業界がこの法律で摘発を受けた平成14年以降、現在に至るまでこの法律での違反行為による新聞販売店が摘発されたという記録はない。

これに関して、公正取引委員会は、摘発におよび腰というか、消極的であまり力を注いでないということは明白やと思う。

現実問題として、その平成14年以降から現在に至るまでにおいても、その景品表示法をオーバーしとるケースはナンボでもあるわけやさかいな。

新聞業界にとって有名無実の法律とまでは言わんが、それに近い現状ではある。

おそらく、あんたのケースをその公正取引委員会に通告したところで、その違反に問うことはほとんどないやろうと思う。もっとも、その法律がある以上、絶対とまでは言わんがな。

駐車違反と同じで、違法性の高いケースでも摘発されな違反にはならんということと同じやと思う。違反に問われんかったらキップを切られることも罰則を受けることもない。

しかし、そんな法律論を云々する前に、そうすることがあんたにとって正義になることかどうかを冷静に考えたら、この問題は簡単に分かりそうなもんやと思うけどな。

どういう形にせよ、契約解除するということは、約束した事を反故(ほご)にするわけやから、その約束を守ることを条件に貰ったものを返すのは当然やと考えるがな。

または、その約束した景品に執着があるのなら、約束である契約を守ることやと思う。

最後に苦言を一つ。相手に違法性があれば何をしても許されるという考え方だけはせんようにした方がええと言うとく。そうすることで自身の間違いに気がつきにくくなるさかいな。

もっとも、あんたの場合は、そんなつもりやなく、単に知らんかっただけやとは思うがな。

いずれにしても、どうされるかは良う考えて決められたらええ。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム