から新聞勧誘・拡張問題なんでもＱ＆Ａ
NO.623 本日の「新聞詐欺事件」報道について
投稿者 浪速の月光仮面さん 投稿日時 2008.9. 7 PM 6:32
はじめまして。Yahoo!ニュースのトップニュースで紹介されていたリンク先 から貴ＨＰを拝見させて頂きましたが、他のＱ＆Ａなどをいくつか拝見して新聞の勧誘員さんにしては、あまりの見識の高さに驚きました。（失礼！）
そこで、本日の「新聞詐欺事件」報道について貴兄の忌憚のない感想をお聞かせ願えないでしょうか。
回答者 ゲン
見識が高いと褒めて頂くのは有り難いが、それはちょっと違うのやないかと思う。単にこの道の専門家として答えとるだけの話やさかいな。
それにしても、Yahoo! Japanのトップニュースで紹介されるというのは大きなことやと今更ながらに知らされた思いがする。
その結果、今日一日のサイトへのアクセスが、１１０００を越しとる。もちろん、これはこのサイト始まって以来の記録や。
それまでの記録は２００４年８月１６日で当時のYahoo!トピックスでこのサイトが紹介されたときのものやった。
その１日のアクセスは８５５０。いずれもYahoo! Japan絡みということになる。
いつもは、１日５００ほどのアクセスが普通やから、異常な出来事やと言える。いきなりなことで、ハカセもびっくりしてたさかいな。
最初は、ハカセも何で急にそんなアクセスが増えたのか不思議がっていたようやが、常連の読者の方からメールでその事を知らせて頂いて分かった。
ただ、こういう新聞関係の事件の報道がある度にアクセスが多いという傾向は以前からあった。
それも、業界のイメージとして悪い場合が多いから、あまり手放しで喜んでもおられんがな。
あるいは、どこかの掲示板でリンクされたときにもアクセスが多いというのもある。
いつもは、決まった読者の方か、何かの相談事や調べ物をされる人がほとんどなんやけどな。
あんたの質問とは関係ない話を並べて申し訳なかったが、こういうことは何かの機会がないとなかなか話せんので許して頂きたい。
本題に入る。
その前に、その報道記事をここに紹介しとく。
２００８年９月７日。Yahoo! Japanニュースより引用。
http://dailynews.yahoo.co.jp:80/fc/domestic/fraud/
新聞購読詐欺事件で無職男を逮捕 大阪
防犯カメラに映った熊取町で発生した新聞購読料詐欺の容疑者
「長期契約すれば購読料を安くする」として、大阪府内で新聞販売店の従業員を装った男が現金をだまし取る連続詐欺事件で、箕面署は７日、詐欺未遂容疑で、住所不定、無職容疑者（６５）を逮捕した。容疑者は「新聞勧誘の仕事はしたが詐欺ではない」と容疑を否認しているという。同府内で多発している事件と手口や人相が酷似しており、同署は余罪を追及する。
調べでは、容疑者は６日午後４時半ごろ、箕面市箕面の民家で、主婦（４３）に「購読券を買えば１０カ月３万５０００円が３万円になり、ギフトもつく」などと偽って現金をだまし取ろうとした疑い。
主婦は「夫と相談する」とした上で販売店に問い合わせ、容疑者が従業員ではないことが発覚。販売店員が付近を捜索し、別の民家の玄関先にいる容疑者を発見して同署に通報した。一連の事件をめぐっては、泉佐野署が５日に犯人の防犯カメラ映像を公開し、各新聞の販売店も警戒していた。
『本日の「新聞詐欺事件」報道について貴兄の忌憚のない感想をお聞かせ願えないでしょうか』ということやが、一言で言えば、この新聞業界にとっても前代未聞のとんでもない出来事ということになる。
こういう事件があるというのは、サイトに懇意にして頂いている関西のある販売店関係者の方から教えて貰っていたので、今年の７月下旬頃から知ってはいた。
もっとも、その方も噂話という範疇で知らせてくれたことで、実際にその販売店でその手の被害があったというわけやなかったがな。
今にして思えば、例えそうであったとしても警告の意味で、それをサイトで言うておくべきやったのやないかと後悔しとる。
ただ、その被害者や関係者の方から具体的な相談がなかったため、このＱ＆Ａで取り上げる機会がなく、今日まですぎてしもうたわけや。
また、その詳細を把握していなかったというのもあり、メルマガ『ゲンさんの新聞業界裏話』の題材にもできんかった。
さらに、この事件の被害者がどの程度おられるのか良う分からんが、この報道記事にあるようなことで本当に騙される人がおられるのかなというのも、正直な気持ちとしてあった。
ワシら業界関係者からしたら、ちょっと信じられんような話やさかいな。
購読して貰えれば購読料を安くしてサービス品も付けると言うケースは結構ある。
しかし、その場で購読券と引き換えに現金を寄越せというのは絶対にない。考えられんことや。
新聞の集金は１ヶ月の毎の後払いが新聞販売店の原則やさかいな。
この記事にある主婦のように、それを疑問に思い販売店に問い合わせるのは普通のことやと思う。
特にこの事件は関西中心にあるようやから、関西の主婦がそんな甘い話に騙されるとも思えんかったしな。
関西の主婦に関しては、メルマガ『第５回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■懲りない勧誘の手口 その１ タダ売りの果てに』の中でも話しているが、日本一、騙しにくい対象やないかとワシは思うとる。
新聞業界の情報を発信しているこのサイトで取り上げんかった理由を挙げれば、そういうことになる。
しかし、現実に被害者がおられるからこそ詐欺罪で逮捕ということになったはずやさかい、事実は事実として受け入れんわけにはいかん。
この記事にはなかった話で、その真偽もまだはっきりとはせんが、その購読券の金だけ受け取り「車から購読券を持ってくる」と言って、そのままトンズラしたということがあったと聞く。
この容疑者は「新聞勧誘の仕事はしたが詐欺ではない」と容疑を否認しているというが、それが事実やとしたら言い逃れのできん立派な詐欺罪ということになる。
この業界で騙しや詐欺のような事はないのんかと聞かれたら、それはあるとしか答えられん。
しかし、それでも今回のような客から金銭を巻き上げるようなことは今までなかったと思う。少なくとも、ワシの記憶にはない。
新聞業界において詐欺被害に遭うというのは、たいていは新聞販売店というのが多い。
犯人は、その販売店の従業員、出入りの拡張員、そして悪質な購読者などというところになる。
販売店の従業員のケースは、旧メルマガ『第８２回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■それはないやろ』で話したことがある。
そこの新聞販売店の従業員が、残りの購読料をまとめて払えばいくらか減額すると持ちかけて、客から集金して持ち逃げしたというものや。
その後、その新聞販売店から正規の集金として行った際、それが発覚するのやが、その際には形式的にでも、その従業員が店の領収証を渡しとる以上、客の二重払いとなる集金はできん。
したがって泣くのは、その販売店ということになる。当然、そういうのは警察に「集金横領」の詐欺事件として被害届を出す場合が多い。
そういうのは、全国的にも今までかなりあるのやないかと思うのやが、今回のように全国ニュースになるようなことはあまりなかった。業界ニュースに出回る程度やった。
拡張員の場合は、てんぷら（架空契約）や客を抱き込むなどして、本来あり得ない契約をあるかのように装って、新聞販売店からその拡張報酬料を騙し取るというものや。
これについては、このＱ＆Ａを見て貰うたら、そういうケースも数多いと分かるはずや。
これも発覚すると、警察に詐欺事件として被害届が出される場合がある。
拡張員の場合は、業界ニュースの他に「新聞インフォメーションセンター（旧、新聞近代化センター）」に登録されて、この業界では仕事ができんようになるがな。
悪質な購読者というのは、これも旧メルマガ『第１０７回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員泣かせの人々 Part 5 拡禁の男』 の中で言及しとる。
ここに登場する男は、新聞を契約しては引っ越ししたと偽装し、その都度、偽名を使って商品券や景品を騙し取るということを繰り返していた。
これも、立派な詐欺罪ということになるのやが、このケースはたまたまワシが関わったという事で、警察に通報する代わりに、こちらの被害を弁償させることで話をつけたがな。
一般的には、新聞を勧誘する方が悪で、購読者は被害者という風な印象が強いが、実際には、えぐい客というのも数多くいとるわけや。
それに類似した話なら、他にも旧メルマガ『新聞拡張員ゲンさんの裏話・バックナンバー』 に収録しとるから暇なときにでも見て貰うたら分かるのやないかと思う。
今回の事件は、業界としてはあり得んことやが、実際に起きて、しかも全国ニュースになりYahoo! のトップニュースで紹介されとるわけやから、相当数の人に知れ渡っとると思う。
これが、「気をつけなあかんな」というだけに止まればええのやが、こういうことを真似する者が現れんとも限らん。
また、今後の捜査の経過を見守らんことにはまだ何とも言えんが、この容疑者が単独やないケースも考えられる。
そうなると、容疑者が捕まって一件落着にはならんかも知れん。事件が広く知られることで、今までは関西中心やったのが全国に波及するおそれもあるさかいな。
これを見ておられる読者の方々には、この場を借りて、くれぐれも気をつけて頂きたいと言うておきたいと思う。
以上が、この事件に関するワシの感想であり意見ということになる。分かって頂けたやろうか。
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもＱ＆Ａ選集』好評販売中
ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から